オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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 リアル世界とのリンク タグの追加あります。


43.戦乙女とウルベルト

 

 

 ~レイナがセバスと共に王国をまわる前~

  

 

 「ふう、アインズ様から直々に指示を任されましたが、なかなか大変ですね。おかげで調査対象である聖ローブル王国の調査も思ったより進んでおりません。まぁ無理はするなと言われておりますがいつまでもアインズ様のお優しさに甘える訳にはいけませんからね・・・」

 

 ナザリックの廊下を進むデミウルゴスは疲れたようにため息を吐くと落ちかけた眼鏡を直した。

 

 思い出すのはこの世界に転移する前。ユグドラシルでのこと。その時のナザリックに住む者たちは今のように自由に動けることはなかった。

 

 せいぜい守護する階層を巡回するのが関の山で、守護者統括という重要な位置にいる彼女さえ、この世界に転移する時まで玉座の間を動くことさえ出来なかった。

 

 そのためナザリックを維持するための資金はその(ことわり)なく動ける至高の御方たちのみが外から得ていたと記憶している。

 

 至高の御方を除けば知謀に優れるとされる自分が不完全な記憶を持っていることに疑問もあるが、きっとあの大戦以降ろくに活動してなかったために劣化してしまったのだろうと自分の怠惰に叱咤する。

 

 この世界に来て良かったと思うのはその理から外れることができ、こうして御方の役にたてることか。

 

 (まぁ、厄介な人間まで連れてきてしまったのは誤算も良いところですが、今は協力関係を結べているのですから。普段なら裏切りに注意するところですが、彼女の善性から余程の事がない限りそのような事態にはならないでしょうしね)

 

 気に入らないがこれまでの人間の動きからそうはならないだろうと言うのはわかる。勿論、そんなことが起きれば容赦なく倒す所存だ。出来れば監視をつけて動向をより細かく知りたいが、アインズ様から極力控えるように言われ、それらの情報はニグレドが管理している状態だ。

 

 口惜しいが至高の御方からの指示は絶対だ。だがもしも、あの人間が裏切るようなことがあれば・・・大損害を被るのは間違いない。そして今回の調査と平行して進めている今でも十分とは言えない消費アイテムの生産と確保。

 

 特にスクロールの生産については御方自身から情報を得るために始めに捕まえた人間たちを有効利用した結果。ある程度目星がつき始め、その計画で彼女の体は貴重で役に立つ可能性が出てきた。

 

 懸念するとすれば、至高の御方を召喚できる事か。ただの傀儡にしてしまえば、その力が永遠に失われるかもしれない。どうにかしてその力を奪うことができればもしかしたら悲願でもある己の創造主だけでなくナザリックの残りの至高の御方全てを呼ぶことも可能かもしれない。そんな可能性を潰すかもしれないと考えればすぐに殺すのは愚の骨頂。

 

 味方ならこれからも役に立たせ、いざ敵対しようものなら死さえ生ぬるい生き地獄を永遠に味遭わせる事になるだろう。

 

 どう料理しても美味しい。リスクはあれどそんな人間とすぐ手が届く位置である協力関係を結べたのだからアインズ様は深慮だけでなく度量も遥か高みにある存在なのだ。

 

 改めて至高の御方の偉大さを噛み締めながら廊下の角を曲がろうとしたデミウルゴスはその先にいる存在に思わず角から身を乗り出す前に足を止めた。

 

 山羊頭の悪魔である者が歩いていたからだ。

 

 間違いない。もう一度会いたいと何度も焦がれた人物。自分の創造者であるウルベルト・アレイン・オードル。ワールドディザスターと呼ばれる最高魔力詠唱者であった

 

 「ウルっ!?」

 

 「ちょっと待って!明に話があるの」

 

 思わず、名前を呼んで駆け寄ろうとすれば、その前に例の人間が彼を呼び止めた。どうしてここにあの人間が・・・しかし、アキラというのは知らない。ウルベルト様をそんな人間臭い名前で呼ぶなど、今すぐ殺してやりたいと思うが、そのウルベルトはその名に反応していた。ごく当然のように。まさかウルベルト様さえ召喚できたということなのか・・・。

 

 「どうしたんだ。零、少し考えたい事があるんだ。ほっといてくれないか?」

 

 「そんなことできるわけないじゃない。どうしたの?全く貴方らしくない。明は何を焦っているの?」

 

 「・・・なんのことだ?俺が焦る?つまらない冗談だな。つくならもう少し面白いのにしてくれよ」

 

 「誤魔化すのは貴方の悪い癖よ。どうしてそんなにつき放そうとするの?・・・私になにか隠してるでしょう?」

 

 角に隠れながら2人の会話を盗み聞くがどういうわけか2人はピリピリしながらも気安い雰囲気があることにデミウルゴスは困惑する。人間と悪魔。善であるヴァルキリーと悪を掲げる魔法使い。いったいいつ接点をもったというのだろうか?

 

 それがわかるかもしれないとデミウルゴスは盗み聞きをしている主への不誠実への嫌悪よりも興味が勝り、罰を受けることも覚悟した上で、そのまま聞き耳をたてるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 普段とは違う彼が気になったレイナはいてもたってもおれず追ってきたが、こちらの呼び掛けに彼が反応し、そこからいつもの彼らしさについ先ほど感じていた疑惑が解消し安心する。

 

 リアルでは今後に計画を考えている時の彼がそうだった。つい感情がでて、素の口調になってしまうが特に気にすることもないだろう。

 

 「どうして構うんだ?突き放しているのがわかるならそうしてくれた方が助かるのだが・・・」

 

 「一体どれだけ一緒にいたと思っているの?自分ではわかっていなさそうだけど、色々抱え込んでいる時の貴方は危なっかしいのよ。・・・仲間でしょ放っては置けないわ」

 

 「!?っ」

 

 レイナの言葉にウルベルトは彼女の目を見ることができないでいた。そこにはリアルで自分に向けていた信頼が込められていて、そんな彼女の目を直視できないのは罪悪感か。

 

 

 

 

 あの日。

 

 

 

 

 

 ついに世界革命が動き出そうとした矢先に起きた暗殺未遂事件。

 

 

 

 

 入念な準備と信頼する仲間の警備に護られていながら起きた超々遠距離からの狙撃。

 

 

 

 

 

 声明を出すため壇上に上がった革命家の狙った一発の弾丸。

 

 

 

 

 

 只の弾丸ではないそれは防弾ガラスを容易く破ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局は目標である革命家の命を散らすことなかった。

 

 

 

 

 

 

 だが・・・

 

 

 

 

 

 

 一番近くで支えていた者が身代わりで受けることになった。

 

 

 

 

 

 

 「あ、明・・・」

 

 「零、零。また会えた・・・ううぅ」

 

 

 あの日の光景がフラッシュバックして、髪の色や目元が少し違うだけで、他は全て自分の知る彼女を溢れる感情で抱きしめていた。

 

 いきなりの事にレイナは驚くも彼の体が震えていることに気付き、そっと抱き返すと彼は堰を切ったよう泣き始めた。

 

 

 

 ・・・・・・

 

 ・・・・・・・・・

 

 

 いつまでもそうしていただろうか。

 

 日に日に募る焦りがレイナの言葉で爆発して、つい抱きしめてしまったが、冷静になってくると自分がどれだけ恥ずかしいことをしているのか理解してきた。

 

 「そ、そろそろ離してくれるかしら?」

 

 「あ、ああ。すまない」

 

 「あ、謝ることはないわよ。・・・それにしても羊だからか服越しでもフカフカで暖かかったわね」

 

 「フフ、寒いときには重宝するな。零ならいつでも貸すぞ」

 

 彼女の方から提案してくれたので、少し名残惜しく思いながらもウルベルトは彼女を解放する。恥ずかしいのを誤魔化すためか茶化しながら身を離すレイナを見てまた抱きしめたい気分が湧くも、なんとか自制して口を開くがそれでも彼女には刺激が高かったようだ。

 

 「・・・言い出しっぺで悪いけど臆面もなくよく言えるわね」

 

 「言っとくが誰でもという訳では無いぞ?こんなこと言うのは零だけだ。俺にはいいが他の男にはするなよ?下手に正面から話すだけでも骨抜きにされるからな?いい加減自分の容姿がいいことに自覚してくれたら苦労しないんだがな(悪い虫を牽制するとか)・・・」

 

 少しどころか大部分で、惚れているからこその惚けが含まれるが、彼女の容姿を考えれば忠告するのに過剰とはならない。

 

 「うっ、そこまで?・・・わかったわ。はぁ・・・なんとかならないかしら?」

 

 「まぁ無理だろうな。俺も諦めている」

 

 「どうしようもないみたいに言わないでくれる?・・・フードは被ってたほうが良いようね・・・それとやっぱり貴方変わったわ」

 

 普段はクールにしているが、心からの称賛には弱い零は頬を染めて非難がましい視線を送ってくる。昔はうまく口が回らず遠回しな言葉しか出なかったが今は違う。積極的に思いをぶつけれるようになった。そうすれば普段は見られない彼女が見れることに優越感が湧いてくる。

 

 彼女を狙うライバルは多い。

 

 昔のままではダメだと奮起した甲斐があった。そんな気持ちを教えてくれた彼女をたとえリアルとは違う夢だとしても誰にも渡したくないと思う自分がいる。

 

 それがたとえ(モモンガ)であったとしてもだ。

 

 この世界にきてアイツの零に対する態度からどうみても惚れているようにしか見えない。本人はまだ自覚はしていないかもしれないが。そう足踏みしていては別の誰かに奪われかねないし、夢だからと言って簡単に彼女を明け渡すつもりもない。

 

 「じゃあ、王国での作戦の準備があるから」

 

 「ああ、気を付けろよ。治るからと言っても一番大切なお前の綺麗な体に傷がつけば俺がどうなるかわからん。その原因ごと街を滅ぼすかもしれん」

 

 「またそういうことを言う・・・何が起こるかはわからないけど。心配しなくても私も好きで傷を受けるつもりはないから」

 

 こちらの言葉に微妙な笑みを浮かべ彼女は去っていった。少し攻めすぎたか?いや、一応彼女は笑っていたのだから問題ないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 抱き合った二人は背徳的だが、その姿やナザリックの景観もあって一枚の絵のようにどこか神秘さえ含んでいた。

 

 悪魔と女神による禁断の逢引

 

 そう表現するしかないそれにデミウルゴスは戦慄する。どうか何かの策略であれと願うも、今の慕うべき創造主からはそうではないもっと純粋な気配しか感じない。

 

 去っていこうとする人間の背にウルベルト様は逡巡してから呼び止めた。

 

 

 「零!今回の騒動が落ち着いたら話があるんだ」

 

 「わかったわ」

 

 「聞かないのか?」

 

 「その時話してくれるんでしょ?」

 

 「ああ、必ず」

 

 最初の剣幕からは想像できない短いやり取りの中にも、互いを知っていると言わんばかりの気安さがあることにデミウルゴスは主にそういった人物ができたことへの喜びとその愛を独り占めする人間に嫉妬した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウルベルト様」

 

 さて、八本指という輩の決着もすぐにつくという。急いで最後の調整にと自室へ向かおうとしたときに俺を呼ぶ声が聞こえる、聞いたことのない声だが不思議と懐かしく感じる。

 

 男の声に振り向くとそこには自分が手塩にかけて製作したNPCが立っていた。

 

 デミウルゴス

 

 ナザリックの第七階層赤熱神殿を任せられたウルベルトが知将という設定で生んだ存在。それが目の前に生きているように存在している事に感慨深い思いを受けるが、今はいろいろ忙しかったが・・・。

 

 「ふ、久しぶりだな。どうした?デミウルゴス。なにか用事か?」

 

 夢だとしてもこうして話せることに少し嬉しくなり、昔のユグドラシルでの会話を思い出しながら話しかける。

 

 何故だろう。あんなに焦っていたというのに今なら素直に受け入れることができた。

 

 「はい。ウルベルト様も健在の様子に嬉しく思います。その・・・不躾ながら質問をよろしいでしょうか?」

 

 「ん?ああ、いいだろう。ずっと放り出していたしな。なんだ?」

 

 「先ほどウルベルト様が呼んでいた零という人間。先程のレイナ・ヴァルキュリアについてです」

 

 「・・・見ていたのか?」

 

 「誠に申し訳ありません。盗み聞くつもりはなかったのですがどうも出にくかったもので・・・もし不快な想いをされたのでしたら如何様な罰も受けるつもりです・・・」

 

 見られていたことに今更恥ずかしく声が低くなる自分だが、確かにあんな場面に出くわしたら、自分だって出ていくタイミングを図りかねるだろう事は容易に想像できた。

 

 「そうだな。その気持ちはわかる。だからお咎めは無しだ。質問も許そう」

 

 「ウルベルト様いえ、明様でしょうか?あなた様の寛大な処置ありがとうございます」

 

 「うむ、明はリアルでも俺の名前でな。それと一緒で彼女は零という。言いにくいならウルベルトで構わないぞ。「ウルベルト様の気遣いありがたく思います」・・・ああ、では質問に答えよう。その前に俺たちが戻る世界リアルについては?」

 

 「はっ、存じております。我々では行くこともできない神々が住む世界だと・・・」

 

 「うむ、そうなっているのか・・・」

 

 話す前に前提として知っておかなければならない事を聞いてみればデミウルゴスは胸に手を当ててリアルについての知識を話す。

 

 神々が・・・というには少し引っ掛かるが、プレイヤー=サービスを受けているお客と考えれば。どちらかというと運営の方が神なのだろうが。

 

 「あの何か間違っていますか?」

 

 「ん?ああ、そうじゃない。まぁその認識で問題はない。そうだな。私と彼女はその世界では協力関係だった」

 

 「ウルベルト様と・・・ヴァルキュリア殿がですか?」

 

 自分の知識が間違っているかを気にしたデミウルゴスが少し焦るように聞いてきたので問題ない事と彼女との関係を伝えると端からみても驚愕しているのがわかる。

 

 「そうだ。本来この世界にこれなければ私たちはほぼ無力なんだ。私もある程度は戦えるつもりだが、彼女には及ばない。いや、あの世界で彼女に勝てる存在などいないとも言える」

 

 「そんな・・・ウルベルト様でも?」

 

 「まぁ、最後まで聞け。何も強さだけが全てではなかった。私はその分。自分と志しを共にする者たちを集めて組織を束ねていた。人を使った情報収集。彼女の卓越した能力。利害の一致もあり、私から彼女に協力関係を求めた」

 

 ショックを受けるデミウルゴスを制して言葉を続ける。

 

 今でも鮮明に思い出せる。

 

 噂では聞いていた。

 

 単独で企業とやりあう極悪非道のテロリスト。いや、もっとふさわしい言葉がある。そんな存在はお釈迦の中だけだと思っていた。

 

 そんな存在はいないと自分を奮い立たせて集めたレジスタンスの誰かが拾ってきた情報の中には()()()いた。誰が最初に言ったかは知らない。企業との抗争で命を助けられた者もいた中でいつしか彼女の事を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒーローと呼んでいた。

 

 

 

 

 

 

 それからは企業と全面戦争する前の戦力の強化のために企業さえ尻尾をつかめない凄腕の持ち主としてスカウトしようとした。極悪非道と言ったがそれは全て企業が情報操作して広めたものに過ぎない事は知っていた。

 

 だが、相手は企業を相手にしているだけあり、警戒心が高く思ったほど接触は困難を極めた。やっと得たのは正体が女性ということだけ。それに驚いたが実力があるならばと諦めなかった。

 

 多くの市民はデマを鵜呑(うの)みにしていたが、彼女の活躍を信じている声は小さいが確実にあった。もっともそんなことを公然と言ってしまえば捕まるのでひそかにだが・・・。

 

 悪評の元である人殺しさえ、その対象は決まって反吐が出るくらいの屑野郎だからだ。しかも、大体は彼女を執拗に追いかけた際の反撃や自爆による自業自得だった。

 

 組織としてどうしても手を組みたい存在だったが身内贔屓を引いても自信のあった情報網でも足取りを追うのに一苦労でどうすればいいと悩んでいればなんと向こうから接触してきた。

 

 向こうはこちらが接触して来ているのに気付き、仲介者を送ってきたのだ。その仲介者がなんと死んだと思っていた(正確には行方不明だが望みは薄かった)ベルリバー事隼人だったのだ。

 

 彼との連絡用で用意していた暗号での呼び出しに罠かと警戒したが他に手がかりもなかったので入念な準備をしたが・・・徒労に終わって安堵したものだ。

 

 彼は本人で彼女に命を助けられてから助手という形で手伝っていたらしい。互いに今の社会体制に不満を持つもの同士として最初の苦労はなんだったのかと思うほど簡単に協力関係を結べた。

 

 ベルリバーを伴い現れた企業相手に立ち回るイメージとは違う黒髪を短めに伸ばした黒目の生粋の日本人女性。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 美しい容姿にも驚いたが当初は冷たい氷のような印象で、ちゃんと協力できるのか不安だったが、それはいい具合に裏切られたる事になる。

 

 彼女はこちらの要請に信頼もないうちから答えてくれた。

 

 それからは大躍進であった。人海戦術を使った調査や情報の管理を得意とする俺たちの組織が担当し、苦手な実働は彼女が行い。それらが上手いこと歯車として噛み合い。革命に必要な材料の多くを握ることができた。

 

 当然、企業からの妨害は予想されたが、彼女は潜入したどの企業に弱味をネタに手出し出来ないよう手配もしていたらしく。思ったほどは襲撃はなかったが全くではなかった。

 

 いつだったか。ある時は企業に雇われた汎用人型機動兵器を操る凄腕の傭兵に狙われた時はもう駄目かと思うも、彼女はその依頼人が払う金額を渋り、傭兵(もろ)とも始末しようとしていると伝え依頼人を傭兵と共に追い詰めた。

 

 またある時は彼女のように能力を買われた実力者による襲撃を組織が受ければ迎撃してくれた。目の前で繰り広げられる体術ととんでもガチェットとしか言えない装備での超人対決は命が幾つあっても足りないものであった。

 

 良いことばかりではないがそんな何度も死線を共に乗り越えている内に唯の協力者関係ではなくなってきていた。・・・きっとこの時から自分は彼女が好きになっていたのだろう。

 

 当然社会的に全国指名手配である彼女はあのたっちさんとは追う追われる関係だったのは、久しぶりの酒の席で彼自身から聞いた時は吹き出しかけてバレないか冷や冷やした。

 

 (一時期、彼女を追いかけ回してたせいで、奥さんに女の尻を追いかけていると勘違いされ、離婚の危機に陥った事を愚痴っていたがその後の仲直りした後までの惚け話まで語ってきたのでシバキ倒したいのを必死に堪えた)

 

 長い付き合いになってくると本名で彼女の出自があの緒方財閥の跡取り娘だということや圧倒的な能力以外にも色々見えて来るものだ。

 

 支配者側だったというのに俺自身思うところはあるかに思えたが、不思議なことにそれを責める気にはならなかった。

 

 ()()()()()()()()プライベートでの彼女は家事料理が得意だったり意外に寂しがりだったりと普段の姿を知って、いつの間にか彼女を目で追うことが多くなった。

 

 そこでやっと自分の気持ちに気付いた。それからというもの一人の女性として見るようになって協力を今までの以上に惜しまなくなっていった。

 

 企業の弱味を握れるきっかけをくれ、彼女と引き合わせてくれた友人(ベルリバー)と彼女を巡って何度も勝負をすることになったのは当初の俺からは想像できなかったが、悪くないものであった。

 

 そして、企業がより支配を強めるためにある計画が進行していることに気付いた。

 

 ほぼ全てのインプラントされている人類が電脳世界でどのような人物か管理した上に良いように洗脳する恐るべき計画。

 

 企業の企てていたのを阻止する最後の戦いは彼女のおかげで勝利を得た。

 

 

 

 

 

 

 思い出される清濁合わせた多くの出来事。

 

 

 

 

 

 

 そのすべてが宝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 取り戻す必ず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絶対に失敗は許されない。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・アレ、クサビガ ヨワク? ヒサシブリノ 

 

 

  

 

 

 

 チカラノコウシデ ニブッタタ 

 

 

  

 

 

 

 マァイイ コンドハ トケナイ ヨウニシヨウ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間。さっきまであったあたたかい気持ちが黒い霧に覆われ、思考が冷静になったかと思うと冷酷な計算を弾くようになった。そして、その作戦の懸念材料であるナザリック。

 

 目の前には自分に従うであろう悪魔。

 

 「デミウルゴス。お前はナザリックと俺。どちらの命令を優先する?」

 

 「ウルベルト・・・様。それは・・・一体」

 

 自分の言葉に悪魔は動揺を隠せてなかった。これでは余り直接的な協力は期待はできないだろうと彼は考える。そういえば、自分がメインに担当した階層には他にも悪魔がいたはずだ。

 

 「お前、いや、お前たちに頼みたいことがある」

 

 ウルベルトの瞳から人間性がなくなり、本物の悪魔となってただの命令としてではなく情に訴えるのを計算してデミウルゴスに問いかけた。

 

 

 

 

 

 

 ・・・ククク コレデヤツハ トマラナイ ダガ 

 

 

 

    ネンノタメ ハヒツヨウカ      

 

 

 

 

 

 

 

 

      ニガサナイ

 

       

 

 

 

 

   ササゲロ オオクノ タマシイヲ

 

 

 

 

 




 今回の話でレイナが超人的な身体能力持ちの一部がわかったかと思います。(・・・だといいな)

  その辺の実力や関係も本編で出せたらなと思います。

 




 やっちゃった感がありますが・・・大丈夫かなぁ



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