旧約:とある戦士達の黙示録   作:一条和馬

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※魔法少女リリカルなのはにはオリジナルで誕生し、劇場版でも暴れ回った『ディアーチェ』『シュテル』『レヴィ』という三人がいるのですが、この小説が書かれた当時はまだゲーム版一作目しか出ておらず、三人の名前がありませんでした。
(闇統べる王、星光の殲滅者、雷刃の襲撃者という漢字表記はあったのですが)
なのでこの作品では彼女らが正式名称で呼ばれる事は一度もありません。


Only My Imagine Breaker.

轟! という音と共にブラックスポットの荒野が砂塵に見舞われる

 

「くっ!」

 

 そんな荒野に、上条当麻はいた

 

 他の仲間は居ない………否、はぐれてしまったのだ。

 

 

(あの娘は一体……何なんだ?)

 

 

 上条の前には、蒼い髪の少女がいた。

 

 その髪は長くツインテールにされており、黒いマントを羽織り、手には水色の玉の様な物が埋め込まれたオノの様な物を持っていた

 

 

(何となくだが、あの服装は高町とかナカジマのバリアジャケットってやつに似ている……ニードレスではないな)

 

 

 

 その少女の容姿から冷静に分析する上条。

 

「そうやって他の事を考えていると、僕には追い付けないよ!!」

 

 瞬間、彼女が持っていたオノの先端が横に曲がり、中から刃が飛び出した

 それはまるで、鎌のようだった

 

「さぁ! 僕の刄を受けるがいい!」

 

 

 鎌を構えた少女は、上条の懐へ突っ込む

 

「させんっ!」

 体を横へ回転させながら避ける上条

 その遠心力を利用し少女に回し蹴りを叩き込む

 

「わぁ!?」

 

 反撃されると思っていなかったのか、少女は簡単に数メートル吹っ飛んだ

 

「何でぇぇぇ!………痛っ!」

 

 謎のうめき声をあげながら地面を転がる少女

 

 

「……っ!痛いじゃないか!! あーもう僕の顔砂だらけだっ!! お嫁に行けなかったらどうしてくれるの!?」

 

 顔に付いた砂を払いながら少女は上条に向かって怒鳴った

 

「………でもまあ、まさか“右手”だけ意識して置けばいいと思って防御魔法を疎かにしたのは致命的だったね」

 

 

 そう言った後、彼女の体が一瞬青白い光に包まれた

 防御魔法とやらを発動したのだろう。と上条は推測した

 

 

(………しかし、あいつは右手……幻想殺し(イマジンブレイカー)を知っているのか……)

 

 そう言って、上条は自分の右手を見る

 

「そう……君の“右手”は邪魔だからね。僕達の復讐にも、あの永遠の闇に帰るのにも」

(永遠の………闇?)

 

 疑問符を浮かべる上条を無視して、少女は再び鎌を構える

 

 

「我が名は雷光………閃の太刀にて、君を倒すっ!」

 そう言って彼女……雷刃の襲撃者は上条の懐へ突っ込む

(またこれかっ!ワンパターンだな!)

 

 再び横に回転する上条

 

「甘いっ!!」

 

 雷刃の襲撃者が手にしていた鎌が上条の脇腹に直撃する

 

 

「がっ……がぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 うめき声をあげながら地面を転がる上条

 その横腹から、多少の赤い液体が漏れていた

 上条はあまりの激痛に地面をのたうちまわる

 

 

 

 

(な、なぜ………?)

 

 そう考えていたのは雷刃の襲撃者だった

(今のこいつの威力なら確実に真っ二つだったはず……何で?何でアイツは僕の刄を受けて四肢に支障がないんだ!?)

 驚愕している雷刃の襲撃者を見て、上条は困惑した

 優勢な彼女が何故あそこまで真剣に物事を考えているのだろうと

 

 

「…………あっ! そう言えば!」

 

 ポンと両手で音をたてながら彼女は一人喋り出す

 

「ここには“結界”があったんだっけ?道理で僕の刄でお年寄り一人斬れない訳だ」

 

 一人で解説し一人で納得する雷刃の襲撃者

 

 その時上条には“結界”とは何か解らなかったが、なのはやスバルがいたら結界の事をこう呼んでいただろう………

 AMF、アンチマギリングフィールドと。

 

 

 

「よーしっ!! そうと決まれば解決法は一つ!初めから本気で行けばいいんだ!」

 

 さすが僕って天才! と一人はしゃぐ雷刃の襲撃者

 

「さぁ! 覚悟はいいかい!?」

 

彼女は鎌の矛先を上条に向ける

 

(くっ………バカだが相当な力を持っている……こちらも相手が子供だからと油断出来んな)

 横腹の激痛を気合いで押し留めつつ、上条は足を前へ踏み出す

 先に動いたのは上条だった

 右手を潰れそうな位の力で握り、雷刃の襲撃者の下へ走っていく

 

 対して雷刃の襲撃者のとった行動は、いたってシンプルだった

 

 持っていた杖の先端を地面に叩きつける。ただそれだけ………

 

 

 轟!! という音と共に地面から数多の雷柱が上条を囲む様に飛び出した

 

 

 

「ぐぅ!?」

 

 

 足止めを受けた上条は素早く周りを見渡す

 

 雷柱は上条を逃がさないように数センチ感覚で張り巡らされていた

 

 

 

「言ったはずだよ? 僕は本気を出すって……」

 

 ゆっくり上条に近づく雷刃の襲撃者

「さぁ、僕の刄、しっかり受け止めてね♪」

 

 ガシャン! と音がし、彼女が持っていたオノが変形し、大剣の柄のような形になった

 

 その柄から青い刃が現れる

 

 雷を帯びた大剣を、雷刃の襲撃者は水平に構えた

 刹那、彼女が冷酷な表情になったと同時に、大剣を横に振るう

 

 間にあった雷柱は彼女の大剣の軌道からそれるように移動し、刃はまっすぐ上条の下へ向かう

 

 

 

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 上条は大剣を右手で掴む

 

 

 ガシッ! と無理矢理掴んだ剣から電撃が飛び出し、上条を襲う

 

「ぐぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 電撃を浴びながらも大剣を離さない上条

「くっ………やるね」

 そう言うと雷刃の襲撃者は片方の手のひらを上条に向ける

 

「ぐっ……あがっ?」

 電撃の浴びすぎで頭がよく回らない上条は、雷刃の襲撃者が別の攻撃をしようとしているのに気が付けなかった

 その間にも、雷刃の襲撃者の手のひらから野球ボール程の雷の球が上条を貫くべく軌道修正していた

 

「トドメだ!天迅翔!!」

 彼女の手から雷の球が放たれそうになった、その時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 轟!! と何かが雷刃の襲撃者を横から襲う

 それは、一筋の雷撃だった

 

 

 

 

 

雷撃は迷う事なく雷刃の襲撃者の横腹に直撃した

 

 

 

 

「っ!? うわぁぁぁぁ!」

 

 

 

受け身を取れなかった雷刃の襲撃者は数十メートル程吹っ飛んだ

 

(い、今のは………)

 

意識が遠退いていく最中、上条は考える

 

 

 

 

 

(れ、超電磁砲(レールガン)………?まさか……)

 

 

 

そこで上条の意識は途絶えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっ……痛たたた…」

 

 

 

大剣を杖代わりにヨロヨロ立ち上がる雷刃の襲撃者

 

 

「まだ立てるの? しぶといわねぇ……そこで伸びてる年寄り位しぶといんじゃない?」

 

それは、女性の声だった

 

「っ!? 君は誰だ!?」

 

 雷刃の襲撃者は剣を鎌に戻し女性を見据える

 

 その女性は、茶髪のショートヘアーで、手には何枚かのゲームセンターのコインが握られている

 容姿は完全に二十歳前半だが、実際はインデックスや上条と同じ位の年である

 

 

 女性はコインを一枚天に投げた

 

 

 

「くっ!?」

 

 

 鎌を構え、突っ込んでくる雷刃の襲撃者

 

 

 が、女性の方が一歩早かった

 

 

 

 天に上げたコインを指で雷刃の襲撃者目掛けて弾く。すると、コインは音速の三倍のスピードで彼女を襲った

 

 

 

 

 

 轟!! という音だけが響く

 

 

「わぁぁぁぁ!?」

 雷刃の襲撃者は再び数十メートル吹っ飛び二、三度地面をバウンドした

「うー………」

 

 

 雷刃の襲撃者は体をピクピクさせながら何か唸っていた

 

 

「とりあえず、完勝って所かしらね?」

 そう言うと、女性は上条の下へ向かう

 

 

「ほら、アンタもいつまで伸びてんのよ! 起きなさい!」

 

 背中をバシバシと叩かれ、上条はゆっくり目を開けた

 

「………み、御坂なのか?」

 上条は女性の名前を呼んだ

 彼女の名前は御坂美琴、学園都市に七人しかいなかった超能力者(レベル5)超電磁砲(レールガン)の異名を持つ女性だ

 

 

「ったく、久しぶりに会ったと思ったら………相変わらずみたいね」

「そうだな」

 よっこらせと立ち上がる上条

 

「さて、再会を喜ぶ前に、あの女の子から話を聞かんとな」

「あの娘一体なんなの?」

 

 雷刃の襲撃者を見ながら美琴は言った

 

「知らん。いきなり襲われた」

 即答する上条

 

「アンタ……またやってたみたいね!!」

「は? いやだから違うって! 違いますよ御坂さん!確かに昔はよくそういうことがありましたが今回は知らん! 知りませんよ上条さんは完全に被害者であってですね、問い詰めるならまずあそこにいる………」

 

 

 上条が雷刃の襲撃者のいた方に指を指した瞬間、上条の口が止まった

 

「なによ!? 言い訳するなら最後まで……」

 

 上条の指さした方向へ目を向ける美琴

 

 

 

 

 

 そこには、紫色の杖を持ち、黒い服を纏った、茶髪の少女がいた

 新たに現れた少女を見ていた上条と美琴は、

 

 

 まだ戦わないといけないのか?

 

 

 

 みたいな露骨に嫌そうな表情をしていた

 

 

 

 

 

「あなた方の戦い、拝見させて頂きました」

 

 きっちりとした敬語で少女は喋る

 

「まずは、結界があったとはいえ、この娘を倒した事を誉めなければなりません」

「おだてても何もでないぞ」

「そうよ。戦うならさっさといらっしゃい」

 

 真剣な表情で上条と美琴は少女を見据える

 

 

「いえ、今回は遠慮させて頂きます。このバカを運ばないといけませんし」

 

 そう言うと、少女は未だに痙攣している雷刃の襲撃者の襟首を掴む

 

「ぬぁ!? 星ちゃん!?」

 

 

 雷刃の襲撃者は少女を見据える

 

「だから、その様な呼び方はしないで下さいと何度言ったら……」

「だってだって、雷刃の襲撃者とか星光の殲滅者なんて可愛くないじゃん! 女の子なんだから少しは可愛くいたいとか思わないの?」

「………むしろ、自分の名前に自信を持たない貴女の方がおかしいのでは?」

「いいや! 可愛さを求めない星ちゃんの方がおかしい!!」

「はぁ……わかりました。そろそろお暇(いとま)しましょう」

「え?ちょっと!まだ僕の話はうぐっ!?」

 

 少女……星光の殲滅者は雷刃の襲撃者の襟首を掴んだまま、空高く飛んだ

 

 

 

 

 

「ちょ! 星ちゃん!! 首! 首が苦しい!! うぇ……このままだとお昼御飯に食べたたこ焼きがリバースする!! …おぅ…」

「知りません。負けた罰です。反省なさい」

「そんなぁ~……ぐふっ! ……喋るの止めよう……」

 

 

 

 

 上条と美琴は、空中で漫才をする二人を遠く見えなくなるまで眺めていたのだった

 

 

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