幻想放浪記   作:たいやき屋

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こんばんわ!

今回は投稿がかなり遅れてしまってすみませんでした_:(´ཀ`」 ∠):

卒業作品に就活でなかなか考える時間がががが....。

あいもかわらずの駄文ですがお楽しみください(°▽°)ノ


魔法の森四夜目〜

「さて、今回作る鍋は牡丹鍋だ。魔理沙は牡丹鍋ってなんの鍋かわかるか?」

 

 

「流石に花の牡丹を入れるわけないし......。分からん」

 

 

まあそうだよな。牡丹鍋はいつでも食べれるわけじゃないし、肉屋にも殆ど置いてない。

 

「牡丹鍋は猪の肉を使った鍋の事だ。何故牡丹と言うのか、それは猪肉は赤みが濃くてそれを薄く切り、盛り付けた時牡丹に見えるかららしい。」

 

 

「私は、獣肉系はあんまり食べないけど美味しいの?」

 

 

「美味いぞ。味は牛と豚の中間みたいな味だな。成長具合によって料理の種類は変わるし。今日の肉は雌の幼獣だから鍋にぴったりだ」

 

 

成獣だったら長時間煮込んで角煮なんかも美味いんだよなぁ。煮込めば煮込む程硬い脂がトロッとした触感になってたまらない。今度仕入れる時に聞いておくか。

 

 

「よし、説明はこんなところにして鍋を作り始める。まずは手と包丁、まな板を洗うぞ。どうせ霖之助の事だし、長い間使ってないだろう。そうじゃ無くても洗うのは基本だがな」

 

 

俺も手を洗い、家から持ってきた材料を広げ作業内容を確認する。

 

 

猪肉は切るのが手間だから先に切ってある。他に持ってきた野菜類は長ねぎに人参白菜、牛蒡に里芋と椎茸とえのきだけ。後はこんにゃくと木綿豆腐だな。

 

 

味は味噌味にする。白味噌、赤味噌、酒多少、砂糖、みりん、昆布とカツオだしかな。あと俺好みの粉山椒と七味。

 

「魔理沙にはまず、人参と椎茸を切ってもらうかな。比較的切り方はむずかしくないし。」

 

 

「そんなに簡単なのか?」

 

 

「簡単だと思う。人参は輪切りにする。厚さは3〜5㎜ぐらい。これで人参は完成」

 

 

「次に椎茸の切り方だな。これは生椎茸だからまず石づきをとる。石づきは椎茸の一番下にある黒いとこだ。そこは硬くて食べれない。その後に軸を切って傘の一箇所にに切れ込みを入れる。大体35度くらいの角度だ。それを反対側にやる。それをもう一度場所を変えて切れば完成さ。ついでにエノキダケも石づきだけ切って大体3分の1ぐらいで切る。ざっとこんな感じだな。どうだ、できそうか?」

 

 

「できるかわからないけどやってみる!」

 

 

 

「失敗上等、最初は誰でもそんなもんだ。横で俺もみてるしわからなかったら聞けよ〜」

 

 

横で魔理沙が包丁を手に人参を切り始める。包丁はしっかり持てているが、輪切りにした人参の厚さは少し厚めの1㎝ぐらい。まあそれぐらいなら少し早めに入れれば火が通る。初めてにしては上手く切れてる方だな。

 

 

「さて俺も頑張るかな!」

 

 

 

まず、猪肉に粉山椒をまぶし、皿に牡丹の華に見えるよう、上手く並べる。俺も並べるのは久し振りで多少不恰好だが牡丹に見えなくは無いだろう。

 

次にこんにゃくを鍋で湯を沸かし下茹でし、アク抜きをする。こんにゃくは先に一度茹でておかないとアクの臭いが残り、食べる時も臭ってしまう。

 

 

牛蒡に里芋は水洗いで泥を落とし、牛蒡は斜めに切る。切り終えた物は水につけておく。つけておかないと牛蒡が空気に触れて酸化し、黒くなってしまう。

 

 

白菜の葉の固い部分は、大きくそぎ切りにし、やわらかい部分は5センチ位のぶつ切りにする。

 

里芋は皮を剥いた後一度ゆでこぼしをしておく。これをすれば余計な粘りが消え、味も一段と染み込みやすくなる。

 

 

木綿豆腐は3㎝の長方形に切る。長ねぎも、牛蒡と同じく斜め切り。後茹で終えた里芋とこんにゃくをザルで水気をきる。これで大体食材の下準備は完了したかな。後はこれを大皿に盛り付けてっと。

 

 

他に必要な作業は一番大事なだしづくり。昆布とカツオの合わせだしはもうできている。その後の味噌の調合だけしておけばすぐに終わるからそんなに手間はかからない。

 

 

 

だだ今の時刻は午後4時21分。霖之助のことだからどうせ5時前ぐらいには帰ってくるだろう。それまでの時間はどうするかな。

 

 

「大将、切るの終わったよ〜」

 

 

どうやら魔理沙の方も終わったらしい。既に洗い物も終わってるし、鍋とガスコンロの準備もしてある。いよいよやる事がなくなったぞ。うーむ。

 

 

「他に切るものとかあるの?」

 

 

「いやこれで切るものは全部終わった。食べ始めるにしても、霖之助がいないんじゃどうしようもないしなぁ」

 

 

 

「もう近くまで帰って来てるかもしれないから私探してくる!」

 

 

そう言って魔理沙は、箒を片手に香霖堂を飛び出した。霖之助と入れ違いにならないといいんだがな。

 

 

「俺もやる事無いし掃除でもしてるかな。ガラクタあたりは怒られそうだからできる限り触れないようにっと」

 

 

 

まずはお勝手の掃除だな。

 

 

そんなに汚してはいないからそこまで大変じゃないだろ。流し周りを先ほど出た人参のへたと皮に少量の塩をつけて磨く。これだけでも十分に汚れは落ちる。使えるものは使わないと勿体無いし。後は乾いた布で拭きあげてっと。よし綺麗になった。こまめに掃除をすれば汚れずにすむ。

 

 

あたりは日が落ち始め、少しずつ暗くなる。まあまだ帰ってこないだろうから掃除を続けるか。

 

次は茶の間。邪魔なものは部屋の一箇所に固める。片付けていると、はじのほうに置いてある手頃な新聞を見つけた。数刊水で湿らせて部屋に撒いていく。

こうすることで新聞の湿気で埃が舞いにくくなり、掃き掃除が一段と楽になる。

 

 

「君は一体なにをしているんだい?」

 

 

ほうきであらかたのゴミを取り終わった時、背後から声をかけられ振り向いた。

 

 

「霖之助、やっと帰ってきたのかい?」

 

 

そこには白髪に眼鏡をかけた男が一人、呆れたような顔をしながらこちらを見ている。

 

「ガラクタ収集から帰ってきたら、奥から物音がして泥棒にでも入られたかと思ったらまさかの君か。」

 

 

「ありがたく思えよ。この散らかった部屋を掃除してやってるんだぞ?」

 

 

「僕は一言も頼んだ覚えは無いがね」

 

 

 

お互いに相手に皮肉を言い合うのはいつもどおりのことだ。言われているのは皮肉だが、俺は案外このやりとりは嫌いじゃない。なんか「霖之助」って感じがして安心する。

 

 

「で?今日はどうしたんだい。まさか本当は泥棒しにきたのかい?」

 

 

「なんで泥棒が入る家を掃除するんだよ。猪肉と美味い酒が手に入ってな。牡丹鍋でもしようとしたが、どうせ食うなら寂しく家で食うより霖之助とでも食った方がいいだろうと思ってな。どうせまだ飯は食ってないだろ?」

 

 

 

「まあ食べてないから頂くが。これから作るのかい?もう7時をになりそうだ」

 

 

「いや、下準備はもう終わってる。後は煮込むだけだ。」

 

 

 

掃除が終わった茶の間のこたつの布団を外し、卓の上にガスコンロを持ってきて鍋に火をつける。

 

 

「ちょっと待ってくれ。どうせ食べるなら外で食べないか?星空を観ながらの鍋も悪くないと思うのだが」

 

 

「おっ、それいいな。じゃあ布でも下に引いて外でやるか」

 

 

 

急遽場所を茶の間から、香霖堂前の空きスペースに布を敷きそこで食べることにした。星空を観ながら鍋か。普通やるなら冬だと思うが、まあいいか。

 

 

 

大体の準備が終わった頃、出汁などを温めて始めて野菜と肉を入れようとしたとき

 

 

「あーっ!!香霖が先に鍋始めてる!?」

 

 

霖之助を探しに行っていた魔理沙がようやく帰ってきたようだ。

 

 

「おー、おかえり魔理沙。まだこれから野菜を煮始めるところだからギリギリセーフだぞ」

 

 

「なんだい。魔理沙も来ていたのか。今日はうるさくなりそうだね」

 

 

「一人で食べる夕食よりよっぽどマシだぜ」

 

 

魔理沙と霖之助が軽く口論になっているがお互いに笑っているので、このやりとりもいつも通りなのだろう。

 

 

「ほれ、今日の本題は口論じゃなくて牡丹鍋だろ?まあ食わなくていいなら口論しててもいいぞ」

 

 

香霖がやれやれと言い魔理沙をなだめて鍋の周りについた。それに続いて魔理沙も座る。

 

 

「さてこれから煮始めるが少し時間がかかるから何か話題でもないか?俺無言の時間は好きじゃないし」

 

 

「それなら今日香霖はどこまで行ってたんだ?大体いつも5時前には家にいるのに」

 

「ああ、それはだな.。今日は少し遠出しようと思ってね」

 

 

 

 

今日帰ってくる時間が遅かったのはガラクタ集めが原因らしい。いつもは魔法の森近辺しか散策しないのだが、珍しく無縁塚まで行ってきたのだと。ただ、これといった収穫が無くて何かないか探していたらこんな時間になってしまっみたい。

 

 

 

「僕は魔理沙と君が知り合いだった事に驚いたのだがどこで知り合ったんだい?」

 

 

 

「あー。ほら俺が屋台で居酒屋やってるのは霖之助も知ってるだろ?ここ最近は魔法の森で店を出していてな。それで偶然魔理沙が俺の店に来たんだよ」

 

 

 

「飽きもせずまだやってたのか。てっきり僕は魔理沙を化かして退治でもされたと思っていたがね」

 

 

 

「最近はそんなに化かしてないの?屋台はもう習慣化してるから、飽きて辞める予定当分はないな。もう十年ぐらいか」

 

 

「そうか。君と出会ってからもうそんなに経ったのか。時間の流れは早いな。まあ、こればかりは誰にも変えられないから仕方がないか」

 

 

 

「おっ、駄弁ってる間に鍋の方がいい感じに煮えてきたぞ。そろそろ食べようぜ」

 

 

 

「そうだね、今日は僕もかなり歩いて空腹だしご馳走になるよ。魔理沙お碗を取ってきてくれ。場所はわかるだろう?」

 

 

トタトタと魔理沙が小走りで家の中にお碗を探しに戻り、俺と霖之助の二人きりになった。

 

その間に鍋猪肉を入れて煮込む。最初から入れてる肉とはまた違う食感がするはずだ。

 

 

「霖之助。前に会ってからもう3年ぐらい経った。俺が頼んでいた者は見つかりそうか?」

 

 

「まだ見つかりそうに無いね。幻想郷もそんなに広く無いから、こんなに見つからないのはおかしいんだ。もう少しだけ待ってくれ」

 

 

「まあいいさ。幻想郷に必ずいるはずだからな。そのうち見つかるさ」

 

 

 

「なんお話ししてるんだ?」

 

 

お椀を探しに家に行っていた魔理沙が戻ってきた。手にはお碗3つと箸3膳。

やけに綺麗な漆塗りの器と箸である。これ絶対拾ったやつだろ。こいつの家にこんな高価な物あるはずないし。まあ別に俺に何かあるわけじゃ無いからいいが。

 

 

「いや探し物の話だよ。前から探しているんだがなかなかみつからなくてさ」

 

 

 

「そんな事より鍋!さっさと食べようぜ。早くしないと肉だけ全部食っちまうぞ」

 

 

 

魔理沙がが慌てたように鍋の近くに座った。これで今日の夕食がにぎやかにすごせそうだ。お椀に牡丹鍋を盛り付ける。野菜のと味噌のよく煮込まれた甘い香りがする。これはうまくいったな。

 

 

 

「では皆さま。今日も一日お疲れ様!俺特製の牡丹鍋思う存分食ってくれ。それじゃあ!」

 

 

 

 

「「「いただきます!」」」

 

 

 

 

うーん。美味いっ!やっぱ牡丹鍋はいいな。この野菜の甘味と肉が煮込まれた事で流れ出た旨味が出てる汁がたまらない。野菜も柔らかく煮込まれてて口に入れると味がしっかり染み込んでいる。

 

猪肉も先に入れた方が柔らかく煮えていて、後から入れた方はちょうど良い歯応えが残っている。やっぱり猪肉最高だなぁ。

 

 

 

それにしても、魔理沙はいつ見ても美味そうに食べるな。初めて店にきたときもそうだが、食べる時の反応が見ていて面白いし、見てて微笑ましい。

 

 

霖之助は.......、やっぱり。眼鏡を外さないで食べてるから眼鏡のレンズが真っ白に曇ってる。あれじゃ何も見えないだろ。それでもしっかり鍋から猪肉を取れてるんんだよなぁ。

 

 

おいおい、もう殆ど鍋に猪肉も野菜も残ってないやん。俺まだ二杯しか食べてないのに。仕方ない、今度やるときは家でひっそりとやろう。

 

 

「さて。鍋の残りもあと少し。どうせまだお前達は食べ足りないだろ?ここでシメのご飯と生卵を準備して特性雑炊を作ってやる!」

 

 

 

先にご飯を鍋に入れて軽くかき混ぜ煮る。米が鍋の汁気を吸って膨らんできたら、火を止めてとき卵をかける。鍋に蓋をして待つ事約3分。

 

 

「そろそろ頃合いだな、ほいっと。よし上手くできてる。特製卵雑炊の完成!」

 

 

 

各自でお椀に雑炊を盛り付ける。俺もこれが密かに楽しみにしてたんだよな〜。シメの卵雑炊のお味は....。

 

 

「大成功だな。野菜と肉の旨味を米が吸い上げてしっかりと味がついてる。上の卵もふわふわでたまらないわ〜」

 

 

あっという間に鍋の雑炊は空になり、今日は片付けをして解散となった。

 

 

 

 

 

 

帰り道、今日の出来事を振り返りながら明日の予定を組み立てておく。

明日は店を開けなきゃいけないから、寝る前に食材と仕込みの確認だけして早めに休もう。材料はこの時間なら家に届いてるはず。

 

 

 

「今日は一日大満足。明日もまた頑張るかぁ!」

 

 

 

 

こうして俺の賑やかな休日が終わりを迎える。

 

 

その時の俺は、まだ知らなかった。

次の日にあんなに大変な事が待ち構えていたなんて。

 

 

 




今回は後書きはお休み。
次回はしっかり投稿いたします_:(´ཀ`」 ∠):

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