気がついたらお気に入りが500件を越えていたことに驚きが隠せません。
私のような物書きの作品でも楽しんでいただけているなら幸いです。
カリーナが正式に仲間になって気が付けば1年の月日が経っていた。
一口に1年と言っても様々なことがあった。
まず一つに船が新しくなった。
レイズの発案で中型のパドルシップに乗り換えたのだ。エースとカリーナは想い出の詰まった船を乗り換えたくないと駄々を捏ねたが、いつもの通りレイズが一枚上手で、今まで乗っていた船をきれいに解体し、船を新造する際のパーツに加えたので駄々を止めて、自分の注文をし始めた。
3人でも手狭だった船を新しくしたのだからそれなりにお金は飛んでいったのだが、そこはカリーナが“巧く”交渉したもんだから思いの外安くすんだ。
次に、エースとカリーナにも異名が付いた。
エースは鉄パイプを止めて、格闘術で相手を沈めていき、決め技とも言える正拳から“
カリーナもレイズに懇願した結果、旗を用いた棒術を修めている。
旗で己を守り、布槍術も応用した旗棒術とも呼べるカリーナ独自の技術で確実に戦えるようになっており、“女狐”とも“フラッグクイーン”とも呼ばれている。
そして現在、3人は新造した船を何故か海軍船に引かれ、海軍船の上“とある任務地”へと連れてかれていた。
「エース、このバカもんが。何故“賞金稼”なんぞやっておる」
「ウルセエ、クソジジイ。オレの勝手だろうが」
乗船してから毎日のように繰り広げられるエースとこの船の責任者である中将の口喧嘩がまた始まった。
「か、カリーナちゃん。もしよかったら今度お茶でも」
「前も言ったけど、ウチの男衆に勝てたら考えたげる」
この1年で更に色香に研きがかかったカリーナには、連日告白する海兵が長蛇の列を作っていた。
なお、この1年でカリーナのレイズに対する好意は連日鰻登りであることを付け加えておく。
「・・・あ、王手」
「レイズさん勘弁してくれ~」
当のレイズは海兵相手に連日如何様賭博で荒稼ぎしていた。
レイズからイカサマしてますよという宣言つきで、イカサマ見破れたら倍額返金を餌に日々あくどく稼いでいた。
賭けの対象には情報と技術も入っており、レイズは大まかな六式の情報と
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「あぁ、痛ってぇな。あのクソジジイ」
日が沈み、自分達の船へと戻ったエースたちは日々の報告会を行っていた。
「それにしても、エースと“海軍の英雄”ガープが知り合いだったのには驚きね」
「本当にな。ほらエース、氷嚢でその腫れた顔冷やしとけ」
報告会とは名ばかりで大半はエースの愚痴こぼしのために開いている飲み会に近いのだが、頭脳労働ダントツになりつつあるレイズとカリーナは別途ちゃんとした報告会を開いていたりする。
「しっかしよ、すげぇな“六式”てのは。ジジイ相手に2分もつようになったぞ」
顔の腫れがひけたエースは最近習得し始めた体術“六式”の話題を挙げた。
「エースの習得スピードが異常なんだよ。聞いた話だと一式習得には最短でも一月掛かるらしいよ。しかも、六式を扱うための強靭な肉体が出来上がっている前提だから、ガープ中将の特訓も役に立ったってことだね」
夜のおやつとしてドライフルーツを準備してキッチンから戻ってきたレイズの発言にエースは心底嫌そうな顔をした。
「にしても、エースにも苦手なモノがあったのね、意外といえば意外ね」
サマーセーターにホットパンツという青少年には目に毒な格好をしたカリーナはレイズを横に呼びつけながら、いつもの意地の悪そうな笑顔でエースを見た。
「ジジイの特訓受けたことねぇカリーナには解らねえよ」
「ま、おかげでエースの底知れない生命力の根底を知れたから良かったよ。さて、俺達は今海軍船に牽かれて偉大なる海に居るわけだが目的地がわかった」
レイズはここ最近、ずっと様々な乗組員から情報収集を行っていた。
目的地が不明なのは3人共に不安があったからである。
エースは自身の出生のため。
レイズは血縁のため。
カリーナは今までの行いのため。
だからこそ、レイズはどのような手を使っても情報を獲ていた。
「しかし、ガープ中将は“あれ”で良いのか?少し煽てて孫の自慢話聞いたらすんなり喋ったぞ」
軽く言っているがぶっ続けで15時間話を聞き続けたレイズの忍耐力があったからの結果であるのだが。
「で、目的地はどこだったの?」
「そうだそうだ。ジジイのこと何かほっといて教えろよ」
レイズの横を陣取り腕を絡めようとして顔を真っ赤にしているカリーナ。
その反対側にどかりと座りレイズと肩を組んでカリーナに勝ち誇ったドヤ顔をするエース。
その光景は親を取り合う兄妹のようだった。
「目的地は海軍造船島、途中でもう2人名持ちの賞金稼ぎを拾ってかららしいけど」
エースとカリーナの目が獲物を狙う狩人のように細まる。
「目的はそこに現れる「海軍最大の汚点」とも呼ばれる“将軍”の異名を持つガスパーデとその一味の討伐準備と討伐だ」
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ここは偉大なる海にあるとある島。
黒帽子を被った細身の男がガスパーデの手配書を憎悪の眼差しで見ていた。
「アデル、お前の敵はにいちゃんが必ずつけてやるからな」
同時刻 島でただ一軒の酒場。
そこでは長刀を背負った銀髪に褐色肌が特徴の青年が窓から見える月を肴に酒を静かに楽しんでいた。
「・・・・・・オレの求める道はどこにあるんだ」
いま、歴史がまた一つうねりをあげ始めた。
アンケートその2を開始します。
エースはハーレムにすべき?
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是非とも
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イヤイヤ、お姫様一人で手一杯だろ