「よし、行くか」
道具屋で一通り道具を揃えたリュカは仲間を引き連れて、とりあえず南方の火山へと向かった。
「主人は結婚するんですか?」
「けっこんて何だぁ?」
ピエールの質問にブラウンが重ねてきた。
「結婚はやっぱり、するつもりは無いかな。指輪は他の人にでも譲って盾だけ貰えるのが1番かな」
ピエールに答えた後、ブラウンを見て
「結婚ってのは好きな人同士がずーっと一緒にいようねと誓うんだよ」
「へぇ、じゃあオイラ達はリュカと結婚してるのかな?オイラはリュカとずーっと一緒にいたいぞ!」
「俺たちはちょっと違うかな」
リュカがそう言うとブラウンは悲しそうな目になり
「リュカはオイラ達とは一緒にいたくないのか?」
「そんなわけないだろ、お前たちと俺は結婚なんて儀式する必要ないくらい特別なんだから」
「そっかぁ、良かったぞ」
安心した声を出すブラウン。そこに
「ピキー!!」
スラりんが大声で叫んだ。魔物が現れた合図である。
「さーてやっちゃうぞぉ!!」
先程の会話で機嫌が良いのかブラウンは可愛らしい見た目とは裏腹にハンマーを振り、襲いかかってきた魔物に向かった。
「じゃあ、スラりんは馬車を頼むな」
「ピッ!!」
南方の火山に着いた一行は馬車を比較的安全そうな馬車に止めるとスラりんを見張りに置き、内部へと入って行った
「やはり、熱いですね……」
「がう……」
ピエールが呟くとゲレゲレもそれに同意する。
「火山だからな、気をつけて進むぞ」
火山内部は想像以上に広く足場もしっかりしているとは言え、落ちたらマグマに一直線な場所や周りよりも高温な地面もあり非常に危険な場所だった。
「おりゃー!!」
ブラウンが馬面の悪魔を吹き飛ばす。
「暑いだけじゃないぞ……モンスターも強い〜」
今ブラウンが吹き飛ばしたホースデビルはメラミを、炎を吹き出しながら襲ってくる魔人、ほのおの戦士はもえさかるかえんの息を吐くなど火山内部のモンスターに相応しい強力な火の特技魔法を使うモンスターがたくさんいる。
「結構、進んできましたが目的の物はありせんね」
「確かにな……」
ピエールのボヤキに答えるリュカ……そこに
「うわぁぁぁっ!!!!」
男の声が響いた。
「っ!!」
リュカは声のした方に走って行くと
「うぅ……ごめん、フローラ……」
ルドマン邸で会った青年アンディがドロヌーバの亜種のような見た目をしたモンスターに襲われていた。
「マズイ!」
しかもアンディは怪我で意識を失っているようだ。
『コォォッ!』
さらにモンスターは炎を吐き出そうとしていた。
「間に合え……バギマ!!」
リュカは駆け寄りながらモンスターに風の魔法を放つ。
『ッッ!!』
大きく開けた口に魔法を叩き込まれたモンスターは苦しそうにしている。
「リュカ〜、大丈夫か?」
「俺はな……ベホイミ」
リュカはアンディに癒しの魔法をかけるが専門家ではないリュカの魔法ではアンディの深い傷は中々癒えない。
『オォッ!!』
怒ったのか叫ぶ、ドロヌーバの亜種のようがんげんじん。
『オォ……』
『オォ……』
叫び声に釣られてさらに増えるようがんげんじん。
「これじゃリレミトも使えないな……」
洞窟などから一気に脱出できる魔法だが、魔力で通る道を作らないといけないため瞬時に構築はできない魔法である。そのため魔物三体相手では使えないと踏んだリュカは
「ゲレゲレ、ピエールとこいつを一緒に運べるか?」
「ガウ!」
任せろと言わんばかりにゲレゲレが答える。
「ゲレゲレはピエールとアンディ、馬車でスラりんを乗せてサラボナまで帰れ。ブラウンはその護衛だ。ピエールは手当てできる人に渡すまで回復魔法を当て続けるんだ」
「主人は?」
ピエールが聞くと
「俺はこいつらを足止めする。早く行け!」
「分かりました……」
「頼むぞ〜リュカ〜」
仲間が行くのを見送ったリュカは……
「さて、これは骨がおれそうだ……」
自身に補助魔法をかけながらリュカは三体のようがんげんじんを睨んだ。