放課後になり部室に着くと雪ノ下雪乃と由比ヶ浜がドアの前でこそこそとしていた。何やってんだ……?
「おい、何やってんだおまえら」
「ひゃうっ!」ビクッ
うおっ……。びっくりした。そんな驚く事か?
「いきなり声かけないでよヒッキー!」
「そら悪かったな」
つーかんなことで驚いていたら宇田川の神出鬼没に着いていけんぞ。
「んで?何やってんだ」
「部室に不審人物がいんの」
今のおまえら以上に不審な奴はいねーと思うんだが……。
「比企谷君、中に入って様子を見てきてくれないかしら?」
「へいへい」
そもそも学校でそんな奴通るわけないだろうに。校門前で門前払いだ。
呆れ混じりでドアを開けると中でトレンチコートを着て眼鏡をかけているデブが仁王立ちしていた。
「クックックッ、まさか此処で出会うとは驚いたな……。待ち詫びたぞ!比企谷八幡!!」
「邪魔。国語勉強して出直せ」
「えっ?ちょっ……」
デブに有無を言わさずに部室の外へと押し出した。
「おいおまえら、邪魔者は追い出したからさっさと部室に入れ」
「う、うん……」
「ええ……」
とりあえず2人を部室に入れて、俺はデブの前に向き直る。
「それで何の用だ?部室の中にいたって事は大方依頼人だろうが……」
「比企谷君」
デブに用件を聞こうとすると雪ノ下雪乃に呼び止められた。後ろには由比ヶ浜が引っ付いている。
「どうした雪ノ下?」
「あれは貴方の知り合いなの?」
「知ってはいるが、其処らの石ころと変わらん」
「何を言うか八幡!相棒の顔を忘れたか!?」
「相棒って言ってるけど……?」
「そうだ相棒!貴様も憶えているだろう!?あの地獄の様な時間を共に駆け抜けた日々を!!」
……もしかして体育で組まされたペアの事を言ってんのか?てめぇと組んだの1回だけじゃねぇか。
とはいえ一応知ってる奴だから2人に紹介することにした。
「こいつは2年C組の材木座義輝(ざいもくざよしてる)だ。1回きりだが、体育の授業でペアを組んだ」
「2年C組って……。もしかしてこの人龍園組なの!?」
(やっぱり由比ヶ浜は知ってたか……。あの野郎どんだけ勢力広げてんだよ)
龍園組……。その名の通り龍園翔(りゅうえんかける)が牛耳るクラスの事を指す。2年C組の9割以上は龍園の支配下にあるが、このデブはその支配下を奇跡的に逃れている奴だ。まぁ知り合いに堂々と龍園の支配をかわしてる奴がいるが、そいつと比べるとこのデブはただ逃げてるだけだ。
「その龍園組とはなんなのかしら……?」
「名前のまんま龍園が2年C組を牛耳ってんだよ。多分この学校で1番有名だぞ?悪い意味で」
「そうなのね。噂事には疎いから知らなかったわ」
「んで材木座、そろそろ用件を話せ」
「……時に八幡、奉仕部とは此処でいいのだな?」
「ええ、此処が奉仕部よ」
俺が答えようとすると雪ノ下雪乃が先に答える。
「そ、そうか……。それで八幡よ。平塚教諭に助言頂いた通りならお主は我の願いを叶える義務があるのだな?」
「話してるのは雪ノ下だろうが。雪ノ下の方を見て話せ」
そんな感じで材木座がグダグダと要領を得ない中二病口調でブツブツと、雪ノ下雪乃が詰め寄りちゃんと話すように睨みながら言い漸く依頼まで話が進んだ。
どうやらライトノベルと呼ばれる小説の原稿を読んで感想がほしいらしい。期限は明日までだそうだ。この分厚い本の感想を明日までってマジでふざけてやがる……。
~そして~
夜になり俺は龍園に電話をかける。
『比企谷から電話なんて珍しいな。何の用だ?』
「龍園、てめぇんとこのクラスの材木座って奴が奉仕部にふざけた依頼を持ってきやがった」
『……躾とくか?あのデブは目障りだと言う奴もいるしな』
あいつクラスの奴に嫌われてんのかよ……。
「放っておけ。そこまでする価値もない」
『わかった。それより組織の事についてだが……』
「そっちもおまえの好きにやっていい。今のところはな」
『ふっ、なら好きにやらせてもらうぜ?ボス』
そう言って龍園は電話を切った。……さて、依頼の続きをするかな。
~そして~
あれから朝の5時まで読み続けた。長ぇよ。
(眠……。今日の授業は睡眠時間になりそうだな)
放課後まで寝るとしよう。
~そして~
放課後になり欠伸をしつつ、部室に向かう。
「ちょーっ!待つ待つ!」
「……由比ヶ浜か」
「元気なくない?どしたの?」
「おまえはあれ読んでなんで元気なんだよ……」
「えっ?……あっ、だよね!あたしも超眠いから……」
読んでねぇのかよこいつ……!
部室に入ると雪ノ下雪乃が転た寝をしていた。
「おい雪ノ下、起きろ。もうすぐ材木座が来るぞ」
「……!!」
俺の顔を見るなり寝惚け気味の顔が完全に目覚めていた。
「驚いた……。貴方の顔を見ると眠気が吹き飛ぶのね」
「役に立てたならなによりだ。……その様子だと大分苦戦したようだな」
「ええ、徹夜なんて久し振りだわ……」
「ライトノベルは読まない奴にとっては本当に苦痛だろうな」
「あー……。あたしも絶対ムリ」
「おまえは読んでから文句を言え」
そもそも部活の一貫としてこのクソつまらねぇ原稿読んでんのに、読まないとか言語道断だ。
由比ヶ浜が唸りながら原稿を流し読みしていると材木座が来た。
「さて、では感想を聞かせてもらおう!」
「ごめんなさい。私にはこういうのはよくわからないのだけれど」
「構わぬ。凡浴の意見も聞きたいところだったのでな。存分に言ってくれたまへ」
なんでこんなに自信満々なんだよ……。
「つまらなかった。読むのが苦痛ですらあったわ」
「げふぅっ!」
おー、のっけから良いパンチだな。
「さ、参考までにどの辺がつまらなかったのか御教授願えるかな……?」
「まずは文法が滅茶苦茶ね。何故何時も倒置法なの?『てにをは』の使い方を知ってるかしら?」
「ぬぐぅ!そ、それは平易な文体で読者に親しみを……!」
「それは最低限まともな文章を書けるようになってからではないの?」
正論だな。もう完璧な正論。
その後も雪ノ下雪乃は容赦のない辛辣に罵詈雑言を材木座に浴びせ続けた。
「その辺にしとけ雪ノ下」
「……まだまだ言い足りないのだけれど、次は由比ヶ浜さんね」
「えっ?えっと、えっと……。む、難しい漢字いっぱい知ってるね!」
「ひでぶっ!!」
由比ヶ浜がいったのは作家志望者にとっては禁句の一言だった。正直雪ノ下雪乃よりも容赦のない発言だ……。
「じ、じゃあ次はヒッキーどうぞっ!」
「は、八幡……。お主なら理解出来るな?我の描いた世界……ライトノベルの地平がお主ならわかるな!?愚物共では誰1人理解する事が出来ぬ深遠なる物語が……」
なんか知らねぇけどすげぇ持ち上げられてんな。まぁ俺は俺の言いたいことを言わせてもらうとするぜ。
「なぁ材木座、おまえはすげぇよ」
「は、八幡……!」
「ライトノベル読むのって今回が初めてだから参考資料として幾つかの異能バトル物っつーのか?それらしき小説を買って流し見した後におまえの小説を読ませてもらった……。するとなんということかものの見事に……というべきか、おまえの書いた小説が俺の買った小説にあった設定とかが見事に被ってんだよ」
「八幡……?」
「詰まり何が言いたいのかというとだ。小説家目指してんならパクりは辞めろ……。それだけ」
「がはぁっ!!」
俺の言ったことが止めとなったのか材木座は燃え尽きていた。
~そして~
材木座は立ち上がり埃を払って俺達にこう言った。
「……また、読んでくれるか?」
……こいつ本気か?
「おまえあれだけ言われたのにまだやる気なのか?」
「……確かに酷評されたし、我以外の人間全員死ねとも思った。だが嬉しかったのだ……。自分の好きな物を書いて誰かに読んでもらって感想を言ってもらうというのは良いものだな。この思いになんと名前を付ければいいのかわからぬが、読んでもらえるのはやっぱり嬉しいよ……!」
……成程な。こいつが龍園の支配下から逃れている理由がわかった気がする。
材木座義輝は芯の強い人間だから龍園に抗うことが出来るのだろう。……まぁ本人は無自覚だろうし、龍園翔を苦手としていてビクビクしてるのは間違いないだろうが。
(材木座義輝……。少し興味を持ったぜ)
おまえが小説を書くなら俺だけでも読んでやろう……。そう思えるくらいには俺の中の材木座の評価が上がった瞬間だった。
~そして~
「八幡様、只今戻りました」
「おう、お疲れ」
宇田川は昨日からある場所に情報を集めに行っていたのだが、収穫があったので俺に報告しに来たといった感じだ。
「例の少年について何かわかったか?」
「……いえ、少年自体のガードが固く、身元の調査までは出来ませんでした」
宇田川程の者が失敗するとはな……。件の魔球少年はやはり強かな奴だ。
「ですが少年が夏目准(なつめじゅん)やピースメーカーと接触している事がわかりました」
それはデカいな。夏目准はNOZAKIで唯一裏側を調べてる人間だ。奴自身も色々な人脈があるからどうにかして接触したいところではある……。
それにピースメーカーの所在がわかったこともデカい。ピースメーカーはジャジメントに対抗出来る数少ない手札だからどんな手を使ってでも此方の手中に納めておきたい。
「わかった。一旦情報収集は打ち止めだ。明日からは普通に学校に通ってもらうぞ」
「仰せのままに」
宇田川がやっていた事を堺に引き継いでおくか……。あとは桐原にジャジメント側の情報を持ってきてもらうように頼んでおくか。
次回は天使こと戸塚彩加の登場だ~!
現在葉山について考え中。どうするか
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アンチだけど後に改心予定
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最後までアンチ
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八幡の友人枠
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八幡の友人枠だけどキャラ崩壊
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キャラ崩壊