所変わって家庭科室。由比ヶ浜の依頼は礼を言いたい奴がいてそのための品としてクッキーを作りたいとの事だった。しかし料理をしたことがないから助けてほしいとか。雪ノ下雪乃は由比ヶ浜の話を了承してまずは手本としてクッキーを作っている。
……おいおい、早速活動理念から離れちまってるじゃねぇか。宇田川も小さく溜め息吐いてるし……。活動理念に従うならまずは由比ヶ浜が1人でレシピ通りに作ってみて初めて俺達奉仕部の出番なんじゃねぇの?
(まぁ部長がそれでいいなら問題ねぇけどよ……)
俺達は味見役とのことなので突っ込み所を見ては内心突っ込んでいた。
~そして~
出来上がったのがこの炭である。クッキーの材料で炭が出来るっての錬金術の領域じゃね?
「な、なんで!?」
(オマケになんでときたもんだ……)
「どうしてこうなるのかしら……。とりあえず味見をしてみましょう」
「こんなの食わなくてもわかる。味見じゃなくて毒味だろ」
「どこが毒だし!?……毒かなぁ?」
自身なくなってきてるな。まぁこれ見たら誰だって毒味と思うしな。
「さて、どうすればいいか考えましょう」
どうすればいいかって……。こんなのすぐに結論出るだろ。
「由比ヶ浜が2度と料理をしない」
「酷くない!?」
酷くねぇよ。おまえはソイツを殺すつもりか?
「市販のクッキーを渡してみては如何でしょうか?或いは親に作ってもらうというのは?」
「あたしが作るんじゃないんだ!?」
それも1つの方法だな。『もしも俺がその人だったら』由比ヶ浜の手作りよりも市販の方が良い。こんなの見ちまったらな……。
「比企谷君、宇田川さん、それは最終手段よ」
「最終手段にはなるんだ!?うぅ~……」
俺達の案が最終手段だと言われて由比ヶ浜は唸り始めた
「じゃあ雪ノ下の解決方法は?」
「努力あるのみよ」
間違った解答じゃねえけど、それじゃあ何年かかるかわからんぞ?礼の品物なら早い方がいいだろ。なら宇田川の案を採用するべきだ。
「あたし、やっぱり料理の才能っていうのかな?そういうのないんだよ……。周りのみんなもやってないって言うし、こういうの合ってないんだよ……」
由比ヶ浜は諦めたように苦笑いをして言った。その発言がトリガーとなったのか雪ノ下が由比ヶ浜に詰め寄り冷ややかな視線を向けながら発言した。
「由比ヶ浜さん、まずはその認識を改めなさい。周りに合わせようとするのはやめてくれないかしら?酷く不快だわ。自分の不器用さ、無様さ、愚かしさの遠因を他人に求めるなんて恥ずかしいと思わないの?」
(正論だな。俺もそう思う。だがそれじゃあ人は着いていかない。その発言を4割抑えてもう少し優しく教えてやるべきだ。奉仕部の活動理念に基づいてこの手のタイプには飴と鞭を与えることで更なる成長に繋がるだろう)
◯◯グループにもそんなタイプがそれなりにいたしな。
「か……」
か?
「かっこいい……」
「は?」
かっこいい?どういうことだ?
「建前とか全然言わないんだ……。なんていうか、かっこいい」
「な、何を言っているのかしら……?」
「言葉は酷かったし、ぶっちゃけ軽く引いたけど、なんか本音って感じがした……。あたし周りに合わせてばっかだったから、こういうの新鮮で……」
確かに教室で見る限り由比ヶ浜は三浦とかに合わせて自分の意見を押し殺しているように思った。そんな由比ヶ浜にとって正論をぶつける雪ノ下を格好いいと思ったのだろう。
「ごめん。次はちゃんとやる……!だからもう1度お願いします!」
「……とりあえず正しいやり方を教えてやれ」
「そ、そうね。1度御手本を見せるからその通りにやってみて」
「うん!」
そんな感じに雪ノ下雪乃と由比ヶ浜がクッキーを作るのだが……。
「はぁ……。あたしのクッキーと雪ノ下さんのクッキー全然違う。どうして雪ノ下さんみたいにできないかな……?」
(こればっかは経験の差だろうな。雪ノ下雪乃は普段から料理とかしているだろう。それに対して由比ヶ浜は料理未経験だ……)
あとは数を重ねれば雪ノ下雪乃が作ったクッキーみたくなるだろう。
うん、雪ノ下雪乃の作ったクッキーは店に置けるレベルだな。欲を言えばもう少し甘さがほしいところか。
「八幡様、此方をどうぞ」
「……何時の間にクッキーを作ったんだ宇田川?」
「雪ノ下様と由比ヶ浜様が話している時に作らせていただきました。2人もよろしければどうぞ」
「い、いただくわ……」
「い、いつのまにつくったんだろ……」
由比ヶ浜……。宇田川のそういうところに疑問を持ち始めたらキリがないぞ?慣れろ。おっ、良い感じの甘さだ。
「甘くておいしい……。うぅ、宇田川さんのクッキーもおいしいよぅ。どうしたら上手くできるのかな?」
宇田川のクッキーを食べては更に唸り出す由比ヶ浜。それに対して宇田川が口を開く。
「そもそも由比ヶ浜様は何故美味しいクッキーに拘るのですか?」
「えっ?ど、どういうこと?」
「此方にある由比ヶ浜様のクッキーを1つ食べさせて頂きました。決して美味しいとは言えませんが、気持ちがあります。手作りで大事なのは思いやり、つまりは気持ちです。それがわかれば『誰に渡すのかはわかりません』がその人もきっと喜ぶことでしょう」
「そ、そうなのかな……?」
「勿論最低限しっかりとしたクッキーである必要がありますので、キチンとレシピ通りに作る必要があります」
由比ヶ浜は少し嬉しそうに顔を綻ばせる。大事なのは気持ち……とはいえ1番最初に作ったクッキーだと気持ちが入っていても嫌だがな……。
由比ヶ浜はあとは自分の力でやってみるということで礼を言って慌ただしい様子で帰っていった。エプロンを付けたままで……。
~そして~
由比ヶ浜の依頼から1週間が経過した。今日も今日とて俺達は奉仕部の部室で過ごしている。
「どうぞ」
「ありがとう」
「ありがとうございます雪ノ下様」
ちなみに宇田川と雪ノ下雪乃は交代で茶を淹れており、今日は雪ノ下雪乃がその当番だ。
「……由比ヶ浜さんの依頼、あれで良かったのかしら?」
宇田川のアドバイスで由比ヶ浜が納得したっていう感じだったが、雪ノ下雪乃は何か不満だったのか?
「なんだ急に?」
「やっぱり私は自分を高められるなら限界まで挑戦するべきだと思うの。それが最終的に由比ヶ浜さんのためになるから……」
「まぁ正論だな」
だが早期の依頼だった場合その方法は悪手となるだろう。なんせスタートがクッキーという名の炭だから……。
コンコン
だから此処はトイレじゃねぇっつの。客人は由比ヶ浜か……?
「どうぞ」
「やっはろー!」
入ってきたのはやはり由比ヶ浜だった。コイツは奉仕部をトイレと勘違いしてんのか?それともノックマナーを知らないのか?
「……何か?」
「あれ?あんまり歓迎されてない!?」
そら先週の依頼で雪ノ下雪乃の言い付けを守らずに炭を作っていて、しかも後片付けをせずにエプロンを着たまま帰っていったら印象も悪くなるわな。
「雪ノ下さんってあたしのこと嫌い?」
「別に嫌いではないわ。少し苦手なだけよ」
「それ女子言葉じゃ同じことだからね!?」
女子言葉ねぇ……。男子の俺にはわからんな。
「それで一体何か用かしら?」
「えっとね、こないだのお礼にクッキー作ってきたんだ!」
そう言って由比ヶ浜が取り出したのは黒いクッキーだった。あれがチョコチップクッキーだということを願いたい……。
「余り食欲がないので、気持ちだけ受け取っておくわ」
「ゆきのん!今度お昼一緒に食べようよ!」
「いえ、私は1人で食べるのが好きだから……。あとそのゆきのんって呼ぶのはやめて」
「あっ、あとあたし放課後ヒマだから部活手伝うね!これもお礼だから!!」
まるでマシンガントークだな……。雪ノ下雪乃の発言を全く許さずに一方的に喋ってる。
「八幡様、本日はこの後『6人組』の集会となっております。八幡様も是非参加をお願いします」
「わかった」
そうか……。『6人組』の集まりは今日だったのか。
『6人組』とは俺こと比企谷八幡に近しく、ジャジメントに対抗すべく腕利きの面子が俺と宇田川を中心に集まり、その中でも6人の化物がいて連中をそう呼ぶようになった。
「雪ノ下、俺と宇田川は用事があるから先に帰らせてもらう」
「え、ええ……」
「お疲れ様でした」
俺と宇田川が部室を出て歩き出すと由比ヶ浜に呼び止められた。
「ヒッキー!」
呼び止めたと同時に俺に袋を投げ付けた。入っているのは黒いクッキー。
「えっと、お礼の気持ち!」
「そうか。それでこれは『なんのお礼』なんだ?」
「えっ?ひ、ヒッキーも手伝ってくれたし……」
「……まぁ有り難く頂戴する」
まぁ食うとは言ってないがな。
次回はオリジナル回。オリキャラやパロキャラが出てくるお話。
では次回に続く。
現在葉山について考え中。どうするか
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アンチだけど後に改心予定
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最後までアンチ
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八幡の友人枠
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八幡の友人枠だけどキャラ崩壊
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キャラ崩壊