『リュカよ……お前の母はまだ生きているはずだ、、、母を……マーサを頼む……』
目の前で無惨に殺された父の願いを受け継ぐと決意し、奴隷として働かせられながらも10年の月日を己を鍛える期間とできたリュカは女性の奴隷だったマリアとラインハットの王子ヘンリーとともに、 奴隷施設からマリアの兄の助けにより、樽で流されることにより脱出に成功した。
そしてリュカは故郷サンタローズにて、父パパスの旅の真の目的を知り、勇者を探すことを目標とする。当初はリュカの旅に着いて行くつもりだったヘンリーはラインハット王国の異変を知り、奴隷仲間だったマリアとリュカの助けもあり、魔物に支配されかけていたラインハットの解放に成功する。弟であり、現ラインハット国王のデールの懇願もあり、ヘンリーはラインハットに残ることにした。
ヘンリーとの旅の最中にリュカはスライムやブラウニー。スライムナイトなど魔物を仲間にする才能があることを知る。仲間になったモンスター達とも絆を深めながら旅を続けるリュカは旅の途中で寄った村の怪物退治を引き受けるが、怪物の正体は幼い頃に別れたキラーパンサーのゲレゲレだった。ゲレゲレは父の形見の剣を守っており、リュカは思わぬ形で形見を手に入れると同時に強力な旅の仲間を得るのだった。
そんなリュカ一行は珍しい武具やアイテムを集めているというルドマンの話を聞き、サラボナの街を目指していた。
そしてリュカはサラボナにて運命の出会いを果たすことになる。
「じゃあ、馬車を頼むな」
「はい、お任せを!」
「まかされたぞー」
「ぴきー!」
「ガウッ」
夕方頃にサラボナに着いたリュカは街外れに馬車を停めるとスライムナイトのピエール、ブラウニーのブラウン、スライムのスラりん、そしてゲレゲレに任すと街中に入っていった。
「ワンッワンッ」
街に入ってすぐにリュカは走って向かってくる犬に遭遇した。
「ふふっ、主人はどうした?」
.なぜかリュカに、じゃれつく犬を相手にしていると
「リリアン、待ってー」
そこに綺麗な青い髪をなびかせながら、1人の少女が走ってきた。
「やっと追いついたわ。リリアンたら……あら?」
「貴女がこの子の飼い主さん?」
「あ、はい!……やだ、ご挨拶もせずに。私はフローラと申します。申し訳ないのですが、今日は用事がありまして……お礼は後日させていただきますね」
「あ、はい」
そしてフローラはリリアンを連れて去っていった。
「さて、とりあえず……」
情報と言えば酒場ということでリュカは、街の酒場を目指して歩き出した。途中で人に尋ねながらも着いた酒場は……
「あら?いらっしゃいませ〜」
非常に静かだった。夕方すぎの酒場は仕事が終わった人や宿をとった旅人などでごった返しているものだが、ほとんど人がいなかった。
中にいるのはバーのマスターであろう男性とウェイトレスの女性だけだった。
「えぇと……何かあったんですか?」
リュカがカウンターに座りながら聞くと
「知らないのかい?」
「はい」
リュカがそう答えるとマスターは話し出した。
「この街1番のお金持ちのルドマンさんの娘さんの1人、フローラお嬢様の婚約者を選ぶって話でね……婚約者候補になりたい人は明日の昼に屋敷に来てくれってことでね……街の独身も旅人も関係なしだからみんな明日に備えて来ないみたいなんだよ」
「無事、婚約した人には証として家宝の盾を渡すって話よ」
リュカの隣にウェイトレスの女性が座りながら続け
「その盾の名前とか外見って知ってます?」
リュカが2人に尋ねると
「いや、知らないな……ルドマンさんの家系の家宝というぐらいだから、伝説に名を残しているような凄いものなんだろうね」
そう話していると
「マスター、いつもの頂戴」
ドアを吹き飛ばす勢いで入ってくるなり、艶やかな声でそう注文してどかっとカウンターに女性が座った。
「全く、どいつもこいつも『フローラ』『フローラ』『フローラ』……鬱陶しいったらありゃしない」
「まぁまぁ、デボラお嬢様……落ち着いて」
そしてマスターは注文された飲み物をデボラという女性に渡す。
「彼女がフローラさんの姉のデボラお嬢さん」
ウェイトレスはそうリュカに教える。
「ん?あんたも財産目当てにフローラに迫ろうっての?」
そう言うとデボラはリュカを睨んでくるのだった。