どうもたいやき屋です。就職先が見つからず、焦っていますが時間を見つけてはちまちま頑張ろうと思います。
今回からはあの赤い館編です!まあ内容スカスカのいつも通りの駄文ですがお楽しみください〜。
暖かな太陽の日差しが窓の隙間から差し込み、外から鳥達のさえずりが聞こえる。
「もう朝か、よく寝れたなぁ。」
「あれ....?ここはどこだ?」
目が覚めた俺は眠い目を擦り、辺りを見渡すと違和感を覚えた。
その部屋は全体にに赤を基調とした家具で統一されており、置かれている家具はどれも洋風の物ばかりだ。
1つだけ確かな事は、少なくともここが俺の家じゃない。
「あぁ思い出した。俺負けて連れてこられたんだっけ」
霖之助達と鍋をしてから店を開いて3日程経った夜だった。仕事もひと段落して体がもう限界。その日は早めに店を閉めて寝ようと思い、店じまいしていた。
そこに一人のメイド?のような服装をした銀髪の少女が現れた。
こんな時間に来る客はほとんどいない。店の場所でも探してたのかな。
「悪いねお嬢さん、今日はもう店じまいなんだわ」
「お気になさらず。私の用事は店ではなくあなたにあります」
俺に用事??最近は特に何もしていないずだが。
少なくともメイドを雇うような知り合いもいない。
「率直に言います。貴方を紅魔館に連れて行きたいのです」
「....。紅魔館?」
そういえばスキマ姉さんが言ってたっけ。
最近霧の湖に、赤い洋館が現れて異変を起こしたとか。俺はその時食材の仕入れで地底にいたから異変自体気付かなかった。
まあ博麗の巫女がいつも通り解決したようだ。
「えーと、悪いけどそりゃ無理だ。俺にも生活があるし店もある。紅魔館には行けない」
「貴方の意見は聞いていません。お嬢様がお決めになった事です」
「つまり俺に拒否権は?」
「ございませんね。自ら来ていただけると助かりますが、嫌なら力づくでも連れて行きます」
まいったな。どうやらこのメイドの主人が俺を連れてこいと言った。何度でも言うが、俺にメイドがいるような知り合いはいないは。もう疲労が限界だから早く帰って寝たいのに、なんでこんな面倒なことになるんだよ。
「なら勝負しようか。俺が勝ったら家に帰る、俺も眠いからな。まあ負けたら紅魔館でもどこでもついていくよ」
「いいですよ。内容はどうしましょう?」
「それじゃあ先に相手に『参った』と言わせた方が勝ち。開始の合図はそうだな、この鈴が地面に落ちたらでどうだ?」
俺の片耳には鈴のイヤリングがついている。それを外し、メイドに見せた。ただのメイドなら負けないだろうし、はやく帰って寝よう。
「わかりました。約束は守りますよね?」
「俺は約束は破らない。それじゃ、始めるか」
俺は空にむかって鈴を投げた。空は暗く月と星の明かりと提灯の明かりしかない。普通の人間じゃこの暗さじゃ何も見えないだろ。一度変化して姿を消す。相手が俺を探している間に背後をとり終わりだな。
「それではこれからよろしくお願いしますね」
「...は?」
チリンと鈴が地面に落ちる。変化しようとした時、目の前にメイドが消えて背後から首元にナイフを突きつけられた。そのナイフからは冷たい刃物の温度が伝わってくる。いやいやなんだよそれ。俺は一度も目を離してないのに、どうやって背後に回ったんだよ。
「まだ続けますか?」
「これはどうしようもないな。『参った』」
「では、紅魔館まで来ていただきます」
ただのメイドだと思って甘く見ていたらあっさり負けた。
あれはなんだったんだ。瞬間移動?でも音は聴こえなかった。空間でも操るかそれとも......。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
いつの間にか扉の前に昨日のメイドがいた。まただ。さっきまでそこには居なかった、それどころか扉を開ける音すらしていない。
「お陰様でね。うちは布団しかないからこんな洋風なベットは憧れてたんだ。一晩寝たら体調も良くなったし、家に帰ってもいいかな?」
「お嬢様がお会いになるそうです。廊下にいる者に案内させるのでご同行願います」
「どうせ拒否権は......、ないんだろうな」
「私は仕事があるのでここで失礼します」
メイドは一礼した後部屋から出て行った。入ってくるのは無音なのに出る時は普通に扉を使うのね。よくわからんな。
寝起きの頭を掻きながらベットから出て扉の外へ出る。そこには廊下が広がり、突き当たりの奥には大きな扉が見える。ふと、目線を下に下げるとそこにはメイド服を着た妖精がちょこんと三角座りをしていた。
「なんで私がこんなこと、咲夜さんが自分ですればいいのに。忙しいのはわかるけど他の子もいるんだし」
「そんなところで何してるんだ?」
「ひゃわっ!?」
俺が部屋から出てきたことに気づいていなかったようだ。どんだけ愚痴に気をとられていたんだか。慌てて立ち上がり、乱れた服装を直しながら何事も無かったように、
「えーこほん。ようこそお客様、私は今回案内を命じられたメイドのシルです。どうぞお見知りを。それではこれからお嬢様の部屋へ案内させて戴きます」
「少し質問してもいいか?」
「申し訳ありません、お時間が無いので歩きながらでお願いします」
そう言って妖精メイドもといシルは歩き出す。俺も後ろを追いながら質問する事にした。廊下の突き当たりの扉を開き奥に進んでいく。どこもかしこも赤だらけ。内装もほとんど赤い色で統一されているようで目が痛くなりそうだ。
「さっきから言ってるお嬢様って一体どんな奴なんだ?俺はなんの為に呼ばれたかもわからんし、そもそもお嬢様とも面識は無い筈なんだが」
「お嬢様は可愛らしい方ですよ。気紛れで自由で妹想いのお方です。ただ、お怒りになると大変な事になるのでお気をつけください。貴方のことは白黒泥棒から聞いたのでしょう。前に図書館のお茶会でそんな話をしていた気がします。」
「白黒泥棒?そんな色の泥棒がいるのか昼でも夜でもすぐに見つかりそうな色だが」
「確か霧雨魔理沙と言う名でしたね。図書館から気に入った本があれば死ぬまで借りていくと言い、全く返しにこない厄介者です。まあ図書館の主は気にしていないようですが」
白黒泥棒ってそういう事ね。魔理沙よ、借りた物はきちんと返さないと後々大変な事になるぞ.....。この俺が言うんだから間違いない。今度あったら注意しておくか。
「さて、つきましたよ。ここがお嬢様の部屋です。」
他の部屋の扉とはあきらかに装飾の違う扉の前に着いた。恐ろしげな頭蓋骨や十字架、蝙蝠などのがあしらわれている。そして、1つのネームプレートだけがその雰囲気と明かにあっていなかった。ハートマークのプレートの中央に「Remilia」とつづられている。
「失礼します、お嬢様シルございます。お客様をお連れ致しました。」
シルはコンコンと二回扉をノックし部屋に入る。だが、部屋に人の影は無い。代わりに奥にあるベッドがもぞもぞと動きそこから小さく返事が聞こえた。今の時刻は大体9時前後位、確かに吸血鬼ならまだ眠っている時間である。
「シル〜、私まだ眠いからもう少し眠る〜」
はぁ。軽くため息をつき、ベットに近寄り布団を無理やり剥ぎ取った。
「お嬢様がお連れしろ、と申されたお客様がもうお見栄ですよ」
布団を剥ぎ取られたベットに寝ていた少女が大きなあくびをし、まだ眠気が抜けていない目蓋を擦りながら体を起こす。寝起きだからだろうか、綺麗な髪が少し乱れて寝巻きのネグリジェがはだけている。
「おはよう〜シル。もう昨日頼んだばかりなのに呼んだの?私まだ眠いのに〜。客人は今どこにいるの?今から着替える.....」
「もう部屋にいらっしゃいますよ?」
「ふぇ?」
部屋の入り口で気まずそうな表情をしている男と目があった。そして今、自分の格好を確認する。状況を理解したのか、少し涙ぐんで一目を気にせず泣き出してしまった。
「これは俺が悪いのか......?」
「いえ、お嬢様の自業自得です。すみませんが少々部屋の外でお待ち下さい」
自分が悪い事した様な罪悪感に苛まれながら、俺は部屋を出た。これは俺悪くないよな?いきなり強制連行されて呼び出された挙句、呼び出した本人が泣き出すとかどうすりゃいいんだよ。
「お待たせしました。お嬢様がお呼びです」
一人で頭の中で色々考えていると部屋の中から声がかかった。どうやらうまくなだめられたらしい。もうこんな所じゃなくて家でゆっくりしたいよ。これで俺がなんか悪く言われたら何がなんでもでで行ってやる。まあ今すぐでたいんだけどさ。
「失礼します」
「ようこそ紅魔館へ!私がこの館の主人、レミリア・スカーレットよ!」
さっきまで号泣していた少女はどこえやら。服装も寝巻きから着替え、ナイトキャップにフリルがあしらわれたドレス、胸元には赤い綺麗なブローチをつけている。
「えーと、その館の主人様が俺になんのようで?俺はあんたと面識は無いはずだが」
「それはね!」
レミリアお嬢さんが何か言おうとした時、グーッと間抜けな音が鳴った。部屋の中がなんとも言えない雰囲気になり、お嬢さんは頬をあからめながら必死に自分の腹を抑え隠そうとしている。
「今鳴った音はシルのお腹の音よ!きっとお腹が空いてるのね、仕方ないからまずは朝食にしましょう!私は別にお腹は空いていないけどついでに食べるわ!」
「咲夜〜、ご飯まだ〜?」
「もう少しでできますのでお待ち下さい」
食堂に移動している道中で俺を連れてきたメイドの名が「十六夜咲夜」という事を知った。まあこれは本人からではなくお嬢さんが自慢げに教えてくれた。そして食堂まで行き現在に至る。
「なあシルさん、あのお嬢さんっていつもあんな感じなのか?」
「大体そうですね。寝室での事は仕方ないですが、先程の朝食についてもいつもあのような事を。」
「これでなんで俺が呼ばれた理由が理解できたわ」
あのお嬢さんが咲夜さんに頼んだメニューは、
「チーズ入り半熟オムレツ」
「温野菜のサラダ(トマト抜き)」
「白米」
「コンソメスープ」
まあ内容はよくある朝食に出るものだ。だが大変なのはこのメニューは今ここでお嬢さんが言ったものを作る、「紅魔館の住人分」全てを咲夜さん一人で。こんなに大きな館だ、作る量も多いし片付ける食器類の数は考えたくも無いな。
しかも朝食を作り終えた後には館内の掃除や洗濯、妖精メイドの指導にお嬢さんのわがままを聞いたりした後、また人数分の食事これを毎日3食分ひとりでこなしているらしい。そんな事をずっと幻想郷に来てから続けている。
「でもあれだけの食事を30分程度で作れるって人間技じゃないぞ。流石の俺もそんな量だったらもっと時間がかかる」
「それは間違いです。咲夜さんは自身の能力で時間を操れます。いつも料理を作る時も時間を止めて人数分をどうにか作っているはずなので、実際は3時間程かかっているでしょう」
昨日のあれはは時間を止めて動いていたのか。それならいきなり背後に回られたのも納得がいく。
「なるほどね、このままじゃ咲夜さんが過労死でも起こしそうだから、せめて食事の用意だけでも負担を減らす為に俺が連れてこられたと」
「そういう事です。どうか少しの間だけでも手伝っていただけませんか?」
これだけ頼まれたら断りづらいし、あのメイドさんから何か新しいレシピでも教えてもらえれば儲け物だし....。
「わかった、そのかわり条件をお嬢さんに3つ程飲んでもらおうかな。なんの対価も無しにやるほど人は良くないんでね」
「ある程度の事でしたらお嬢さまは気にしないと思います。私からも伺っておきますね」
お嬢さんの食事が終わり食堂から出ようとしていた所を呼び止める。
ここまで頼まれたら断りづらいし、どうにか頑張るか!
先に俺が過労死しないといいが.......
十六夜咲夜
「苦労が絶えない瀟酒なメイド長」
種族 人間
能力 時間を操る程度の能力
紅魔館の主人レミリア・スカーレットに拾われてからずっと仕えているメイド長。しかし、どれだけ時間が経っても主人の幼い言動は変わらず常に過酷な業務の合間の相手をさせられている。
本人はレミリアの幼い言動も可愛いと思いながら付き合っており本人もその時が一番楽しいらしい。その反面確実に仕事の手が止まるのでその分の業務を時間をとめてこなしている。
そろそろ疲れてきた事をシルに相談したら、前のお茶会で話していた店の店主の事を教えてもらう。そして現在に至る。