ちょっとおまけで満足できない。【完結】   作:イーベル

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いよいよLEVEL3です。
塚原√EDまで一直線。涙イベントは心が痛くなるので見ません。従って裏で攻略していた七咲イベントもここからはスルーしていきます。


塚原ひびき LEVEL3 スキ編
SELECT 8


* 塚原ひびきのレベルが変化しました  〇 OK

 

 

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──→

 

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──→

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ひびき スキ

 

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──→

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アコガレあい ナカヨシ

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デアイ シリアイ ソエン

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テキタイ

 

 

 最近どうにも集中力を欠いていた。

 理由は他人が見たら分からないだろうけど、自分からすれば明らかな物だ。

 

「橘、純一君……」

 

 独りでに天井に向かって名前を呟く。彼への気持ちをどうすればいいのか、ここ最近の自分は答えを出せずにいた。従う気持ちを認識できていないのだから、当然どのように振る舞って良いのか、まるで分からない。

 でも、それも今日までだ。

 ようやく踏ん切りがついた。今日彼が漏らした本音。それに応えたいという自分。それはもう明確な答えと言ってしまってもいい。

 

 私はどうしようもなく彼が好ましくて、自分の物にしてしまいたいと思っている。

 

 そう自覚できただけで、名前もなかった気持ちの燻りが、知らない部分があると知る、あの焦燥感がスッと軽くなる。

 あれはきっと嫉妬とか独占欲だったのだ。

 未知の病は恐ろしいけど、正体と仕組み、治療法さえ理解できれば何とかなる。

 今回の場合は彼の所に行って、ひたすら可愛がり、からかうことで完治するでしょう、なんて。馬鹿だな……頭の中がお花畑になってる。

 でも、普段だったら嫌悪するこんな思考も自然と受け入れられた。恋って、結構不思議だ。

 

 それにしてもと、今日の出来事を振り返る。

 

 彼の漏らした本音。言うつもりで無かったであろう言葉。それがもたらす結果に怯える彼を放っておけなかった。自分がこれだけ幸福感に満ちているというのに、そんな事を許せるはずもない。だから私は……

 

「ああっ! もう! やり方は幾らでもあったのに……!」

 

 何のために頭が付いているんだと、バタバタと足を跳ねさせて抗議する。

 あんなこと自分はできない。やらない。そう思っていただけにびっくりだ。これでもう少女漫画を読んでも笑えなくなってしまった。

 自分がどんどんダメになっていってる。そう自覚はしている。だからこそ私はあそこで踏みとどまったのだ。

 これ以上はダメ。私には乗り越えなくてはならない壁が残っている。終わるまでは、彼にこの不誠実さを許容してもらいたかった。

 


            一方その頃……

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□ 確認     * 行動が実行されました    〇 次へ

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「お、おはよう。橘君」

 

 声をかけられて僕は顔を上げる。靴を履き替えている途中だったのだ。前髪が瞳に刺さりそうになって首を振る。

 

「塚原先輩。おはようございます」

「うん。今日はいい天気だね」

「ええ、まあ。スッキリと晴れてていいですよね」

 

 ありきたりの言葉に返事をしつつ、靴を履き替え終わって彼女に並ぶ。また前髪のポジションがずれて苛立ちを覚えながら触れた。

 

「前髪、気になるの?」

「ええ、ちょっと前髪が伸びすぎたみたいです。最近床屋に行くのサボってたんで、そろそろ切ろうかと」

「ふーん。じゃあ橘君は普段もうちょっと短いんだ」

「いちいち目にかかるのは鬱陶しいですから」

 

 そう言ってふと塚原先輩の前髪を見た。彼女の髪だってそれなりに長さはある。女性の前髪って日常生活に支障をきたしそうだと思う。まあそれは彼女に限った事じゃないけど。

 

「塚原先輩って前髪が邪魔だって思うこと無いんですか?」

「そうね。無い訳じゃないよ。そういう時はカチューシャとか、ヘアゴムでどかしちゃうね。学校じゃあんまりやらないけど」

「へぇ……」

 

 そう言われて僕は、塚原先輩の髪型を脳内で変換してみる。ポニーテイルを解いて、前髪だけヘアゴムで纏めて……。おお、これは意外とありなんじゃないか? しっかりカッチリと言った感じの塚原先輩が見せるちょっとだらしない感じ。たまらないな……!

 

「なに? じっと見て」

「え? いや、その塚原先輩が前髪をどかしたらどんな感じなのかなって。こうやって纏めるんですか?」

 

 自分の前髪を一束に纏めて、塚原先輩に見せた。すると彼女は急に僕から目線を外す。あまりの不自然さについ気になってしまう。

 

「どうしたんですか、そっちに何かあるんですか?」

「……わざとやってる?」

「なんのことです?」

「もう。橘君は意地悪だね。私、先に行くから」

 

 色づいた頬が一瞬見えた。その直後、声をかける間のなく彼女は歩くペースを上げた。そして曲がり角で視界から完全に姿を消してしまう。

 意地悪? 僕が? 何でそんなことを言われたんだ……。

 教室に向かいながら自問自答。自分の行動を昨日の夜まで遡った所でようやくその意図に思い当たった。

 昨日は寝れなくて、塚原先輩がしてくれた『お預けのキス』を思い出しながら額を撫でていた。たぶん先輩もきっと意識してしまったのだ。無自覚だったとはいえ、確かに意地悪だったかもしれない。

 前髪を元に戻して、ちょっと弾んだ心音を意識する。伝染した恥じらいは僕の足も速めた。

 

 

                  

進路について僕も考え始めよう。まずは推薦入学者の結果を掲示板でチェックだ!

───────────────────────────────────────────

 

 

「キミたちももう受験まで一年切ってるからね~。そろそろ気を引き締めなよ」

 

 授業中そう、言ってくる先生が何人目になるのか忘れてしまった。けれど、僕は以前よりもその言葉に重みを感じるようになったと思う。

 塚原先輩が集中したい事の二大巨頭の一角がそれだったからだ。

 身近な人が頑張っている姿を目にして、ようやくその物事を具体的に捉えられるようになったのである。

 

「やっぱり僕も今の内から頑張った方がいいんだろうな……」

 

 休み時間の教室でそう呟く。

 でも、今からやるとしたら地道にコツコツ勉強するのは当たり前だとして、あとは……。そう言えば今日は推薦入学者の発表があるんだっけ。参考になるかもしれないし、ちょっと見に行ってもいいか。

 それに三年生が集まっているはずだから、塚原先輩にも会えるかもしれない。

 そんな淡い期待、もとい下心を抱えて僕は教室を出た。

 

 

 掲示板の近くには思っていたよりも人がいて驚いたのだけれど、それ以上に本当に塚原先輩が森島先輩とセットでいることにはもっと驚いた。

 自分の直感か、幸運のいずれかは、意外と高性能らしい。

 

「塚原先輩。森島先輩。こんにちは」

「あ、橘君。ちょうどいい所に!」

「はい、何でしょう?」

「お祝いのメッセージをどうぞ!」

 

 お祝い。その言葉を受けて少し考えて、僕は一つの結論にたどり着く。

 

「森島先輩、おめでとうございます。推薦だったんですね」

「ん~ちょっとおしいね。受かったのは私じゃなくて、ひびきちゃんだよ。ちゃんと当てなきゃダメでしょ」

「いや、はるか。流石にこの状況でノーヒントじゃ分からないよ」

 

 隣に立っていた塚原先輩が笑う。つまり、受かったのは塚原先輩か。でも塚原先輩って国立の医学部志望だったような……。

 

輝日東(うち)って医学部の推薦来てたんですか?」

「うん。運良くね。おかげでちょっとだけ早く羽を伸ばせそうだよ」

 

 肩の荷が下りた塚原先輩は、体をぐっと縦に伸ばした。

 と言う事は塚原先輩の掲げていた目標の内の一つは消化されたということ。後は部活だけだ。僕の想いに応えてくれるまであと少しになった。

 その唐突さに面を喰らったけど、すぐに平静を取り戻す。

 めでたいな。塚原先輩にとっても、僕にとっても。取り戻した平静はすぐに興奮へと変わった。

 

「おめでとうございます! 塚原先輩!」

「うん、ありがとう」

「いいよね~これで卒業まで遊びたい放題じゃない?」

「もう、そんなに遊び惚けないって」

 

 肘でつつく森島先輩とくすぐったそうにそれから逃げる塚原先輩。二人はじゃれ合いつつ喜びを噛みしめいるようだった。

 こういう時心の底から喜びあえるような関係性は羨ましい。そんな事を考えていると森島先輩の視線がこちらを向いた。

 

「でもどうかな~。ひびきには橘君がいるし……」

「ちょっと、はるか。それどういう意味?」

「べっつにー。じゃあ私、ちょっと用事思い出しちゃったから行くね」

 

 言いたい事を言うだけ言って、森島先輩は嵐の様に去っていく。もしこの世界がマンガだったら足がグルグルの渦巻きになっていそうな勢いだ。あのエネルギーはどうやったら出てくるんだろうなと不思議に思う。

 

「もう、はるかったら……」

 

 ため息を付いた塚原先輩。彼女はこちらを向いて黙り込んでしまう。まだ朝の事を引きずってるみたいだった。何だかちょっと気まずい。この空気を壊す為に次の話題を提供しよう。

 

「やっぱりすごいですね。塚原先輩は」

「そんな事無いって」

「また謙遜を。謙遜も行き過ぎると卑屈になりますよ。今回ばっかりは自信もっていいと思います」

「そうかな?」

「そうですよ」

 

 僕が肯定しても、まだ塚原先輩は受け止めきれないようで、そわそわとしている。うーん。前よりも自己否定気味じゃないけど、僕としてはもっと先輩に自信を持って欲しかった。

 だから僕は直接的な行動に訴えることにする。

 

「とにかく、おめでとうございます。塚原先輩。部活も応援してます」

 

 そう言って手を握ってみる。さらりとした絹の肌触りと、自分の手を同じ部分とは思えない程の柔らかさが感覚神経を襲った。

 勢いで僕はとんでもない物を手にしてしまったのかもしれない。みるみると体が熱くなっていくのを感じる。それは彼女も同じようだった。

 

「ちょ、ちょっと橘君。こんなところで……。他の人も見てるから」

「え、あっごめんなさい」

「分かってくれればいいよ。私、もう行くね」

 

 さっき森島先輩が向かった方向へ塚原先輩が駆けていく。朝と違ってはっきりとその赤く染まった頬を見ることができた。困った様に目線を伏せる彼女は愛らしい。

 

「照れてる先輩、可愛かったな……」

 

 幸せをかみしめる様に呟く、それから僕も教室へ向かった。結果として参考には全くならなかったけど、成果は重畳。やっぱり塚原先輩は凄いや。

 

■■■■■■■■{一索}

 

 

 

「美也、今日はやけに上機嫌ね」

「え? そう見えますか?」

「うん。何か良いことでもあったの?」

 

 迂闊が終わった後の更衣室で声をかける。鼻歌が飛び出す程度に上機嫌だった彼女はその事に気が付いていなかったらしい。

 

「実は、そろそろにぃ……お兄ちゃんの誕生日で。私もついでに美味しいものを食べれるな

ーって」

「そうなんだ。それはよか……、って橘君誕生日が近いの?」

「はい。12月14日なのであと少しです」

 

 全然知らなかった。彼ったらそう言う所を開示してこないよね。人の事はガンガン聞いて来る癖に。

 

「……本当にあと少しね。もう少し早く知りたかったかな」

「知りたかったって、塚原先輩、お兄ちゃんに何かあげるんですか?」

「そうね。最近いろいろと話すし、仲の良い子だとは思っているから」

「へぇ。にぃにも隅に置けないな~」

 

 にやにやと私を見る美也。何、別にいいでしょう。事実なんだから。

 

「美也ちゃんは何か買ったの? プレゼント」

「まだなんですけど、お兄ちゃん、私にはプレゼントをくれたので、何かあげないとな~って」

「そう」

 

 そのとき天啓を得る。美也をこちらに引き込んでしまえば、このプレゼントには失敗しにくい。彼女なら兄が何を欲しがっているのかとか、好みとかも把握しているだろうし。

 そうと決まれば行動は迅速に起こそう。

 

「ねえ、美也」

「何でしょう。塚原先輩」

「このあと、時間あるかしら?」

「私も、塚原先輩にそう聞こうと思ってました」

 

 彼女は狙い通りと言わんばかりにニヤリと笑みを浮かべる。

 

「そう、なら大丈夫ね。ちょっと付き合って貰える?」




改めて言いますが、感想とか評価。嬉しかったです。ありがとうございました。これからも何とぞ……。
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