それでも自分なりに頑張って書きました。
第2夜をお楽しみ下さい〜。
「よーい、スタート!!」
私が叫んだ瞬間、陣さんの姿が私の視界から消えた。
まずは軽く様子みじゃな。
さて、どう捌いてくるか。
わしは大将の顔めがけて拳を振るう。
恐らく、躱すか受け流してくるはず。そこを追撃して、大将のペースを崩しこちらの流れを作りたい。
だが、わしの予想は両方外れていた。
躱す事も受け流すこともせず、わしの懐に詰め寄ってきた。拳の間合は潰されたから、咄嗟に右の膝蹴りに切り替える。それすらも読まれていたのか、当たる前に足を払われ、体勢を崩し掌底が顎に当たってしまった。
頭蓋骨に脳が当たり脳が揺れ、視界が一瞬真っ白になる。続けて鼻、こめかみ、鳩尾と流れるように激しい連打が繰り出される。この状況はまずい。このまま大将のペースが続くと、わしはなす術がなくなり負けてしまう。様子見はここまでじゃな。
「妖技・神風招来」
わしの周辺に積乱雲を呼び寄せる。辺り一面に暴風雨を撒き散らし、強制的に相手に距離をとらせる。距離を取らずにその場にいれば、激しい風雨が相手を巻き込み上空へ放り上げる。そこで内部に発生している雷に四方八方から襲いかかり焼け焦げるだろう。
流石に大将でもこの術は受けたくないようじゃのう。後方に跳び、距離をとっておるわい。まあこの暴風雨が消えればすぐに距離を詰めて来るじゃろうし。
「今度はこちらから行かせてもらうぞい?」
『妖技・纏風神』
辺りを激しく暴れ回っていた暴風雨がぴたりとと止む。
この妖技は呼び出した暴風雨をわしが吸収して、一時的に身体能力を上昇させ疲労を軽減する。これで大将のスピードを完全に上回った。先の様に間合を詰められてもわしの方が先に反撃できる。
「えっ、陣さん風神まで使うんすか!?それだと周りにも被害が....」
「あれだけ殴ってくれた礼じゃよ。被害がでない程度に加減はしてやるわい。素直に受け取れぃ!」
先の仕返しと言わんばかりに、大将の鳩尾目掛けて前蹴りを打つ。流石の大将でもこれは反応できまい。前蹴りが見事に大将に当たった。大きく後方に吹き飛んだが鳩尾はしっかりと手でガードしている。まさかこの速さに対応しこれも防ぐとは。まあ防がれても次があるがな。
大地を強く蹴り、後方に飛んで行った大将を目掛けて跳ぶ。そして頭上から迫る様に、地面に拳一閃。大きな音と共に大地裂け、風圧と土煙が辺りを覆う。しかし、感触からして大将には当たっていない。
どこに行ったのかと気配を探る。遠くに気配が1つ、これは大将ではない。離れて観戦してる魔理沙の気配じゃな。
目の前に気配が1つこれが大将....!この土煙のせいでわしの正確な位置はわからず、この攻撃も認識出来ないじゃろう。これで勝負ありじゃ。
「フンッ!」
爪に風を集中させて、気配の方に飛ばす。風と共に土煙が散りそこにいた大将の右腕を吹き飛ばした。これで戦力はかなり削った。だが、勝利を確信したわしの目に移ったのは........
「........木の葉?」
先まで大将だった物がいた場所には、なぜか真っ二つに裂けた葉が一枚ヒラヒラと落ちていった。何故大将がおらず木の葉が舞っている?あれは大将じゃない?ならば考えられる事は.....
「大将得意の変化術か。わしとした事が、まんまと化かされたわ!」
「陣さん、追加注文もありますぜ?」
『妖術・狸の変幻葉」
大将の声が聞こえ、わしの視界が一瞬白い光で包まれ目が眩む。視界が眩んでいても気配ぐらいは分かる。後ろに気配が1つ、2つ、3つ......。
合計7つの気配がある。1つは大将で残りは妖術で出した偽物じゃな。しかし参ったのう。わしには偽物と大将の区別がつかない。即ち全ての気配が本物の大将同じという事だ。
視界が覚醒し、見えるようにはなったが周りには大将と偽物が丁寧にわしを囲むように立っている。どれが本物か考えてる時間はあまり残っていない。。だが1人1人倒すしか見分ける方法が無い為時間がかかる。
『妖術・狸火』
振り向くと、背後から蒼白い火の玉が無数に放たれる。わしに考える時間を与えたくないようじゃな。まあ数こそは多いがスピードはあまり早くない。これれぐらいなら難なく避けられるのう!
「大将やこの程度の焔、わしならいくらでも避けられるぞい。遂に万策尽きたかの?」
「それならこれは避けられますか?」
『妖術・狸の蒼炎七変化』
周りにいた7人全員が先の蒼炎をわしめがけて放ってきた。マズイ、この状況、先の連撃の方がまだ良かったぞ。わしの視界全てが、蒼炎の火球で埋め尽くされる。今はまだ避けられるが被弾するのは時間の問題だろう。
わしとしては被弾するよりも避けた後木にでも当たって山火事の方が怖いような気もするが。
『奥義・神爪剛嵐波』
左手に妖力を集める。集めてる間も絶え間無く火球は此方に襲いかかる。それをひたすら躱し、妖力を纏わせた左手でわしの周囲を横一閃。蒼炎の火球は風の風圧で全て散る。周りにいた7人の内、5人が一緒に巻き込まれ葉っぱに戻っていた。
神爪剛嵐派を避けた2人が前後でこちらに突撃してきた。
やはりわしが火球全てを消した後に詰め寄ってきおる。攻めるパターンが少し単調過ぎじゃろ。そんなに近付いてこれが避けれるかの?
「風よ、今一度わしの元に戻りたまえ!」
背後から先に薙ぎ払った風が再びわしの元に戻ってくる。背後からの風では避けようがあるまい。風は2人の大将を斬り裂いた。
「!?」
2人の大将は斬り裂かれ、葉に戻る。これも変化じゃと!?
本物の大将は何処に......
「本日はご来店ありがとうございました。又のお越しをお待ちしています。」
頭上から声が聞こえる。うえッ......
『妖術・分福茶釜の鉄槌』
暗い夜空から巨大な茶釜が落ちて来る。
これは避けようがないわい。今回も勝てんとはな、どうやらここまでじゃのう。茶釜がわしの頭に直撃する寸前、わしの意識はそこでブツリと途切れた。
「.........」
意識が覚醒し、辺りを見回す。どうやら負けたわしを屋台の長椅子まで運んでくれたのか。そして負けたのか。今回こそはいけそうじゃったんだが。
「あっ大将、陣さんが目を覚ましたよ!陣さん大丈夫??」
「魔理沙か。わしは平気じゃよ、あれで死んだりする程やわくないぞい」
魔理沙に返事をしながら、今回の力比べについて振り返る。制限時間5分間の内に大将を倒せばわしの勝ちじゃった。最初の連撃と火球こそ危なかったがそれ以外は大きなミスもなかったはず。うーむ......
「陣さんお気付きになられましたか」
いつもの屋台で着ている服に着替えている大将がこちらにやってきた。
「なあ大将や。わしは今回どこで選択を間違えた?」
「そうですね〜。俺の連撃に対して神風招来から纏風神まではかなり良かったんですよ。風神を使われたら俺の速度じゃほぼ反応出来ませんし」
「わしもそこまでの流れは悪くなかったと思う。あのまま殴られ続けたらそこで終わっていたからのう」
「問題はその後。前蹴りからの空中攻撃ですね。その時、俺が躱して土煙が舞って視界が悪くなったでしょう?」
確かに土煙は舞ったが、じゃがそれはではお互いに認識は出来ない。特に失敗でもない.....?
「その土煙が今回の失敗ですね。陣さんもお互いを認識できないでしょう?その間に俺が妖術を仕込む時間を与えてしまったんですよ。俺は耳がいいのである程度は把握できるので」
「変化で俺を作り、俺と入れ替わる。それを陣さんが攻撃して変化した葉っぱと分かり、驚いた瞬間に仕込んでおいた変化を使って攻撃、そこから妖術で追撃する。先に5体倒させて残りの変化が2体倒された所で俺は上空で待機してましたから。」
「確かにあの状況じゃあ、狸火と変化大将の事で上空までは気がまわらんかっったのう」
「まああそこで上空にも攻撃範囲がある術を使われていたら、俺は白旗挙げてましたよ」
やはり大将は一筋縄では倒せそうにないわい。最後に勝ったのはいつじゃったかな。そういえば魔理沙はなにをしておるのかな?さっきの力比べで風が当たっていなかったか心配なのじゃが。
魔理沙はわしと大将の話が聞こえる場所に椅子を持って来て話を聞いていたようだ。今回の力比べの反省会が面白かったのか、目を輝かせている。
「陣さんも大将も凄いよ!5分間であんなに激しい戦いは私は見たことがない!」
「うーむ。年頃の女子が聞いてても面白くない内容じゃと思うがのう」
「いやいや、すごき面白かったよ!私は大将の最初の連撃ぐらいなら捌けるけどあの後の術は防げるか分からないし。陣さんの風は魔法を使えば吹っ飛ばせるけど隙が大きいからそこを攻められたら勝てそうにないな....」
『.........え??』
わしと大将が同時に間抜けな声を出してしまった。魔理沙があの連続撃を捌けるじゃと?わしの風も魔法で??
「いやほら、魔法使いでも接近線が出来ないと距離詰められたらなにもできないじゃん?どうにかしなきゃって、それで身体強化練習して上手く扱えるようになったらそっちの方が得意になっちゃって....」
まあ確かに魔法使いとかは基本遠距離戦が基本だから近接戦は対策は必要だろうけど。 大将と殴り合いが出来る魔法使いとか聞いたことないし想像するするだけで恐ろしいんじゃが....
「そういえば魔理沙流れ弾は飛んで来なかった?控えめにはしてたけど何回か広範囲技もあったし」
「特になかったかかな。あ、風の刃が何度か飛んできたかな?なんか私に当たらず変な方向に飛んでったけどね」
「魔理沙、その時猫が近くに来なかった?」
「確かに来たよ。始まってすぐかな?さっきまで寝てた猫がすり寄って来たから喉撫でてたんだよ。そしたら帽子に乗ってきてさ、気に入られたのかわかんないけどその後は一緒に力比べを観てたよ」
「魔理沙やきっと風の刃が逸れたのはその猫のお陰じゃよ。後で礼でも言って今度来るときは何か持ってきてやりな」
「わかった!」
その後、陣さんはそろそろ行くと言って妖怪の山に帰って行った。私は猫と遊びながら大将と雑談してちょうど一時になる前ぐらいには家に着いていた。
大将は当分魔法の森で屋台を出しているからまた友達でも連れて呑みに来なって。今度来るときは霊夢かアリスでも連れてこようかな。
私は軽く汗を流し、その夜は眠りにつくことにした。
その頃大将は......
「蓮さん今日はありがとね。魔理沙を助けてくれたんでしょ?陣さん加減すると言っても熱くなると忘れちゃうからさ。お礼に明日の朝ごはんは豪華にするかなぁ」
「ふにゃう〜」
「はいはい。それじゃあ帰りますか〜」
今日あったばかりだけど魔理沙には初めて会った様な気はしないなぁ。以前にどこかであったかな?俺はあんまり人里には顔出してないからな、あるとすれば外で会ったか、後は香霖堂ぐらいかな。
「明日は久々に友人の顔でも見に行きますかな〜!」
久々に会う友人の顔を思い浮かべると、どうしてきたんだい?問いたいような渋い顔をされるのが脳内で浮かんできた。まああいつらしいか。
あいつちゃんと元気にしてるかな。
霧雨魔理沙
「道を間違えた魔法使い」
種族 人間
能力 魔法(物理)を使う程度の能力
魔法使いの弱点、近接戦の対策で身体強化魔法を覚えたら遠距離戦よりも近接戦が得意になった。
最近の妖怪退治も魔法(物理)を使って成敗している。
しかし彼女はまだ気づいていない。
身体強化魔法を使ってばかりで本来の魔法使いとはかけ離れていくことを.......。