皇歴2009年 神聖ブリタニア帝国 帝都ペンドラゴン
こんにちは、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの次男 レレーナ・ヴィ・ブリタニアです。
ここは、ペンドラゴン皇宮の中にあるアリエスの離宮内の僕の自室です。
僕には、前世の記憶があります。自我が芽生えた時にはすでに前世の記憶というものを持っていて、当時は非常に混乱した挙げ句に高熱を出してしまいました。
その結果、僕は体の弱い子供だと周囲に思われている様で、皆非常に甘やかしてくれます。
それでも前世の記憶のおかげか増長する事はないですが。
結果、皇族として非常に珍しい慎ましい人だと使用人に思われていて、良い皇族になると期待されています。
この話し方は疲れるから、生前?の話し方に戻すね。
一方で母マリアンヌは別の方で期待している様で、僕にはギアスの適性が非常に高く備わっているらしく、母は実験が成功したと喜んでいた。
まぁ詰まる所、小説であった遺伝子操作を行なってギアスの発現率を高めていたんだろう。
遺伝子操作に関しては、前世でもデザイナーズベイビーと言われるものがあったので、どの世界でも考えるのは同じかと思わされた。
母は、僕のギアスの適性が高いことは喜んでいたが、体が弱いことを嘆いていた。だからこそ妹のナナリーを作ったのだ。親としてはまぁ酷い人だが、良い母を演じるその演技力は凄まじく、演技だとは感じさせない。
その母の血を受け継いでいる僕も演技力はそこそこで、一度たりとも前世の記憶を持っている事を悟られていないはずだ。
まぁ、前世の記憶などと言うものを持っていると思う奴なんて、初めから居ないんだろうけど。
そんな状態で兄ルルーシュと妹ナナリー、そして母マリアンヌと使用人の人たちで生活してきたが、ルルーシュ兄様本当にいい人!!
母もいい人だけど、あれは演技だから。
それに対して兄様は、本当に素でいい人。苺くれるし、勉強教えてくれるし、ナナリーが生まれてお転婆具合に手を焼いている中でも僕のこと気にかけてくれるし、優しいし、イケメンだし、カッコイイしで凄いんだよ!
…失礼。
僕は、初めルルーシュの弟転生とか幸運だと喜んだのです。
あのルルーシュの弟で、容姿端麗で皇族だよ!
「人生勝ち組じゃん!」と思ったんだけど、よく考えればこれってアリエスの悲劇の際にナナリーの役を僕がする事になるのではないかと思い直したときは、恐怖でどうにかなりそうだった。その後ナナリーが生まれて一安心したのだが、今度は妹のナナリーが撃たれるのだと思うと、これまたすごい複雑な気持ちになる訳ですよ。赤ん坊の頃から知っている妹が傷付くのは、想像するだけでも心苦しい。
今は夜で、側から見れば僕は部屋で
というか、この世界に転生するって結構ハードだよね。
ブリタニア…圧倒的実力主義と貴族主義、生まれがモノを言うけれど何処に生まれても過酷。
日本…戦争の後奴隷、生きられる気がしない。
ユーロブリタニア…将来展望なし。戦争最前線!
ユーロピア…衆愚政治、圧倒的不利な戦況。
中華連邦…安定の虫けら扱いの民衆。
オーストラリア…永世中立という名の空気。どういう国か分からない。
ジルクスタン王国…戦士国。
だからこそ僕は、自分が生き残るための生存戦略を立てる事にしました。
まず僕の目標。
1.ルルーシュとナナリーと3人で仲良く暮らす。ゼロレクイエム断固反対!!
やっぱり兄弟仲良く一緒に暮らせるのが良いよね!平和が一番だと僕は思うよ。
お先真っ暗だけど…気にしちゃ負けだ!
2.五体満足に生き残る。
今の現状では、難しいかも知れない。ナナリー…どうしよ。
3.出来れば原作の人達に会いたいなぁ
ミレイとかカレンとかC.C.とかレイラとかアキトとかオルフェウスとか美男美女に会いたいよね!
扇さん?知らない人ですね。
反省しててもダメです。
まぁ、こんな感じの目標を掲げてこれから先生きて行こうと思います。
目標遂行のためには、先ずは肉体作りと体力作り、そして知恵をつける事である。勉強は母や兄様に教えてもらいながら家庭教師と共に行い、体の方は母とビスマルクに教えてもらう事になっている。
ビスマルクとは悪戯の件で面識が出来た。僕のことを如何にかしようともがく様は、さしずめ父親の様である。
ちなみに、本人にそう言ったら「私とマリアンヌ様の子!?」と呟き暫く呆然した後に、「私が殿下を立派な皇帝へとしてみせます」と言っていた。
その発言は不味いだろうと思うが、おかげで色々と教えてもらえるので結果オーライと言う事で。
ビスマルクが母を慕っているのは原作知識で知っているが、まさかここまでとは…。
二人の関係は、存外長く。
皇帝である父と母の関係と同じぐらいの長さである。
父と母の関係が変わったのは、皇歴1997年5月6日起きた『血の紋章事件』の時である。
この時に母とビスマルクの関係も変わって行った。
当時皇帝に即位したシャルルに対して、叔父であるルイ大公が反乱を起こしたのである。その際にナイトオブラウンズがビスマルクとマリアンヌ以外全員が反乱側に加担した。これは、反乱の
ルイ大公は、貴族たちの自尊心や功名心を煽り、さらに利益で釣って反乱に加担させて行ったのである。本人もここまで裏切ってくれるとは思っておらず、驚いていたらしい。
お陰で皇室間の大規模闘争となったこの事件で、シャルルは反乱勢力を粉砕し、権力基盤を磐石のものとした。その事件の最中に、シャルルはマリアンヌにプロポーズしていた。凄い馴れ初めである。
結果、マリアンヌが皇妃となったのでラウンズはビスマルク一人となり、同僚であったマリアンヌはビスマルクにとって守るべき皇族となった。
よし、難しい事を考えたら眠たくなってきたし、ルル兄様とナナリーと一緒に寝るか。そうと決まれば早速ルル兄様の寝室へ行ってきます。
–––––––––––おかしい。
何故僕はここに居るのだろう。
ルル兄様たちと一緒に寝たはずなのに、どうして僕は何処ぞの研究所の様な場所で起きているのだろう。
まさかな…。
「おはよう。目が覚めた様だね」
僕は、何も聞いてない。見てない。
扉の方にブロンドヘアの白い服を着た子供が居るなんて見てないし話しかけられてない。
「あれ?挨拶出来ないの」
知らない。何も聞こえない、見てない。
「ころs「お早う御座います」うん。お早う」
この人、マジで怖いわ。勝手に拉致しておいて殺すとか。
いやまぁ、拉致してる様な人間が人殺すのは、普通か…。
この人、ギアス嚮団の嚮祖だもんね。
「僕のことは覚えてるかな」
V.V.が聞いてくるが、最後に会ったのは1歳の時の検査の時だから普通覚えてないよ!僕覚えてるけど!
しかし覚えてると可笑しいから、ここは知らないふりをしよう。
「うん?」
首をコテと傾けて知りませんアピール。唸れ僕の演技力!!
「まぁ、普通覚えてないよね、うん。じゃあ改めて。初めまして、僕の名前はV.V.」
V.V.伯父様、容姿と声は可愛いけど本当にやばい人だから会いたくなかった。
「突然ここに来てビックリしてるよね。大丈夫、怖い事は何もないよ」
そう言って優しく微笑んで来るV.V.。
いえ、あなたの存在そのものが恐怖でしかありません。
側から見れば天使の笑みも、真実を知っている僕にとっては悪魔の笑みにしか見えない。
「今日ここに来てもらったのは、君に用があったからなんだ」
あたかも僕が自発的にここに来たかのように言うのはやめてほしい。誘拐してんだから。
まぁ、そんな事言える訳もなく丁寧に対応する。
「用ですか?」
「うん。」
そうですか。
帰りたいなぁ。
あとがき
首魁…首謀者、張本人
老獪…色々な経験を積んでいる、悪賢い
静謐…静かで落ち着いている事
蒙昧…暗い事、転じて知識が不十分で道理にくらいこと
次回
『御引越し』
感想を書いて下さった方々、ありがとうございます。
これからも読んで頂ければ幸いです。