それではどうぞ。
日常回というかなんというか①
この学園都市にて、学生達によって形成された治安維持
をする集団だ。
風紀委員は、それぞれ学区と部隊で別れており、此度の舞台は第七学区の第一七七支部である。
「くーろこちゃ〜ん♪」
おちゃらけたな声が支部の部屋の中に響く、声の主は深い青髪のポニテに赤い瞳(心做しかハートが見える)の少女の名は、
「どうしたんですの?黒川先輩。」
茶髪のツインテールの少女、
「んもー、瑞祈って呼んでって言ってるのに〜!…っと、そだそだ。」
黒川は不満げな表情をしたが、直ぐに用事を思い出したのか、真面目な声色にして言葉を続ける。
「巡回、確か今日私達だよね?早く行こーよ。」
「そうでしたっけ?直ぐに準備しますので先に外で待っていてくださいません?」
そう言うと、黒子は残り少なくなった書類を整理し始めた。黒川は巡回用具一式を用意して外に出た。
-月宮小鳥は、ある青年と出会っていた。
藍色のロングヘアに、鮮やかな赤と黒のメッシュ。顔立ちは整っており、
崩宮と月宮は第七学区の公園のベンチに座り、二人で話していた。
「小鳥さ、身長伸びた?」
何気なく月宮に尋ねる崩宮。
「…伸びたと思う?」
ニヤケながら崩宮の方を見て言う月宮。崩宮は少し考えると…
「…伸びたろ?」
キリッと表情を浮かべて言う崩宮。
月宮はニヤケていた顔に影を入れると、可愛らしい声を低くして
「伸びてないよ?もうかれこれ二年程ね。」
と、崩宮に言い放った。
「なん…だと…!?」
崩宮は驚愕の表情を浮かべ、月宮はソレを見ながら笑っていた。
そんな二人に、二人の少女が近付いていた。
-黒川と黒子の二人は、会話に花を咲かせながらも周りに目を向け、治安が維持されているか確認していた。
「にしても平和だねぇ〜、ついこないだ火事があったばかりなのにさぁ。」
黒川は欠伸をしながら、隣の黒子にそういった。
黒子はそんな黒川の事をジト目で見つめながら
「あまり欠伸とかしないで下さいな。私達がしっかりとしなければ他の学生に示しがつきませんわよ?」
「そーんな事言ってー、黒子ちゃんも柚季とイチャイチャラブラブやってるんじゃないの〜?」
黒川は悪びれずに、むしろ愉快そうに笑いながら黒子にそうやって言う。黒子は顔を赤くしてから大きな声で
「そっ、そんな訳ありませんの!」
と叫んだ。
辺りを歩いていた人達が何だ何だと黒子をチラ見していく。恥ずかしくなった黒子は
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
泣き叫びながら
「ちょっごめーん!」
黒川は逃げていった黒子を、能力で追いながら走ってゆく。黒子が逃げた先には、丁度自分の幼馴染と黒子の彼氏が居るようだった。
「…アレ黒子か…?黒子ー!」
崩宮は、座っていたベンチの近くに、急に現れた人影に声をかけた。
人影…黒子は、それに気付いたのか、先程までの涙を拭い、パァーっと笑顔を浮かべて崩宮に抱き着いた。
「おっ兄様ー♪お兄様ではありませんか!こんな所でどうしましたの?」
「今日は小鳥と会う予定があってな?ここで会ってたんだよ。…ほれ、そこにいる奴。」
崩宮が指を指す方向には、苦笑いをしながら二人を見ていた月宮がいた。黒子は月宮の方を見ると、おかしなものを見た、と言った顔をした。
「?どしたの?」
月宮が黒子にそう尋ねると、
「…いえ、黒川先輩から聞いていたような人ではなさそうな…というか貴方、性別はどちらですの?」
と、聞いてきた。月宮はニパッと笑顔を作り出してから
「見てわかるでしょ?」
と言った。
黒子はしばし考え込むと、やがて諦めたのか再び崩宮に抱き着いた。
「こっとり〜ん!柚季ー!黒子ちゃーん!」
暫くして深い青色のポニテの少女、黒川が三人を呼んだ。三人は一斉に向くと、黒川は何やら可愛らしいものを連れていた。
ふわふわでもふもふな熊のぬいぐるみだろうか。
「…どうしましたの?ソレ。」
黒子が
黒川はアホっぽい表情を浮かべて
「さっきそこで歩いてた人に渡されてねぇ。最近ぬいぐるみが爆発するーとかそういう事件あるけど…まさかねぇ。」
黒川はケラケラ笑いながら人形を月宮の方に渡す。
「なんで私に?」
「ことりんの能力があれば最悪の事態は免れるでしょ?」
「……ええ…酷くなぁい?」
「まあまあ!ほら!身体を耐久力の高いヤツに変身しちゃいなよ〜!」
と、茶化し立てる黒川を後目に、仕方ないかと呟きながら"人形"を何やらごそごそとする月宮。
「この人形は………大丈夫、爆発しないよ。」
何を言っているんだ?と言わんばかりの顔で月宮を見る三人、月宮は先程から手にしている人形と、上に来ていた学ランを脱いで、手で触れる。
「いい?今から説明するから見ててね?えーまずはこちらから〜。」
マジックをするようなテンションで学ランを丸める。そしてそれを…
"セーラー服"に変化させた。
「えー、このように私の能力は、自分以外も変化させることができます。ここまでOK?」
三人は頷き、ソレを確認した月宮は説明を続ける。
「これの応用でね、人形なんかの素材も粒子レベルで変化させることが出来るんだよ。だから大丈夫って事♪」
変化させたセーラー服を学ランに戻しながら、月宮は3人に言う。
と、ここで黒子が手をあげて質問する。
「どのような原理を使っているんですの?貴方の能力は。」
月宮は爽やかな笑顔で
「わからない♪私、本能で能力使ってるから。」
と、爽やかに言ってのける。…黒子は?マークを頭に浮かべたが、黒川は乾いた笑みを、崩宮は呆れた顔をしていた。
「いいか?黒子、コイツは馬鹿なんだよ。」
「馬鹿…?確か月宮さんは超能力者ですよね?」
「そうだよ?」
「それなのに馬鹿…とはどう言う…。」
「ことりんは本能で能力を超能力者まで上り詰めてる人なの。」
「成程…。つまり学力は低いけれど能力面は高い…と。」
「そういう事!」
…と、黒子は納得したような顔をした。
「…さて、人形の件は風紀委員に任せて…私は帰るよ。」
あの後、四人で色んな話をして過ごしていたが、そろそろ完全下校時刻になる為、解散にしようということになった。
「じゃね〜。」
「ええ、さようなら。」
「じゃあな。」
「ほいほいじゃねー。」
熊の人形を片腕で抱きながら手を振って別れを告げる月宮と、3人で途中まで帰るのであろうか、黒子、黒川、崩宮はそれぞれ帰路に着いた。
次回は黒子と美琴回を挟んで、吸血殺し編となります。
また次回から書き方を変えますので、了承して頂ければ幸いです。