オーバーロードとヴァルキリー   作:aoi人

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6.戦乙女と陽光聖典

 

 

 愚か者がきた。

 

 そう簡単には思えなかった。

 

 こちらは数十人以上、ガゼフたちによって天使の何割かは倒されてしまったが再度召喚させることでその補填も行え、隊員たちもまだ余力が残されている。それに引き換え相手はたったの4人、今は見えないガゼフをいれても、死に損ないだ頭数にもならん。だが、だがしかし

この拭えぬ不安はなんだ。ニグンは冷や汗をかき、彼らを見た。

 

 「な、なんだ。貴様らは・・・」

 

 絞り出したように言えたのはそれだけだ。

 

 「私はアインズウールゴウン。旅のマジックキャスターである。この度はガゼフ殿の助太刀にきた」

 

 「同じく旅人のレイナ。この村で世話になっていたものよ」

 

 代表するように黒のマジックキャスターと白の旅人が前に出て答えた。後ろに控える2人は挨拶をしない、従者なのだろうか、静かにこちらをみたままだが闘志は抑えていない。

 

 「ところで、つい最近この村を襲う者たちがいたのだが・・・」

 

 「貴殿の差し金か?」

 

 「そんな兵士知らな「嘘だな、私は一言も兵士だとは言っていないぞ」っ!?」

 

 普段は絶対にしない凡ミスにニグンは自分がどれほど追い詰められているのかと考え、いつの間にか女の手には剣が握られニグンへと向けられる。距離があるはずなのに、それは目と鼻の先にあるように感じられた。

 

 「たまたま私や彼が居なければ、奴らはこの村を襲い少なくない人が命を落としていただろう。聞けば、すでに奴らは多くの村を襲撃した後らしい、綠な理由でないだろうが一応聞いてやる」

 

 「貴様、我が神の教えを愚弄するか!?」

 

 綠な理由。そう言われた瞬間ニグンは怒りが振り切れ、口を発していた。世に平和がもたらされることを、そのためには王国戦士長ガゼフが邪魔であると、いわく、村への襲撃はそのための必要な犠牲だと

 

 「「本当に綠でもないな」」

 

 男と女が同時にそれを否定する。

 

 「平和への必要な犠牲?否、否だ!何故彼らが死ななければならない。なんの罪もない一般人だぞ」

 

 「貴殿が言う神がなにかは知らないが、私たちからすれば邪神としか思えんな」

 

 「我らが神を否定するだけでなく言うに事欠いて邪神だと!?、全天使によって攻撃し、奴らを殲滅せよ!」

 

 

 レイナ、アインズの言葉にニグンは目を充血させて叫んだ。ニグンの指示に彼らは天使へ向け、攻撃指示を出す。天使たちはその槍を2人に突き刺す。

 

 「効かんな、そんなものか」

 

 「姿は似ている上位種という訳でもないようね」

 

 槍は2人の得物で止められ、2人には全くダメージがないことにニグンやその部下が慌てる。

 

 「少しは楽しませて貰おうか」

 

 「ちょうど色々試したかったし、切ってもいいのがたくさんいるわ」

 

 「そうですね。久しぶりの耐久戦といきますか」

 

 「アインズ様には一歩も近付けさせないわ!」

 

 ニグンは彼らが何を言っているのか分からなかったがそれからは悪夢であった。白い2人が飛び出すと次々に天使たちが討ち取られてゆく、2体だろうと3体だろうと彼らは止まることなく天使を一刀両断し、ならば、魔術師の方を狙っても黒の女戦士が天使も魔法も寄せ付けないまま、魔術師の放つ魔法によって殲滅される。

 

 あまりの殲滅力に召喚が間に合わないはずだが彼らはわざと動きを止め、こちらが召喚できるようにしている。

 

 アークエンジェル・フレイムがすぐに再召喚により、かれらを取り囲むが

 

 「たっち!」

 

 「いいぞ!レイナ!」

 

 レイナが空いた左手に攻撃を受け流す円状の盾をどこからか取り出すと白い騎士に声をかける。それだけで彼女がやりたい事がわかったのか、2人の行動は速かった。

 

 レイナがなんとその盾を天使に向かって投げつけた。盾はフリスビーのように回転しながら高速で天使に衝突。天使は一瞬で粉砕、さらに盾は止まることなく天使に当たった所で跳ね返りあらかじめ計算されたように次の天使へ向かい粉砕していく。

 

 「茶釜さんの十八番借りますよ!」

 

 軌道上に天使がいなくなればそこにいたには白の騎士。自分に向かってくる盾を難なく受けとると、強襲した天使を盾で横殴りに仕留めそのまま着地。

 

 「アインズ!(パターンD!)」

 

 「!(了解です!)。ダーク・レイ!」

 

 今度は白の騎士がアインズに叫んだと同時に、アインズの杖から漆黒の放流が白い騎士へと向かう。同士討ち!?と思ったとところでそれはすぐに打ち砕かれる。

 

 レイナが出した盾は魔法反射の付加がつけられ、ユグドラシルでは装備していると回復魔法まで反射してしまう使い処の難しい代物であったが盾としての性能も高く何よりフレーバーテキストに投擲用として使用可能であると書かれており、当然ユグドラシルではそのような用途には使えずにただ防御用であった。

 

 だがこの世界においてその性能は変質、盾の防御力はそのまま攻撃力となり、反射魔法はただ相手に返るだけでなくある程度指向性を持たせれるようになった。つまり

 

 騎士が、その射線上に腰を屈め盾を構えると付加された反射の魔法が発動。魔方陣が盾の表面から浮き上がりモモンガの魔法をそのモモンガ自身でなく反射屈折して天使に直撃!たっち・みーが構えの方向を変えるだけで周囲に集まった天使全てを凪ぎ払った。

 

 (たっち・みーに進められた昔の映画で見たことをやってみたけどうまくいったわね)

 

 (メッセージに次の動きを一枚の絵にして送るのは成功か)

 

 (うお、本当にイメージの通りになった。これは、他の魔法に対しても色々実験しないとな。まずは・・・)

 

 (くっ、さすがはたっち・みー様。モモンガ様と息がピッタリ・・・それに認めたくないけどあのレイナという女強い・・・)

 

 あまりの光景に聖光祭典は敵であるあれらの動きに愕然してしまう。それか、とうとう部下たちの魔力が切れ倒れていく。立っているのはもはや、ニグン一人数名の部下と数体の天使・・・彼は切り札を切ることにする。切り札を掲げるニグンを見ても彼らは動かなかった。

 

 聖光祭典の上空に光の化身が降臨する。

 

 魔封じの石、かつて魔神を倒した第7段位のドミニオン・オーソリティーを封じた至宝、ニグンに取ってそれは本当に最後の大逆転を機する手だった。そう、彼にとっては・・・

 

 「これが、かなんということか」

 

 「周りにいるのに比べれば強い方だろうけどね」

 

 「あなたたちみたいな奴らに操られる彼らが可愛そうね」

 

 「やはり、人間・・・不敬である」

 

 4人の前にレイナが一歩前に出る。それだけで天使が後ずさった気がした。

 

 「本来彼らはある神聖な場所を守るために存在するはずの守護者、それが、召喚した者の命令とはいえ、人を殺すためだけに行使されるのは見ていて辛いものがあるわ。だから・・・」

 

 レイナが言うそれはユグドラシルでは常識で、神聖な神殿などで彼らはたくさん存在し、プレイヤーたちを見守り、時には試練でプレイヤーたちを鍛える者たちである。そんな彼らが、命令とはいえ、人々を殺すことを運命だの必要な犠牲だのと言う邪教徒に逆らえずにいるのはレイナにとって可哀想に思えた。

 

 「あなたが言う正義試してあげるわ」

 

 剣をかかげる

 

 "ヴァルキリーの号令"

 

 その瞬間、天使たちが術者たちの操作を離れた。何が起きたのかわからなかった。ニグンもその部下も、天使たちは脱力したように槍を下ろすと、レイナの側に近づいて行く。しかし、それは攻撃しようとするものでなく、どういうことなのかそれはすぐにわかった。

 

 天使たちがレイナたちの側に留まるとその身体の向きをニグンたちに向け、その矛先を向けたのだ。

 

 空に浮かぶ天使たち。黒と白の4人に対峙する愚か者の図がそこにあった。

 

 

 「ばかなぁぁぁぁ!?貴様一体何をしたぁぁぁ!!?」

 

 あり得ない、あり得てはいけない。ニグンは頭がおかしくなるのを止められず叫ばずにはいられない。よりにもよって術者の制御を離れた天使がこちらにその矛先を向けたのだ。別の天使を召喚しようにも、見放されたように召喚に反応しない。ニグンが召喚した切り札たるドミニオン・オーソリティーさえその矛先を陽光聖典へと向けていた。

 

 「抵抗は無駄よ。諦めなさい」

 

 彼ら陽光聖典の実力を隠した上で数の上でも逆転されてしまったニグンたちは逃げることもできず、呆気なく天使たちによって捕縛されることになった。

 

 そして、その上空に亀裂が走ったのをレイナやアインズは見ていた。

 

 

 技説明

 

 ヴァルキリーの号令

 

 ヴァルキリーのクラス持ちで相手と自分のカルマ値でどちらがより善かでその場にいる天使モンスターを味方にできる。レイナはカルマは少し善寄りの中立なので彼女が言った試すとは彼らが本当にカルマがレイナより善よりなら問題なく使役できていた。

 

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