~要塞都市エ・ランテル~
漆黒の剣の案内もあり、迷うことなくたどり着いたエ・ランテルはその要塞都市と言われる堅牢さを現し、商人らが並ぶ列に並びながらでレイナを驚かしていた。
「ほう、ここが噂に聞くエ・ランテルか。人が多いわね。いつもこうなのかしら?」
「ええ、ここは王国や帝国、さらには法国からも商人や冒険者が集まりますからね。そうやって何百年前から人が集まってできた街ですから」
「うわぁ~私が小さいときに来たときより、賑やかになってますね」
「俺は始めてだな。でもこうカルネ村とかの方が落ち着くな」
ペテルが代表してエ・ランテルを説明してくれ。久しぶりに来たエンリや初めてのシオンがそう感想を漏らす。
「最初来たときは俺もそんな感じだったな。まぁ、住めば都ってやつでいろいろあるから楽しいぜ。とくに装備とかな」
「他にも三国の珍しいアイテムも時々出店に出てたりするから中には掘り出し物もあるのである」
「といっても、本当にたまたまですから当たりはほとんどないですね」
「そうなんですか?ニニャ君?」
「ええ、ですからあまり騙されないように気を付けてくださいエンリさん」
「ということはルクルットの今の装備もか?」
「ああ、帝国からの商人でいい値段で売っていてな。即買いだったな」
色々、教えるだけでなく忠告もしてくれる彼らにレイナはやっぱりいいチームなのだなと思う。特に旅を始めたばかりのエンリは同い年ぐらいニニャと気が合うのか、村に残した妹の事を話すと、彼がくいつき、そのことでよく話している。
シオンの方は村をでて、父やラッチモン以外のレンジャーと話すのは初めてなので、レンジャーのチームで役割などを教えてもらったりなど、楽しそうである。
そして、レイナ自身は戦士であるペテルや森司祭であるダインとよく話す。ペテルには戦士としての動き方を、ダインには回復魔法のコツのようなものを教えている。
「相手の動きを読むには目を見るのもいいけど、相手の呼吸を見るのもいいわ。攻めようとしてくるときはその前に相手が息を止めるから、それでタイミングを図るのがいい。当然自分も見られてると覚えておいた方がいいわね」
「なるほど、そうすれば後手になっても、焦らずに戦えると言うことですか」
「ええ、戦士に必要なのは耐えること、後ろに敵を逃がすようじゃ、後衛が安心して攻撃できないわ」
ペテルがレイナのアドバイスに感銘を受け
「回復魔法は込めた魔力の分効果を発揮するわ。だから、長期戦になるようならば、使う魔力も傷の深さによって変化させ、切り傷くらいなら20、深刻な傷なら100と何度かやってどれくらいか覚えることで、合流したときにすぐ回復。もしものときの魔力を残しておけるはずよ」
「うむむ、なるほど確かにどれぐらいの魔力を使ってるかとは考えたことないのである。いや、ホントにレイナ女史の言葉は目から鱗である」
レイナがユグドラシル時代に気を付けていたことをそれとなく説明し、ダインは顎をさすり、うんうん頷く。
そうこうしている内に列が進み、レイナたちの番が来た。
「えっと、次は・・・っ!?」
「?」
門番がレイナの顔を見た瞬間、動きが止まった。不思議に思い後続の漆黒の剣を伺ってみれば、やっぱりと言いたげな空気である。
よく見れば他の商人やすでに門を潜り抜けた者までレイナを注目し、なにやら小声で話し合う姿が見える。
「どうしたの?なにか問題が?」
「い、いや、何でもない。では通行料を・・・」
怪訝に思い門番に話しかければ、検査もなく通行料を払うだけで普通に通れた。連れであるエンリやシオンもである。
当然元よりここから出発していた漆黒の剣の面々もほぼ顔パス・・・いやペテルが門番の一人にヘッドロックされ連れていかれた。
それも一言二言話して解放されると、ペテルは深いため息を吐きながら、合流してきた。
「なにかあった?」
「いえ、レイナさんはなにも悪くないですよ。行きましょう」
聞いてみてもペテルは首を横に振るだけで、答えようとしない。
なにか釈然としないままレイナたちは門をくぐり、エ・ランテルへと訪れた。
「では私たちはここで、もしよければ今日の夕食は奢らせてください。危ない所を助けていただいたお礼です」
「あら、悪いわね・・・でもいいの?」
「ええ、レイナさんから頂いたオニギリのお礼もあるので是非!」
「ああ、思い出したらまた食べたくなった。レイナさん金払うからまた作ってくれない?」
「こら、ルクルットあまり、迷惑をかけるなである」
「そうですよ。命助けていただいただけでもありがたいのに、これ以上迷惑は(・・・わたしも食べたいけど)」
「あら、それぐらいならまた明日皆さんの分も作りますよ。明日どこかで待ち合わせしましょうか?」
「いいの!?やりぃ~いってみるもんだなぁ~」
「す、すいません。レイナさん。命の恩人にこんな差し出がましい事を・・・ではまたこの広場で会いましょう!」
「おい、ペテル!わかったから離せってく、くびが締まるって・・・ぐえっ」
エ・ランテルのある程度見放しがいい広場で漆黒の剣と賑やかなに別れたレイナたちはこれからどうするか話し合う。
「とりあえず、色々見て回りたいわね。特にこの国の装備やアイテム、食料もかな。グリーンシークレットハウス内にある分じゃ今はよくてもいつかなくなりそうだしね」
「じゃあ、商店街からか?それからエンリの知り合いの薬師がいる店にいくことに?」
「ンフィーのお店にいくんですか?」
「ん~、それは最後にしようかな。一応確かエ・ランテル1のポーション売りなんだよね。他のところのポーションの違いも知りたいから、まずは換金でもしましょうか?」
まずは手持ちの確保とエンリに案内され、換金屋を訪ねる事にした。
何故かレイナは換金屋の前でエンリやシオンに言われ、待つことになった。変な騒ぎになるからと言われ、渋々待つことしばらく。換金屋から大きな皮袋を持ったエンリとシオンが戻ってきた。
「あら、すごい量ね。そんなにもなったの」
「え、ええ、やっぱりかなり純度が高いとゆうことで、王国金貨で・・・あと銀貨も・・・」
「これだけあれば、全然困らんだろうな。でも、あの換金屋俺がいなければちょろまかす気満々だったな。あとどこでこれをとしつこかった」
「そうか、もうここには来ない方がいいかも知れないわね。・・・追っ手よ」
「え!?」
「あ~、これその気配なのか~。人間にあとをつけられたのなんて初めてだからな」
エンリが慌てて周囲を伺おうとしたのを止め、しーと気づいたことを知らせないよう落ち着かせ、誰かにみられないよう
目的の店に入る前に追っ手を撒いたレイナたちは当初の目的通り、装備品の店を回り、最初の店では姿を隠せるフード付きのマントを3人分購入し、エンリの目立つ赤い鎧やレイナの自覚ない美貌を隠しておく。あとはいくつかサンプルとして購入。ポーションの方も2軒3軒寄って買っておく。
時々、レイナたちを探す追っ手はレイナが気配を読み、近付けば隠れるでやり過ごし、とうとう、最後のエンリの知り合いが営むポーション屋を訪ねる番になった。
「ところでさっき買った装備はどうするんだ?俺たちにって訳じゃないですよね?」
「そうですよね。店主の人たちには悪いですけどレイナさんがわざわざ買う必要あったんですか?」
「ああ、あれはこれからの生活に必要なサンプル。どんな商品が、そしてどんなものが需要があるかを調べてたのよ」
「え、それって・・・」
エンリがゴクリと喉をならす。それにシオンも気づいたのか、まさかとレイナの顔を伺う。
「そう、私たちは旅の商人になるのよ」
レイナは自信ありげに笑った。