とある科学の全能変化〜八人目の超能力者〜   作:萩村和恋

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日常回です、時間軸としては第三話の後となります。
それではどうぞ。


日常回とかサブストーリー的なやつとか①
日常回というかなんというか①


 風紀委員(ジャッジメント)、というものがある。

 この学園都市にて、学生達によって形成された治安維持

をする集団だ。

 風紀委員は、それぞれ学区と部隊で別れており、此度の舞台は第七学区の第一七七支部である。

 

 「くーろこちゃ〜ん♪」

 おちゃらけたな声が支部の部屋の中に響く、声の主は深い青髪のポニテに赤い瞳(心做しかハートが見える)の少女の名は、黒川(くろかわ)瑞祈(みずき)。この第一七七支部の一員だ。

 「どうしたんですの?黒川先輩。」

 茶髪のツインテールの少女、白井(しらい)黒子(くろこ)が、手元にあった書類を整理しながら、鈴のような声で黒川の呼びに応じる。

 「んもー、瑞祈って呼んでって言ってるのに〜!…っと、そだそだ。」

 黒川は不満げな表情をしたが、直ぐに用事を思い出したのか、真面目な声色にして言葉を続ける。

 「巡回、確か今日私達だよね?早く行こーよ。」

 「そうでしたっけ?直ぐに準備しますので先に外で待っていてくださいません?」

 そう言うと、黒子は残り少なくなった書類を整理し始めた。黒川は巡回用具一式を用意して外に出た。

 

 -月宮小鳥は、ある青年と出会っていた。

 藍色のロングヘアに、鮮やかな赤と黒のメッシュ。顔立ちは整っており、琥珀色(こはくいろ)の右目、鮮やかな赤の左目の青年…名前は確か、崩宮(くずれみや)柚季(ゆずき)と言ったか。

 崩宮と月宮は第七学区の公園のベンチに座り、二人で話していた。

 「小鳥さ、身長伸びた?」

 何気なく月宮に尋ねる崩宮。

 「…伸びたと思う?」

 ニヤケながら崩宮の方を見て言う月宮。崩宮は少し考えると…

 「…伸びたろ?」

 キリッと表情を浮かべて言う崩宮。

 月宮はニヤケていた顔に影を入れると、可愛らしい声を低くして

 「伸びてないよ?もうかれこれ二年程ね。」

 と、崩宮に言い放った。

 「なん…だと…!?」

 崩宮は驚愕の表情を浮かべ、月宮はソレを見ながら笑っていた。

 そんな二人に、二人の少女が近付いていた。

 

 -黒川と黒子の二人は、会話に花を咲かせながらも周りに目を向け、治安が維持されているか確認していた。

 「にしても平和だねぇ〜、ついこないだ火事があったばかりなのにさぁ。」

 黒川は欠伸をしながら、隣の黒子にそういった。

 黒子はそんな黒川の事をジト目で見つめながら

 「あまり欠伸とかしないで下さいな。私達がしっかりとしなければ他の学生に示しがつきませんわよ?」

 「そーんな事言ってー、黒子ちゃんも柚季とイチャイチャラブラブやってるんじゃないの〜?」

 黒川は悪びれずに、むしろ愉快そうに笑いながら黒子にそうやって言う。黒子は顔を赤くしてから大きな声で

 「そっ、そんな訳ありませんの!

 と叫んだ。

 辺りを歩いていた人達が何だ何だと黒子をチラ見していく。恥ずかしくなった黒子は

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 泣き叫びながら空間移動(テレポート)で逃げていった。

 「ちょっごめーん!」

 黒川は逃げていった黒子を、能力で追いながら走ってゆく。黒子が逃げた先には、丁度自分の幼馴染と黒子の彼氏が居るようだった。

 

 「…アレ黒子か…?黒子ー!」

 崩宮は、座っていたベンチの近くに、急に現れた人影に声をかけた。

 人影…黒子は、それに気付いたのか、先程までの涙を拭い、パァーっと笑顔を浮かべて崩宮に抱き着いた。

 「おっ兄様ー♪お兄様ではありませんか!こんな所でどうしましたの?」

 「今日は小鳥と会う予定があってな?ここで会ってたんだよ。…ほれ、そこにいる奴。」

 崩宮が指を指す方向には、苦笑いをしながら二人を見ていた月宮がいた。黒子は月宮の方を見ると、おかしなものを見た、と言った顔をした。

 「?どしたの?」

 月宮が黒子にそう尋ねると、

 「…いえ、黒川先輩から聞いていたような人ではなさそうな…というか貴方、性別はどちらですの?」

 と、聞いてきた。月宮はニパッと笑顔を作り出してから

 「見てわかるでしょ?」

 と言った。

 黒子はしばし考え込むと、やがて諦めたのか再び崩宮に抱き着いた。

 「こっとり〜ん!柚季ー!黒子ちゃーん!」

 暫くして深い青色のポニテの少女、黒川が三人を呼んだ。三人は一斉に向くと、黒川は何やら可愛らしいものを連れていた。

 ふわふわでもふもふな熊のぬいぐるみだろうか。

 「…どうしましたの?ソレ。」

 黒子が怪訝(けげん)そうな表情を浮かべながら黒川に聞く。

 黒川はアホっぽい表情を浮かべて

 「さっきそこで歩いてた人に渡されてねぇ。最近ぬいぐるみが爆発するーとかそういう事件あるけど…まさかねぇ。」

 黒川はケラケラ笑いながら人形を月宮の方に渡す。

 「なんで私に?」

 「ことりんの能力があれば最悪の事態は免れるでしょ?」

 「……ええ…酷くなぁい?」

 「まあまあ!ほら!身体を耐久力の高いヤツに変身しちゃいなよ〜!」

 と、茶化し立てる黒川を後目に、仕方ないかと呟きながら"人形"を何やらごそごそとする月宮。

 「この人形は………大丈夫、爆発しないよ。」

 何を言っているんだ?と言わんばかりの顔で月宮を見る三人、月宮は先程から手にしている人形と、上に来ていた学ランを脱いで、手で触れる。

 「いい?今から説明するから見ててね?えーまずはこちらから〜。」

 マジックをするようなテンションで学ランを丸める。そしてそれを…

 "セーラー服"に変化させた。

 「えー、このように私の能力は、自分以外も変化させることができます。ここまでOK?」

 三人は頷き、ソレを確認した月宮は説明を続ける。

 「これの応用でね、人形なんかの素材も粒子レベルで変化させることが出来るんだよ。だから大丈夫って事♪」

 変化させたセーラー服を学ランに戻しながら、月宮は3人に言う。

 と、ここで黒子が手をあげて質問する。

 「どのような原理を使っているんですの?貴方の能力は。」

 月宮は爽やかな笑顔で

 「わからない♪私、本能で能力使ってるから。」

 と、爽やかに言ってのける。…黒子は?マークを頭に浮かべたが、黒川は乾いた笑みを、崩宮は呆れた顔をしていた。

 「いいか?黒子、コイツは馬鹿なんだよ。」

 「馬鹿…?確か月宮さんは超能力者ですよね?」

 「そうだよ?」

 「それなのに馬鹿…とはどう言う…。」

 「ことりんは本能で能力を超能力者まで上り詰めてる人なの。」

 「成程…。つまり学力は低いけれど能力面は高い…と。」

 「そういう事!」

 …と、黒子は納得したような顔をした。

 

 「…さて、人形の件は風紀委員に任せて…私は帰るよ。」

 あの後、四人で色んな話をして過ごしていたが、そろそろ完全下校時刻になる為、解散にしようということになった。

 「じゃね〜。」

 「ええ、さようなら。」

 「じゃあな。」

 「ほいほいじゃねー。」

 熊の人形を片腕で抱きながら手を振って別れを告げる月宮と、3人で途中まで帰るのであろうか、黒子、黒川、崩宮はそれぞれ帰路に着いた。




次回は黒子と美琴回を挟んで、吸血殺し編となります。
また次回から書き方を変えますので、了承して頂ければ幸いです。

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