オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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38.戦乙女と来訪者3

 

 

 

 

 モンスターの襲撃とその後のギガントバジリスクというこの世界では天災として恐れられる強モンスターに遭遇するも無事に倒せて貴族の護衛を終えたモモンガ一行はエ・ランテルの街に戻ってきていた。

 

 その時に心変わりすることがあったのか貴族であるトーケル・カラン・デイル・ビョルケンヘイムはナーベラルにしつこく迫っていたことや敵愾心剥き出しにモモンガに突っかかっていたことを謝り、いつか立派になったとき正式に申し込む事を告げてきた。

 

 ナーベラルは視線を合わせて「正直望み薄ですが、まぁ頑張ってください。でも・・・」と言って少し考えた後「・・・私の及第点は低くありませんよ」とぶっきらぼうながらエールを送ったことにはユリと一緒に驚いた。

 

(なに!?人間軽視がひどかったナーベラルが・・・まさか!?)

 

(ああ、ナーベラル・・・そんな・・・。これも成長なのかしら・・・でも姉としてその時が来ても笑顔で送る・・・ことが・・・)

 

 あのナーベラル(妹)が!?と愕然とする死の支配者と長女の心配を他所にナーベラルは平静そのものであった。

 

 彼女が定める及第点を得るにはモモンガを頂点としたナザリックの仲間で上位は埋められており、越えられない壁に阻まれた先にナザリックの配下になった者がいるだけワンチャンあるかどうか。最下層とはいえ等しく虫扱いだった人間が使える使えないで2つに分類されただけマシなのか。

 

 ナーベラルの価値基準に気づく筈がなくトーケルは片想い中の女性からの言葉に笑顔で「望むところいつか必ず迎えにいきます!」と答えアンドレを引き連れて去っていった。

 

 そんな事とは露知らず、早合点したモモンガとユリが一緒になって気があるのかと問い詰めてみれば人間にしては使える情報を多く持っていたがそれだけで、そもそも自分はドッペルゲンガーなので結ばれるもなにもないと真顔で答えられた。ユリが胸を撫で下ろす中、モモンガは残念なような安心したような複雑な気分を味わった。

 

 どうやら彼女なりに情報を聞き出していたらしい。少しトーケルがかわいそうな気もするが、ナーベのような美人と会話できただけでも役得だとして諦めてもらおう。

 

 これまでの噂やナザリックの調査、今回の依頼の道中で出会った貴族のせいで悪い部分しか見てなかったモモンガは彼らの中にも見所のあるやつがいるのだなと感心したのもつかの間、新たな問題に直面することになる・・・。

 

 今日も宿を借りている高級宿の一室でナーベラルとユリには席をはずすように言って一人モモンガはこれまでの稼ぎを数え、カルネ村の発展や王国での調査を行っているセバスらへの資金へと金を分けて・・・頭を抱えていた。

 

「まずい、お金が・・・足りないよ」

 

 その声は支配者の威厳などどこにもなく。リアルで今後の生活費を懸念するサラリーマンの悲痛に満ちていた。

 

 ユグドラシルではギルドの維持費を最終日まで金策クエやドロップアイテムのショップ売りで稼いでいたモモンガだが、この世界にきてそれは一変した。モンスターを倒せばアイテム等が手に入る・・・そんな都合のよい事はなく。

 

 モンスターの一部をギルドで鑑定して討伐することでお金を貰えるがそれも最近王国で発案されたばかり。もしも、もう数年前に転移してたらと思うと目眩がする。

 

 この異常事態にギルドを最低稼働で動かす訳にもいかず、できるだけアルベドに節約するように言っているが、それでもギルド運営費はバカにならない。今のところナザリック保有されているユグドラシル金貨を消費して食いつなげている状態だ。

 

 それを知ったのかレイナが召喚した仲間たちから部屋の倉庫にあった在庫の換金アイテムやユグドラシル金貨を譲り受け (恐縮で受け取るのを渋ったが、モモンガ以外の「そんなこと言っている場合か!」と満場一致で押し付けられた) 、その他のアイテムをエクスチェンジ・ボックスに放り込んで余裕ができたと言っても、それがいつまでも(今の稼働状況を調べさせれば1000年はいけるらしい)続くとは限らない。

 

 息抜きで始めた冒険者としての収入も満足とはいかない。アダマンタイトとして昇級して一つの依頼量が高くなったのはいいが、その分仕事が少なく今の現状である。

 

 正直にいえば、この高級宿ではなくもっと安めの宿にしたいくらいだが、アダマンタイト級冒険者のブランドがそれをさせてくれない。転移門(ゲート)でナザリックから通うのも、普段英雄がいる場所がないと突然どこかしらから現れる住所不定では怪しまれる可能性もある。

 

 しかし、あのトーケルの護衛以降まともな仕事がないのも事実。危険なモンスターの討伐を中心に活動しているがアダマンタイトが出っ張るような危険生物の出現は稀だ。中にはナーベラルとユリを名指しで申し込まれた依頼もあったが護衛にしては高い依頼料にさらに依頼主が貴族とくれば怪しいことこの上ない。

 

 ギルドの受付嬢イシュペンという娘もお薦めはしないと言っていたし、もし今後のこのような依頼があればギルドで差し止めれるようにできると。そうするように了承したのでこれからはそんな怪しい依頼がくることはないだろう。

 

 もう一度いうが漆黒の収入ではナザリックでの消費が大きく火に油状態である。これはレイナが言っていたように本格的に王国に出している商人を装った偵察のカモフラージュに使っている屋敷を中心にお店を展開していく必要がある。

 

 リアルでは営業職として数々の上司からの無茶ぶりを乗り越えてきたモモンガだがこれからは自分で店を1から建てるのは始めてだし、今の部下に任せるにあたり1人心当たりがあったので話は通しているが果たしてうまくいくのかと悩んでいた。

 

 そんなとき自分頭の中にどこからか繋がる感覚が起きて、零は王国で大丈夫だろうか?セバスが契約した屋敷を見に行くついでに様子を聞きに行こうか等といった考えを中断させる。

 

 (アインズだ。なにかあったのか?)

 

 (もしもし、零よ。悟は今大丈夫?)

 

 (こ、これは零さん)

 

 部下だった場合を考え支配者らしく威厳を込めた言葉で出てみれば、その相手はついさっき考えていたレイナもとい零本人でモモンガは支配者から素の悟に戻る。

 

 (いきなりごめんなさい。何か用事中だったかしら?)

 

 (あ、いえ。少し驚いただけですよ!今のところ暇で人も他にはいません)

 

 まさか何かあったのだろうかと考え、この前トーケルの従者であるアンドレ氏の言葉を思い出す。

 

 (心配してたんですよ。王国に言って変な貴族に絡まれていないかとか)

 

 (あら、ありがとう。貴族は・・・まぁ予想通りよ。少し厄介なのに目をつけられてね・・・)

 

 やや疲れた声で返事をする零にどこの誰だと悟の怒りが燃え上がる。今すぐナザリックのシモベを使って暗殺、いや誘拐して死ぬ方がマシな目に会わせてやろうかと考え。

 

 (疲れているのはそれだけじゃないからね。戦士団への装備の調整もあったからだから、あまり物騒なこと考えないようにね?)

 

 考えがバレてる事に焦って弁明する前に零が本題を語る。

 

 (実は・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ええええええ!?どうしてその2人が!?」

 

 「「どうしましたか!?モモンさん!?」」

 

 あまりのことにメッセージだということも忘れて悟は叫んでしまい部屋の外で待機していたナーベとユーリが突入してきてひと悶着起きるのであった。

 

 

 

 

☆

 

 

 

 

 悪夢から覚めたらそこには悪魔と異形が2人。レイナはベッドから飛び起きると距離をとり、すぐ後ろに扉がくるようにして身構える。

 

 悪魔も口だらけの異形もとんでもない気配だ。間違いなく自分や悟と同じカンストプレイヤー。こんな実力者が寝ていたとはいえ気づかないなんてとレイナは唇を噛む。敵意には敏感なはずなのにこの者たちにはそれがないのが原因か。

 

 ん?敵意がない?

 

 それどころか今の彼らは隙だらけだ。目元を両手で隠すようにして動揺しているように見える。一人は口だけなのでわからないが動きが人間のそれだ。

 

 「あなたたちは?」

 

 「れ、零さん!そんなことより前!前隠して!」

 

 「お、俺は見てない!なにも見てないぞぉ!?」

 

 疑問に思い聞いてみれば帰ってきたのは久しく呼ばれていない本名と聞いたことのある声の持ち主たちの慌てた声。それで今の自分の格好は寝巻きで別に変ではないはずと視線を下げてみれば。

 

 「きゃあっ!?」

 

 思わず叫びそうになるのをこらえ、咄嗟に腕(・)で(・)隠(・)し(・)て(・)どうしてこうなったと胸中で呟く。

 

 この世界に来て最初に困ったのは日用品の不足だ。ゲームでなら問題はなかったが、リアルのように替えの下着がほとんどなく、寝巻き等は一切ない状態だった。両親に女の子が不用意に肌を出すことを注意されて育った私は全裸で寝るなど許せる筈がなかった。

 

 痴女だと思われたくなかったので当初エンリにも聞けずにいたが、これまでの冒険でボロになったと嘘の理由で聞いてみれば、村にはその手の服を販売している者がいるので聞いてくれると言ってくれた。そこの家は街で手に入れた生地を使い村のための服を編むのを生業にしていたらしく。最初は貴族のようなレイナに売れる物はないと慌てていたが、貴族ではないことを話せば疑いながらも幾つか見繕ってもらえた。

 

 あとになって上位道具創造(クリエイト・グレーター・アイテム)があることを思い出したが魔法で作られたそれが朝になったら消えてたなどとあっては大変なのでたとえ防御力皆無でもしっかりした実物が欲しかった。

 

 エ・ランテルによった際もエンリと一緒に(シオンは流石にこれず、遠い所で男物を買っていた)下着や寝巻きを補充し今回はその時に買った下着と寝巻きをちゃんと着て寝た筈であった。

 

 周囲は少し暗いこともありハッキリと見えてないとは思うが夢見が悪かったために寝相が酷く、寝巻きだけでなく下着までもがはだけていた。その追い討ちに臨戦態勢をとった際のカンスト勢の動きにこの世界の服が耐えられず・・・。

 

 自分でいうのもなんだが・・・その・・・形の良い胸がポロリしてしまうとは・・・。目の前の悪魔と異形の聞き覚えのある声に思考が真っ赤になったレイナが咄嗟に放った言葉を誰が責められようか。

 

 「・・・・・・・・・変態」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 「「ご、誤解だ(です)!!?」」

 

 女の一人部屋に寝てる間に寝顔を見たはずで、不慮の事故とはいえど、モロに胸を見たのだ。それを変態と言って何が悪いと狼狽えて弁明する2人(?)を見て赤面したまま両腕で自分の体をかばいながら思うのだった。

 

 

 

 

 

 「なるほど。そんなことが・・・」

 

 急遽、転移門(ゲート)を使ってレイナが泊めてもらっているガゼフ邸の一室でモモンガはいた。彼女(いつもの旅人の服着用)の目の前で見覚えのある悪魔と異形が落ち込んだまま正座した姿を見て何事!?と思ったが理由を聞けば納得した。

 

 「有罪(ギルティ)変態ですね」

 

 「「それは誤解だ!!?」」

 

 「言いたいことはそれだけ?仲介者もこう言ってるしどんな罰を受けてもらおうかしら」

 

 「「零(さん)怖い!!」」

 

 突然異世界に来訪した2人に向けられる目と声は冷たいものであった。まさかの再会が零が寝ている寝室に忍び込み(?)寝顔を覗いた上に、驚いて飛び出した零の下着姿(ポロリは話していない。レイナが恥ずかしくて2人に口止めしたこともそうだが話せば魔王大爆発必須で王国の一部が消し飛んだかもしれない)を見た後だというのだ。なんだその羨まし・・・違う!破廉恥な!これがいわゆるラッキースケベか!?

 

 更には2人共に零のことを本名で呼びあっていることに今までにない焦りがモモンガを襲うが、あっでも自分もこの世界に来たときに零さんの胸を服越しとはいえ触っているんだと思い出してない血の気が引いたり、でも納得はできないと表情の変わらない骸骨の奥で忙しくしていた。

 

 たっちやヘロヘロ、女性陣の次に再会したのはよく魔法談義をしたウルベルトやベルリバーだとして喜んできてみれば、就寝中の女性の部屋への侵入など事案案件である。

 

 「これには訳があるんだ!決して故意ではない!」

 

 「そ、そうですよ。まずは話を聞いてください!」

 

 故意でないにしろ事実ではある故に2人からの冷めた視線でますます身を縮込ませるウルベルトとベルリバーが正座したまま必死に弁明をし始めた。

 

 

 

 

 

 

 いつものように就寝していると何かに呼ばれたと思えばすでにレイナがいる部屋にいたという事だが、レイナにしても確かにタッチら証言に合うが、今回レイナは召喚を使用していないため身に覚えがない。いや・・・

 

 確かに曖昧でよく覚えていないが最後誰かに手を伸ばしたような気がする。それがたまたまウルベルトやベルリバーを呼び寄せるなど。しかもリアルでの知り合いだがユグドラシルをやっているとは知らずにだ。

 

 今までの経験上召喚できるのはユグドラシルのプレイヤーで顔見知りかフレンド登録をしているかなどの繋がりと此方の呼び掛けに相手の了承がなければ出来ないと思っていた。

 

「そんな・・・それが本当なら私はとんでもないことを・・・。巻き込んでしまってごめんなさい」

 

 まさか就寝中に力を使ってしまうなどこれからの事を考えれば恐ろしいことだ。それで自分が寝ていた周辺が更地になっていたなどがあればそれはまさしく生きた爆弾である。

 

 不慮の事故の事も忘れて深く頭を下げる零に今度はモモンガも合わせて3人が慌てる。

 

 「零さん!気にしないでください!私も絶望のオーラ洩らしちゃったことあるんで!そういうこともありますよ!」

 

 「そ、そうだ!零はなにも悪くないぞ!」

 

 「こんなことになるなんて誰も想像だにしませんよ!だから頭あげてください!」

 

 部屋のなかで異形相手に頭を下げている戦乙女にその異形たちが慌てて頭をあげるように言っているのはとてもシュールだった。

 

 

 

 

 

 「と、とりあえず。ここではゆっくり話もできないでしょうから、一度お二人はナザリックに来ませんか?そこでユグドラシル終わってから起きたことを説明しますし、驚くかもしれませんがNPCたちも意識が芽生えましたから会いたいと思ってくれているはずです」

 

 「零から事前に説明されたが本当なのか。にわかには信じられんな・・・」

 

 「事実は小説より奇なりとはまさにこれのことですね」

 

 「それがいいでしょうね。今のあなたたちはなにも知らないからボロが出るかもしれないし、そこら辺はモ・・・悟に任せてもいいかしら?」

 

 「ええ、自信はないですが現状とこれからのことくらいは話しておきます。零さんにも後から連絡しますね」

 

 「よろしく頼むわ」

 

 本名で呼ぶべきか考えて、ここにいるのはリアル出身者なので問題ないかと考えモモンガを悟呼びに変えたレイナは転移門(ゲート)を開けてナザリックに行く3人を見送った。しかし3人の内1人だけ不穏な空気を放つものがいたが気づくことはなかった。

 

 

 

☆

 

 

 

 

 まさかこんなことになるなんて・・・

 

 これは命を助けてくれた彼女に対する裏切りになるのかもしれない・・・

 

 命を狙われたとき颯爽と現れて助けてくれた彼女はヒーローで

 

 昔読んだことのあるボーイミーツガールというジャンルで主人公を助ける強いヒロインを思い出した

 

 それからはあの灰色の世界が色付き人生も一変した

 

 彼女の気まぐれか助手としてサポートをこなしてついには大企業の闇を暴き、潰し、この世界もこれで変わると信じていたのに

 

 まさかあの人と好きな女性を賭けて勝負することになって負けても

 

 悔しかったがあの人なら彼女を幸せにできると信じてた矢先

 

 アレが起きた

 

 主人公は最後の最後でヒロインを護る主人公にはなれなかった

 

 だから今度こそ

 

 たとえ彼女に嫌われたとしても僕は彼女を命に変えても助けたい

 

 ・・・零さんだけじゃない

 

 何故そうなったのか知らないが2人をみればわかる

 

 モモンガさんをもう一度傷つけることにもなるだろう

 

 ・・・ごめんなさい

 

 

 

 

☆

 

 

 

 

 何故だ?

 

 2人が出会ったのはユグドラシルの最後だと言うのに互いに名前呼びとは・・・

 

 あいつも零の事を名前で呼ぶがこんなに苛つくことはなかった

 

 それだけではない

 

 出会ってからの期間も俺の方が長いのに2人の互いに見つめる瞳がとても優しいのだ

 

 あんなことが起きなければその瞳だけでなく彼女の全てを独占できたはずなのに・・・

 

 告白もして返事ももらったのに・・・

 

 どうして俺にはそれを向けてくれない

 

 ・・・・なにを考えているんだ俺は・・・今は零を助けることだけを考えろ

 

 咄嗟に考えた言い訳もいつまで続くかわからない

 

 その前に準備しなければ・・・

 

 幸いナザリックがあるのだから俺の部屋にあるアレが使えるはずだ

 

 そうこれは零を助けるためなのだ・・・

 

 あいつには感謝しないとな

 

 あいつは覚えていないだろうが酒の席でふと洩らした夢の話し

 

 アレが起きてからもあいつに何気なく

 

 藁にもすがる気持ちで聞いてみれば

 

 何度かあったらしい

 

 半信半疑だったが今回の事で確信が持てた

 

 必ず救ってみせる

 

 誰が相手だろうと必ず!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・。

 

 

 

・・・・・ミ   ツ   ケ   タ。

 

 

 

 

 

 

 

 




挿し絵のR指定の基準がわからない・・・水着はいいのだろうか?


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