頑張ります。
松原綱助は俺の幼馴染だ。
男だった頃の俺を知っている、俺の幼馴染だ。
小さい頃から常に一緒で、良く公園でカードゲームをしたり綱助と綱助の知り合いとも良く遊んだりもしたのも覚えている。
俺は大人数で遊ぶのが苦手だったから、綱助と二人で遊んでた方が楽しいのになあ…と、複雑な気持ちだった。
でも多分綱助は俺が人見知りで知り合いが少ないから、心配して色々な人と馴染ませようと配慮してくれたのだろう。
綱助は不良で少しアホの人なのだか、虐めを許さず困ってる人がいたら自分を犠牲にしてでも助けようとするほどのお人好しだ。
髪もブリーチをして派手だし、ピアスもあけてるし、目付き悪いし腕とかも傷だらけだし、俺も多少心配するけど家族仲や人間関係は極めて良好らしく、彼の母親、香穂子さんに「…綱くんね、反抗期が来ないの、峰ちゃん(姉)にすら反抗期があったのに…綱くん、いつまでたってもYESマンなのよ…。綱くん高校受験の時も私の身体のこと心配してたし…以下略」と、香穂子さんに深刻そうな表情で相談されたがそれ以外は良好だ。
というか、周りからの評判はすこぶる高い。
そして彼自身も理解しているらしく、常に笑顔で過ごしている。
ただ、プレッシャーが凄まじくかかっているらしく、俺と二人っきりの時にたまに俺の胸に顔を埋め「ごめんな…ごめん」と泣きながら謝罪をしてくることがある。
俺は何も言わずただ頭を撫でてやるのだが、たまに疑問になる。
多分彼は本当は不良みたいな格好はしたくないんだと思う。
多分彼は自分の周りに、害のあるやつを寄せ付けない様に不良の真似事をしていただけなのだろう。
面接時に黒髪にしてピアスも外して馬鹿丁寧な口調で話していたのは笑ったけど。
そして現在。
俺と同棲、つまりは俺たちを知らぬ土地な上に引っ越しても、俺や母さん香穂子さんや綱助の知り合いに害が及ばない(女性化した人物の友人知人家族、そして指定した人間は世界政府直属の組織の管理下に置かれる)為、逆大学デビューを果たしのだった。
「頼むよぉ〜、やっぱり茄子は無理だってー! あいつら地球産じゃないって! 」
「いや、バッチリ地球産だから。というか好き嫌い無くしてなっていつも俺言ってるじゃん。というか、香穂子さんが麻婆茄子とか茄子の味噌汁出した時普通に食べてたじゃん」
「いや、だって母さん俺に好き嫌い無いと思ってるから、笑顔で出してくるから…。そんなん食べるしかねーじゃん」
ソファーで寝ていた彼は体勢を変え、正座していた。
項垂れながら哀愁が漂っている。
「いや、まあ、うん。仲良いのは良いんだけどさ。とりあえず茄子食えオラァッ!」
「勘弁してください! なんでもしますから!」
「なら食えやァッ! 」
問答無用で彼を押し倒し、ワープさせて来た新鮮で冷えている茄子の漬物を口に突っ込む。
「オボッ!? オグ…ブフ…」
彼は口いっぱいに茄子を頬張り、鼻水を垂らしながら涙を流した。
そんなまずいかあ…? 茄子アレルギーでもないしなあ。
なんとか食べきった彼の頭を撫でながら、俺は首を傾げたのだった。
後日談。
あれ以来茄子を見ると青ざめてしまうようになってしまい、どうしたら食べてくれるかと質問した時、彼は真剣な表情で口移しでお願いします! と高らかに叫んだ。
やっぱり綱吉は変態なんだと思った。