旧約:とある戦士達の黙示録   作:一条和馬

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潜入!シメオンビル

 明朝。

 

 

 

 朝日がブラックスポットの荒野を照らし出したその時、シメオンビルから一キロ程離れた崖の上に、十二人の男女が並び立っていた

 

 

 アダム・ブレイド。

 

 クルスシルト。

 

 ギド。

 

 ディスク。

 

 内d「照山だ!」

 

 上条当麻。

 

 インデックス。

 

 高町なのは。

 

 ヴィータ。

 

 シグナム。

 

 スバル・ナカジマ。

 

 ティアナ・ランスター。

 

 

 

 

「………所で、」

 

 

 ふと、クルスが全員に向かって話しかける

 

 

「どうやって侵入しますか? どう考えても途中で妨害させることは解りきっていますし……」

「それは…」

「私達に…」

「…任せな。」

 

 

 上条、なのは、ブレイドの順に一歩手前へ歩き出す

 

 

「俺達が一度騒ぎを起こす。内田、その間にお前らはあの中に侵入してドンパチやらかせ。それで俺達も後から侵入するのが容易くなる」

「照山だ!……だが、その考えには乗ったぜ、ブレイド」

 

 

 そう言った後、クルス、照山、ギド、ディスク、ヴィータ、シグナム、スバル、ティアナ、インデックスの九人は崖の側面……斜面になっている道を進んで行った

 

 

「上条さん、ブレイドさん。私達も」

「ああ…」

「行くぞっ!」

 

 

 三人は同時に崖を飛び降りる。

 

 

「ちょっと待ってノリで一緒に飛んだけど意外と高い!」

「ハハハ! アホだな上田!!」

「わかってんのかお前も無傷じゃ無理っぽいぞブレイド!!」

「はぁ……レイジングハート!セットアップ!!」

『スタンバイ・レディ』

 

 

 ピンク色の光に包まれ、なのははバリアジャケットを展開し、落下する上条とブレイドをギリギリで支え、地面との直撃を防いだ

 

「全く、ブレイド。何故崖から飛び降りた? 危ないだろうが。」

「お前今のは格好良く飛び降りる場面だったろうが。……それに、この程度でくたばったら、アークライト所か、シメオンビル内部で雑兵の攻撃でやられかねんぞ」

 

 

 訳のわからない理屈を並べて気分で飛んだ事を隠そうとするブレイド

 しかし格好いいなら仕方ないな、うん。

 

 

「とりあえず、敵の誘導だね」

 ガチャリ……と、バスターモードになったレイジングハートを構えるなのは

 

 

「高町、後方支援、頼んだぞ。」

「任せて。」

「よし、出来るだけ派手に暴れようぜ、上田ァ!!」

「だから俺は上条だって……」

 

 

 上条が全て言い終わる前に、シメオンビルに向かって走り出すブレイド

 

「行くよ! レイジングハート!」

 ガシャン!! と、カートリッジロードされた音が荒野に響く

 

「ディバイィィィィン! バスタァァァァァァ!!」

 

 

 轟! と、ピンク色の魔力光が先行するブレイドの横を通り、シメオンビルの一角を“破壊”した。

 これが公僕のやる事か。

 

 

 感情に浸る間もなく、敵からの反撃がなのはを襲おうとする

 

「ッ!?」

 誰が放ったかは判断出来なかったが、一筋の雷光がなのはに向かって走ってきた

 

 

「させるかっ!」

 

 なのはの前に、右手を構えた上条が立つ。

 当然、雷光はなのはや上条にダメージを与える事なく、幻想殺しにより“消滅”した。

 

 

(あの雷光……確か前に同じような物を…)

(似ている……けど、まさかそんな……)

 

 

「表は任せた!!」

 上条となのはが困惑している中、ブレイドはシメオンビルの裏側、テスタメント等が、出入りする区画の前に来ていた

 

 

 

 

 

 

 

 シメオンビル……テスタメント、パワードスーツ整備区画のそこで、シメオンの社員達は慌てていた

 

 

 それもその筈、起床し、先程職場であるここで眠気眼を擦りながら作業していた彼らは、突然の衝撃(言わずもがな、なのはのディバインバスターが原因)にパニックになっていた

 

 

 

 しかも、そのパニックに拍車をかけるように……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちはーーーーッ!!」

 

 

 ドゴォ!! バキィ!

 

 

 

「!?」

 

 

 

 ゲートが、潰された。

 “トラックが突っ込んで来ても大丈夫”が売り文句の学園都市製のシャッターが、いとも簡単に下から強引に引き裂かれていく。

 

 

「なっ、何だ!?」

 

 

 社員の一人が焦りながらも状況を把握しようとする

 衝撃で砂ぼこりが舞い、それが止んでいく内に、一人の男の影が姿を表した

 

 

 

「あいつは……」

 

 

 社員の一人が銃を構えた

 

 

 

「お前ら! あいつは先日社長が言ってた神父だ! 生け捕りにしろ!!」

「そんな無茶な!」

 

 逃げ始める作業員に一瞥とくれず、銃を構えた社員が発砲した。

 ……が、銃弾は軽々と回避される。

 

 

「なっ……!?」

 

 

 驚愕で表情が固まってしまった社員に神父……ブレイドの拳が突き刺さる

 

 

「うがっ!!」

 

 

 ドサッ! と、地面に倒れる社員。

 忠誠心は見事なものだが、たかが拳銃一丁ではこの男は止められぬのだ。

 

 

(さて、一度言ってみたかったこの台詞を吐いてみるか……)

 

 

「……神の世界への! 引導を渡してやる!!」

「うっ……撃てぇ!」

 

 

 ドドドドドドドドッ! と武装した社員や作業員が次々発砲する

 が、やはりブレイドは全て避けた

 鋼鉄斬鉄やその他のフラグメントも使い、避けきれなかったものを叩き落としながら進むブレイド

 

「くっ! おいっ! パワードスーツかテスタメントを出せ!! こいつは生身じゃ勝てねぇ!」

 

 作業員の言葉の後、一人の社員が青色のパワードスーツに乗り込み、ブレイドに向かって近接攻撃を仕掛けた

 しかし、

 

 

「そんなガラクタでなぁ……勝てるわきゃねぇだろ!!」

 

 

 パワードスーツの左腕から繰り出された横振り攻撃を難なく回避し、

 

 ゴッ! と、ブレイドの右手がパワードスーツの頭の部分を鷲掴みした

 

 そのまま、彼は炎のフラグメントを使用し………

 

「ぎ、ぎゃあぁぁぁぁ!?」

 

 

 零距離リトルボーイを受けたパワードスーツは、そのまま破壊され、中の社員も一命はとりとめたものの、かなりの大火傷を負っていた。

 

 

「……なるほど、シャイニングフィンガーとはこういうものか……」

 違います。

 

 

 それはさておき、全くこちらの攻撃が効かない……という現実をやっと理解したシメオンの社員達は、ただただ突っ立っている事しか出来なかった

 

「我が世の春が来たぁぁ!!」

 

 

 

 ドゴッ! バギギッ! ガシャアァ!!

 

 

 目立つ様に暴れまくるブレイド

 もちろん、陽動の為である

 やややりすぎな気がしなくもないが、陽動なので全く問題ない

 

 

「ぐふっ……もう終わりか……」

 

 

 巻き込まれ、瓦礫の下敷きになった作業員の中に、ネックレスに仕込んだ妻の写真を見ながらその女性の名前を呟いていた男がいた。

 それに気が付いたブレイドは、

 

 

 ドゴォ!

 

 

「!?」

 

 

 彼に覆いかぶさっていた瓦礫を投げ飛ばし、サングラス越しに、ニヤリとほくそ笑んだ。

 

 

 

「戦場でなぁ! 恋人や女房の名前を呼ぶ時と言うのはな……瀕死の兵隊が甘ったれている台詞なんだよ!!」

「兵士じゃないですーーーーーーーーッ!!!!!!」

 

 

 ガガガッ! と壁が崩れる。

 そこに現れた道を通ろうとした時ふと、ブレイドは足を止め、倒れこんでいる作業員の耳元でこう呟いた

 

 

「ここは、お前みたいな善良な人間が居るべき場所じゃない。闇に足突っ込む前にとっととシメオンから離れた方がいい。お前の為にも、嫁さんの為にもな……」

「………っ! アンタ!?」

 

 

 

 作業員が振り向いた時には、神父の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ……ブレイドの野郎、やっぱり先に走ってったか……」

 

 

 ボロボロの格納庫を見ながら呆れる上条

 

 

「私達に後方支援を頼んだのは、この為だったんだね……上条さん、追いかけますか?」

「その方がいいな……」

 

 

 二人が内部へ繋がる道へ行こうとした時、

 ピタッ……と、上条が足を止めた

 

 

 

「………上条さん?」

「すまん高町。お前は先に行っていろ」

「?」

 

 

 疑問に思い問おうとしたなのはだったが、上条の真剣な表情から、触れない方がいいと判断したのか、そのまま内部に向かって走っていった……

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

 

 

 沈黙が、続く。

 

 

 

 

 

 

 

「そこに居るんだろ? 出てきたらどうだ?」

 

 

 刹那、轟!! という音の後、入口付近に一人の影が現れた

 

 

「………“また”女をかばって逃がしたってかァ? ヒーローも大変だねェ……最弱さんよォ?」

「……一方通行(アクセラレータ)

 

 

 

 そこには、白い髪で赤い眼の少年……学園都市最強の能力者、一方通行がいた。

 

 

「お前……何故こんな所にいる ?打ち止めはどうした?」

「ラストオーダァ?」

 

 

 彼の対応に違和感を覚えた上条

 一方通行なら、打ち止めの事に無反応な筈がない……しかし、目の前の彼は本当に彼女を知らないような素振りを見せていた

 

 

「そんなことより……この前の礼をしねェとなぁ……」

(この前? なんの事だ?)

 

 

 ドゴッ! と地面を蹴り突進してくる一方通行

 

 

 

「くっ! なんのぉぉ!!」

 

 右手を、思いっきり前に突き出す上条

 一方通行の能力は反射だが、それがないと普通の高校生以下の身体能力しかない。

 故に、幻想殺し(イマジンブレイカー)で能力を消された彼は……

 

 

 

「がァっ!?」

 

 

 一方通行の頬に、上条の右拳がめり込む

 それは分かりきっていた結果だった。

 が、刹那。一方通行の身体がまるでガラスの様に砕けていった

 

 

「なっ…何!?」

 

 

 いきなりの出来事に困惑する上条

 

 

 

 

 

「……成る程。貴方の右手は“闇の欠片”すら消滅させますか……」

「その声っ! 高町か!?」

「残念。私です」

 

 

 ふわっ……と、外に一人の少女……星光の殲滅者であった。

 

 

「お前は……この前の……」

「はい。先日は身内のアホがお世話になりました」

 

 

 ペコリとお辞儀する星光の殲滅者。その対応に困る上条

 

 

 

「本来なら今の“一方通行”とやらで貴方の体力を少しでも削ぐ予定でしたが……役にたちませんでしたね。今回はこれでお暇させて頂きます」

 

 

 

 

 そう言って、彼女は再び空に向かって飛んでいった

(アイツは一体何を………?)

 

 

 考えようとした上条は、ふと、今の状況を思い出す

 

(っと、今は高町と合流するのが先決だな)

 

 

 

 そう判断した上条は、ブレイドと、なのはが向かった道を走って行った……

 

 

 

 

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