模型戦士ガンプラビルダーズI・B   作:コマネチ

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実力テストに向けてアイ達はガンプラをスッパリ中断し、テスト勉強に励んだ。そして二週間後……。


第17話「チーム『エデン』」 (ユニコーンガンダム四号機『デュラハン』登場)

「これでテストは終了だ。浮かれるのもいいが来月末は中間、その次は期末だ。これら一回一回の結果がお前たちの将来を左右するという事を忘れずに勉強しろよ」

 

担任が話を終えてクラスを出ていくと同時に教室に下校のチャイムが鳴る。それに伴いクラスが沸きあがった。

今日で実力テストが終わったのだ。一部テストの結果に不安ある者は沈んでいたが……。

 

「やったねタカコちゃん!これでやっとテストから解放されたよ!」

 

「いや~ホントホント、テスト終わってこんな安心するの初めて~」

 

生徒が教室を出て行く中、教室後ろで立ちながら談笑するアイとタカコ、表情はほっこりした笑顔だ。実際いつもだったら先程言った沈んでいるパターンが常だったが……。

 

「やっほ二人とも、機嫌いいじゃない」

 

「あれだけ特訓したんだもの……。それ位出来てもらわなくちゃね……」

 

手ごたえがあったのか聞きたかったのだろう。ナナとムツミもアイ達の所へ来た。

 

「あ、二人とも、勉強有難う!」

 

「ちゃんと勉強会であったところがバッチリ出て助かったよ~」

 

「いやいや……。ちゃんとあの過密スケジュールについてきた二人の頑張りだよ……」

 

そう、あれから二週間、アイとタカコはナナとムツミにみっちり勉強でしごかれた。深夜までやるのは当たり前。

時には勉強する家を変えて、寝泊りした事もあった。それでもアイとタカコはやり遂げた。

 

「ま、あ~言ったからにはね~。きっちりやっとかないとカッコ悪いでしょ~」

 

「フフ……頼もしいかぎり……」

 

「とにかくこれで肩の荷が下りたよ。これでガンプラも出来るしね!」

 

アイの眼は爛々とガンプラが出来ることへの喜びであふれていた。かなり今まで我慢していたのが皆には解った。

 

「いつになくテンション高いわね~。ま、溜め込んでたのはアタシも同じだしね。帰りに寄ろっか。実はすでにガンプラ持ってきてるよ」

 

「やったぁ!」

 

「二週間ぶりに復活だね~アイちゃん」

 

「好きな事に突っ走る。それでこそアイちゃんだよ……」

 

好きな事に熱中してこそアイは一番輝く、そう二人は実感していた。

 

……

 

そしてアイとナナは山回商店街の模型店『ガリア大陸』に場所を移す。ムツミとタカコは今日部活の為いない。

そして店内二階にさしかかった時だ。

 

「待っていたよ。アイちゃん」

 

聞き覚えのある声がした。アイは声のした方を見る。

 

「あなたは……確かハガネ・ヒロさん?」

 

栗色のくせ毛の髪、ややガッチリした体格、数週間前、ゼイドラでアイに挑戦してきた大学生ビルダー、『ハガネ・ヒロ』だった。

 

「ん?なんか見ない顔もいるけど?」

 

ナナがマスミの横にいた人間に気付いた。二十歳位の女性だ。シャギーのかかったミディアムボブの茶髪が目につく。温厚そうな女だった。

 

「あ、自己紹介が遅れちゃったわね。わたしは『フジミヤ・レム』ヒロ達とは同じ大学、同じチームなの」

 

「ここに来たって事は大方アイとバトルがしたいって所ですか?」

 

ヒロが挑戦してきてからアイに挑戦するビルダーが何人も現れた。いつもアイの横で見てるナナにとっては見慣れた光景だ。

 

「そうだね。でも今日戦うのは僕じゃない。アイツさ」

 

ヒロが後ろの観戦モニターを指さす。モニターの中で黒いガンプラが戦っていた。

全身が黒く塗られた機体、それは……

 

「ユニコーンガンダム二号機、『バンシィ』ですか」

 

バンシィ、『機動戦士ガンダムUC』に登場したユニコーンガンダム二号機だ。全身が白いユニコーンガンダムとは逆に黒く塗られている。

それとは対照的にマスクと襟、そして額の一本角が刺々しいデザインになっており何より金色に塗装されているのがユニコーンとの違いだった。

といっても画面に映っていたのは装甲の閉じたユニコーンモードだったが、アイのユニコーン、デストロイモードとは違う形態だ。

更にそれは改造されており、追加パーツとしてビルドブースターMk-Ⅱという支援機のパーツが組み込まれていた。

両腕にはシールドと一体化したビームライフル、背中にはジェネレーター、右には大型ビームキャノン、左にはミサイルポッドという重武装機となっていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

モニターの中のバンシィはブースターで都市の高速道路上を低空飛行する。

その上空から敵が二機襲う。『ガンダムOO』に登場したジンクスⅢという機体だ。接近戦だけでなくライフルとしての機能も持つ馬上槍『GNランス』が特徴だ。

ジンクスは一機ずつバンシィを挟み込むようにして上からGNランスを撃つ。ビームを受け破壊される高速道路、

 

しかしバンシィは軽やかに上空に上がる、ジンクスと同じ高さに達すると両腕を左右に広げビームライフルを発射、

両方のジンクスⅢはランスを盾にビームを防御しようとする。しかしビームはたやすくランスを貫通、ジンクスⅢの股間、コクピットを貫いた。

そのバンシィの挙動に見ていたアイは驚愕する。バンシィが着地した直後、リーダー機であろう最後のジンクスⅢが現れる。

 

「よくも仲間を!」

 

リーダーのジンクスⅢは怒りを露わにGNランスからビームを乱射する。しかしバンシィは後方にステップをかけ回避、そのまま左のミサイルポッドを全弾発射、

煙を引きそれぞれのミサイルはジンクスⅢに命中、

 

「ぐぁっ……!」

 

よろけるジンクスⅢ、そのままバンシィは右肩のビームキャノンをジンクスⅢに向ける。

 

「受けるがいい……!光血の洗礼を……!サングィスッ!!ルーメン!!」

 

バンシィのビルダーが叫ぶと同時にビームキャノンは発射される。ビームの濁流はジンクスⅢを飲み込みそのまま爆発、バンシィは無傷のまま三機に勝利したのだ。

 

「凄い。なんて無駄のない動き……」

 

「……いやアイ、なんか今変な叫びが聞こえたんだけど」

 

呆気にとられるアイと、叫んだ技名に「変だ」と思ったナナ、すぐにバトルの終わったGポッドからバンシィのビルダーが出てきた。

それから同じくGポッドから出てきたジンクスⅢのビルダーと挨拶をかわすとアイ達の所へ戻ってきた。

 

「やぁ、来てたのかいヤタテさん」

 

黒いパイロットスーツを着たビルダーがアイに気付くと挨拶をする。その青年にアイは見覚えがあった。

 

「フクオウジさん!」

 

以前ヒロと戦った時、一緒にいた青年だ。少し伸びた黒髪を一本に纏めた中性的な青年、それが彼、フクオウジ・マスミだった。

 

「調子いいみたいね」

 

「うん、万全さ。これでベストな状態で戦えそうだ」

 

レムの問いにマスミの言葉、その意味をアイは簡単に予測できた。

 

「ということは……次に戦うのは私って事ですかね?」

 

「その反応を待っていたよ」

 

ニッと自信に満ちた笑みを浮かべてマスミは答えた。

 

「余程自信があるって事ですね……全力で行きますよ」

 

バンシィの動きからしてマスミが並のビルダーではない事はアイには解っていた。それでもアイに勝負を拒否する事は出来ないしアイ自身そんなつもりは一切なかった。

 

 

 

「ヤタテ・アイ!行きます!」

 

母艦から出撃するアイとユニコーンガンダム、今回の武装は左腕に竜の爪を思わせる装備がついていた。

『アームドアーマーVN』、高振動により相手を破壊する接近戦用装備だ。普段左腕に付けているアームド・アーマーDEは干渉する為、右腕に移動させられていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

今回のステージは『ニューホンコン』機動戦士Zガンダムで登場した大型都市だ。周りにいくつも立ち並ぶ50メートル以上はある高層ビル郡。

その間にある道路をアイのユニコーンは飛ぶ。二車線ずつある大通りは十数メートルで表示されるガンプラの肩幅以上の広さだ。

 

「ん!?」

 

真正面、大通りの向こうで黒い影が見える。マスミのバンシィだ。

 

「自分から姿をさらすなんて!」

 

アイは右腕のビームマグナムを構えてバンシィに向け撃つ。豪快な音と共にビームマグナムが発射されバンシィに向う。

 

「フッ!」

 

不敵に笑うマスミ、バンシィは右肩のビームキャノンを発射。赤いビームはビームマグナムのビームにぶつかり激しいスパークが起こる。

 

「避けるわけじゃなくて相殺しようって?!」

 

スパークに眼を覆いながらアイは叫ぶ。光が止むとアイはチカチカする目に我慢しながらバンシィの姿を確認する。が、バンシィはその場にいない。

直後、Gポッドに警告音が響く、

 

「クッ!」

 

アイは左腕のホルダーを展開、ビームトンファーを構える。上からバンシィがビームサーベルで斬りかかって来る。

迎え撃つアイのユニコーン、二機のビームがぶつかり合い激しいスパークが起こる。

 

「ボクのサングィスルーメンを相殺するなんて大した腕だよ!普通のビームマグナムより威力は高いって事か!」

 

「塗り分けは徹底してますからね!」

 

答えながら右腕のアームドアーマーDEを振りかぶる。アイはバンシィを殴りつけようというのだ。

 

「いいバトルが出来そうだ!」

 

すばやく後退するマスミのバンシィ、すぐさま高層ビルの向こう側へと隠れた。

 

「この!」

 

アイはバンシィが隠れたであろう高層ビルをビームマグナムで撃つ。ビームを受けたビルの部位は蒸発、そしてたやすくビルが倒壊するがバンシィの姿はいない。

直後別のビルの向こう側からバンシィがジャンプして姿を現す。同時に両腕のビームライフルを撃ってくる。

 

「ちょこまかと!」

 

アイは横にステップをかけると再びビームマグナムで反撃した。

 

 

 

「前のジャングル焼きはらった時も思ったけど、いいのかなぁ。あんな風に建物壊しちゃって」

 

観戦しながらナナがぼやく。

 

「やぁハジメ、ヤタテの応援か?」

 

ナナに後ろから声をかける男がいた。振り向くとそこにいたのは……

 

「あ、オッサン、皆」

 

コンドウ、ツチヤ、ソウイチ『ウルフ』の三人だ。

 

「やぁコンドウさん、久しぶりだね」

 

「ご無沙汰してますコンドウさん」

 

ナナに続き、ヒロがコンドウ達に挨拶をする。その瞬間、コンドウ達は固まった。

 

「ヒロと……レム……?てことは」

 

「そう、アイちゃんの相手はマスミだよ。本人がやりたいって言ってきたからね」

 

観戦モニターを指さしながらヒロは微笑む。

 

「じゃあ……勝てないッスよ……ヤタテさん……」

 

「?アサダ、いきなり何言ってんのよ」

 

訂正させようとするナナ、それにソウイチは答えた。

 

「理由があるッス!だってフクオウジさんは……チーム『エデン』のフクオウジ・マスミさんは!コンドウさんが勝てなかったビルダーなんスから!」

 

 

 

ユニコーンとバンシィの戦いは、ビル群の中を並行し飛びながらの撃ち合いになっていた。

二機とも距離を保ち、高速で飛びながらの射撃戦。しかし一瞬、二機の間を一際大きい高層ビルが過ぎた瞬間、バンシィの姿はユニコーンの眼の前から無くなっていた。

 

「上か!」

 

アイが上に眼をやるとバンシィは上からビームサーベルを構え降りてくる。

 

「うぉおっ!」

 

「ならカウンターを!」

 

アイは左腕のビームトンファーを展開させ迎え撃つ。上下で激しいスパークが起こった。

 

「パワーだったらデストロイモードのこっちの方が上ですよっ!」

 

アイはそのまま左腕のアームドアーマーVNを振動させる。このままパワーで押し切りバンシィのボディを引き裂こうというのだ。

鍔迫り合いの為振動がバンシィに伝わる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「チッ!古人曰く、『三十六計逃げるに如かず』か!」

 

バンシィは早々に離れるとその場から後退する。ユニコーンはアームドアーマーDEを背中に装着、ブースターとして展開、そのまま追いかけた。

 

「待ちなさい!」

 

「しつこいなっ!」

 

バンシィは一瞬振り返ると背部ミサイルランチャーをユニコーンに撃つ。

 

「なんの!」

 

アイは背部に付けたアームドアーマーDEの先端部のビームキャノンを発射、ビームはミサイルを飲み込み爆発させる。爆風のなかを突っ切ったユニコーン

そしてバンシィは最初と同じ様に、通りの距離を開けた場所でこちらへ両腕のビームライフルを撃ってくる。

だがかわせない射撃ではない。ユニコーンは回避しながらバンシィの懐へと飛び込む。

 

「もらったぁっ!」

 

「っ!」

 

懐に飛び込んだユニコーンはビームトンファーでバンシィを薙ぎ払う。

しかし……

 

「えっ!?」

 

アイは自分の感じた違和感を口にする。機体を切った手ごたえが無い。バンシィの姿が消えていたのだ。

どういう事だ?と一瞬思案するアイ、だが次の瞬間、Gポッドに警告音が響くと同時に……ユニコーンの両太腿が切り落とされた。

 

「?!!な……んで……?!」

 

ユニコーンはそのまま道路へ墜落し、勢いは止まらずその先にあるビルへ頭から突っ込んだ。

 

「フッ。甘いね」

 

マスミの声だ。見るとバンシィは両足を180度開脚させた状態で座っていた。そして手にはビームサーベル

さっき斬られる瞬間、開脚させビームトンファーを回避、直後にユニコーンの太腿を切ったというわけだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「どういう事?!バンシィの股関節が横にあそこまで曲がるはずが!」

 

「コイツの股関節を見てごらん」

 

「間接?あ!」

 

両足を失ったユニコーンは両腕を使い、ハイハイの様な恰好でバンシィに向く。そしてユニコーンの目を通し、

アイはバンシィの股関節を見て絶句した。バンシィの足の付け根の部分にはHGUCのνガンダムの肩関節が組み込まれていた。

股関節に肩関節を使用したのだからあそこまで曲がるのはなんら不思議ではない。

 

「この改造により『間接可動性』『工作精度』が増し、ボクのバンシィ改造機『デュラハン』はパラメータが強化されてる!」

 

そのままバンシィは両腕のビームライフルをユニコーンの両肩に撃ちこむ。ビームはユニコーンの両型を貫通し両腕をその場に落とした。

 

「そんな!こんな簡単に!」

 

「古人曰く『備えあれば憂いなし』!このバンシィ……いやユニコーンガンダム四号機『デュラハン』は二号機、バンシィと一組になって運用される筈の機体だった!

実際はバンシィ一体で要求されていた性能は事足りる事からペーパープランで終わった幻の機体という設定だけどね!」

 

「え……?」

 

いきなりマスミがガンプラのオリジナル設定の話を持ってくる。心なしか声のトーンが上がっている。テンションが上がってきてるのだろう。

 

「しかしユニコーンのストーリーが終わった後、地上、宇宙のジオン残党を殲滅するべく建造されたという設定さ!

この機体のモチーフはズバリ、タペストリの『山羊』だ!その為実際に実戦に配備された場合あまりの強さに『バフォメットに魅入られた』と噂する者まで現れたという!」

 

ユニコーンガンダムはフランスのタペストリ『貴婦人と一角獣』に描かれた動物からとられている。マスミのデュラハンもタペストリに描かれた山羊からとられたという設定だ。

……タペストリに描かれた山羊の位置は左上……ただのモブ扱いの動物なのは内緒だ……

 

「え……え……?」

 

「さらにガンプラバトルでは再現できないが、コイツの特徴はデストロイモードへの変形の際に現れる!装備そのものもサイコミュ、つまり脳波コントロールで

デストロイモード専用の装備が母艦から射出され装備を切り替えることが出来るのさ!」

 

熱を入れて自機の設定を語るマスミ、しかし聞いてるアイは何故こんな時に、と戸惑う。

 

 

 

「……ねぇ、あんなんで本当にオッサンが勝てなかったビルダーなわけ?」

 

観戦していたナナがツチヤに問いかけた。マスミの実力はアイのユニコーンの惨状を見ればわかった。しかしああやって設定語りをするあたりどういうわけか納得がいかない。

 

「納得できないかもしれないがその通りだ」

 

「オリジナルにああやって設定つけるのも多いの?」

 

オリジナル設定、一部ではオラ設定と呼ばれる。ガンダム作品に関する知識のないナナにとっては未知の領域だった。

 

「そうだな。オリジナルにオラ設定つけるのは珍しくない。皆好きな活躍シチュエーションを思い浮かべたりして作るからな」

 

「でも、正直言って痛いだけッスよあれは、あの人がコンドウさんに勝ったってのがイマイチ納得いかないッス」

 

答えるコンドウに反して面白くなさそうにソウイチが呟く。

独自設定は自分が楽しむ分にはいいが他人には受け入れられない事もままある。それは元から練られた作品設定に独自のものをねじ込むからとも言われている。

 

「だいたい無理があるッスよあんな設定、邪気眼か中二病ッス。もっと控えめにガンダムの世界観にすり合わせたものつければいいのに、あんな設定つけたって笑われるだけッス」

 

「中二病、ある程度成長して知識が備わり自分をもっと良く見せようと空回りする事、邪気眼は自分の作った設定に没頭しすぎて現実でもそれに基づいた行動をとってしまう事だね」

 

「?!」

 

ソウイチの発言にモニターの向こう側のマスミが食いついた。口調を聞く限り、自分を否定されて不快に思ってるわけではなさそうだ。

 

「そしてボクの様に設定が突飛なのも中二設定と呼ぶ。あいにくボクはそれを悪い事とは思わない」

 

「マスミさん!」

 

意識がソウイチに向いている。アイが「無視するな!」とい言わんばかりに、手足をもがれたユニコーンをデュラハンに突っ込ませる。

残った武装は背中のアームドアーマーに内蔵されたビームキャノンだけだ。それを飛びながらデュラハンめがけて放つ。

 

「ヤタテさん!君も聞くといい!好きな物を好きなように楽しむのがガンプラだ。そしてそれは設定も同じなんだ!」

 

意にも介さない様にかわすデュラハン。

 

「設定はガンプラに物語を加える!いわばケーキに入れるバニラエッセンスの様な物だ!あるとないとでは大違い!」

 

フクオウジ・マスミ、彼は設定の強さがガンプラの強さに直結するという考えがあった。デュラハンの様な突飛な設定も好む。

 

「強い設定によるビジョンはガンプラバトルにも直結するとボクは思う!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

右肩のビームキャノンをユニコーンへと向ける。まるでこの一撃がその証明だと言わんばかりに

 

「それを見てる全員、心に刻むがいい!!」

 

そしてマスミはビームキャノンを発射、マスミが『サングィスルーメン』と名付けた赤い光の濁流はユニコーンに真っすぐ向かう。

 

「っ!!」

 

すぐさまアイは急停止し反転、背中のアームドアーマーで赤い光の奔流を受けた。

 

「くっ!この威力は!」

 

背中のシールドで防ぐもそれは最初だけの話、デュラハンのバックパックジェネレーターに直結されたビームキャノンは強力だった。

少ししてビームはアームドアーマーを貫通、ユニコーンは背中からビームで貫かれる。

 

「これが……コンドウさんも倒した実力?!ぅああっ!!」

 

アイはユニコーンの破壊される音を聞きながらマスミの実力を思い知った。

そしてユニコーンは爆散、今回はアイの敗北となった……。

 

「眠れ、紅き光に包まれて……」

 

 

 

「ガンプラにおいて自分がつけた設定は立派なアイデンティティだ。ボクはね、ガンプラのポテンシャルは改造だけでなく設定にもあると思っているんだよ」

 

バトルが終わった後、マスミはアイ達に自分のガンプラの信念を語って聞かせた。

 

「それを恥ずかしがっておいてはその潜在能力を引き出すことなんてできない。

実力を持って筋を通せばそれはバトルに現れると思うんだ。その為に強いビルダーでありたい、これを馬鹿にするビルダーはひとり残らずかかってこい!って気位でね」

 

「少なくとも相変わらず強いのは解ったッス」

 

自信を持って答えるマスミにソウイチは否定的な意見を言うことは出来なかった。

 

「大事にしてるんですね。自分のガンプラ」

 

アイはマスミに対して驚いた部分もあったが、今はマスミの実力を認めていた。

 

「じゃあ次はさ、わたしとバトルしてくれないかな」

 

次にフジミヤ・レムと名乗る少女が出てきた。マスミとアイのバトルを見ていたら熱が出てきたようだ。

 

「え?」

 

「レムさん!?大丈夫なの?」

 

驚愕し問いかけるマスミとヒロ

 

「何大袈裟に驚いてるのよ二人とも、なんかマスミとアイちゃんとのバトル見てたら火がついちゃった」

 

そして彼女が対戦したいという相手を名指しする。その相手とは……

 

「君がバトルしてくれないかな」

 

「え?ア・アタシ?」

 

目をつけたのはナナだった。

 

「うん、アイちゃんと協力してコンドウさんと戦ったんでしょう?君とならいいバトルが出来そうな気がするな」

 

「あ、まぁ……挑戦されるのって慣れてないけど……よろしくお願いします」

 

自分が挑戦されるとは思ってなかったようだ。少し照れながらナナは準備の為更衣室に入って行った。それにレムも続く。

 

「ツチヤさん……どういうつもりなんスかね……」

 

「さぁ、わからん……」

 

理解できない、そんな顔でナナとレムの二人を見つめるツチヤとソウイチ、アイはその言葉がなんなのか気になった。

 

「?なんですか?何か気になることでも?」

 

「あのフジミヤ・レムという女の子はな、彼女も俺が適わなかったビルダーということだ」

 

「え?」

 

コンドウの反応に耳を疑うアイ、マスミだけでなく二人もコンドウに勝つビルダーがいたという事だ。

 

「なんでハジメさん選んだかはわかりませんが……何秒持つスかね、ハジメさん」

 

 

しかし五分後……

 

 

「やった!アイ!アタシ勝ったよ!」

 

ナナが勝利に喜んでアイの元へ駆ける。その横ではコンドウ達が勝負の結果に唖然としていた。

 

「なんで……ハジメさんがあんな簡単に勝ったんスか……」

 

そう、意外な事に勝負はあっさり片が付いた。ナナのストライクが対艦刀を振り回すとレムの機体はビームサーベルで受けようともする。

が、対応が遅れた為に簡単にレムのガンプラは斬り裂かれた。

 

「たはは……駄目だった……」

 

「レム……」

 

駆け寄るヒロとマスミ、レムと戦闘経験のあるコンドウは不審に思った。最もそれはウルフ全員とアイに共通した疑問だったが。

 

「何かあったのか、フジミヤ……」

 

「コンドウさん……」

 

「お前は勝負に手を抜くようなビルダーじゃない。ハジメも筋のいいビルダーだがお前なら圧倒出来たはずだ」

 

「良く解るね……スランプなんだ、わたし」

 

それからフジミヤ・レムは話した。ある日急に勝てなくなった事、それでもバトルに対する熱意は変わらずこうして頻繁にバトルを見学しに来るという事を。

 

「前に僕がアイちゃんとバトルした事を話したら、フジミヤさんは喜んでくれてね、今回のバトルにどうしても見に行きたいって付いてきたんだ」

 

「そうだったんですか」

 

「まだ本調子じゃないけどじきに実力を取り戻して見せるわ。その時はバトルしてね。アイちゃん!」

 

レムに対しアイは「はい!」と答えた。越えるべき壁がまた増えた。アイはその事実に闘志を燃やしていた。

 

……

 

「今日は楽しかったね」

 

マスミ達三人は横一列に並び商店街を歩きながらバトルの余韻を話す。

 

「そう言ってくれると嬉しいよ。フジミヤさん」

 

建前か本心かはわからない、だが笑顔を見せるレムにヒロは安堵した。

 

「ヤタテさんもあれで終わるビルダーじゃないだろうね。ボクの方も腕を磨いて置かないと」

 

「……その時には……わたしも本調子に戻ってたらいいな……」

 

レムの表情が曇る。今の実力を出せない自分に対して不安を感じているのだろう。このままずっとスランプなんじゃないか、という、

アイの前ではああは言ったが結構このスランプは長引いている。レムの心の中では焦りを感じていた。

 

「フジミヤさん……大丈夫だよ。きっと」

 

励ますヒロ、対照的にマスミはそのレムの表情をただ黙って見つめているしかなかった。気安く大丈夫なんて言ったら却って逆効果になると思ったからだ。

 

――やっぱり本心を見せるのはマスミの方なんだよな……――

 

ヒロはレムの自分とマスミの態度の違いを感じながら、早くレムのスランプが治って欲しいと願うばかりだった……。




登場オリジナルガンプラ

ユニコーンガンダム4号機 デュラハン(ユニコーンモード)

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【挿絵表示】


ご無沙汰です。コマネチです。今回この章のボスの一人『フクオウジ・マスミ』を登場させました。
また『フジミヤ・レム』もキーパーソンとなります。
スローではありますが今後も見て頂けたら嬉しいです。ではまた
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