夕方の時間、サラボナの街は騒然としていた。
「僧侶か神父を呼んでくれないだろうか!?」
「ア、アアアンディをお、置いて失せろ!」
サラボナの入り口ではゲレゲレの背でアンディに回復魔法をかけながら話すピエールと、街中まで魔物は普段は来ないので魔物にびびっている街の自警団の人で問答がおこなわれていた。
「私の魔力ももうすぐ尽きます、早く僧侶を!!」
「ま、魔物の言うこと何か信じられるか!?近づいた瞬間……アワワ……」
その街の人の反応を見て悔しさが広がるピエール。やはり自分たちはリュカしか受け入れてくれないのかと……
「ったく……何の騒ぎだい?」
「皆さまどうかしましたか?」
そこにペットのリリアンの散歩をしているフローラとそれに付き添うデボラがやってきた。
「ん?あれは……」
「アンディ!?」
「あ、お嬢様!?危な……」
傷ついたアンディをみたフローラは自警団が静止する前に飛び出した。
「アンディ!?大丈夫!?」
「私の魔力も……尽きます……早く治療を……」
そして魔力を酷使したピエールは魔力枯渇により倒れた。
「早くアンディを安静なとこに!!」
「は、はい!!」
フローラの指示でようやく動き出す自警団。そしてフローラ自身もアンディに回復魔法を当てながら付き添っていった。
「お疲れ様だぞ、ピエール……」
「がうっ…」
崩れ落ちたピエールをブラウンはゲレゲレの背に乗せ直すと
「行くぞぉ、ゲレゲレ」
「ガウ!」
街から去ろうとする3匹を
「待ちなさい!」
デボラが引き止めた。
「どこに行くつもり?」
「リュカはまだ火山で戦ってるかもしれないから……」
ブラウンが答えると
「リュカ?」
「おいらたちのご主人様だぞ」
「……どんな人かしら?」
デボラは旅人の男を思い出しながら聞くと
「えーと……強くて格好良くて優しくて……見た目はえーと……あっ!?ターバンをした人だぞ」
その答えにデボラはあの小魚か……と呟いた時
「もう良いか?行くぞ……ゲレゲ……」
「ガウ……」
2匹もついに倒れてしまった。それも仕方ない。普段は回復魔法を使えるピエールとリュカがいるから良いのだが今回は両者の回復ない中、魔物を撃退しながらやってきたのだ。ブラウン達も限界をすでに超えていたのだ。
「はぁ……やれやれ……」
肩をすくめるとデボラは行動を開始するのだった。
「うーん……ここ…は?」
ピエールは目がさめると、どこかの納屋にいた。
「ゲレゲレ……ブラウンも……」
すぐ隣の藁のベッドにはゲレゲレ、ブラウンも寝かされていた。
「あら、起きたのね」
「貴女は?それにここは……」
「私のことも知らないなんて……あの小魚には教育が必要ね……」
デボラはそう呟くも
「私の名前はデボラ、世界1の美女よ。私のことはデボラ様と呼ぶのよ。そしてここはうちの納屋よ。普段はあまり使っていないけどね」
「えーと……デボラ様、ありがとうございます。」
「うちの下僕を助けてもらっといて放り出すのは寝覚めが悪いからね」
「ありがとうございます」
ピエールは一言礼を言うと
「あの……あれからどれくらいたったのでしょうか?」
「丸一日ね」
「なっ!?……主人の元に行かねば」
しかし起きたばかりで上手く体が動かないピエールだったが、そこに
「お嬢様!言われてた旅人風の男性が帰ってこられました。
「そう……じゃあここに案内しなさい」
デボラはそれだけ言うとその場を去っていった。