そして誰もが帰ってくる Heart of the warship girls   作:柳之助@電撃銀賞5月10日発売予定

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なにやら思いのほか評価高くてビビる。
週末中にこれと一緒に一次の斯く我が日刊ランキング入って笑っていました(
というかお気に入り数が私がメインで更新していたはずの落ち拳と変わらなくなってすっげー複雑。
よかったら落ち拳とかも読んでね!(


やはり瑞鶴は運がいい

 建物の裏にあったのは想像したよりも随分と広い畑だった。家庭菜園のようなことを言っていたがそんなレベルではなく農家とか言われても納得できそうなくらいだ。私の想像ではプランターや小さな花壇程度だと思っていた。だが、長方形の建物の裏ほぼ全域が畑となっている。

 

「ず、随分と広いんだね」

 

「えぇ、まぁ。最初はもっと小さかったんですけど時間は沢山あったので広げだしたらこんな風になていました」

 

 まぁ基本暇しているという話だし、世話をする時間も有り余っているのだろう。

 

「けど……畑と言ってもたくさん野菜があるわけじゃないんだね」

 

「まぁ、まだ四月初めですから。もうそろそろ色々種とか植え始める時期なので。基本的にジャガイモとかトウモロコシとかはなるべく作ってますね、お米が無くなった時に主食代わりにもなるので。暗室にしまったり、粉すれば保存も聞きますし。と言ってもおジャガは毒になるのが怖いのですし、できることならお米も作れたらいいんですけどね……」

 

「……そ、そうなんだ」

 

 正直何を言っているのかよく解らなかった。 

 ジャガイモとかトウモロコシって米の代わりなったのか。

 あとジャガイモが毒?

 

「あははー、榛名っち。そこら辺はまた今度ゆっくりお茶でもしながら話してあげればいいっしょー。それより今日はなにすんの?」

 

「あ、はい。とりあえず雑草抜きましょう。近いうちに土整えようと思ってるのでなるべく減らしておきたいんです。……大丈夫ですか?」

 

「ん、他にやることもないし。雑草抜くくらいなら私だってできるさ」

 

「じゃあ、軍手をどうぞ」

 

 榛名からもらった軍手を手に嵌めながら畑に足を踏み入れる。普通の地面よりも少しだけ柔らかい。所々が山になったり谷になっているが、山になるところに種を埋めるのだろう。しかし雑草と言ってもあまり目に付かない。日頃から榛名が手入れをしているのが伺えた。

 いや、私自身畑知識なんてないのだけれど。

 正直野菜と果物の差も曖昧だし。

 

「がんばってねー」

 

「……君はやらないのかい?」

 

 既に榛名は雑草抜いたり疎らに水を巻きだしたが、北上は全く動かないままだった。恰好もタンクトップとハーフパンツのままだし。

 

「えー、いや私はやんないよー? こういう時率先して動くキャラじゃないし。あと汚れたらいやだし」

 

「……そう」

 

 北上に仕事を求めるのは間違いだと既に悟ったので適当に半目を向けてから地面に視線を移す。しゃがみ込んで、まず目についた草を軍手で包まれた指で摘んでみる。

 抜いてみた。

 ぷちっ、という音と共に摘んでいた部分だけ千切れた。

 

「……コホン」

 

 まぁ始めてだし。失敗することもあるだろう。とりあえずすぐそばにあった草も同じように摘んで引っこ抜こうとする。

 また摘んだ分だけ千切れた。

 

「……いやいやまだまだ」

 

 摘んで、千切れる。摘んで、千切れる。摘んで、千切れる。摘んで、千切れる。摘んで――。

 

「……………………何故だ」

 

「あははー、駄目だよヴェルっち、そんなんじゃ草むしりにならないよ?」

 

「……北上」

 

 にへらと笑みを浮かねばがら北上が横に立っていた。タンクトップの中に手を突っ込んでお腹の当たりを掻きながら、

 

「先っぽだけ摘んでもだめだよ。できる限り根っこに近い所持たないとさ」

 

「……本当に?」

 

「ホントホント。アルティメット北上様を信じなさいって。あるいは榛名っちを見てみよう」

 

 視線を動かしたら普通に歩くのと同じくらいのペースで中腰状態で進みながら雑草を引っこ抜いている榛名の姿があった。

 なにあれ凄い速い。

 

「……まー、あれくらいになるのは無理だろうけど。とりあえずやってみ?」

 

「……ん」

 

 言われた通りに草の根に近い所を掴んでみる。軍手を嵌めているから思い切って、指が地面に触れるくらいまで下の方まで摘んでから抜いてみる。

 あっさり根っこまで抜けた。

 

「……」

 

「どうよ」

 

 抜けたのは嬉しいが北上のドヤ顔が正直イラっとした。けれどアドバイスは正しかったの、

 

「……ありがとう」

 

「いいよいいよー」

 

 手を振りながらまた畑の外に出て、何処から持ってきたのか御座を引いて転がりだした。よくまぁ仕事をしてる相手の前であんな風に寝れるのだろう。神経図太いにもほどがある。

 とりあえず草むしりに集中する。北上の言葉通りに根っこに近い部分を持って引き抜けば存外簡単に抜くことができた。

 しばらくぽつぽつ(・・・・)と草むしりにを続けていた。

 多分十分くらいだったと思う。

 

「ヴェールヌイさん、もういいですよー」

 

「……え、あ、そうかい」

 

「お疲れ様です」

 

「……いや、君ほどではないよ」

 

 いつの間にか隣にいた榛名の背後にポリ袋一杯の雑草が入っていた。自分が取ったのが両の掌に乗るくらいなので榛名のスキルの高さが伺える。自分が取った分をその袋に入れて、軍手を外す。

 

「……ん」

 

 ふと、変な匂いがした。

 

「?」

 

 軍手の先に付いた土の匂いだ。嗅ぎ慣れた海の匂いとは違うけれど、結構鼻に付く。

 

「これ、何の匂いだい?」

 

「土の匂いです?」

 

「あ、いや。原因はなんだろう」

 

「……えっと、土の匂いは土の匂いじゃないでしょうか……」

 

「そ、それでもそうだね」

 

「土の匂いは多分土の中に入ってる有機物とか虫の糞とかそういうのじゃないかなぁ。ホラ海の匂いが死骸の匂いとか干した布団はダニの死骸の匂いとかみたいな感じで」

 

「そ、そこは命の匂いとかお日様の匂いと言いましょうっ」

 

「君はほんとフリーダムだね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畑の雑草むしりを終えた後、どうしようか考えたら、

 

「せっかくだし加賀さんっちとずいっち艦載機漁してるだろうから見に行こうそうしよう。もしかしたらとれたての刺身とか食べられるかも」

 

「君欲望に素直過ぎないかな……」

 

 そろそろ驚きを通り越して呆れてきた。恐ろしいことにこれで二日目、この先これに慣れてしまうのだろうか。そうだったら怖いのだが。

 ともあれ島の見学は必要だったし、艦載機漁というのも興味があったので付いていく。港周辺でやっているらしく、今朝と同じ道を通りながら港へ行く。演習場や艤装置き場の倉庫に船着き場。そして突き出した波止場の先に加賀と瑞鶴はいた。

 肩に矢筒を背負い、弓を手にしていた。ついでに首から何かを掛けている。

 正規空母が用いる艦載機による爆撃。基本的には鏃の部分が艦載機で、通常の弓矢と同じ手順で射った矢がある程度飛んだ後に鏃以外の部分が消失し、艦載機のみが目標へと飛ぶことで積んでいる爆弾等を落とす。艦載機の操作自体は艦娘ではなく、艦載機に宿った妖精の類が行う。イメージ的には艦娘の下位バージョン。彼らもまた艦娘と同じで経験を積むので艦娘の練度が経駆けば高い程に命中精度等も上がっていく。

 だがそれにしたって、

 

「爆弾の代わりに網かぁ……」

 

 ブーン(・・・)というプロペラ音と共に網が空を掛けていく光景を見ると軽く眩暈がしてくる。

 

「おーい、加賀さんっち、ずいっちー、見学に来たよー」

 

「あら、さっきぶりね」

 

「はぁーい、榛名の方はどうだった?」

 

「まぁ、ぼちぼちだったよ」

 

「そっ。じゃあこっちもちゃんと見てきなさいよ。世にも珍しい艦載機漁よ」

 

 言われなくともそのつもりだった。見れば飛んでいく艦載機は六で、横に三機、縦に二機づつ並んでいる。というかよく見ればあれ『烈風』とか『彗星一二型甲』である。激レア装備なのに。妖精さんは泣いてないのだろうか。飛び続けてしばらくしてから後ろの列の艦載機から網が切り離され、海中に落ちていく。

 

「落ちたわねー。んで、あのまましばらく泳がせて網の中に魚が掛かるのを待つのよ」

 

「はぁ……網を落とす位置はどうやって判断しているんだい?」

 

「三式水中探針儀使ってるわ」

 

 首に掛かってるやつだった。

 

「それ潜水ソナーであって魚探じゃないよね!?」

 

 というかそれもレア装備! 

 

「え、魚とかも探知できるの……?」

 

「妖精さんに頼んだら案外なんとかできたわ」

 

「えぇー……」

 

 なんとかなっちゃうのか……。

 

「でも、それって入れ食い状態になるんじゃあ……」

 

「それがそう簡単でもないのよねー。確かに漁取るのは簡単なのよ、私も幸運高いからその気になれば馬鹿みたいに獲れるし。というか最初の方はそうだったし」

 

「調子に乗って獲れるだけ獲りまくってったわね……。皆で瑞鶴持ち上げて魚パーティーなんてやったし」

 

「……ただやりすぎて食べられる前に腐っちゃったていう」

 

「うわぁ……」

 

 確かに幸運艦で有名な瑞鶴が漁なんてしたら当たりしかないだろう。

 翔鶴型航空母艦二番艦『瑞鶴』、何というっても幸運なのが有名だ。運といえば『雪風』もいるが、瑞鶴の場合姉妹艦の『翔鶴』が不幸艦とか言われたりするので余計に幸運のイメージが強い。精神年齢の高い正規空母の中では比較的子供ぽいキャラクターだ。いや、駆逐艦の自分が言えることではないけれど。

 ちなみに後に聞いた話ではその入れ食いの時は提督不知火榛名瑞鶴加賀の五人でパーティー並の料理を作ったにも関わらず消費しきれず、干物や燻製にしたが慣れていないせいで半分くらい腐らして畑の養分になったとか。

 

「どんな魚の種類が獲れるんだい?」

 

「基本的になんでも。よく食べるのので有名なのは鯛とか平目とかかしらね。季節にもよるけれど。深海凄艦が生態系滅茶苦茶にしてれたからこのあたりでも本来ならばとれるはずのない種類も取り放題なのよ」

 

「……深海凄艦が出現したのが七十年前、か」

 

「西暦一九三九年に突如として出現、私たちが生み出される一九四五年までまでの六年間に生態系は既存のものとかけ離れてしまった……なんて、態々口に出すまでもないかしら?」

 

「そりゃまぁ、ね」

 

 そのあたりの知識は艦娘が生み出された時から勝手にインストールされている知識だ。当時は自分たちのような艦娘や異世界で活躍していた軍艦など存在しなかった人類はかなり劣勢を極めていた。未知の生命体に有効な手段はなくほび全ての海は封鎖され、六年後に謎の技術にて誕生した艦娘が戦うことでようやく戦う術を見出したのだ。

 意味不明なものに対しに意味不明なもので戦うというのは何とも皮肉な話だ。

 艦娘としての基本知識にもオカルト技術で平行世界云々というだけで具体的な方法は残っていない。現在では資材ぶち込んだり、海で彷徨っているところを見つける、という具合に遭遇方法が確立されているのだが。

 

「それが農業や漁業に勤しむなんて……」

 

「彼方の敵よりも今日の食事を」

 

「違いないねぇ」

 

「貴女は今日の食事を取ることもしないでしょう」




時代背景としては太平洋戦争始まった時期に深海凄艦登場、終戦の時期に艦娘登場とかそんな感じで。適当に付けたので後でシリアスになるとかないです。

実はこの無人島鎮守府で艦娘は生まれ、今の提督は当時の開発者の孫とかでレベルが99超えて三桁突破した不知火たちがそれらの謎を守護していて、深海凄艦というのもこの一年後に絆を深めたが深海凄艦の大進行で、不知火たちそっくりの深海凄艦の親玉に提督を殺され、彼を失った不知火たちが闇堕ちしてタイムリープして提督を生きている時間まで戻ろうとしたら失敗して1939までもどって自分たちが深海凄艦のオリジナル、さらには提督を殺したのが自分たちのことに気づきた上に提督を失った悲しみで理性を失い狂気に塗れた不知火たちが深海凄艦の親玉海底六皇艦となりつつも何度も同じ結末をループを繰り返し、しかし今回実は全ての記憶を受け継いでいた提督が悲しい運命を背負わされた彼女たちの為に世界を巻き込む大事件を引き起こす――



なんてことは絶対にないので安心してください。
基本スローライフのつもりなので、まじで。何か書いてるだ私。途中で悪乗りしましたすいません。
家庭菜園の知識とかないので(のうりん)読んで勉強します。なので描写がとってもファジーでした(

あと艦これでは文月教 五月雨教 ぽいぽい教 ムツリム教と四大宗教があって最近たいせつたいせつ教もできたり時期によって白露教とかキラキラ教とかあるらしいですが、このさいぬいぬい教も作りましょう!

ぬいぬい!
やっべ銀髪無口に変わる掛け声ができてしまった(

追記
ぬいぬいだったらヴェールヌイなのか不知火か区別つかないことに気づいた。
ぬいぬい教はヴェールヌイにして不知火はそのまま不知火教にしましょうそうしましょう。

というわけでぬいぬい教と不知火教を!

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