オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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話が溜まってきたので万が一データが消えないうちに連続投稿。

あと独自解釈も追加。

ミスがあったらごめんなさい。




35.戦乙女と蒼の薔薇

 

 

 

 変な貴族に絡まれた後レイナたちは予定通り、戦士団の鍛練に混ぜてもらっていた。走り込みや筋トレを行った後、戦士たちは模擬戦を代わる代わる交代することで剣筋の違う相手との戦いを行う。

 

 実戦に近い形で行うことで鍛えられた彼らは城にいる正規の兵士よりも高い練度を持っている。お陰で目の上のたんこぶ扱いなのだが・・・。そんな中傷も気にせず彼らは自分に目をかけてくれたガゼフ戦士長に恩を返そうと奮闘している。

 

 今はガゼフ相手にエンリが攻めている。それが決まったときブレインは思うことがあったらしく食って掛かるが、いきなり本命がぶつかっては稽古が続かないとして最後に回されていた。

 

 その姿に待機している戦士たちの視線は釘付けだ。彼女の重い一撃にガゼフはガードを固めている状態だ。時々隙をついてエンリに反撃するが上手いことクレイモアの腹で剣撃を反らすことで、攻撃を続けさせない。

 

 シオンはそんなエンリとガゼフの戦いをガゼフを見据えながら、次は自分なのでどう戦おうか考えているようだ。遠くから戦闘を伺うことの多いレンジャーは相手の戦いをよく観察するようにと相棒からの助言を守っている。

 

 ガゼフも本気ではないだろうが、エンリもレイナに授けられていた鎧以外を外している。それでこれだけ張り合えているのだから師匠として鼻が高いとレイナは新たに自分に稽古を頼んでくる戦士に向き合い思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは夢か?あのガゼフのおっさんが攻めあぐねるなんてあの嬢ちゃんなにもんだ?」

 

「信じられん。あの女の装備もそうだが、レイナという女が装備しているのもとんでもない性能だぞ!」

 

 戦士であるガガーランはガゼフとエンリの一進一退の攻防に感嘆の意を現し、己の戦士としての血が騒ぐのを感じる。

 

 人の装備品を見ればそれがどのくらいか理解できるイビルアイはある程度装備を外しているにも関わらず、エンリの赤い鎧とレイナがこの世界に来てから着用している服がこの世界では国宝級のとんでもない品物である事を見抜き、そんな彼女らの正体についてある確信が浮かんで声を洩らす。

 

「噂に違わぬ美しさ・・・」

 

「戦いを見守るあの少年もう少し若ければ、でもあの目はなかなか・・・」

 

 双子の忍者は予想以上の戦いを見せる3人を観察しながら自分の趣旨にあたる人物登場に静かに興奮気味だ。

 

「すごいわ!予想通り、いや予想以上に彼女は強い!あの人が教えてくれるなら私はもっと上に行ける!」

 

 レイナに挑む戦士たちが彼女のアドバイスを聞いてみるみる動きが良くなる光景にラキュースは両手を握りしめ戦いに魅いっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 エ・ランテルの冒険者ギルドでギルド長アインザックから零さんが冒険者にならず、王都に向かってしまったことへの愚痴を聞いた後、とある貴族確かビュンケイハイム領を治めるトーケル・カラン・デイル・ビョルケンヘイムの護衛の依頼を受けていた。

 

 どうもその貴族がナーベラルに一目惚れして告白からの玉砕を至近距離で見ていたモモンからして、見直してもらおうと躍起になっての考えてのものだと言うことがハッキリとわかる。

 

 従者であるものがその事を平謝りで伝えてきたので思うことはあれど邪魔する気はない。

 

「ナーベさんは第3位階の魔法を使われるのですね!その若さでその腕前とは将来はさぞ有名な魔術師になれそうですね」

 

「・・・別に大したことはありませんよ」

 

 ここ最近は人間軽視が減ってきたナーベだが、それでも対応は冷たいものだ。今も依頼人のトーケルが話しかけたのに素っ気ない返事しか返さない。

 

「本当に妹さんに申し訳ない。いつもは坊っちゃんもしっかりしているんですが、こんなことになってしまって・・・」

 

「あらあら、アンドレさんは苦労なさっているのですね。あまり気にしないでください。私にも手のかかる方の妹がいるのでその気持ちよくわかりますよ。お互い頑張りましょう」

 

「あ、いや、はい」

 

 その従者であるアンドレは妻と子供がいるようだが、ユーリに主人の暴走について謝っているが愛想のよい受け答えに赤面を隠せない。

 

 身内贔屓なこともあるがユーリを含むナザリックに住む女性たちは一部を除き美しいと思えるのだ。そんな美女に笑いかけられればどんな男も悪い気はしないだろう。私には妻が・・・子供が・・・という葛藤が見えるようだ。

 

正直、恋愛初心者としてこの甘い空間に壁ドンしたい気分のモモンだが、歴戦の戦士としてロールしている今そんな事をするわけにはいかないので内心で済ます。

 

「皆さん。おしゃべりはここまでにしましょう。油断してモンスターの気配に気づかず、遭遇しては危機に陥ったら笑い話にもなりませんよ」

 

「殿の言う通りでござるよ。今のところその気配はないでござるが、いつまでもおしゃべりをしては足元をすくわれるでござるよ」

 

 別に遭遇してもここら辺のモンスターは相手にならないがこの空気をどうにかしたかったので表向きそうした理由でモモンが手を叩いて注意を促す。

 

 ナーベとユーリは「はいっ!」と返事をして周囲に注意を向けるが護衛対象の貴族は、リアル出身者には伝わらない偉大さを持つ森の賢王の言葉もあり、わかっているが不満そうである。従者はすまなそうに謝っていた。

 

 警戒したまま歩いていると前方から護衛を引き連れた馬車が1台向かってきていた。ナザリックでセバスたちが使用していた馬車よりも随分と落ちるものだが、馬車につけられた家紋からどこぞの貴族のようなので道の端に寄り、通行を待つ。

 

「そこの女2人待つがよい」

 

「?」

 

 通りすぎようとしたとき瞬間馬車の中から男の声で止められる。5人と1匹だが2人で女という指名に疑問を浮かべながらも止まると護衛の兵士がモモンたちを囲みように陣形を整える。

 

 がモモンの姿や魔獣の存在に完全に囲むことは出来てないようだ。馬車の窓が開き小太りの男が顔を覗かせる。その視線は大柄で目立つモモンに向かわず、ナーベとユーリに向かい、全身を舐めまわすようで2人は不快感に顔を歪めた。

 

 貴族の視線は当然彼女らの首元に下げられたマダマイタント級冒険者を示すプレートに向かい、男は隠さず舌打ちをした。

 

「ちっ、寄りにもよってマダマイタント冒険者だったか。いや、ちょうどいい。今から私の護衛として、雇ってやろう。1人金貨20でどうだ?」

 

 いきなり男は2人に護衛を依頼するがそれを黙って見過ごすなどモモンはしない。現在は依頼中なのだといって断ろうとしたがそれより先に動いた者がいた。

 

「彼らは私の護衛を頼んでいるのだ!横取りするような真似はやめてもらおうか!?」

 

 漆黒に依頼しているトーケル自身である。彼は怒りを隠さず男の視線はからナーベを庇う。見ればアンドレもユーリの前に出ている。

 

「貴様は・・・ふん。誰かと思えば田舎貴族ではないか。どけ。私は彼女たちに用があるのだ。その姿からどういう理由かわかるが、古くさい慣習を今も守り続けている家の者がそれほどの女たちを囲うなど片腹痛いわ」

 

「あなたもまた懲りずに女あさりですか?そんなことだからあなたの土地は人が住んでくれないのですよ?」

 

「ただの付き人が・・・いってくれるじゃないか。それで?返事は

どうだねお嬢さん方?」

 

 男は自分の前に立つトーケルらを無視して、2人に話しかけるがそれに今度待ったをかけたのはモモンだ。今までの対応でこの馬車に乗る貴族が録でもない奴なのはわかった。

 

 友人たちが大切にしていた彼女たちにこれ以上不快な思いをさせたくなかったモモンは普段は隠している威圧を出して立ちはだかる。

 

「すみませんが聞いた通り、今は依頼中です。もし、今後仕事を依頼するときは冒険者ギルドを通してからにしてください」

 

「もしこれ以上殿たちに迷惑をかけるようならどうなるかわからないでござるよ?」

 

 依頼が来ても断るがなとモモンが思うと、大柄な漆黒の全身鎧をきた戦士と巨大な魔獣の迫力に馬車の貴族だけでなく周りの護衛まで気圧された。

 

「くっ、いくぞ!」

 

「は、はい!」

 

 貴族は悔しそうに呻いたあと護衛に声をかけて、馬車のスピードをあげ、去っていた。

 

 

 

 

 

「くそ。嫌なやつにあった。偉そうにしやがって王国の貴族に媚売っているだけの貴族が!あんなのと一緒にされるこっちがたまったものじゃない!」

 

「災難でしたがお二人になにもなくてよかったですよ」

 

「あの・・・彼らは?」

 

 護衛対象の2人の反応から正直予想できるが、警戒する理由ができたので少しでも情報を持っていそうな彼らに話を振る。

 

 彼らは苦渋に満ちた顔のまま互いの顔を見る。トーマスが頷くと従者のアンドレが言葉を紡いだ。

 

 近年の貴族は自分達の領土の村を周り、お気に入りの娘がいれば様々な理由をつけては連れ去り、手込めにしてしまうという。

 

 ランポッサ王は玉座についてからはそんなことをする貴族は減ったものの、なくなった訳ではなく。ついさっきの出来事のあと無理やり連れ去られるというのが起こっているようだ。

 

「そういうこともあって娘を貴族に売る平民もいましたが、娘を大切にしている者たちは、村にモンスター用の見張り台から、貴族らしい馬車を見かけたら村の娘たちは表に出ないようにするのが常識になってから、そういう事はあまりなくなりましたが・・・」

 

 平民の村からそうした娘が見つからなくなった彼らが次に目をつけたのは商人の娘である。商人は美しい娘がいれば看板娘として扱うことが多いのでどうしても貴族の眼前にさらしてしまうため狙われる。貴族のコネを使った嫌がらせや偽りの商談を持ちかけ、狙いをつけた娘のいる商人家族を陥れ、奪うのだ。

 

「もし、知り合いにナーベ殿やユーリ殿ぐらい美人の方がいるようでしたら、あまり貴族の前には出ないように注意してください。最悪貴族に拉致されて一生閉じ込められるかもしれません」

 

 まぁ、彼女たちほどの方などそうはいないでしょうがという従者の気休めにモモンは、この世界にきてから心を許した彼女の姿を思い浮かべ、彼女ならそんなことにはならないだろう思うも、いろんな不安要素があるこの世界でモモンの不安は拭えなかった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガゼフとエンリの戦いは最後にガゼフが剣技以外の戦い方を始めたガゼフにエンリの一撃は届かず、彼女の負けに終わった。後のシオンとの戦いも素早さを武器にしたシオンの攻撃をガゼフは待ちの体勢で防ぎきり、カウンターを決めることで彼は敗北した。落ち込む2人だが、次に戦うのが楽しみだと戦士長に言われやる気に満ちていた。

 

 やっと始まった本命のガゼフVSブレインの戦いは白熱した様相になり、最初は封じていた武技の解放まで行ってしまい。ガゼフは肩から腰まで切り裂かれ、ブレインは片腕一本切り落とされるという死闘になってしまった。

 

 近くに回復魔法が使えるレイナがいたからこその無茶だったが、完全回復した2人にレイナがやりすぎだと激怒し、2人まとめて実戦とお説教を加え、今は鍛練場のはしっこで真っ白に燃え尽きていた。

 

「燃えた燃えたぜ。真っ白にな・・・」

 

「ふふ、我が人生に一片の悔いなし・・・」

 

 どこぞのボクサー同じように壁にもたれかけ、微笑むブレインと立ったまま微動だにしないガゼフに戦士団のメンツは憐れみの視線を向けていた。

 

「あ、あの白銀の女神様でしょうか!?しょの力を見込んでお願いします!私も鍛えてください!」

 

「あ、ボス。今噛んだ」

 

「落ち着くんだラキュース!」

 

「?君は・・・」

 

「はっ!?スーハースーハーよし!これは申し訳ありません。ご挨拶が遅れました。わたくし蒼の薔薇のリーダーをやらせてもらっています。ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラと申します!あなたの戦いも素晴らしかったですが、他の何よりも2人の大ケガを一瞬で治すその回復魔法を是非ともわたくしにご教授いただけませんでしょうか!?」

 

 ラキュースは必死だった。互角の戦いをした2人を同時に相手取り、叩きのめすのもすごかったが、彼女の回復魔法の効果は今まで見てきたどの使い手よりも効果が高く、一瞬で治癒させていた。その魔法の一部でも会得できればこれからの依頼も仲間や守るべき民を救うことができると深く頭を下げるが・・・。

 

「・・・すまないわね。もう弟子の受付はしていないのよ。さすがにこれ以上増えると・・・ね?」

 

「そ、そんな・・・」

 

 レイナはすまなさそうに断るとラキュースは言葉をなくしショックを隠せなかった。

 

「そんなこと言わずに頼むぜ。ラキュースがここまで頭を下げるんだ。なんだったら依頼ということでいくらか出せる。アダマンタイト冒険者だ。蓄えはたくさんあるぜ」

 

「そうですよ。レイナさん。シオンとブレインさんと相談してここにいる間は私たちは戦士団さんたちの訓練に参加しようかと・・・あ、でもガゼフさんの許可が要りますかね?」

 

 そこで助け舟を出したには、近くで話していたガガーランとエンリ自身だった。戦士として興味をもったエンリにガガーランから話しかけてどういった鍛練を訪ねられ答えて話が盛り上がっていたところに頭を下げるラキュースがいたので話を聞いていたようだ。

 

「なに、若い君たちがいればこちらの鍛練の刺激になっていいだろう。実力は問題ないしな。こちらからお願いしたいくらいだ」

 

「ええ、レイナさんが良ければですが。何でしたら戦士団の新しい団員にスカウトしたいくらいです」

 

「おい、ガゼフなぜ3人じゃないんだ?それは俺は若くないと言いたいのか?」

 

「あ、いやそういうつもりではなくてだな・・・」

 

「よし、もう一戦だ。構えろガゼフ!」

 

「お、落ち着けブレイン!」

 

 いつの間にか復活したガゼフがセイランを引き連れて援護してきたので断る口実がなくなってしまった。きっと共に研磨しあい強敵(レイナ)挑んだことで遠慮が燻っていた気持ちが晴れて遠慮がなくなった気がする。

 

 ガゼフがこれまたいつの間にか復活したブレインに詰め寄られ戸惑うなか、レイナは考える。

 

 訓練が終わろうとしたところに、この王国に存在する2つのアダマンタイトの冒険者チーム蒼の薔薇リーダーから深く頭を下げられ弟子入りを求められたが、これ以上増えるとどこかでボロがでるだろうと最初は断った。

 

 冒険者として高い実力とこの世界について詳しい彼女とのツテが手には入ると考えれば、悪い話ではない。ガックリと項垂れる彼女が気の毒だし、王国にいる内は時間が合えば付き合おうといえば、彼女は高速で顔をあげ、レイナの手をとると満面笑顔でお礼を言ってきた。

 

 ラキュース背後でこちらをかなり警戒している仮面の少女が気になるが・・・。

 

 これは面倒なことになったかも知れないとレイナは自分の甘さに後悔していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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