オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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誤字報告で修正していただいたものが

元に戻ってたりして混乱していました。

他のと重なった報告が前後で

消えたりしているのでしょうか?

これからは即修正ではなくメモしてからやってみます。


30.戦乙女とプレアデス

 

 

 ~ナザリック~

 

 プレアデスたちが集まるお茶会の席でソリュシャン・イプシロンは悩んでいた。それを知る他の姉妹たちの反応は様々で下の姉妹はその種族から感情が分かりにくいが興味深げだったり双子のように仲の良い姉妹は心配そうに一人ちょっかいを出そうとした次女が長女に拳骨で抑えられ軽く悲鳴をあげていた。

 

 普段通りの姉たちの姿にソリュシャンは安堵する。からかってくる姉の対応もいつもは流すなり、逆にし返したりできるが今はそんな気分にはなれない。

 

 自分の感情や表情は職業柄コントロールしやすいはずなのに胸中はモヤモヤが溜まり表情は姉妹から言わせれば分かりやすく落ち込んでいるように見えるのだとか。

 

 今回の集まりもそんなソリュシャンを気遣って悩みがあれば吐こうと急遽開催されたものだ。

 

 そうなった原因はあの忌々し()()()レイナ・ヴァルキュリアのせいなのは間違いない。

 

 ただ自身の親とも言える御方を殺されて恨み復讐の機会を(うかが)っていれたなら楽だったのだが、先日なんとその御方であるヘロヘロが他の御方も交えて戻ってきたのだ。

 

 不敬にも最初は偽物かと思ったが感じる気配は間違いなく至高の御方であり、話してみれば間違いなく御本人なのは確信できた。

 

 そして色々思い出話で盛り上がったあとソリュシャンは聞いたのだ。

 

 あなたを殺したレイナは許せませんか?と

 

 この時ソリュシャンは期待していた。ヘロヘロがレイナに倒されたことを恨み許せないと言ったのならあの女をどんな手段をとってもいずれは力を奪い死ぬこともできないように永遠に苦しめようと。

 

 だがそれを聞いたヘロヘロは一瞬キョトンとしたあと穏やかに話し始めたのだ。

 

「心配してくれたんですね。ありがとうソリュシャン」

 

「何故御礼を?わ、わたくしはヘロヘロ様の仇をとろうとしましたがあの女の強さを目の当たりにして動くこともできなかった親不孝ものです・・・。なのに・・・なぜ?」

 

 そうか、そういう事になってましたかとヘロヘロは天井を見つめてから彼女の目をまっすぐに見た。

 

「私、いや私たちは皆別の世界に帰っていたのは知っていますね?そこはホントに過酷で身を粉にして働かなければ生きていけない世界でして、家族や友人さえ自分たちで手一杯でお互い助け合う余裕もありませんでした。そんな中別の世界へ行けると言われ誘われるまま来たのがユグドラシルという世界でした」

 

 突然の過去話しにソリュシャンは意図が読めなかったが黙って話を聞き続けた。

 

「そこで出会ったのがアインズ・ウール・ゴウンの前身であるナインズ・オウン・ゴールの仲間たちでした。旅の中で出会えまさかここまで楽しめるものだったとは思いませんでしたよ。それからです。私たちがのめりこんだのは」

 

 そう言ってヘロヘロはその粘体の手を伸ばしソリュシャンの頬へあてがう。

 

「ソリュシャン。(きみ)だけじゃないプレアデスやメイドたちは勿論他のナザリックの仲間たちの大半は仲間たちと共に試行錯誤を行い作り・・・いや誕生したのさ。まさに神の所業だ。ホントに楽しかった。意見を言い合い時には超過労働(オーバーロウドウ)で疲れた体に鞭を打って倒れそうになるけど・・・。プリムさんとも徹夜してたあの日が私にとって一番のピークだったと言えます」

 

 しかし、そうではなかったとヘロヘロは頭を横に振る。

 

「ユグドラシル最後の日。私は久しぶりにナザリックへ帰還しました。その時です。彼女に出会ったのは後で知りましたが彼女は最後の最後までユグドラシルへ残ったモモンガさんと同じで世界に残ったまま最強の人間(プレイヤー)としてここへ来たのです」

 

「モモンガさんが来て2人で話し、慌てて戦闘の準備をして、あーだこーだ装備を用意して、ドタドタしながらも正装とはいかない物でしたが充分な性能はありましたし彼女も充分準備できるだけの時間をかけてきてくれたので私たちは無事彼女を迎え撃ちました」

 

 倒されているのに無事とはちょっと変ですねと笑うヘロヘロに憎悪など微塵もなかった。

 

 それはソリュシャンたちが想像したものとは全く違っていた。あの女は卑怯な手段でナザリックに侵入し油断していた至高の御方2人を奇襲したと思われていた。至高の御方が大慌てする姿やそうでなければたかが人間のしかも女に殺られた等デミウルゴスさえ想像だにしなかった。

 

 卑劣な人間。そう思おうとした。しかし、彼女の行動を知る度にソリュシャンだけでなくナザリックの面々は何かの間違いかと思うようになった。

 

 最初に変化のあったのは武闘派のシャルティアにセバス、コキュートスである。彼女の戦いは精錬された見事なもので踊るように村を襲う兵士を次々に倒していく。何よりその彼女に喚ばれたたっち・みー様は卑怯な女の声に答えるだろうか?

 

 シャルティア様は悔しそうに指を噛み。後に助言を求めてナザリック内を移動していたとメイドたちが話していた。

 

 コキュートス様は武人として刺激されたのか鍛練を今まで以上に行っていると聞く。

 

 セバス様は彼女を認め御方に意見を挟むほどの信頼をしている。

 

 そうなってくると知謀派のアルベド様とデミウルゴス様が黙っていない。女の正体を暴こうとするが彼女の潔白さに実力も相まってその話題が出ると苦い表情を浮かべるようになった。それでもあの2人なら何かしらその知謀をもって何かしらの手を考えそうだが。

 

 アルベド様に至ってはレイナをモモンガ様を奪い合うライバルとさえ思っているのではないだろうか。暴走することなく仕事をこなして点数を稼いでいる。

 

 最後はマイペースなアウラやマーレである。ヘロヘロさまが殺られたと聞いた時はアウラ様は最強のペットたちを召集し、マーレ様はその姉と同じオッドアイの奥で暗い炎を灯して殴打武器の杖を振り回していたがアインズ様に止められていた。

 

 だがエ・ランテルという街が襲われたときにあの女は可能性はあると思っていた至高の御方を複数召喚して見せたのだ。その中にはアウラ様たちの創造主ぶくぶく茶釜様の姿まであった。

 

 しかも後にあの女はぶくぶく茶釜様だけでなくやまいこ様やその妹様、餡ころもっちもち様と友好があったらしいことがわかり2人が無礼を承知で聞いてみれば事実であったのだ。

 

 モモンガに止められていても細々と続けていた復讐計画も水の泡となった次第だ。元々モモンガの意に反する事をしていると自覚があった分罪悪感で傷ついていたのでそれで良かったのかもしれない。

 

 そんなことをアサシンとして鍛えられた頭脳を加速させて考えながらヘロヘロの言葉を一言一句漏らさず噛み締めるソリュシャン。

 

「そして3人で戦っていてわかったことがあります。私は誰かと一緒に楽しくいられたならどんなものでも楽しいと思えたのだとあの日あの場所できっとモモンガさんと話すだけでも私は満足して元の世界へ戻っていたでしょう。しかし彼女が来てくれたおかげで本当に楽しいと思える事に気付かせてくれたレイナさんを私は恨めません」

 

 逆に感謝しないと行けませんね。ソリュシャンたちにこうしてまた出会え、心配してくれる人がいるとわかったのですから。

 

 ヘロヘロが浮かべる満面の笑顔にソリュシャンの今までの恨みは消えていきモヤモヤとしたものが残るだけになった。

 

それをティータイム中にゆっくり姉妹たちに話せば。

 

「やはりそうでしたか。レイナさんからは何かを企むという雰囲気がないものですから最初は疑っていましたがあの日もアインズ様方に案内されていたようでしたしね」

 

 ユリは嬉しそうに微笑み。

 

「・・・アインズ様も特に彼女と会うと不快な態度は全く出さなかった・・・それよりも嬉しそう?だった・・・」

 

「うぅ~ん。捕まえたあと美味しそうだから食べちゃおうかと思ったけどぉ~。やめといた方がいいねぇ~」

 

 下のシズとエントマは変わらない表情で話し。

 

「ソリュシャンの気が変わったなら私は貴方を信じるわ」

 

 ナーベラルはまっすぐに目を見て話す。

 

「よく考えたら他の御方たちもよく勝ち負けの話ししてたっすね。特にたっち・みー様はよく戦いを挑まれてたと仰っていたっす。ナザリック内でも御方同士で勝負してたっすよね?他にも武人建御雷(ぶじんたけみかづち)様と弐式炎雷(にしきえんらい)様は話が絶えないっすよ」

 

 いつもはからかい顔の多い2人目の姉ルプスレギナがいつになく真剣におやつを食べながら話す内容は御方にとって戦闘とは勝ち負けにこだわったとしても生死を問うものではないのかもしれない。楽しいか楽しくないか。そういうことなのだろう。

 

 話を聞いてもらいソリュシャンの胸中は少し晴れたがまだ少し違和感がある。

 

 それに気づいたのはやはりユリでそっとソリュシャンの肩に手をあてると優しく笑う。

 

「まだ気になるのなら直接レイナさんと話しなさい。彼女なら貴女と正面から話してくれるし、もしそれでもスッキリしないなら」

 

 そう言って握りこぶしをつくったそれを前に突きだし。

 

「一発ドンとぶつかってきなさい!」

 

「ユリ姉さん・・・」

 

 そう言ったユリの表情は清々しいほどの笑顔。その場にいい雰囲気が流れまとまるかと思えば・・・。

 

「さすがユリ姉。脳筋っす・・・」

 

「あっ・・・」

 

「し~ら~ないと・・・」

 

「はぁ・・・」

 

 ルプスレギナの余計な一言にユリが即反応して拳骨を落とすといういつもの光景が戻ってきた。

 

「ふふ、ありがとう皆」

 

「え!?今なんてっ、てユリ姉!もう一発はかんべんっすよぉぉ!?」

 

「待ちなさい!あなたという子は!」

 

 涙目で頭をおさえユリに追いかけられるルプスレギナを見ながらソリュシャンは他の姉妹と一緒に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

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