オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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48.戦乙女と六腕2

 

 

 

 リ・エスティーゼ王国。200年の歴史を持つ国のメインストリートと呼べる所では行き交う冒険者や彼ら目当ての商人で溢れ今日の献立を考える主婦が散見し、賑わっているように見えるが、少し道を外れれば今の王国の実情を知ることができるだろう。

 

 そこから別れた道はさっきまで人が溢れていたというのに。人はまばらで、全くいない何てこともある。道を挟む建物の多くは戸締まりされており哀愁さえ漂っていた。

 

 原因は昨今の不景気である。如実に現れてきている所では、ポッカリと人が住まない地区まで存在し、どこぞの裏の組織が違法な商売をするにおいて、潰されても新たな場所を確保するのに困らないときた。

 

 先日レイナとセバスが八本指の幹部を取り逃がしていれば彼はすぐにいなくなった店員(八本指が人拐いで確保している者や金貸しでの不当な契約で騙した者から)も含めて補充して商売を再開していただろう。

 

 年々人が減っていく王国は彼らからしても旨味が減っていくので最近は景気の良い帝国へと勢力を伸ばそうとするが、今のバハルス帝国の王やその配下である兵士が優秀なためにうまくいっていない状況である。

 

 商人だけでなく一般市民も王国(ココ)では成功ないし、生活できないと他国の、よりにもよって絶賛戦争中のバハルス帝国に取られていく事態で閑散としており、人がいなくなる。残った者の負担が増える。またいなくなる。貴族は市民が逆らえないことを良いことに私腹まで肥やす始末で横暴に耐えられなかった市民が流出するという負のスパイラルに入っているのが今の王国である。

 

 黄金の姫が発案した依頼に関係なくても討伐したモンスターの証拠を持ってくれば給金を得れるようになってからは冒険者候補や冒険者自体、彼ら相手の商売人で人も増えたが、流出が緩やかになっただけで着々と王国の力を削り、今のままでは遠くない内に財政破綻、その前に勢いの衰えないバハルス帝国に負けて吸収されるのは明らかであった。

 

 何千万人いるからと悠長に構え、1人また1人といなくなっていけば、最後に待っているのは破滅である。民の損失は国の損失とはよくいったもので、それがわからずに私腹を肥やすのに一生懸命な貴族。

 

 その事に優秀な貴族たちは頭を抱えて、そんな一部の王国の赤字に拍車を掛ける貴族たちに嘆いている。

 

 「貴族どもめぇ!何が腰抜けだ!少しは王国の現状に目を向けてからものを言えぇぇぇ!」

 

 「はいはい。あまり怒鳴るとお腹の子にさわるわよ。あとこっちの書類に記入されている算出が・・・」

 

 「す、すまん・・・。ううむ?数値が合わんな・・・また貴族か?」

 

 「いえ、どうも物が高騰しているようですよ。帝国との間にある上に今もやっていることですからね。ここの採石場の需要が増えた弊害でしょう。最近出来たこちらの採石場の物が安いですし、場所も近いので運搬にも困りませんね」

 

 「うむ。質に問題ないか調べてみんとな。折角整えてもすぐ壊れるようでは意味がないからな」

 

 それでもゴッソリいなくなれば、どこぞの帝国同様に困るのは明白なので、彼らをまとめるのに苦心している王国の第1王子が、この現状を知ったときは頭痛を覚え、キリキリとした胃痛に頭皮が抜け落ち、酒と補佐する形で妻(ベッドに寝たままで無理はさせないと執事やメイドの監視を受けながら)に逃げたのは言うまでもない。

 

 妻から別紙の採石場の資料を受け取り、流出した人を呼び込み易いように王国の整地を進めるに必要な費用やそれらに関する報告書を読んでいく。費用の集まりは悪いが、有力な貴族からは、賛同の声が多く寄せられ、人手も集まって来ている。足りない分の費用は今まで溜めるだけ溜めた屋敷の金庫( ポケットマネー)から持ってくれば良いだろう。

 

 今は赤字でも、うまいこと軌道に乗り、成果も出てくれば、今も資金を出し渋る貴族たちも話に乗ってこらずにはいられない筈である。まだまだ残る貴族の説得や街道の安全などの多くの問題を抱えたまま夫婦で、二人三脚の夜は更けていくのだった。

 

 

 

 そんな人が住まなくなった街の一角に山羊頭の悪魔ウルベルト・アレイン・オードルはいた。ここに来る前に見た大通りの活発な様子とここを比べて分かりやすい栄枯衰退を感じながら、彼は手がつけられていない建物に入っていった。

 

 昔の住人が残していったものだろう朽ちた家具はあるが、埃が舞うだけで軽く掃除すれば充分暮らせそうであった。ナザリックの者が知ればこんなところは相応しくないと怒るだろうが・・・。

 

 しかし、リアルの世界でこれ以上に悪い環境にいた彼からすれば、ここは全然許容範囲であった。外の空気が汚染されていないからこそだがとリアルを環境を思い出して自嘲する。

 

 丁度良さそうな場所を見つけた彼は懐から像を取り出す。それは彼が何度も試行錯誤を繰り返して作り上げたかのワールドアイテムを模範して作った自信作・・・それの最後の像の設置が終わり、念のための隠蔽魔法を唱えてた。

 

 あとはタイミングを図るだけだと、ウルベルトがこの場を後にしようとしたその時。

 

 「なぁ、本当にやるのか?」

 

 壁越しに聴こえてきたその言葉が、今回の事で信頼しているベルリバーにも言われた言葉と重なった。

 

 ここへ来る前にも何人もの仲間に言われた言葉だ。様々な言葉があった。気にかけるものから、止めようとするものまで。前者は慰めているのはわかるが、諦めろと言外に言われているようで後者に関しては殺意が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それら全てを煩わしいと振りきってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・なのにどうしてこんなにも気になるのだろうか?今更止められないのにと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 治療が終わったにも関わらずに、聞いたことのある童話の眠り姫になった彼女。てっきり悪い夢を見ているかと思えば、自分が知るアインズ・ウール・ゴウンと一緒に彼女はファンタジー世界で生き生きとしていた。

 

 リアルではほとんど見たことのない柔らかい笑顔を浮かべる彼女を見るたびに胸が苦しくなる。このまま方がいいのではないか?と考えて首を振る。いくらいい夢でもそれはリアルではないと正当な主張に隠れて本音が洩れる。

 

 俺は彼女と生きたいんだ。夢だろうと誰にも彼女を渡したくない。それはあまりに強い独占欲。何故かいるモモンガ。さらに苛つかせるのは2人の距離が近いことだ。根拠のない只の勘ではあるが。

 

 遠回しに聞いてみようとしたが怖くて出来なかった。こんな所でも女性に対して臆病な部分が出てくることに苛つきが際限なく募っていく。

 

 彼とはユグドラシルを辞めてからは全く会ってもいないし、メールも見るだけで返信するのはごく稀であった。そのため次第に彼からのメールも減っていった。

 

 そして、ユグドラシルの最後に集まろうと言うメールも読んだが、理由はどうあれ放置した気まずさで会おうとはしなかった。

 

 その罪悪感が躊躇する理由なのだろうか?いや彼女が一番だが彼もそうだ。

 

 あんなに楽しかったのはユグドラシルを辞めてからはなかった。生きるために遊ぶことが出来なかったウルベルトがそれを取り戻すようにのめり込んだオンラインゲーム。

 

 楽しいことも気に入らないこともなったが、あれほど感情をぶつけてきたものはなかった。勿論やり過ぎれば非難が飛ぶが、アインズ・ウール・ゴウンの人数は、100人を越えるギルドがザラであった中でも、41名と少なくまともな者もいるが変わり者たちも集まっていたが意見の衝突で殴り合いの喧嘩に(主にリアルエリート様相手に)発展したりもするが、不思議と問題になる事はなかった。

 

 いや、あの時だけは本当にキレた。時代はギルド結成前のクラン時代に(さかのぼ)る。アイツはそんなつもりはなくても、放った言葉で仲の良かった奴がゲーム上からも居なくなったときは、本気の本気での大喧嘩になったが、体力も精神も出し尽くして2人して大の字に倒れていた。

 

 「はぁ・・・少しは正義の・・・はぁ・・・押し付けは、こりた・・・かよ?」

 

 「ぐっ、わかっていた・・・さ。彼女にも・・・ふぅ・・・言われてたのにな・・・今度・・・謝罪の・・・メールを・・・送ろう」

 

 「なんだ?奥さんに・・・でも相談・・・した・・・のか?」

 

 「ちが・・・うさ。昔からの知り合い・・・さ。今回の事もウジウジしない・・・で本音を・・・ぶつけ・・・て話し合いなさい(殴り合え)ってさ」

 

 「随分と・・・豪快な・・・事を・・・言う女だな?聞いてた奥さんとは・・・違うタイプ・・・浮気か?感心s「違う!」・・・そうか・・・よ」

 

 ただでさえ、何故か怪しまれているんだからな!変な誤解を生むようなこと言わないでくれ!とぶっ倒れていたのが嘘のようにガバリと立ち上がり叫んでいた。

 

 その時にはもうシリアスな雰囲気は吹っ飛んでいた。

 

 話を聞いていた他のメンバーが集まってきて「まぁまぁ、落ち着いてください」と「やっぱたっちさんも男なんだねぇ。奥さんいるのによくないですよ。今度いいエロゲがあるんだけど紹介しましょうか?」「え?そういうこと?・・・マジですかたっちさん」「愚弟は後で話な。「姉ちゃんそりゃねぇよぉぉ!?」たっちんも少しOHANASIしようか?あっちでやまちゃんも拳を鳴らしながら待ってるよ♥️」と当初から仲介が板についていたモモンガには落ち着くように言われた後にエロゲ馬鹿のペロロンチーノの余計な言葉に女性陣共々冷たい視線を向けられ、「ご、誤解だぁぁぁ!!」と取り乱すその姿からはエリートの面影はない。只の妻の怒りに怯える恐妻家でしかなかった。

 

 珍しく口論の果てに向こうから殴りかかってきたかと思えば誰かにそれも女に助言をしてもらっていたらしい。会ったこともない女。この正義馬鹿を戒めるんだから、少し興味が湧いて問い質すが、頑なに教えてくれることはなかった。そんなだから浮気だの疑われるんだと呆れる。一気に騒がしくなる光景は今でも鮮明に思い出せる。

 

 後日、最初は無視していたたっちの謝罪メール何度も迷惑にならない程度に送られてきて、それを読んだクラン時代の友人から元気にしていることを伝えられてた事もあり、殴り合ったためかそれ以上引き摺る事もなかった。

 

 それどころかオフ会で会ってみれば、住むところが近いこともあり、一緒に飲むことが増えた。相手は国の犬の警察組織のトップでこっちはテロリストだというのにだ・・・。不思議な関係は長い事続いた。

 

 それから時は経ち1500人との戦いが終わった頃。しばらくしてあいつも仕事が忙しいとユグドラシルを離れて、次きたときには引退を表明した。奴はどこか晴れやかで満足して去っていった。

 

 張り合う奴がいなくなれば寂しくもあり、その時期はベルリバーの失踪や彼が残した証拠をどう活かすかで、とてもではないがゲームをするわけにもいかずに、自分もそう時間をかけずユグドラシルを引退する事になった。

 

 ゲームだと馬鹿にされるかもしれないが、あの世界ではそれぐらいしか娯楽もなかった。楽しい事もあり、怒り(特に運営に対して、運営からすればプレイヤーからのヘイトを稼ぎ課金を促す策略だったのだろう)悲しむ事もあったが、ユグドラシルの冒険はこの停滞したリアルの癒しで、そこで生まれた仲間たち。

 

 誰がなんと言おうと最高のギルドは?と聞かれればウチだと言い切れるだろう。

 

 中でもよく気が合う者たちの1人であるモモンガは、いつか話したリアルでの事情も自分に近い位置にいる。彼と交わした魔法談義は新しい発見で眼から鱗だった。それを抜きにしても善き友であった。

 

 (そうだ。俺は何を・・・。昔の仲間(モモンガ)を裏切るだけでなく、アイツ()今も仲間(隼人)も巻き込んでしようとしていることは、一番避けたいことではないか?)

 

 つい感動のあまり抱きついてしまったのを思い出して、羞恥心が湧くが、彼女の初々しい反応を疑問に思うも、それ以上に一度だけ見た悲しみに暮れる彼女の顔が頭に(よぎ)る。

 

 (アイツを悲しませることだけは絶対にしないと誓ったのに・・・今からでも遅くないな。隼人やデミウルゴスに中止のメッセージを・・・)

 

 また回収するのが面倒だが致し方ない。色々考えている内にも聞こえてくる会話は続いている。声の主たちは隣の部屋にいるらしく防音など考えられていないのか、建築する際に手を抜いたのか、老朽化か、声が嫌というほど聞こえていた。

 

 「当然だ!あいつらのせいで俺たちは晒し者だぞ!このまま黙っていられるか!!」

 

 どうやら制止の声をかけた主の説得は無駄になったらしい。本来声をかけられたであろう男は癇癪を起こして声張り上げた。どこにでもそういう男はいるのだなと、呆れながら冷静にメッセージの魔法を発動しようとして・・・。

 

 この時、男が何も発言しなければ、彼らにとって最悪の事態は避けれたかもしれない・・・。

 

 

 

 

 

 その運命はここにウルベルトが来た時点で決まっていた。

 

 

 

 

 

 「あの()()()()だけは許せねぇ!」

 

 (っ!?)

 

 発動しかけた魔法をウルベルトは止める。次には心中は凪ぎのように静まり耳を傾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼は気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の内にいるもう1人の悪魔が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嗤うのを。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 レイナたちが庇った子供を痛め付けていた彼らは、王国を拠点にするワーカーと呼ばれる集団だった。冒険者の落第組と言われる集まりだ。ギルドのサポートがないなどがあるが、その分うまくいけば仲介料が浮く分儲けも多いのが特徴である。

 

 しかし、その気性はお世辞にも良いとは言えず、まともなワーカーたちがいるなかでも悪評の原因を作る存在であり、彼らも他に洩れることなくそれらのワーカーであった。

 

 最近入った若い青年を除いて。金髪を短く切って、買ったばかりの皮鎧とロングソードを帯刀した彼は笑顔であれば、爽やかかもしれないが、今は曇って溜め息を吐いた。

 

 彼が王国に来たのは村を飛び出して冒険者になるための他にも理由があった。それは昔、生活苦に両親は娘を、彼にとっては妹を身売りに出した。その妹を探すためでもあった。

 

 仕方かなったとはいえ、娘を愛していた両親は生活が安定してくると罪の意識で(さい)なまれながら生活を送っている。この世界では良くある話だ。ある者は貴族に拐われ、恩師に学んだ魔法を手に行方がわからなくなった姉を探すために彼と同じく冒険者になった。

 

 苦しい生活の中でも可愛がっていた妹を両親に売られた者は絶望で人間不信になり、投げやりな人生を送って、しまいには傭兵を名乗りながらも戦時以外は野盗という集団に身を寄せた者。

 

 生き別れた妹を探すのが望みは薄くても青年は決意した。両親からも妹を頼むと頭を下げられ、いくら最近は生活が安定したとはいえ苦しいことは変わりないのに僅かにあった銅貨を袋いっぱいに寄越してくれた。

 

 ・・・が踏み出した一歩は王国に入ってすぐに(つまず)く事になる。

 

 「まさか登録に銀貨がいるなんて・・・さらに記入の代筆も・・・」

 

 畑仕事を手伝う傍ら鍛えていた彼は、情報収集を行っていなかった。風の噂で聞いた事を聞き、録に調べなかったのも災いしたが、ほとんど身内以外は閉鎖的な田舎なのだから調べてもわからなかったかもしれない。

 

 カルネ村みたいに両親から文字を習ったり、都会からくる幼馴染みでもいれば話は違ったのだろうが、今更、田舎特有の情報の少なさに嘆いても仕方ない。冒険者になるには登録料がいることを知らなかった彼にとって剣と防具を買ってしまい余裕がないことに気付いた。こんなことなら先に冒険者ギルドへ来るんだったと後悔しても遅い。

 

 残念ながら、冒険者でもない彼にはエ・ランテルであったように、困った人に声を掛けてくれるような人の良い冒険者チームは現れなかった。

 

 「すみません。また来ます・・・」

 

 「そうですか。では良けれ・・・あ、あのっ」

 

 冒険者ギルドの受付でお金がないことに頭を垂れて、さすが王国のギルド。混んでいるにも関わらず受付をしてくれた娘に謝った。さらにショックを受けていたためか、受付嬢が呼び止めようとしているのに気づかなかった彼はギルドを後にした。

 

 実際田舎から多くくる者は最初の登録料や文字が十分に書けない事を理由に代筆料で躓く事が多い。そのため冒険者ギルドでは、日銭を稼げる仕事も斡旋したりしていたのだが、青年は気付かない。受付嬢も不憫に思いながらも、すぐに依頼を受注にきた冒険者がいたので、追うことはしなかった。

 

 「はぁどうしようかな・・・。とりあえず今日はもう日が暮れるし、どこか眠れる所でも探そう・・・」

 

 「おい。そこの坊主ちょっといいか?」

 

 「はい?」

 

 空の夕暮れを見ながら今日の寝床を考えて呟いた。幸い王国は建物が多いので田舎よりも暖かいので、どこかで寝るには困らない。

 

 ギルドから出て、少し歩いた先で彼に声を掛ける者がいた。彼の前に現れたのはワーカーを名乗る者たちで、人手が足りないからと、誘われた。

 

 途方に暮れていた彼は助かったと思い男の誘いに乗ってしまう。確かにお粗末な飯でも寝床を提供してくれたのは嬉しかったが今では後悔しかない。

 

 その役割は只の駒使い。度々買い物で問題を起こす彼らが、青年の人が良さそうな顔を利用したのは明白であった。

 

 (今日はえらく機嫌が悪いと思ったけど、まさか子供相手に・・・。止められたのだって自業自得じゃないか・・・)

 

 冒険者にはポーターというのがあるのだが、冒険者間では常識ではあるが、社会的にはあまり認知されていない。パーティーを組んでいない見習いで、単身の冒険者が現存のチームの荷物持ちとして依頼に同行し、手取りは少ないが、そのノウハウを実践で学べるのである。

 

 実際、知らないと馬鹿をみることになる知識や技術は糧になった。それに関しては確かに感謝している。田舎者の自分に世界の常識を教えてくれたのもの彼らだ。

 

 取り分は少なくても田舎でせっせと畑を耕すよりも貰えるお金は多い。腐ってもワーカー。冒険者ギルドの支援なく生計を経てている者たちであった。お金に目が眩みそうにもなった。

 

 だが、前記したように彼らの素行は決して誉められたものではなかった。いいカモを見つけては、因縁を吹っ掛けてお金を要求する姿や度々市民との間で問題を起こすのを見て目を覚ますのだ。それらでマイナスへと傾くのだ。

 

 割りきれれば楽だったのだろうが、青年には出来なかった。

 

 この王国に来て買い物先で起きたトラブルを(万引きやスリ)解決したことで親しくなったお婆ちゃん店主に、話せる範囲で経緯を話すと心配してくれたが、言われた通りにすぐに抜けてしまえば良かったと此度(こたび)の件で完全に愛想が尽きた。

 

 恩義もあったがここまで来れば青年も目を覚ます。このまま付き合っていたら、いつしか自分も彼らのようになるかもしれない。

 

(それだけは駄目だ!妹に会ったときに顔向けできない!)

 

 この時に青年はここを抜けることを決意した。簡単ではないだろう。もしかしたら、ケジメとして何を要求されるかわからない。

 

 若い青年はその騒動があったのを後で知ったのだ。当時も行きつけのお店で買い出し、帰ってきてみると、そこにワーカーたちの姿はなかった。

 

 どうしようか悩んでいると、彼を待っていたらしいワーカーの1人が何故かこそこそと建物の間からこちらを手招きしており、さらに自分の姿を見た普段は見てみぬ振りをする市民の様子もいつもとは違うのを感じた。

 

 居心地が悪くなった青年はその手招きに誘われるまま、拠点を移したところへと案内される。

 

 閑散とした地区でほとんど人気がないところであった。そこではリーダーが人がいないことを良いことに物に八つ当たりしている姿で何がったのかも聞いた。

 

 青年としては、子供を助けた2人に思うところはない。逆にコイツらと一緒でなければ拍手喝采で称賛したい位であった。

 

 リーダーが復讐しようとしていることに他のワーカーも、(買い出しに出る前まで見たことのない奴も交えて)賛同し始めたので、忠告したが止めれそうにないと悟ると本日何度目かの溜め息をつく。

 

 (ホントに後悔しかない。・・・幸いアテもできた。王国最強の戦士長がいる戦士団員募集をしていたはずだ。腕にも自信があるし、行ってみよう。駄目でも相談くらいはできるかもしれない)

 

 後悔は後に立たずだが、クヨクヨしていてのしょうがない。かの王国戦士長の人柄も聞いていた青年は戦士団は無理でも何かしらの仕事を紹介してくれるかもしれないと(わず)かな望みを託すことにした。

 

 離反することを今言うのは得策でないことがわかる彼はその場を後にした。時間をおいて、少しでも頭を冷やして、出来れば報復の件も諦めてくれたらと思わずにはいられない。

 

 そうして、只のポーターいや、パシりがいなくなったことに誰も気にしていなかった。

 

 それが彼の命運を分けた。

 

 青年がいなくなっても話は続く。

 

 己たちの命のカウントダウンとは知らずに。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 「いや、しかしあの女にはビックリしたなぁ」

 

 「そうだなぁ。あんな美人が存在するなんてな。チラッと見たことがあるんだが、あの黄金と良い勝負・・・いや大人な分勝るかもしれん」

 

 奴等の話は最後に当時の事を振り返り、その声は下心が含まれており、同じ女性が聞いていれば鳥肌が立っていただろう。

 

 ウルベルトに怒りで沸々と腸が煮えくりかえっていた。自分の知り合い、それも特別な女性に向けられているだろう言葉に、怒りを感じない男がいるだろうか?

 

 いや、いない。

 

 「しかし、勿体ないことしたなぁ。リーダー知らなかったとはいえ・・・」

 

 「ああ、あんなにいい女なのにな」

 

 さっきまで騒いでいた奴等が、急に責めるような視線を向ける。そこにある感情はその女性に対して心配とかではなくただ

勿体ない物を()()()()()()()()()()ことへの視線であった。

 

 「顔を蹴りあげるなんて、折角の顔が傷でもついちゃ台無しになっちゃうとこだったぜ」

 

 (!?)

 

 その言葉を聴いた瞬間。ウルベルトに待ったをかけていた理性が吹き飛んだ。

 

 コイツラハ ナンテ イッタンダ?

 

 それでもウルベルトは我慢した。ナザリックで無闇に人を傷つけないという愛する者と仲間の言葉があったからだ。握り込んだ両手に血が滴り落ちていても。

 

 「ふん。俺の鬱憤(うっぷん)を発散するのを邪魔したあの女が悪い。それに、少し傷があるくらい問題ねぇだろ」

 

 「リーダー言う通りだな。ああ、早くオモチャにしてぇ!」

 

 「まぁまずは人質だ。子供なんてどこでもいる」

 

 悪びれもせずに助長し、さらに、犯罪を肯定し、高笑いする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悲願を叶えるのに最高の駒。

 

 

 

 

 

 

 

 ホ・・・ボ・・・ス

 

 

 

 

 

 

 

 何故か解除される異常事態(イレギュラー)

 

 

 

 

 

 

 

 オレノ・・・ ンナ ヲ 

 

 

 

 

 

 

 

 何かあるのかと保険もかけたのは正解だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 キ・・・ツケル ヤツ・・・ハ

 

 

 

 

 

 

 

 

 強い力を持つのだ。抵抗は予想していた。

 

 

 

 

 

 

 

 だがついに。

 

 

 

 

 

 

 ホロボス!

 

 

 

 

 

 掌握した。

 

 

 

 

 

 

 

 フハハ! 凄イ パワー ダ! 

 

 

 

 

 

 

 喜ベ 下等生物(ニンゲン)

 

 

 

 

 我トイウ 高位ナ 存在 カラ

 

 

 

 

 

 感謝サレルコト程 光栄ハナイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 悪魔は数百年ぶりに愚かな存在に感謝した。

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 何が起きたのか彼らは理解出来なかった。

 

 騒がしくなった王国を警戒して、数人で門の周辺を巡回していたのは覚えている。

 

 そこへ近づく2つの影。先を見通せるように等間隔に置いたかがり火しかないがハッキリと確認はできた。先にここは通行止めだと近付いた仲間がパッタリと倒れ動かなくなった。

 

 「く、くるな!ここが八本指が守る所だと知っていての・・・!」

 

 未知の恐怖に言ってはいけない組織の威光を振りかざすが効果などなく接近を許し、火に照らされた正体の1人が屈強な老人でもう1人がとんでもない美人だとわかる前に仲間が次々とやられ、残ったのは門の前にいる自分ともう1人しかいないことに気づく。

 

 そうだ。口頭だが確かこんな2人組には気を付けろと言われたんではないか?目の前には丁度そんな外見をした存在(バケモノ)がいた。

 

 「「ひっひぃぃぃ!?」」

 

 恐怖で我を忘れた門番は役目を忘れて、守っていた重厚そうな扉を開くと中に逃げ込み鍵をかける。緊張が解け・・・

 

 

 

 

 

 

 

 ない。

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()あの2人を止めれるのか?

 

 

 

 

 重厚な扉が酷く頼りなく感じる事に愕然(がくぜん)とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼らの本能が言ってくるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 逃げろと。

 

 

 

 

 

 

 何故そう思うのかと考えるまもなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふむ。それにしても拳のキレがいつも以上に感じますね」

 

 「また強くなったんじゃない?頼もしいわ」

 

 セバスが自分の手を見つめて感慨深く呟きのを聞いたレイナが剣に手をかけながら答える。逃げた門番など眼中にないとばかりに、気負いなど感じさせないやり取りをしながらも門の前に立った2人の行動は早かった。

 

 それはノックというにはあまりにも規模が違った。

 

 セバスの拳が。

 

 レイナの剣が。

 

 重厚そうな扉を閉めた門番(衝撃で気絶)ごと木っ端微塵に吹き飛ばした。

 

 「どうやら相手方もある程度備えていたようですな」

 

 「情報は洩れたのか、切れ者もいるのか。どちらかしら?」

 

 ダイナミック入場を果たした2人の前には、蟻の巣をつつくように八本指の勢力がゾロゾロと集まってきた。その中心には、心なしか顔を青ざめる4人が(1人は全身鎧で確認は出来ず、もう1人はアンデットなので元々顔色が悪いが)おり囮作戦は一先ずの成功をしたようだ。

 

 

 

 

 

 




 王国の現状はアニメでほとんど人気がないところが多かったからなんですが、かなり広いですが空き家も多いのかなと思ったので横暴な貴族や物価の上昇で移民というか、亡命?でそんな感じに。セバスが子供を助けたあとにクライムが追っていったところとか。

 第1王子は命は助かったかもしれませんが、頭皮と胃が瀕死に・・・。

 「うおおおおおおおぉぉぉ!!」

 丸太を背負い愚かな貴族に突撃するバルブロの図。

 バルブロと聞くと響きが似ているあのMHWIのあのモンスターを連想してしまう・・・。

 分割したのはいいのですが、修正していると文が増えて×2しまい編集が追い付かん・・・。

 
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