宇宙招来体がダンジョンに潜るようです。   作:チノパン

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冒険の準備

 奪い取った金は結構な額があったので、取りあえず宿を取った。

 ベッドは一つ。リリルカをその上に寝かして奪ってきたポーションを飲ませる。

 嘔吐しそうになったがなんとかリリは飲み込んだ。

 

「俺は外で寝るからお前はここで過ごせ」

「え? でも」

「冒険者。嫌いなんだろ」

 

 図星だった。冒険者はリリにとって憎悪の対象であり侮蔑の対象でもあり、恐怖の象徴でもあった。

 それを察していたニックは鍵をおいて部屋を出る。向かう先は宿の屋根。

「隕石に消し飛ばされて転生した。そのせいか? この力は」

 

 肉体の形状を変化させる。

 ソーマ曰く、ニックのステータスは異常だそうだ。裏ポケットに入れていたステータスの写し紙を眺める。

 基本ステータスは至って普通なのだが。問題はスキルと魔法。

 

 

スキル

 

『デオキシス』

常時発動

デオキシスの力を使用できる。

『フォルムチェンジ』

・ノーマルフォルム

全体的にステータスがあがる

・アタックフォルム

力・魔力がぐーんとあがる

耐久ががくっとさがる

・ディフェンスフォルム

耐久力がぐーんとあがる

・スピードフォルム

俊敏・器用がぐーんとあがる

 

魔法

『サイコブースト』

魔力の塊を打ち出す

『じこさいせい』

傷を修復する

『はかいこうせん』

超火力の魔法攻撃

必ずマインドダウンする

 

 ほとんどデオキシスで埋まってんじゃねぇか。隕石に消し飛ばされた影響なのか?

「ま。強いし別にいいか」

 女と金と武器を手に入れることができた。もしこのスキルと魔法がなかったら俺は殺されていただろう。

 

「ふわあ……ああ……あ……」

 欠伸が出た。

 寝ることにする。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 翌朝日差しで目が冷めた。煉瓦に背中を預けていたせいで体が痛い。

 枕の一つでも借りてくればよかった。

「窓を開けて飛び込むフライアウェイ」

「うわ」

 気持ち悪がられた。割と心に来る。

 

「あの」

「ん?」

「あなたはどうするんですか?」

「冒険者だぞ? 戦うだけ」

「あの! 私はサポーターです。きっとお役に立てます!」

 

 呆れた顔で見下ろす。

「冒険者は嫌いなんだろ?」

「それでも私は冒険者に頼らないと生きていけません」

 サポーターとはそういうものだ。

 サポーターになることを申し出たのは恩を返すためではない。この人物と一緒にいて、取り入る事ができれば他の危険を排除できるという打算的な考えのもと申し出た。

 

 取り入るためなら、この体を使ってもいいとまで考えている。

(外見からしてこの街に来たばかり。カモになると思われて入団させられたに決まってる。なら私にとってのカモにもなる)

「良いぞ」

 リリは内心ガッツポーズをした。

 

「じゃあ何をすればいいのか教えてくれよリリルカ」

「リリとお呼びくださいニック様」

「まぁ。なんでもいいか」

 奪い取った武器と巾着を腰に巻き付けて宿をあとにした。

 取りあえず先に冒険者用の鞄を購入してギルドへと向かう。

 

 大通りはかなり人が多い。ニックはリリの前を歩くようにした。

 ギルドの受付に行って冒険品登録をしたいと申し出た。

「派閥は?」

「ソーマ。エンブレムもある」

 ニックは証拠にステータスの写しを手渡した。

「ああニック様! それは渡しちゃだめです!」

「なんで」

「ステータスは隠さないと!」

 

「だってこれ証拠に」

「エンブレムの刻まれたアイテムを持ってるでしょう! それを出してください!」

 紙をしまって代わりのものを出した。

 応答してくれているエルフの女性は苦笑いをしている。

 

 冒険者登録を済ませて今度は装備やポーション類の調達に向かった。

 主戦力の武器はこの奪った剣で良いとして、他にも採集用予備用の武器。最低限の防具が必要だ。

 店主とリリの協力の元購入した。

 

 次はポーションだ。

 何処の店で買うのが良いとか話しながら歩いていると突然声をかけられた。

「そのピカピカの装備! 今日初めてダンジョンに潜るのか? ならこれをあげよう」

 ミアハを名乗るイケメンな神様がポーションをくれた。

 

「ミアハをよろしく頼む!」

 宣伝らしい。

「ミアハ本店行ってみるか」

「行くだけですよ」

 本店兼ホームに向かう。

 外見はボロい。客足も全くない。ガラッガラだ。閑古鳥が鳴いている。

 

「やめておきましょうか」

「失礼します」

「言ってるそばから」

 騙しやすいと思ってついてきたが、それ以上に面倒くさい人間かもしれない。

 リリは急いでニックの後を追う。

「いらっしゃい」

 やる気のなさそうと言うか眠たそうな犬人の女性がいた。

 片腕がアガートラムだ。

 

「カッコいい」

「見世物じゃない。買わないのなら帰って」

 客? に対して結構ないい草だ。

「さっきミアハ様にポーション貰ったから興味持ってきてみたんだ」

「またタダで配り歩いて……!」

「取りあえずポーションを」

「お待ちください」

 

 1ダース購入しようとしたニックを止める。

「いいですかニック様。こういう店ではまずどんなポーションを売っているのかを確かめなければなりません。店によって効果や味、濃度が変わります。酷い店なら水でかさ増しをしてる店もありますからね」

 

 ポーションは冒険者の命綱。信頼できる店からしか買わない、使わないが大原則。

 この店はリリにとっても初めての店なので見極めなければならない。 

「これだよ。このの店で一番安いポーションは」

 リリは手にとって蓋を開け匂いを嗅いだ。

 

「……薄めてはないようですね」

「当たり前。お客様にウソツカナイ」

「よし1ダース」

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