オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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9.戦乙女と漆黒の剣

 

 

 冒険者ギルドから依頼を受けて街道沿いのモンスターを討伐していたシルバープレートのチーム漆黒の剣は敵の思わぬ増援に苦戦していた。最初は数体のゴブリンと遭遇それを撃破したのだがすぐにオーク中心とした大群に襲撃された。そう最初のゴブリンたちは斥候だったのだ。何故あまり知能がない彼らがそんな事をしたにかわからないが漆黒の剣は窮地に陥っていた。

 

 「くそっ、こいつら!」

 

 「駄目だ!囲まれて撤退できない!」

 

 リーダーである短髪のペテルが剣振り回しゴブリンを牽制するが彼らは数体を残し漆黒の剣を囲むように展開しており、レンジャーのルクレットが叫んで返す。

 

 「不味いのである。こいつら後ろのオークと合流してから襲うつもりのようである!」

 

 「そ、そんな・・・この距離じゃ魔法を使えない」

 

 ゴブリンに囲まれ距離を保たれこちらを伺うその様子にドルイドのダインが戦槌を構え魔法詠唱者のニニャを守りつつ近付いてくるゴブリンを相手にしている。

 

 「諦めるな!どうにかして突破して生きて帰るぞ!!」

 

 「だが、ペテルこのままじゃ・・・」

 

 どんどん近付いてくるオーク姿に諦めそうになる仲間にペテルの叱咤が飛び、ルクレットが弱気な返答を返したその時

 

 「助太刀するわ!オークは任せなさい!」

 

 声が聞こえそっちをみればこちらに凄い速さで駆けてくる銀髪の女性がオークの群れに向かっていく。無茶だとあまりの速さに止める間もなく彼女に気付いたオークが横凪ぎに棍棒を振るい。その棍棒ごと叩き切られるのを見てしまった。

 

 「は?」

 

 「うえっ!?」

 

 「なんと・・・」

 

 「え、ええ?」

 

 どちゃっとオークの上下が泣き別れ地面に落ちても4人の思考は止まっていた。あまりにも致命な行動だが幸いゴブリンたちも何が起きたのか理解できず固まっていたので問題はなかった。そうこうしているうちにオークが同時に2体絶命する。

 

 そして彼女の仲間だろう鎧に身を包んだこれまた金髪女性が自分の身の丈ほどある大剣を振るってゴブリンを屠り、ルクレットに似た格好の少年が漆黒の剣を囲むゴブリンを数体弓で仕留めてからこちらに合流して来た。

 

 「大丈夫ですか!?」

 

 「あ、ああ君たちは?」

 

 「それは後だ!今はこいつらを倒すぞ!」

 

 「そ、そうだな。やるぞ皆!」

 

 エンリとシオンの言葉に正気をいち早く取り戻したペテルは仲間に呼び掛け行動を再開したのだった。

 

 

 

 

 初の実戦、それも不意での戦いにレイナはエンリやシオンを心配したがどうやら杞憂に終わったようで安堵していた。きっとカルネ村が襲われたとき、同じ人から殺気を向けられたことによりある程度度胸がついていたのが良かったのだと思う。

 

 オークを爆発四散させたあと(これにはレイナも実は自分にドン引きしていた。)逃げるオークとゴブリンを追撃せずにレイナは助けた一団へと合流していた。その時、長髪の軽薄そうな青年が顔をひきつらせながら、あんた人間?と聞かれたときは思わず口の端がピクリと反応してしまった。

 

 

 

 

 

 一度エ・ランテルに戻るという漆黒の剣を名乗る彼らと合流したレイナたちは道中で休憩を挟んでいた。

 

 「さっきは危ないところを助けていただいてありがとうございました」

 

 「なに、無事でよかったわ」

 

 そうして落ち着いたところでリーダーらしき男から頭を下げられる。

 

 「私は戦士でこのチーム漆黒の剣のリーダーしている。ペテル・モークといいます。そして、こいつらが・・・」

 

 「ドルイドのダイン・ウッドワンダーである」

 

 「レンジャーのルクルット・ボルブだ」

 

 「マジックキャスターのニニャといいます」

 

 彼を筆頭に自己紹介始まる。

 

 「そうか、私は神官戦士でレイナ・ヴァルキュリアよ」

 

 「え~と見習い戦士のエンリ・エモットといいます」

 

 「狩人・・・今はレンジャーかシオン・レイヴァンだ」

 

 とこっちも自己紹介を返すと、何故か彼らはこちらをぎょっとした表情で見てきた。

 

 「レ、レイナさんは神官戦士何ですか?」

 

 「うそ、あの蒼の薔薇のリーダーと同じ・・・」

 

 「あの強さも頷けるのである・・・」

 

 「まじか、でもオークを一刀両断なんて英雄ぐらいしか・・・じゃ、じゃあ回復魔法も?」

 

 「ええ、ヒールからレイズデッドなら使えるわよ(もっと上の位階も使えるけどモモンガとの調整もあるし、もし必要になれば切り札って言えばいいわよね)」

 

 レイナからしてみればだいぶ遠慮した(ガゼフからの情報提供で蒼の薔薇というアダマンタイトの冒険者が戦士と僧侶の複合職業を持っている事を知った)設定のはずなのだが、どうやら彼らはそうは思わなかったらしい。オークを一刀両断でき、さらに第5、6位階の信仰魔法を使えるときたらもうそれは英雄としか思えない。

 

 「まぁ、実際見せた方がいいかしら、貴女たち怪我しているみたいだし、全体中傷治癒(マス・ミドルキュアウーンズ)

 

 「こ、これは!?」

 

 レイナが回復魔法を漆黒の剣に使うと、彼らを緑色の光が包みその傷が瞬く間に消えていき、疲れさえなくなっていくその感覚に誰とは言わず驚愕の声をあげた。

 

 「す、すごい。回復魔法ってこんなに効果があるものなのか・・・」

 

 「マジかよ。さっきから驚きっぱなしだぜ・・・」

 

 「まさに、英雄、いや女神である・・・」

 

 「こんなに効果があるなんて、わ、ボクの知ってる回復魔法じゃない・・・」

 

 そんな彼らの反応にレイナは胸中でやってしまったと頭を抱えた。レイナからしてみれば、回復魔力はカンスト勢としてかなり高い数字を持っており、ただ使っただけでも、その回復力はこの世界では飛び抜けており、低レベルであれば大治癒(ヒール)と同じような効果になるだろう。某RPGのベホ○ム必須がホイ○で余裕でしたと感じだ。

 

 弟子となった2人の顔も振り替えってみれば、エンリもシオンも目を輝かせてレイナを見ていた。レイナは改めてもっと慎重に行動しないと駄目だとため息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 結局、漆黒の剣の方々には自分は回復系魔法が高めるタレント持ちだと説明し、このことは内密にしてもらうことで事なきを得た。漏れる心配もあったが街までいく間に彼らと話してみれば、彼らの雰囲気から信頼できそうである。

 

 それも、道中で腹が減った彼らに朝炊いたご飯で作ったお握りをお裾分けした効果か。

 

 「なんだこれ!?こんな美味しいもの食べたことがない!」

 

 「この黒いもの以外なにもないと思ったが、中に具が入っているのであるな!」

 

 「この白いのにも、なんだろう?苦いようなでも甘いようななにかが・・・」

 

 「うおおおお!?、なんだこれすっぱっ!?。あ、でもすぐに口がさっぱりして、もっと食べたくなるな」

 

 以上が初めてお握りをを食べた現地人の反応である。絶賛である。大絶賛である。最初は恐る恐るだったのに、すぐに貪るように食べ(一人はゆっくりしかし、自分の分はしっかり確保して)多めに用意したお握りはすぐになくなってしまい。エンリが涙目になっていた。この子は大食漢。本人は否定するけど間違いない。

 

 その後、秘密にして欲しいといえば快諾。偉大なのは美味しい飯による餌付けか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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