作品も大変面白いので機会がありましたら是非読んでください。
レイズが”フェンシルバード・レイズ”となり“風迅”の名を得てしばらく、レイズは自身の能力を研究し始めた。
自身の能力を“正確に”把握することこそが能力者の力の向上に繋がることを知っていたからである。
何ができて、何が出来ないか。
どういった応用が出来るのか。
“エア”とは何を示すのか。
自身の戦いの経験値を稼ぐために賞金稼ぎをしながら、能力を使い続けたある日、レイズは自身の能力である“エアエア”の能力の一部に手を触れることが出来た様な気がしたのであった。
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“
元はとある王国の国王直属の護衛部隊に所属する剣士だった。
次期国王であるジャラララの護衛のため、ひいては王に恩を売るために、ジャラララの護衛を買って出た彼は海に出て運命的な出会いをした。
とある商船を襲った際に、偶々目についた箱。
中身覗くと其処には奇妙な形のフルーツが置かれていた。
そのフルーツにまるで魅了されたかのように手をとりビュンゾウは気が付いたらフルーツに噛りついていた。
あまりの不味さに思わず残りを床に叩きつけてしまったが、彼は奇妙な感覚に目覚めていた。
自身の握る刀に周囲の風が纏わりついてくるのである。
試しに、刀を振るうと振るった先にあった扉が斬り裂かれたのであった。
以降、ビュンゾウはこれまで以上に“人”を斬ることに執着するようになったのである。
「カーマ、カマカマカマカマ。名持ちの賞金稼ぎと言っても所詮はこの程度か」
ビュンゾウとレイズの戦闘は開始当初からレイズが圧される形となっていた。
ビュンゾウが刀を振るう度に発生する鎌鼬による遠距離攻撃。
よしんば、その鎌鼬を潜り抜けたとしてもビュンゾウの達人とも呼べる剣士としての実力にレイズは一切の攻撃を許されないように見えていたのであった。
「それに、貴様。貴様もどうやら能力者のようだが、私の鎌鼬によって受けた傷から血が出ていることから見て、動物系か超人系に属する能力のようだが、どちらにしてもこのビュンゾウ様の敵ではないようだな」
事実、レイズは先程からビュンゾウの鎌鼬による攻撃を避けているだけにとどまっており、身体には数ヶ所とはいえ傷ができていた。
ビュンゾウの高笑いが木霊する戦場。しかし、ビュンゾウは自身が強者であると信じて疑わなかった。
だからこそ、気付けなかった。
レイズの顔に一切の表情が消えていることに。
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「ええ、レイズの能力は超人系なのか」
まだ旅を始めたばかりの頃、レイズに彼の能力について聞いた時、あまりに予想外で、エースは驚きの声をあげてしまった。
「まぁな、事実オレは自然系の最大の特徴とも言える“身体を自然物そのものに変化させる”ことが出来ない」
そう言って器用に風を操り倉庫の中を片付けていくレイズ。
周囲には大人が複数人で運ぶような木箱がいくつも風に支えられ中に浮いていた。
「それじゃ、この間の攻撃をすり抜けたように見えたのは」
「あぁ、あれはだね・・・・・」
ジャラララと相対しているにも関わらず、身体に力が漲っているのを感じていたエースはふとレイズの能力について聞いた時のことを思い出していた。
「小僧、ワッシを前にして随分と余裕そうジャないか」
あまりにも自然体なエースを奇妙に思い、攻撃の手を緩めているジャラララ。
「おう、悪い悪い。あまりに退屈でな、相棒と話した時のこと思い出しちまった」
そう言って欄干へと器用に着地するエース。
「ジャウラジャウラジャウラ、今までどうだったか知らんがビュンゾウを相手にして生きていられる筈がなかろうに」
そう言って両手に握られた鎖を再び振り回し始めるジャラララ。
だが、エースは確信していた。
「そうかな、お前たちの最大の不運はオレ達を怒らせたことなんだぜ」
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ビュンゾウは違和感を感じ始めていた。
先程から鎌鼬を飛ばし続けているのに、レイズに対して一向にダメージを与えられなくなって来ているのであった。
そして、レイズは一歩一歩ただビュンゾウに向かって歩いて来るだけで、一切避ける素振りをみせないのであった。
それなのに、自分が放つ鎌鼬が
「オレのな」
突如、レイズが何かを話し始めた。
「オレの能力はな、自分を中心にした半径5m圏内の空気に干渉することで、自在に空気を操ることができるんだ。有効範囲も延び続けていてな、特に有効範囲内の空気の精密操作なんか最近じゃ簡単に出来るようになったのさ。その力を活用したのが今、オレが使用している“コレ”。名前を“
ビュンゾウが目を凝らすと、レイズの周囲には幾つもの風が折り重なったような大気の流れのようなものができていた。
「周囲に風の障壁を発生させて、降りかかる攻撃の軌道をそらすことで攻撃を防ぐ技なんだけどな。ま、あくまで風だからか、オレの実力以上の攻撃は強引に突破されることもあるんだけどな、あんたの攻撃は簡単に反らしちまえてるこの現状。あんたなら、言わなくても理解しているよな」
坦々とただ歩み寄ってくるレイズの姿はビュンゾウにとって悪魔か死神のように見えていた。
「カリーナの左肩」
レイズの独白とも取れる言葉には一切の温度が感じられなかった。
其処には怒りな任せた灼熱も、殺意によって発生した冷気も一切なく、ただ坦々とビュンゾウの耳に流れ込んでくるように感じられた。
「カリーナの左肩にな、素人に斬られたような痕があったんだ。鎖による殴打痕でもなく、明らかな刀傷の痕だった。ま、斬った相手がド三流のド素人だったからか傷痕も残らなそうだけど」
不意に、レイズとビュンゾウの視線があったような気がした。
その時、初めてビュンゾウは正面からレイズの瞳を見てしまった。
その瞳は、まるで硝子玉のようにビュンゾウを写しているだけだった。
「お前にカリーナ以上の価値は無い」
右手を手刀の形をとると、それを前後に揺らし始めるレイズ。
ビュンゾウは何をしているのか分からなかったが、自身の背に嫌な汗が流れるのを感じていた。
手に持つ刀はガタガタと震え、自分が相手に怯えていることに、自身の能力を使う余裕もレイズが纏っていた風の鎧が消えていることに気が付く余裕すらも失われていた。
「
レイズの腕が自分に向いてるのを見るよりも早くビュンゾウは愛刀での防御を試みたが、刀が折れるのと同時に自分がまるで風の槍で貫かれたような衝撃を受けて反対側の欄干に叩き付けられるのを感じた。
ビュンゾウの意識はそこで途絶えたのだった。
「お前は殺す価値もない」
意識を失ったのを確認したレイズはビュンゾウを縛りつけ、樽が満水になるまで海水を汲み、其処に縛り上げたビュンゾウを放り込むと空に輝く月を見上げた。
「さぁ、エース今のお前の実力をオレに見せてくれ」
レイズの頬を夜風が優しく撫でていくように吹き抜けて行くのだった。
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(期限は年内を予定)
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