オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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お試しに投稿。初投稿なので修正色々入るかも

よろしくです。


0.戦乙女の物語

 

 

 

 21XX年、大地は汚染された大気によって常に霧に覆われ、人々はガスマスクなしでは外出もままならなくなった。そんな時代だからこそ、アーコロジーという外界を気にせず暮らせる建造物が造られるが、大部分を富裕層や中間層が独占してしまい、残されたの貧困層は酷い環境下での生活を余儀無くされた。

 

 100年前は当然だった義務教育も、企業が国の舵をとるようになってからはなくなり、小学校を最後に仕事を始めるだけでも恵まれているほうだと言われる始末だ。

 

 そんな現実に希望が見いだせない世界で、急速に伸ばしたのはネットワークにダイブすることで架空の世界へと行くことができるDMMORPGの先駆け、通称ユグドラシルだった。

 

 私は運良く富裕層の生まれだ。両親は富裕層には珍しい人格者で私を甘やかしすぎず、しかし、大切に育てられた。私もそんな親の期待に応えたく苦手な勉強も必死に食らいつき、有名な大学に進学できた。そうして、恩師とも言える教授に出会い1人立ちできるまでになり、私がそれに出会ったのは運命だと思える。

 

 ある日、大学で知り合った友人がユグドラシルを奨めて来たのが始まりだった。特に趣味のなかった私はそこまでいうならと、早速機材を購入し、ネットワーク世界へとダイブした時の感動は今でも覚えている。

 

 DMMOはまだまだ発展途上でありながら、他のDMMOに比べても、製作陣の熱意が伝わるこれ程作り込まれたものはなかった。

 

 まるで本当に別の世界へと来たような感覚、リアルではなくなった景色に、未知への冒険という夢が、そこにはあった。

 

 ユグドラシルでは人間種とモンスターとしか思えない異形種があり、その中から自分をカスタマイズできるので、いろいろな設定が事細かくできるらしいが、早くやりたかった私は種族は人間のままで自身をモデルにして髪の色や眼元を少し弄っただけで使うことにした。

 

 そうしてできたのは、銀色の長髪を腰まで伸ばし、からだのバランスも出るとこは出て締まっている人間の女に私はなっていた。

 

 名前はレイナ。リアルの名前を少し捩ってつけた名前だ。

 

 それから私は、ユグドラシルを大いに楽しんだ。基本ソロで活動し、この世界に誘ってくれた友人やその場その場で出会ったプレイヤーと遊ぶ毎日。中には悪意を持って近づいて来る者もいたが、機転と自前の運動神経で乗り越えて、中には改心した者もいる。

 

 いろいろな事があった。運営が行うイベントでワールドエネミー討伐やダンジョンを攻略することでそのダンジョンそのものをプレイヤーに与えたり、隠しイベントは当たり前、初見殺しは日常茶飯事だ。何度それで自分や仲間がやられ運営への愚痴で盛り上がっただろうか。

 

 「うぐぐ、あんなところで敵の増援なんて・・・」

 

 「はぁ、運営の頭おかしさは知ってるけど、あれはいくら何でもひどいわ・・・」

 

 「課金アイテム使うしかないか、どのタイミングがいいか・・・もう少し作戦を練ろう」

 

 今にして思えば、作戦会議のはずが、失敗談からの慰め、運営への愚痴の言い合いになったのも、いい思い出だった。

 

 そんな中人間族プレイヤーによる異形種プレイヤーへの執拗ともとれるPKが流行りだした。元々は基本性能が人間種より高い異形種が、序盤で人間種相手に有利なPKを行っていたのが、時間が経つにつれて癖のある異形種よりも、育成のしやすい人間種にプレイヤー人口が偏り、立場が逆転したのが始まりだったと思う。

 

 ここで、異形種は特定の街には入れないという制約があったのだが、運営はもしかしたら、こうなることを見越して、分かりやすくプレイヤーたちを分けたのかもしれない。

 

 そうして割りを食ったのが、始めたばかりの異形種プレイヤーたちであった。ある程度成長した異形種プレイヤーはともかく、それに巻き込まれるとして、誰もパーティーを組んでくれず、1人で地道にレベル上げしていてもすぐに悪質PKの餌食になり、全然進展できない彼ら彼女らはユグドラシルを脱落していく。

 

 強い者が弱い者を見下し、排除する。それはリアルでもある富裕層と貧困層の関係を思い出させ、それを知った私が行動に移すのに、そう時間はかからなかった。

 

 私は人間族も異形種も関係なく組んで楽しんでおり、PKする時も相手との合意の上で行ってはいたが、これには辟易するどころか怒りの感情が高く、仲間が巻き込まれそうになったら当然助け、目の前で合意なきPKが行い、異形種を囲んで楽しむ奴等を正面から武力介入(OHANASI)した。時にはそんな悪質なPK行為を謳うギルドを、いつか助けた異形種たちと一緒に壊滅させ、PKKとして目立った私も、襲われた事もある。

 

 「余りにも悪質ね。私の目の前ではそんなこと許さないわよ!」

 

 「ちっ、偽善者が邪魔すんじゃね!?」

 

 「言っても聞かないような奴には痛い目にあってもらうわ!」

 

 「ああ、本当に来てくれた・・・。まるで女神様だ」

 

 「くっそ!、攻撃が当たりやがらねぇ!白騎士といいこいつといいチートやろうがぁ!」

 

 そうした行動が良かったのか、私はユグドラシルでも珍しいヴァルキリーと呼ばれる上位職を授かることができた。

 

 私の構成は攻撃と防御さらに回復魔法に振り前衛を務めていたがヴァルキリーはそんな構成とかなり相性が良く、普通では届かないはずの領域までいき、いつの間にかトッププレイヤーに名を連ね、何度か行われた公式大会で優勝しワールドチャンピオンに輝いたりもした。

 

 しかし、そんなユグドラシルも11年のうちに廃れる事になった。

 

 長い年月で見劣りしていた他のメーカーが遂に追い付き、今では遠い銀河での戦争や巨大なモンスターをハントする世界が流行り、古株たちもリアルの事情により多くが引退、たくさんの人に愛されながらも、人がいなくなったユグドラシルはあと1年を以て閉じられることが公式にて発表された。

 

 そう発表された後も私はユグドラシルをプレイし続けた。どうせなら最初から最後までやりたかったし愛着もある。今まで手を出さなかったコンテンツを楽しんだり、モンスターの出現率が下がったユグドラシルを、のんびり旅するのもなかなかよかった。

 

 戦闘には関係ない様々なスキルを集めたり、サブクエストを消化したり、何より放置されたギルド拠点やまだ稼働しているギルド拠点を挑むとそこを作ったプレイヤーたちの努力と知恵を絞った内装はどこも個性が出ており、仕掛けられたトラップは工夫が多くて楽しめた。

 

 私自身、リアルの生活もあったので昔よりはログインする時間も減ったが、最近リアルで目の前で殺されそうになった人を助けたり、ある革命家に協力し、ある企業を潰したりと忙しかったが、それも落ち着いたので、名残惜しいという想いでログインしていた。

 

 街では、多くのファンであるプレイヤーたちが、まず手に入らないアイテムを破格のお値段で売りに出していたりして、お祭り騒ぎで、おかげである目的のために必要なアイテムは楽に集めることができたのは嬉しい誤算だ。

 

 そして遂にユグドラシルの最終日が来た。当然ログインしていた私は頭部には羽飾り付の額当てと、その両端には翼がついた兜を白と青の軽鎧の下に白いローブ、片手剣と盾の愛用の装備を身に付け、あるギルド拠点の前にいた。

 

 そこは異形種ギルドとしてこのユグドラシルでは悪名のしれたアインズウールゴウンというギルドは非公式ラスボスとして公式から認められ、一番有名なのはプレイヤー1500VSアインズウールゴウンの壮絶な戦いだ。

 

 当時、私は仕事が忙しくログインできなかったので、戦いを生で見れなかったが、最後は一人の魔法使いが1000人以上を打ち倒し、残りの残党もギルドメンバーによって殲滅されたらしい。

 

 「最初に倒された赤子みたいなNPCあれが決めてね。いったいどんなスキルを・・・」

 

 「あ、レイもその動画を見てるんだ? ねぇ聞いてあのNPCが使ったスキルについてなんだけどね・・・」

 

 あの出来事は運営からの説明もなかったので友人と考察していたのを思い出しながら、そのアインズウールゴウンの拠点ナザリック地下大墳墓の前に私はいた。地下10階のそこには今までのギルド内でもトップクラスのそんな所に!と意識外をうまく突いたトラップが仕掛けられ、出現するモンスターも強力だった。

 

 だいぶダンジョンとしての機能を眠らしているのかカンスト勢では油断しなければ問題にならない程度だが、運が悪く動画で見た階級守護者の一人に見つかり戦闘。今まで多くのNPCの中でも一番強く美しいと思える吸血鬼を一時戦闘不能に追いやり、止めは刺さずに墳墓を進んだ。彼女の強さもその美貌も最後だとしても散らすのは製作者に悪いと思ったのだ。

 

 「強いわね。時間があればもう少し楽しみたかったわ」

 

 そこからは、散発的な遭遇戦のみで階層を進んで行く。一度巧妙に隠されていた転移魔法により、薄暗い場所に転移させられ辺りを埋め尽くすGの大群には一瞬驚かせられたが、変にリアルな見た目とモーションを除いてそんなに強くなかったので、蹴散らしながら進むと割りと呆気なく出口は見つかった。

 

 このナザリックは1つ1つの内装もこだわりが窺えた。元はダンジョンとは思えないものであり、特に興味あるのはブループラネットという旅の中で、出会った異形種が作った今はもう見れない天体観測ができる6階層だった。

 

 ナザリックの6階層を彼が手掛けたプラネタリウムと大自然をMODを導入して完成させたそれを自慢する彼に部外者に教えていいのかと思ったものだ。いつか案内したいといってくれた彼だが、リアルの事情によりそれは叶うことはなかった。

 

 話だけは聞いていたのでそれがある6階層に辿り着いたとき私は感動した。地下だと思えない空間の天井に広がる、リアルでは雲に覆われたその先にあるはずの星空がそこにはあった。

 

 「ええ、私が作った最高の世界ですよ。きっとあなたも気に入ってくれる」

 

 「そう、じゃあ、いつか案内お願いするわね」

 

 「任せてください」

 

 彼が自慢したいのも今では納得できる。

 

 しばらく、そこで星空を目に焼き付けていればそろそろユグドラシルの最後が迫っていると運営からの知らせが届く。

 

 私はユグドラシルが終了すれば、この素晴らしい夜空も失くなるのかと思い、惜しみつつも再び、ナザリック地下大墳墓の最深部を目指して駆け抜けた。

 

 




投稿中も書き直したりしてるので矛盾したり、つじつまが合わないことが多くなります。
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