オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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16.戦乙女と喧騒

 

 

 ~バレアレ薬品店~

 

 お言葉に甘えて、バレアレ家に昨晩は寝泊まりさせてもらった。そればかりでは悪いので寝る前に許可をいただいていたので、朝食を作らせて貰うことになった。料理を教えてくれと言っていた2人も朝早いというのに、起きて手伝ってくれたため用意はすぐに終わった。

 

 代用できない調味料以外はエ・ランテル内で買った食材を使わせてもらう。無限の皮袋のお陰で鮮度は問題ないので、きっと食中毒にはならないだろう。一応鑑定魔法をかけてみるが問題は無さそうだ。

 

 ・・・・・。

 

 上手に出来ました。

 

 教えているのでいつもよりは遅いが、ちょうどンフィーレアたちが起き出したので、机に並べておく。

 

 机に並べられた料理に2人とも驚いてくれた。ご飯も炊いているが、パンの方がいいだろうと、エンリにお願いして用意してもらう。

 

 野菜たっぷりの豚汁とだし巻き卵に付け合わせのサラダ。

 

 皆、美味しい美味しいと言って食べてくれ、料理は残ることなく完食された。

 

 その時のエンリの食い付きを見たンフィーレアが、どうか僕に教えてください!と頭を下げてきた。

 

 胃袋を掴めとはいうが、エンリももれなくついてくるだろうけど。互いに切磋琢磨して仲が深まるかもしれない。ここにいる内はいいよ。と快諾したとき小さくガッツポーズする彼はとても微笑ましかった。

 

 あとは昨日漆黒の剣に約束したのも含め自分達の分のお握りを()()()作る事にした。口直しの沢庵ものせる。これだけあれば今回同行する冒険者たちの分も充分足りるはずだ。(フラグ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな確信は朝食の件で信頼を得たのか、バレアレ家が見たことないのに食べてみたいという言葉で2人分提供することになり、雲行きが怪しくなったのだった・・・。(高速フラグ回収)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 合流には少し早いが、レイナたちは身支度を済ますと、漆黒の剣と飲食した宿へと足を運んだ。中に入れば視線を向けられ、昨日聞いた白銀の女神の噂がここまで届いたのかフードマントの3人組というのも広がったのだろう、何人かがフードを越しにそれを見ようとするのを煩わしく思いながら、目標の誰かを探す。

 

 いた。

 

 一人だけだが、昨日あったチームの集まりにいた紅一点の、たしかブリタだろうか?宿の隅の方で、一人だけ座り、机の真ん中に青いポーションを眺めながら、いい笑顔でいた。

 

 ポーションはそれがあれば命が危ないときでも、助かると評判で、経年劣化することを除けば、1個は持っておきたいといわれる。それを聞いたときは、ばかな。と思ったが、現状の彼女をみれば納得できそうではあるが、ちょっと危ない人にみえてしまった。

 

 これも、リアルでは確かにここにあるポーションの効果はまさに奇跡だろうが、ユグドラシルプレイヤーからしてみれば、たかがポーションしかも最低回復量である物で時間制限ありの回復薬なんてと思ってしまうが故か。

 

 近より難かったが、声をかけようとしたその時、宿の扉が大きな音を発てて開き、そこから、漆黒の全身鎧をきた190はある大柄な戦士。背中には本来両手で持つグレートソードが双振り背負われ、漆黒の鎧以外で首に巻かれた赤いマフラーが嫌に目を引く。

 

 そして、次に目を向けたのは、彼の後ろからついてくるクールそうな女性。サラサラの黒髪を後ろでくくりポニーテールにした格好は冒険者らしい動きやすそうな服にマントから魔術師に見える。さらに、もう一人はその女性と同じ黒髪を夜会巻きで纏め、メガネを着け、スッと背筋を伸ばしているため背が高く感じ魔術師らしい女と同じ黒髪黒目からしっかり者の姉だと思われる。

 

 動かしやすいのは変わらない服装に駆動域を重視した胸と腰を隠す軽鎧で覆う豊満な体を晒しているが武道家か拳には立派なグローブを装着してる。

 

 いきなり2人も美人が現れたため漆黒の男より、周りは彼女たちへ注目した。魔術師の鋭いというより冷たい眼差しはその美しさに目がいっていてわからないようだが・・・、レイナはそれとは別に彼女たちに見覚えがあった。

 

 こことは別の・・・ユグドラシル最後に挑んだ玉座の間に行く途中、彼との間に割り込んできた者たちの2人。

 

 と考え思い出した。

 

 やっぱりか。

 

 彼はナザリック(家)から飛び出してきたみたいだ。

 

 今のレイナの心境を言えば、社長が会社などの重圧から解放されるためのお忍びで、旅行にでた者を微笑ましく思う気持ちだろうか

 

 彼は、何故か緊張しているのか、宿の正面だけ見て、すぐ横にいるレイナに気づかずに、主人である親父に、宿泊の交渉を行っている。

 

「す、すごいなぁ。同じ武器なのに2本も背負った上、全身鎧・・・重くないのかなぁ?」

 

「ああ、かなりの膂力がいるはずだが、あの巨体だ。もしかしたら、もう一本は予備じゃなくて本当に二刀流かもしれないが・・・できるのか?」

 

 横で行われる2人の感心に、可能だろうなと口に出さずに思う。

 

 問題は魔術師のスキル持ちである彼が戦士職の武器を持てるのかだが、そういえば時々、ユグドラシルで魔術師に飽きたプレイヤーが前衛をやってたことがあるな。

 

 実戦ではそんなに使えないはずだが、この世界では充分通用するレベルのはずで、それを解決できる方法もあった。

 

 話が進んだのか。親父が勧めた4人部屋を3人で貸しきりにしたいという話で親父が怒鳴るなどひと悶着あったが、度胸あるのか怯える様子もなく、意見を変えずに3人でと不機嫌そうな親父から鍵を受けとっていた。

 

 そうして進もうとして彼らはカウンターと席の間に柄の悪そうな冒険者に上げた片足で通せんぼうされてしまう。

 

 つい親父を見るが、何のリアクションもとらない。不思議に思うも誰も注意しないことに少し苛つく。・・・なるほど、周りの皆はただみてるだけじゃない観察しているようだ。彼がどのような対応をとるかで実力と人格を同時にみる。ならばこれは新人冒険者への挨拶と言うわけか・・・

 

 ここでもし弱気な態度を取れば、今後の冒険者界隈で臆病者のレッテルを貼られ、強気な態度であれば、戦士として申し分ないと声をかけられるかもしれない。彼もそう思ったのか、通せんぼうする男のを無視して、前に出された足を蹴りあげる。

 

 だいぶ、手加減したわね。いくら魔術師だからってレベルカンストでは、足がおさらばしていた可能性がある。

 

 案の定そんなこと露にも思わない男は彼に突っかかり、詫びを寄越せといっている。彼の後ろにいる女をみれば、詫びに彼女を夜の奉仕をといいかけて、胸ぐらを捕まれ、すぐに宙を浮いていた。

 

 力任せに放り投げたのだろう。その光景をこの体の動体視力でスローに感じながら、吹っ飛ぶ男の先を見て固まる。

 

 なぜ、今まで無関心でいられたのだろうかと思うほど、ブリタは今日最初に見たときから変わらず、ニコニコした顔でポーションを見ていた。

 

 ・・・そこは喧騒に気付いて、そんなに大事なポーションを懐にしまいなさいよ。とツッコむなか、無情にもブリタのポーションは男とテーブルの間に挟まれ、砕け散るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吹っ飛ばした男の事など知らぬと、宿の部屋へと向かおうとすると

 

「おっきゃあああああああああああ!?」

 

 という声に足を止めてしまったのが、この現状だ。

 

 青い顔をした赤い鳥の巣頭の女が涙ながらにポーションを弁償しろという。たかがポーションとおもうが、この世界にきて、レイナさんと話した中でポーションがここでは大変貴重であることを知っていたので、声に出さずにすんだ。

 

 自分に絡んだ男に弁償してもらえといっても、こんな昼からお酒を飲む輩に払えるわけないといい、男の仲間も目をそらす始末。しかも、その身に纏う鎧から俺がお金持ちだと思ったのかなかなか引き下がらない。

 

 別にどうでもいいのだが、気になるのはどんどん背後で殺意を募らせるナーベラルと今は妹を押さえてくれているユリも不穏な空気を出し始めていること、このままだとポーション代をケチるなどと言った風評が広まることで冒険への駆け出しが、うまくいかないなどとなる可能性がある。

 

 ポーションの相場を見ずにここにきたのも間違いだったか・・・別に急いではいなかったのだ。少しくらい店を廻るなどして時間を潰してたりすれば、絡んできた男ともこの女とも関わらずにすんだかもしれないのに・・・金銭を渡そうにも、値段が分からず、交渉が拗れるかもしれない。しょうがないここは現物でどうにか・・・

 

「ちょっと待ってくれる?」

 

 懐にからポーションを取り出そうとした所で横合いから声をかけられる。また絡まれるのかと。とっととポーションわたせばよかったとげんなりしながらみれば、ただ雨風しのげそうなフードマントを目深に被った女性が自分ではなく、絡んできた女の方へと向かって、説教を始めた。

 

「ブリタさんっ!いくらなんでも押し付けにも程がありますよ」

 

「あ、あんたは・・・」

 

 どうやら2人は知り合いらしく。ブリタいう女は彼女の言葉に少し落ち着きを取り戻す。

 

「だいたい騒ぎが起きているのに、どうしてそこまで大事なポーションを机の上においたままにしたんですか!?挙げ句の果てに実際の原因を作った加害者に請求しないで、被害者に請求って可笑しくないの!?」

 

「あ、うう、ついあなたの報酬がよくて、良いところのポーションで・・・舞い上がちゃって・・・こ、壊れたら頭真っ白になってしまって・・・」

 

「いいですか?今回はどう見ても、あなたの自業自得で九死に一生を得れるポーションを管理せずに、冒険者という荒くれものがいるなかで、無防備に晒した罰です。今ここで壊れなくても最悪、奪われる可能性もありました。これも学習だと思って諦めましょう」

 

「う、うう。ご、ごめんなさい。あなたは悪くないのに弁償しろだなんて言って・・・」

 

 大きな声で相手の反省を促し、最後は説くようにして、優しく諭す。そのお手本とも取れるそれに俺は衝撃を受けた。リアルではまだ母が生きていたころ、何をしたか覚えていないが、自分も母にそうやって諭された記憶がある。

 

 そして、顔は見れないが、聞き覚えのある声に興味が心から溢れる。人間に興味を持つなど、この世界にきてそんなにないというのに、俺はこんなに初めて目の前の女性と話したいと思った。

 

 

 

 

 

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