幻想結界録   作:アナタは

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あいぽんの中に眠ってたからそのままあいぽんで投稿。でも空白とか改行とか全部元に戻ってるんだけど。
これって仕様ですか?


第1話

 

 

 

 

 

幻想郷の守護者は?

と聞かれれば皆口を揃えて博麗の巫女である博麗霊夢と答える。

今代の巫女は稀代の天才でその才能は1を教えれば10どころか100を知る稀に見る本物だ。それどころか毎日欠かさず鍛錬を行い日々その恐ろしいまでの才能を伸ばしている。才覚も恐ろしいと言わざるおえないが何よりも今代の博麗の巫女は勘は異常だ。

それはもう未来予知の領域と言っていい。その神がかった勘に従えば全て上手くいく。

幻想郷に定着しているスペルカードルールにおいても、そうじゃない戦闘においてもこの直感があれば被弾する事は殆どないと言っていい。はっきり言ってチートだ。

それに胡座をかくこともなくひたむきに鍛錬に励み年頃の女の子相応に生活力も高い。

幻想郷の素敵な巫女さんそのものと言える。

 

しかし彼女は悪い意味でも良い意味でも幻想郷の、博麗の巫女として完璧過ぎた。

 

博麗の巫女は妖怪にも人間にも何者にも平等でなければならない。情に流される事は許されずどちらかに加担する事は許されない。

博麗の巫女は幻想郷の守護者だ。

だからこそ彼女は平等だ。妖怪も人間も平等に接する。そこに差なんてものはなく好意も嫌悪感もない。

無関心なのだ。

故に彼女の周りには誰もいない。

 

 

 

空を飛ぶ程度の能力

 

 

それはきっと素敵な能力だろう。

ただの一般人ならば空を飛べて素敵だと思うかも知れない。

博麗の巫女は常に宙を舞う。けしてその存在を、彼女自身に触れさせることなく舞い続ける。ふわふわとしていて掴み所がない。

それがどういう意味を持つのか。きっと誰も分かっていない。

 

 

 

完璧なまでに博麗の巫女をしている霊夢に隙なんてなくどこまでも完璧だ。

それでも彼女は、霊夢は十代の女の子だ。普通ならば学び舎に通い甘酸っぱくそしてほろ苦くもある青春を過ごしていたはずの普通の女の子。

 

友達が沢山出来たかもしれない。

帰り道に団子やおはぎを友達と食べる毎日を過ごしていたかもしれない。

 

けれども霊夢は博麗の巫女だ。

完璧なまでに博麗の巫女の巫女だ。

それはifの話であって霊夢が巫女でそんな未来は一生訪れない。

霊夢は捨て子でそれを幻想郷の管理者である八雲紫がその才能を見抜き巫女に育て上げた。幼い頃からその才覚の片鱗を見せていた霊夢に紫は間違いなく大成する事を確信した。それこそ大妖怪、そして自分ですら手が付けられなくなぐらいに。

そして同じぐらい間違いなく彼女は立派な幻想郷の素敵な巫女になる確信もあった。

そこで紫はどう思ったのか。

巫女に妖怪が蹂躙される未来を危惧したのか?その力そのものを危惧したのか?

全くなかった訳では無い。けれども紫にあったのはこのままでは霊夢自身の未来を確定付てしまうという親心に似たものだった。

 

霊夢本人はなんでもないと言うかもしれない。そして万が一にも己の巫女という確定された道に疑問をもってしまったのならば。きっと彼女は心を閉ざしてしまう。それでも霊夢であれば完璧に博麗の巫女をやり切ってしまう、そんな予感まである。幻想郷の管理者としては別に巫女として働いてくれるのであればそれでいいのかも知れない。

けれども紫はその事を良しとしなかった。霊夢にはその未来の可能性を狭めないで欲しい。1人の女の子として幸せになって欲しい。だから紫は考えた。

ならばせめて近しい者をもう1人用意すればいい。

傍に寄り添う者がいるというのはそれだけで心が軽くなるものだ。人間はいつだって1人では生きられない。分け合って助け合って生きていくものなのだと紫は正しく理解していた。

 

けれども霊夢は間違いなく類を見ない天才だ。そんな霊夢の傍に居れる人間なんてそれこそ変わり者か同じく天才ぐらいなものだ。

 

しかし紫には心当たりがあった。

確か人里には博麗の秘術とは別に結界を操る一族がいる。そこには霊夢と同じ歳頃の幼子がいてその子がとてつもない才能を持っているが故に同じ一族内でも毛嫌いされている、というのをちょっとスキマで覗いて知っている。

言ってしまえば紫の思惑は拍子抜けする程上手くいった。あの一族もこの子の扱いに困っていた所に引き取り手が現れたのだから当然とも言える。

よろしくね、と紫がしゃがみ込み目線を合わせる。そしてその男の子はなんでもないように言った。

 

「おねえさんがずっとおれの事見てたんだ」

 

あぁなるほど。

これは間違いなく化ける。これは予感ではなく確信だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社には巫女とその相棒である結界師が住んでいる。それは幻想郷の共通認識であった。スペルカードルールが定着した今幻想郷は昔に比べ平和そのものだった。何せ本当の殺し合いに発展する事は殆どなく大妖怪と呼ばれる知性ある妖怪達は皆スペルカードルールに従っている。

しかし知性を持たぬ小童妖怪の被害も少なからず存在する。幻想郷の守護者の看板である博麗の巫女は決して武力で訴えない。あくまで幻想郷のルールで妖怪を退治する。

だが稀に退治しても聞き分けがない者もいる。最初から残虐の限りを働く妖怪だっている。

博麗の巫女、霊夢は幻想郷のルールそのものだ。

ならばその相棒たる結界師は?

言えることはいつの時代も妖怪退治は人間の成す偉業だということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......んっ、もう擽ったいわ」

「悪い悪い。余りに綺麗でつい、な」

「あ、ん.......ぁ.......」

 

シミ一つない白い肌を優しく撫でる。

本当に綺麗だと思う。彼女の美しい銀髪も相まって何度目にしても見惚れてしまう。

彼女の口から漏れる甘い吐息。気持ち良さそうに自分の胸の中で身を捩り身体を擦り付けてくる様子が何ともいじらしくそれが何とも唆る。

触れば柔らかく匂いを嗅げば甘ったるく舌を這わせれば僅かにかいた汗が少ししょっぱい。

 

嬉しそうに俺の胸に顔を擦りつけてくるこの穢れを知らなさそうな少女は完璧で洒落なメイドを自負しているのだが、こうやって完全に甘えに来ている彼女を見ていると誰がどう見てもそうは思えないだろう。

そんなぱーぺきなメイドモードを見ているからこそそのギャップ萌えがまた堪らないのだが。

 

少女の腕が首に回る。俺の胸の中で俺を見上げる少女はそのまま触れるだけのキスをする。

嬉しそうに柔らかく微笑む姿が何とも可愛らしい。こういう所は年相応なんだよなぁと思いながら頭を撫でてやる。絹のような滑らかで柔らかい髪を撫でてやると気持ち良さそうに目を細める姿は猫のよう。

 

「今日はもう帰るわ。レミリアにもキレられそうだし。何より霊夢が怖いからなぁ」

「.......そうですね」

 

と言う彼女だが目が「もう帰っちゃうの?」と語り掛けてきてんだが。これ以上この少女、十六夜咲夜を独占しようものならば主人のレミリアが黙っていない。あれは幼稚だが咲夜の事を大事に思っている。心配ってのもあるんだろうが1番は嫉妬だろう。

お互いに服を着て部屋を出る。このまま帰っても良いのだが今日は帰りにレミリアに呼び出されているのでそのままは帰れない。

 

「お嬢様」

「お楽しみだったわね咲夜」

「いえ.......」

「余り虐めてやるなよ。確かに唆る表情なのは同意するが」

「.......」

「悪かったからナイフ下ろして」

 

いつの間にか軽く背中に押し当てられたナイフに背筋が伸びる。相変わらず時間停止とは恐ろしい。背中越しだから表情は見えないが実にいい表情をしているのだろう。だってレミリアがそんな感じの表情してるし。

 

何とか咲夜を宥めて退室してレミリアと2人きりになる。

紅魔館の主にして500歳になる吸血鬼、それが目の前の幼女の正体だ。

ちんちくりんなくせにカリスマを振りかざす姿は何だか微笑ましい。それだけ生きているのと吸血鬼故に申し訳程度のカリスマは持っているのだがいかせん上っ面だけで些細な事でそれは剥がれる。

 

「ねぇ」

 

ぞくりと痺れるような音色。

耳元で囁かれた言葉が全身を駆け巡りスパークする。見た目がちんちくりんなくせに伊達に500年は生きていないという事か。

その容姿でありながら色気すら感じさせるレミリアだがこれも吹けば簡単に剥がれる挙勢でしかないのだが挙勢もここまで来れば大したものだ。

それに揶揄うと直ぐに剥がれて拗ねてしまうのでここは流れに身を任せる。チロりと細く赤い舌を覗かせるお嬢様。

 

「お願い、良いでしょ?」

 

既に了承済みだというのにこの問答には意味があるのか。と言われれば意味はあると答えるだろう。

レミリアの悦ばせ方は分かりやすい。

 

レミリアの問い掛けに俺は答えない。それはあくまでポーズでしかなくその沈黙を肯定だと捉えたレミリアは背中のコウモリのような翼を羽ばたかせると俺の背中に回る。

チロり、と首にレミリアの舌が這う。

控え目にちろちろと舐められるのは実にこしょばい。

丹念に丁寧に。まるでマーキングをするかのように首を這いずり回る感触。

それを取り払うかのようにレミリアを軽く跳ね除けようとするが吸血鬼の力を人間の力で跳ね除けられるはずもない。

 

だがこれでいい。

これもあくまでレミリアを悦ばせるポーズでしかない。

 

チクリ、と僅かに首元に痛みが走った。

わざとらしくふらつき壁に手を付いて膝を付く。そこまでいくともう飛ぶ必要もないのだがレミリアは俺の首に吸い付くのに夢中なのかそれともわざとなのか分からないが離れようとしない。

それから暫くするとレミリアが離れた。

 

「ごちそうさま」

「こんな小便臭い男の血なんてろくな味しねぇだろうな」

「まぁ確かにあんまり美味しくはないわね」

 

なんだそりゃ。

毎回飲ませろって言うから飲ませてやってるのにその言い草は酷いんではなかろうか。まぁ男の血なんてそんなものなんだろう。

人間の俺には分からない味覚だが。

 

「けど好きよ。貴方の味」

「へーへーどうも」

「ふふっ。素直じゃないわね。なんなら私が.......あいたっ!?」

「魅了掛けてんじゃねぇよ。後千年経ってから出直してこい」

「なによっ!私がこれだけ誘ってるのに!バカバカバカ!」

 

子供かよ。

まあ見た目はまんま子供なんだが。俺はこんな初等部の子供を相手出来るほど歪んだ性癖は持ち合わせていない。

そっちの道の人ならばウェルカムなのだろうが残念ながら俺はノーマル。

吸血鬼換算でどう足掻いてもみわくのだいなまいとぼでぃになるには後数百年は掛かるだろうから絶対無理だろう。だって俺その頃には死んでるし。

 

 

 

 

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