幻想放浪記   作:たいやき屋

1 / 5
久し振りの投稿で誤字脱字があるかもしれませんが、ご容赦ください。

軽く流しながら読むぐらいが丁度いい駄文です。
よろしくお願いします!


魔法の森一夜目〜

ここは幻想郷。

 

この国日本の何処かにあるらしい、

 

人々から忘れられた者の訪れる最後の楽園.....

 

人間、妖怪、妖精、さらに神様までもがいるそんな世界。

 

 

これはそんな世界で暮らす一人の男の物語である。

 

 

 

 

 

時刻は夜の8時を過ぎたぐらいだろうか。ここは魔法の森。辺りは暗く、肉眼では数メートル先が僅かに見える。月明かりが足元を照らしており、かろうじて歩ける程度には明るい。しかし、魔法の森には妖怪がいる。太陽がでている明るい時間なら、妖怪などには負けたりはしない。

 

だが、夜になると話は別だ。奴らは人間より夜目が利く。それで背後から襲われてはひとたまりもない。無傷で勝つのは難しいだろう。万が一に備え、私は帽子の中から八卦炉を取り出し、呪文を唱える。

 

八卦炉が光り出し、あたりを明るく照らし出す。太陽の光ほど明るくないが提灯や蝋燭より遥かに明るい。これだけ明るければ妖怪に襲われても反応することができるだろう。

 

 

少し遅れたが、自己紹介をしようと思う。私の名前は霧雨魔理沙。見た目通りの魔法使いだ。魔法使い(物理)ではない。間違えないように。まあ、魔法使うより物理で攻める方が得意なのは事実だが。今日は博麗神社で宴会があって今はその帰り。普段なら箒に乗って帰るんだけど、宴会の途中酔っ払った霊夢がスイカ割りの棒の代わりに私の箒を使ったせいで、箒が真っ二つに折れてしまった。仕方ないので、魔法の森にある自宅まで歩いている最中だ。

 

 

 

特に何事もなく帰路をたどっていると、森の奥少しひらけた場所に赤い何かが浮かんでいた。遠目ではぼんやりとしか見えなかったが、近くまで歩いていくにつれその赤い物の正体がわかった。どうやら屋台の提灯のようだった。

 

近づいていくと提灯には黒色の筆文字で「力自慢」と書かれている。外観は普通の屋台でのれんの下には丸椅子が5つ置かれているが、座ってるものはおらず客は誰も居ないようだ。

 

確かに幻想郷ではたまに屋台は見ることがある。だが、基本的に見かける場所は人里や博麗神社付近、迷いの竹林の入り口など比較的人が生活している場所にしか来ない。こんな、夜に妖怪が出るかもしれない魔法の森で見かけるのは初めてだった。

 

 

 

私はこんな所にある屋台の物珍しさと霊夢に箒を折られた事もあり、少し愚痴を吐きたい気分だったのでその屋台に入るり軽く一杯呑もうと思った。

吊るされている藍色の、のれんをくぐると目の前に店主らしき人物がいた。

身長は高めで少し細身のお兄さんという感じだ。

 

 

「いらっしゃ〜い、1名様でいいのかな?」

 

 

私が無言で頷くと、真ん中の椅子に座るように言われた。椅子に座る前に店内を見渡す。内装も至って普通の屋台だった。少し汚れているがそれがまた、店に味のある雰囲気をだしている。これは期待出来そうだ。そう思いながも、少し不思議なものがいた。

 

一番端にいる白い猫だ。その猫は小さい座布団の上で丸くなっているのだが、ピクリとも動かない。だからといって、作り物かというとそうもみえない。毛の一本一本が自然に生えており、顔の形や骨格までもがとてもリアルで今にも動き出しそうだ。

 

 

私が不思議そうに猫を観察し、触ってみようと手を伸ばした時

 

「できればその猫、触らないでおくれ。機嫌を損ねると後が大変だから。それでも触りたいなら構わないけど、注意はしたからね?」

 

 

 

と言われてしまった。その表情が少し不気味だった。顔は笑顔、その言葉も親切心から言っているように聞こえるが、言われた瞬間に背筋に悪寒が走る。流石に私ここまで言われたなら猫を触る事を諦め、椅子に座り、品書に目を通す事にした。

 

 

少し汚れてボロボロになっている品書には、

 

焼き鳥におでん、煮物、漬物、燻製など一通り酒のつまみになりそうな物が揃っていた。

その中に、聞いたことのない物がいくつかある。

 

そーせーじにちーず、鯖の缶詰、ころっけにぐらたんなど他にも色々あるが、少なくとも私は知らない。人里出身の私が知らないなら余程珍しい料理か、もしくは外の世界の物か......

 

 

「お嬢さん、何にするか決まったかい?」

 

 

それらが何か考えていると、店主らしき男に注文を聞かれた。私は慌てて品書の中から何を注文するか決めた。

 

 

「このころっけ?ってやつを2つ、後はそれに合いそうなお酒が飲みたい!」

 

 

 

「あいよっ!コロッケ2つにそれに合う酒だね。少し時間を貰うけど大丈夫かい?」

 

 

と笑顔で答えてくれた。私が頷くと

 

 

「それまではこれでも食べて、待っててくれな〜」

 

 

目の前に小鉢と箸を置いてくれた。どうやら野菜の浅漬のようだった。中には美味しそうに漬けてた、白菜に胡瓜、かぶなどが入っている。

 

 

箸を割り、胡瓜を一口頬張った。その瞬間に、口の中にちょうど良い塩気と胡瓜の食感が溢れた。続けて、かぶに白菜も食べたが、ただの浅漬とは思えない。今までに食べた事がないくらい美味い。

 

 

食べ続けていると、奥でパチパチと油が跳ねるような音がした。覗いてみると白い塊を油が入った鍋に入れて、揚げているようだった。少し経つと香ばしい香りが店中に広がる。何が出来上がるんだろう、そう考えていると数分過ぎて、塊が油の上に浮いてきた。それを取り出し、網で油を切っている。

 

 

茶色い小判形のあれがころっけなのだろうか?やはり私は見たことがない。

 

 

 

「あいお待ち!これがコロッケとそれに合う酒な!」

 

 

目の前のテーブルに千切りキャベツところっけ、端にはトマトがある。それと一緒に出された酒を見て再び驚く。ガラスのような物に琥珀色の液体が注がれており、上には白い泡のような物が浮かんでいる。少しでも動かすと今にも溢れそうだった。

 

 

 

「いただきます!」

 

まずは、ころっけを一口。

ザクザクッと音が鳴る。口の中が火傷しそうなぐらい熱かったが、少し甘味のある芋の味と挽肉の味が口中に広がる。今まで食べたことがないし、とても美味い。このまま食べ続けたい、しかしこのままでは口が熱すぎて食べ続けられない。

 

 

 

一緒に出された酒の事を思い出し、把手を掴みグイッと飲んだ。

 

琥珀色の冷たく泡立っているものが上の方からどんどん落下してきて、シュワシュワと泡立ちながら、舌を冷やし、頬を冷やし、のどを冷やしていく。

 

 

冷めた口にまた一口、また一口と食べ進めていたら、ころっけも酒もいつの間にか全て食べ終えてしまっていた。

 

 

 

「ご馳走さまでした!」

 

 

「いい食べっぷりだったね〜。そんなに美味かったかい?見ていてとても嬉しいかったよ」

 

 

私はまた無言で頷く。しかし不思議だ、これだけ美味い物が作れるなら人里で店を構えた方が、よっぽど客の入りもいいし儲かるだろう。

 

一人で考えている私の心が読まれたのだろうか店主が

 

 

「俺は人里では店を出さないよ。たまに近くまで行くことはあるけどね。あそこだと人が多すぎて俺一人じゃ仕事が追いつかないし、それに勿体ないだろ?

せっかく幻想郷にいるんだもの、いろんな場所で沢山の人や妖怪に俺の料理を知って欲しいからさ」

 

 

成る程と納得した。人里に店を構えたら、客は入るだろうが殆ど同じ客ばかりで、新しい客が来る事は少なくなるだろう。各地を渡り歩きながら店をすればそれだけ新しい客も入ってくる。

 

 

うん.....?さっき妖怪もって言わなかったか??

 

 

 

 

「おっ!陣さんいらっしゃい〜。今日は先客がいるけどいいかい?」

 

 

 

「先客がいるのは珍しいな。ああ、神社の巫女とよくいる魔法使いじゃないか。此処で呑むのはいいぞ!酒も飯も美味いし、何より楽しいからな!」

 

 

背後から声が聞こえて振り向く。そこには大柄の猿の妖怪が甚兵衛を羽織って立っていた。私は直ぐに迎撃態勢に移ろうと、帽子から八卦炉を取り出そうとしたが、

 

 

 

「おっと、ここで争い事は辞めときな、この居酒屋でそれは御法度だ。わしも森の大将に出禁にされたくないでね」

 

 

言葉は丁寧だが、その一言一言に重みがある。それによく見るとこの妖怪はかなり強いだろう。幻想郷で生きていれば嫌でも身に着く、生きる為の勘だ。それに相手は争う気は毛頭無いように思える。私は八卦炉を帽子にしまい謝った。

 

 

「すまなかった。あまり見かけない妖怪だったからの驚いてしまって」

 

 

「気にしないでいい。いきなり背後に猿顔の妖怪がいたら誰でも警戒するだろ!わしだったらすぐに殴りかかっておるわい」

 

 

店主と猿顔の妖怪が一緒に笑っていた。どうやら顔馴染みらしい。陣と呼ばれた妖怪は、品書を見ずににいつものやつを2つずつと注文した。

 

 

 

「お嬢ちゃんはなんでここで呑んでるんだい?確か今日は博麗神社で宴会をしてる筈だが」

 

 

と聞かれ、神社で宴会はしていたが酔った霊夢に箒を折られた事などを話した。すると陣と呼ばれた妖怪はまた大笑いしだした。

 

 

 

「それは災難だったなぁ。だからこんな所で呑んでいたのか。まあそんな事はここで呑んでればすぐに気にならなくなるさ。ほら、そろそろ出来上がる頃だぞ」

 

 

「へいお待ち!スパイシーソーセージと生ビール2つ!」

 

 

目の前に香ばしい肉の焼ける匂いが漂い、皿の端に黄色い物が添えてある。それとさっき私が飲んだ酒も一緒に出される。これは美味そうだ。

 

 

 

「それは驚かせた詫びの代わり、と言っちゃぁなんだ。わしと話しながら楽しく飲もうじゃないか!」

 

 

 

そこからはとても楽しい時間だった。私は宴会で起こった事や、異変解決の武勇伝、他には霊夢より強くなりたいから努力しているが全く追いつけない事、とにかく色々話した。どうやら陣さんは狒々と言う妖怪で妖怪の山に住んでいる。店主とは長い付き合いで、月に何度かこの店に呑みにくるらしい。今日は部下の教育が上手くいかず、一杯呑みたい気分だったから立ち寄ったのだと。

 

 

ふと時間が気になり、懐中時計を帽子懐から取り出す。時刻は11時39分を指している。そろそろ家に帰らなければ。

 

 

 

「店主さん、お会計は........??」

 

 

「ああ、それなら....」

 

 

と横にいる陣さんに視線を向けていた。

 

 

「今日はわしが払おうかな。なに、楽しませてくれた礼だ。そうだ大将、あれ頼めるかい?」

 

 

「あいよ!ちょいと着替えるから待ってておくれ」

 

 

あれとは一体なんだろう?

陣さんは店より奥にあある森が少し開けた場所に歩いて行った。私もあれがなんなのか気になり、付いて行く。

 

 

 

「陣さん。これから何をするの?」

 

 

 

「そうさな、この店に来る者は大体ふた通りいてな。魔理沙みたいに酒や料理が目的な者。もう1つは大将との力試しが目的の者が此処に来る。わしの場合今日は呑むのが目的で、力試しはついでみたいなものだが」

 

 

力試し?妖怪の陣さんと店主さんが??

まさかとは思ったが陣さんの表情がさっきまでと違うことに気づく。大声で笑いながら酒を呑んでいた顔はなく、目を閉じて集中している。どうやら本当のようだ。

 

 

 

「おまたせしました〜。さて、今日はどうしましょうか?」

 

 

 

奥から着替えて終えた店主さんが出てきた。さっきまでの服装とは違い、動き易そうな袖が短い服にズボンを履いている。

 

 

「魔理沙もいるからあんまり危険な物は駄目じゃな。お前さんが5分間倒れない、でどうじゃ?」

 

 

「了解!それなら大丈夫だな。すみません魔理沙さん、5分間測って貰えますか?」

 

 

 

私は頷きながら懐中時計を取り出し時間を見る時刻は11時46分だ。

 

 

 

「魔理沙、掛け声を頼む!飛び切り大声でな!!」

 

 

 

「じゃあ、今から51分まで。よーいスタート!」

 

 

 

 

 

 

私が叫んだ次の瞬間に陣さんの姿が私の視界から消えた。

 

 

 

 

 

 




次回から、登場人物のプロフィールでも書いていこうかしら?
(次回があるとは言ってない)( ・∇・)ノ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。