コードギアス転生って誰でもハードモードじゃね!?   作:女神

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第15話 狂乱の裏側とその後

皇歴2014年 神聖ブリタニア帝国 帝都ペンドラゴン

 

オルフェウスがオイアグロに拉致されてからレレーナは、すぐに行動を開始した。

まず始めにレレーナは、機情局へ赴き機情局長官と副長官、副長官補にギアスを掛ける。その後長官の朝礼で幹部達にもギアスを掛ける。さらにその後幹部達がそれぞれの部署で行う報告会などで職員達にギアスを掛けていった。

 

そしてその後にビスマルクに抗議に行く。そしてそこで、ビスマルクに斬りかかった。これは、この後レレーナが計画した帝都狂乱に伴い自身のアリバイ作りが必要であったからである。

 

帝都での狂乱が、レレーナの起こした事であると分からない様にする事が目的であり、その為に公的組織に見張られる事が最も効果的であるとレレーナは考えたのだ。そうすれば、多くの帝国貴族、軍人、臣民は、レレーナが関係なく別のテロリストによるものだと考えるだろう。レレーナは、オルフェウスを取り戻してもその後の生活に影響が出るのを極力避けたかった。なるべく平穏無事に生活したいレレーナは、敵を増やしたくなかった。

元々敵は多いが、テロを起こしたとなると軍人や臣民からも攻撃される事になり生活しずらくなる恐れがあったからだ。

 

その後アリエスの離宮で謹慎する事になったレレーナは、機情局の職員をマリアンヌのギアス『ザ・ソウル』を用いて体を乗っ取り、次の暗躍を始める。

 

反ヴィ家と言われる大貴族や企業の役人たちの不正の現状証拠をアレクセイ達に送り襲撃させる。そしてレレーナ自身の諜報活動の邪魔をしていた貴族等に関して機情局を使って摘発し、抵抗すれば射殺も辞さなかった。

 

こう言ったレレーナによる復讐こそが、今回帝都で起きている動乱の正体である。この事を知っているのは察している者も含めて、ほんの僅かであった––––––––––––––––––。

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

謁見の間での一件の夜。既に時刻は22:00を回っていた。

今レレーナは、帝都ペンドラゴンでも有数の高級ホテルのスイートルームに居る。一緒に居るのは、帝国一の美女でもなければ帝国一の女優でもない。そもそも男である。

騎士として凛とした姿勢で油断無く椅子に座る姿は、さながら名門貴族の当主の様な威厳があった。彼は、帝都での要人警護を専門に行う警護騎士団の団長アレクセイ・アーザル・アルハヌスである。

 

レレーナは、アレクセイに全知全能(The Almighty)の能力でギアスを貸す事に成功した。

正確には、レレーナが目を合わせた相手にレレーナが指定したギアス能力を一時的に貸す能力を作ったのだ。当然デメリットもある。貸している最中レレーナは、常時ギアスを発動している状態になる。その上そのギアス能力を貸している間、その能力をレレーナが使う事は出来ない。更にレレーナのギアスは、一度に二つまでしかギアス能力を発動できないので、貸している最中レレーナは一つしかギアス能力を発動できないのだ。V.V.やC.C.の様なコードユーザーとのギアスの契約には、劣るが指定したギアス能力を他人が扱える様になるのは、忙しい時に戦力を瞬時に増強したい時には便利な能力だ。

 

今回アレクセイには、レレーナから『記憶改竄』のギアス能力を貸出されている。そのギアスを使いアレクセイは、今回の襲撃事件を起こしているのだ。そもそも警護騎士団とは、要人警護をする組織なだけあり帝国皇族に対して非常に忠誠心が高いのだ。アレクセイが異常なだけである。そんな彼らを利用しようと思うと正攻法では、無理だ。そこでアレクセイは、記憶改竄の力を使い彼らを主義者に変えた。そうすれば後は、簡単である。そのまま襲撃事件を起すのみだ。

 

そしてレレーナとアレクセイは、共闘関係にある。

 

「予定通りオイアグロは、僕に決闘の儀を挑んで来た。そしてそれは、承諾された」

 

「おめでとう御座います殿下」

 

「いや、君のお陰だよ」

 

赤いカーペットの上に黒い三人掛けのソファーがコの字に置かれ、その内の手前側にレレーナが座り対面にアレクセイが座っている。二人の間には、優雅な時間が流れていた。二人は、ティーカップを手に持って紅茶を楽しみ、先にレレーナがカップに口をつけ紅茶を飲む。それをアレクセイは、目を細めて見ている。

 

「後は僕がするから、君はもう手を引いていいよ」

 

レレーナがそう言うとアレクセイは、静かに首を横に振る。

 

「うん?」

 

「残念ながら殿下は、今日この場にて主義者と反ヴィ家の人間に毒を盛られお亡くなりになるのですから」

 

「何をいっ、ぐぁあ!」

 

アレクセイの言葉に聞き返そうとしたレレーナだが、突然喉を抑えながら呻き声を上げる。そしてソファーの上で踠き苦しむ。そんなレレーナを見ながらアレクセイは、口を開く。

 

「申し訳ありませんレレーナ殿下。しかし殿下が悪いんですよ、殿下が皇帝の息子だから」

 

アレクセイの言葉を聴ききる前にレレーナは、動かなくなる。目は虚ろで何も写していない。そんなレレーナを見てアレクセイは、自身の紅茶を飲み干した。そして椅子から立ち上がり窓へと近づく。そして其処から見える帝都の夜景を一望した。

 

「これでレレーナ殿下が決闘の儀でジヴォン卿に殺される事は、無くなった。約束通りマリーベルとオルドリンも始末出来る、悪く思わないで下さいレレーナ殿下」

 

窓に反射しているアレクセイの顔は、歓喜と狂気に染まり左目には赤いギアスの紋章(・・・・・・)が浮かび上がっていた。

 

「この異能の力があれば、たとえ相手が、皇帝であろうとシュナイゼルであろうと敵ではない。私達の理想のブリタニアを作る事ができる!」

 

アレクセイは、初めレレーナに協力して帝国に仇なす貴族達を排除する事を目指していた。しかしレレーナから異能の力ギアスを貸され、部下や他人の記憶を改竄し続けてきた結果、彼の心は大きく歪んでしまったのだ。アレクセイは、次第に他人を信用出来なくなっていき、等々この力を自身に与えたレレーナが別の人間にも異能の力を与える可能性を考え、レレーナも排除する事にしたのだ。しかし––––––––––––––––

 

「その理想を、君が見る事はないよ」

 

「!?」

 

アレクセイは、突如背後から掛けられた言葉に驚愕する。それは、先程アレクセイ自身が毒殺したレレーナのモノであった。確認する為に振り向こうとした時、体の中に違和感を感じた、その後、凄まじい痛みがアレクセイを襲う。体の中が焼けるような、グチャグチャにされるような痛みを感じ、アレクセイはそのまま体の力が抜ける様に倒れる。

倒れ様に後ろを見たアレクセイは、再び驚愕する。そこに居たのは、間違いなく先程毒殺したレレーナであったからだ。

 

「な…ぜ…」

 

「何故?自分が苦しんでいる事がかい?それとも僕が生きている事がかい?」

 

「…」

 

「君が苦しいのは、君が毒入り紅茶を飲んだから。僕が生きているのは、死んでいないからだよ」

 

「毒…を…のん…だは…ず」

 

「毒?何の事だい?僕は、ここに来てから何も口にしていないよ(・・・・・・・・)?」

 

アレクセイには意味が分からなかった。先程レレーナは、間違いなく毒入り紅茶を飲んでいた。そして踠き苦しみながら絶命した筈だった。

 

「そもそも僕は、君が毒を入れるのを見ていたからね(・・・・・・・・・・・・・・・・)。飲む訳ないじゃん」

 

「馬鹿な、確か…に、死んだ…はず…」

 

アレクセイは、そう言って先程レレーナが座っていた席を見る。しかしそこには、何も無かった。レレーナの遺体はおろか、レレーナが踠き苦しんだ際に出来た染みや皺すら其処には存在しなかった。

 

「な…に…」

 

「君が見た死体というのは、これの事かい?」

 

レレーナがそう言ってアレクセイに右手を出す。その右手には、先程まで何も無かった。にも関わらず、いつの間にかグッタリとしピクリとも動かない虚ろな目をしたレレーナ自身が存在した。

 

「!?」

 

「可笑しなものだ。君にギアス(異能)を、貸してあげたのは誰だった?如何して記憶改竄以外のギアス(異能)がある事を考慮しない?…いや考慮した結果が暗殺だったのかな?」

 

「…」

 

「見せてあげよう。これが『完全催眠(The Complete hypnosis)』だ」

 

そう言うとレレーナが右手で持っていたグッタリとしてピクリとも動かない死んだ筈のレレーナが、まるでガラス細工の様に砕け散った。すると中から先ほど無かった剣が現れ、床に突き刺さる。

 

「なん…だと…」

 

「有する力は、完全催眠。この力は、目を合わせた相手の五感を支配し、以降僕が能力を発動する度に何度でも相手を支配する事ができる」

 

「!?」

 

「この力を持ってすれば、沼地を花畑に見せる事も蝶を龍に見せる事も出来る。君は、僕の支配下に居たんだよ」

 

「あり…え…ない。私と…は、一度も…目を…合わせて…い…ない」

 

アレクセイは、レレーナから異能の力を貸されて以降一度もレレーナと目を合わせていない。それは、記憶改竄の力が完全催眠と同様相手の目を見る事が条件だからだ。レレーナが意識的に目を合わせない様にしており、アレクセイ自身もそれを理解していたからこそ今まで一度も合わせてこなかった。にも関わらず目を合わせる事で発動するギアス(異能)の支配下にいるとは、どう言う事なのだとアレクセイは思った。そんなアレクセイの心情を計ったかのように、レレーナは口を開く。

 

「逆に聞くが、僕が最初に君に力を貸してあげた際に、僕と目を合わせただろう?」

 

「!?」

 

アレクセイは、今日何度目かも分からぬ驚愕をする。そして全てを察してしまう。

 

「私を…信用…して…いなかった…のか」

 

「そうだね。用心は必要だろう?それに、僕は君にダスコ・ラ・クレルモンを始末する様に言った。だが君はカリーヌ諸共殺そうとした。皇族に手を出せば事態がややこしくなると言ったのに…僕が用意したカリーヌの執事を記憶改竄で自爆させるなんて酷いねぇ」

 

レレーナは、アレクセイに皇族へ手を出すのを控えるように言っていた。皇族へ手を出すと、後の計画であるマリーベル誘拐の障害になる可能性があったと言う事と、皇族保護の名目で否応無しに帝国は全力で対応する事になるからだ。つまり今後の計画に支障をきたす可能性が高く悪手だと判断したからである。

 

「それに、さっき言っただろう?「君が僕の紅茶に毒を入れるのを見ていた」って。君が裏切る事など初めから知っていたよ」

 

「!?」

 

レレーナは、『全知全能《The Almighty》』の中でレレーナが最も多用する"未来を見て改変する力”を使い、アレクセイに力を渡した後に彼がどうするのかを見ていたのだ。故に彼が自分を殺そうとする事など、初めから知っていたのである。それでもレレーナは、彼を利用した。切り捨てても心が痛まない駒として。

一応皇族には、手を出すなと言ってみたが、結局未来は変わらなかったので此処で切り捨てる事が決まったのだ。

 

「覚えておくと良い。目に見える裏切りなどたかが知れている、本当に恐ろしいのは目に見えぬ裏切りだよアレクセイ君」

 

「…」

 

「それに借りた物は、返すのが道理だよ」

 

レレーナのその言葉を聞いたのを最後に、アレクセイは絶命する。

 

そんなアレクセイを見てレレーナは、何とも無いように携帯を出し別の部屋に待機していた機情局の人間を呼び出す。

 

「あとは任せるよ、カルタゴ」

 

「イエス・ユア・ハイネス」

 

レレーナは、カルタゴと呼ばれた男に後の事を任せて部屋を出る。そして明日執り行われる決闘の儀に備えてアリエスの離宮へ戻って行ったのだった。

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

皇歴2014年 帝都ペンドラゴン アリエスの離宮

 

レレーナとオイアグロの決闘が終わった当日の夜。オルフェウスが、機情局の職員に付き添われてアリエスの離宮へ帰ってきた。

 

「心配を掛けたな、二人とも」

 

「オルフェウス〜!」

 

「オルフェウス!」

 

オルフェウスがアリエスの離宮へ帰って来ると、玄関でレレーナとエウリアがオルフェウスに抱き着く。二人同時に抱きつかれて、オルフェウスは支え切れずに後ろに倒れ込んでしまう。しかし、そんな事御構い無しにしがみ続けるレレーナとエウリア。目に涙を溜めてオルフェウスに抱き着くエウリアと、涙をボロボロと流しながらしがみ付くレレーナ。

そんな二人を見て、いかに二人に心配を掛けたかを感じるオルフェウス。そしてオルフェウスは、二人の頭を仕方ないなと言う様な顔で優しく撫でる。その光景は、まさしく家族の様であった。

 

二人に散々泣かれたオルフェウスは、二人と共にリビングへ向かう。そして久し振りにエウリアの料理を、3人で和気藹々と話しながら食べる。その後、レレーナと一緒にお風呂に入りレレーナの頭を洗ってやる。お風呂を上がってからは、寝室で所謂川の字で寝る。既にレレーナが真ん中で眠りに付いている状況で、左右を挟むオルフェウスとエウリアは今回の件について話をしていた。

 

「今回、レナ凄く頑張ったのよ」

 

「みたいだな。帝都では随分と暴れた様だし、決闘の儀ではオイアグロ相手に殺し合いを演じる事になった様だしな」

 

オルフェウスは、ジヴォン家に連れて行かれて直ぐにオイアグロを殺そうとするも及ばず、結果ジヴォン邸で軟禁状態となってしまったのだ。オイアグロの実力を体験したオルフェウスにとって、レレーナがオイアグロと決闘をすると言うのは心配で仕方なかった。そして無事にレレーナが勝った事に安堵していた。

 

「無理させたな…守るって言ったのに」

 

オルフェウスは、眠っているレレーナの寝顔を見ながらそう口にする。

 

「また助けて貰っちゃった」

 

「エウリアも心配かけたな」

 

「私は、何も出来なかったわ」

 

今回エウリアは、オルフェウスを連れ戻す為に何かをしようとするも何も出来なかった。本来であればそれは、可笑しな事ではない。しかしレレーナが行動しているにも関わらず、自身は何もしていない事に悔しさと苛立ちを感じざるを得なかった。

 

「普通はそうだ。レナが凄いんだよ、だから自分を僻むなエウリア」

 

「でも」

 

「俺も本当は、レナを守る側なんだ。なのにまた助けられた。嚮団から助けられ、居場所を与えられたのに」

 

「オルフェウスは、騎士として立とうとしているわ!それにレナと一緒にE.U.で諜報活動をしているじゃない!」

 

オルフェウスもエウリアもレレーナに大きな恩を感じている。だからこそ二人ともレレーナの為に何かをしたいと思っているのだが、なかなかレレーナのいる場所は難しい場所で、役に立つのも難しいと二人は思っていた。今回の一件でも自分達の力不足を感じざるを得ず、どうすればいいのかと自問自答をするオルフェウスとエウリア。

 

「エウリア。少なくとも俺は、君がいる事に支えられている。だからこれから二人で出来る事を増やして行こう」

 

「…そうね、何時迄もウジウジしてられないものね。私も頑張るわ!オルフェウス!」

 

「あぁ、頑張ろう」

 

「む…む…」

 

オルフェウスとエウリアが、レレーナを挟んで今後頑張ろうと意気込んでいると眠っているレレーナが寝言を漏らす。それを見てオルフェウスとエウリアは、顔を見合わせて笑みを浮かべる。

今日、アリエスの離宮には久し振りの団欒があった––––––––––––。

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

帝都ペンドラゴン 宰相府 宰相執務室

 

神聖ブリタニア帝国の若き宰相シュナイゼル・エル・ブリタニアが仕事をしている場所が、帝都ペンドラゴン皇宮にある宰相府である。この場所でブリタニア帝国の重大政策等が思案されて、帝国全土で法律等が反映される事になっている。この場所こそが帝国の中枢と言っても過言はない。

 

帝都狂乱の主犯とされるアレクセイが自殺した事が判明した当日の夜、宰相執務室で二人の男が内密の話し合いをしていた。

 

一人は、宰相執務室の主。フワリとした金髪で淡い紫色の瞳を持つ帝国第2皇子シュナイゼルである。

もう一人は、シュナイゼルの最側近の軍人でありブリタニアの伯爵位を持つ貴族でもある、明るめの茶髪に水色の瞳を持ついろんな意味で中性的なカノン・マルディーニである。

 

「シュナイゼル殿下。今回の帝都狂乱に関する報告書です」

 

そう言ってカノンがシュナイゼルに、昨日終結した帝都狂乱に関する報告書を机の上に提出した。それを手に取りシュナイゼルは、報告書を読んでいく。そして数分で報告書を読み終わった後に、報告書を机の上に戻す。

 

「ふむ、やはり妙だね」

 

「はい、機情局の動きに不審な所が多々見られます」

 

「うん、それにレレーナの動きにも妙な所があるね」

 

「レレーナ殿下ですか?」

 

「あぁ」

 

カノンのレレーナへの印象は、まさしく悲劇の皇子と言った所だ。

数年前に起きたアリエスの悲劇で母マリアンヌを失い、自身は意識不明で2、3年程病院のベットの住人となっていた。その間に同母兄妹達は、皇帝の勘気に触れ戦争直前の日本へ人質同然に送られた。そして戦争が起きて、二人の皇族は死亡した事となる。実際には遺体は見つかっていないので推定でしかないが、当時10代前半の子供二人まして妹は目と足を不自由にしておりとても戦時を生きて行けるとは思えない。故に死亡したものとしてブリタニアでは扱われている。レレーナが目を覚ました時には、レレーナは独りぼっちになっていたのだ。

 

「レレーナの噂は知っているかい?」

 

「噂ですか?」

 

ここ最近ブリタニア帝国では、アリエスの悲劇はマリアンヌ皇妃ではなくレレーナ殿下が狙われたのだと噂するものが居るのだ。その為皇帝は、レレーナを隠しテロリストたちから守っていたのだとされているのだと言う者も存在する。だからこそ入院中のレレーナは、面会謝絶だったのだと。

 

その証拠にレレーナが意識を取り戻した時に、レレーナの側には正体不明の子供が二人存在していた。意識不明で動けなかった筈なのに一体何処で二人の子供と知り合ったのか?実は、この二人の子供は皇帝直属の配下で、レレーナの守り役だったのではないかと、だから子供を無理矢理連れて行ったジヴォン家とド・ブリタニア家に対する仕置きを今回行なわれたのではないかと言われている。帝都狂乱は、皇帝の勘気に触れた貴族達に対する粛清であったのだと噂されているのだ。

 

シュナイゼルにとってこの噂は、気になるものであった。あの俗世にこれっぽっちも興味を持たない自身の父であり、皇帝であるシャルルが一人の息子の為に今回の様な粛清を行うだろうかと疑問に思ったのである。

実際シャルルは何もしていない。しかし噂とは本当に無責任なもので、それが事実であるかは関係ないのだ。

 

だからこそシュナイゼルには、見極める必要があった。

 

「彼の事をもう少し調査してくれるかい?」

 

「分かりました。では幻影の毒(ファントム・ヴェノム)に調査を命じます」

 

「あぁ」

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

帝都ペンドラゴン ブリタニア皇宮 玉座の間

 

ブリタニア皇帝が執務を行うブリタニア皇宮の中心部。

シュナイゼルがカノンと密談をしているのと時を同じくして玉座の間で、皇帝シャルルとその騎士ビスマルクが二人で話していた。

 

「オルフェウスは、レレーナ殿下の下に帰ったようです」

 

「そうか」

 

ビスマルクは、シャルルにオルフェウスが帰った事を報告する。

 

「しかし今回は、久々に肝が冷えたわ」

 

「私が思慮が足りなかったばかりに、申し訳ありません」

 

「よい。現状あれの事を最も理解しているであろう兄さんですら手に負えんのだ」

 

「はっ」

 

「しかし何もしない訳には行くまい」

 

「監視を付けますか」

 

「うむ」

 

「しかし普通の者では、監視にはならないのでは?」

 

「適任者がおる」

 

ビスマルクからしてみれば、ナイトオブラウンズですら力不足だろうと思えるレレーナの監視任務。それを行える適任者とは、一体誰なのか皆目見当も付かなかった。

 

「入れ」

 

シャルルがそう言うと、玉座の間の大扉が開き一人の少女が現れる。その少女を見て目を見開いて驚愕の表情を浮かべるビスマルク。

玉座の間に入ってきた少女は、妖艶な表情を浮かべてシャルル達の下に歩いてくる。

 

「レレーナの監視は任せるぞ、マリアンヌ」

 

「えぇ、あの子の事は私がしっかり見ておくから安心して頂戴。ふふふ」

 

 




次回
『はじめてのお使いinアゼルバイジャン』

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