ハリー・ポッターと透明の探求者   作:四季春茶

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地底の玉座と継承者

 遠くで水が滴り落ちる音と、息苦しさを感じる様な重苦しい湿った冷気で私の意識は浮上した。目を開けても見えるのは一面の闇しかない。感覚的に無駄に空間はあるらしいので、此処は地底洞窟か何かなのだろうか。

 

「…………っ!!!」

 

 寝起き直後よろしく半ば夢と現実の区別がついていなかったのもあって呑気に周囲を見回していた私だったが、漸く脳細胞が正常に機能してくれたらしい。直前の記憶と自分が置かれている状況を把握した瞬間、冷や水を被ったかの様に背筋が凍った。

 

 慌てて飛び起きると、自分の身体と荷物をチェックする。

 

(拘束はされていないし、何かしら漁られた形跡も無い。杖もちゃんと収納されたまま。……鞄は無い、ですか。盗られたというよりも落としましたかねこれは……)

 

 これはヤバいわと、思わず独りごちる。鞄の中には「連絡網」の参考用として持って来ていた防犯グッズが入っていたのに。それが無いという事は、杖一本と身一つで脱出するしかない。一応、鞄の中身以外に何も持っていないという訳では無いけれど……簡易的な拡大魔法でも掛かっているのか、ローブのポケットも見た目に反して収納性がそれなりに高いし、寧ろそれを良い事に色々と持ち歩いていたりもしているが……

 

(──実験の試作品とか、筆記用具とか、身嗜み用品とかをこんな所でどうしろって言うんですか!!)

 

 思わず地団駄を踏みたくなった。でも今はそれどころじゃないから自重する。とりあえず、音も気配も何も無いという事は少なくとも近くには私以外誰も……何も?いないという事だろう。全方位に用心しつつ、杖に光を灯す。

 

「……ルーモス」

 

 やはり此処はがらんどうな地下空間の様な場所らしい。状況からどう考えても「秘密の部屋」に投げ込まれたとしか思えないけど、こんな暗黒迷宮みたいな場所に一人とか……本格的に冗談キツイ。

 

「せめて音だけでも外と通じそうな場所を探さないと。多分、学校の敷地内の地下でしょうから天井か壁越しに助けを……きゃっ!?~~っ、痛い────ッ!!」

 

 それでも大きな独り言を呟きつつ、何とか立ち上がって移動してみようとした瞬間、思いっきり何かに躓いて転んでしまった。完全に灯台もと暗しだったらしい。命綱とも言うべき杖は転倒の衝撃でも手放さなかったが、その代償に膝と肘先の上腕骨内側(ファニーボーン)を強かに打ち付けた。激痛に悶絶しつつ、躓いた原因の方へと杖先を向けて──そのまま小さく悲鳴を上げた。

 

 私の足元にいたのは、人間だった。意識を失って倒れている。それが誰なのか、だなんてわざわざ考えるまでも無い。彼女はここに拉致される直前に会った、グリフィンドールのローブを着た赤毛の女の子──ジニー・ウィーズリーだった。

 今度は一目見た瞬間に彼女は「本物」だと分かった。そして、どうやら今までの被害者達とは違ってジニー嬢は石にはなっていない様だった。事故とはいえ年下の女の子を蹴っ飛ばしてしまったのは我ながら大変遺憾かつ非常に申し訳ないのだが、その時の感触も石像ではなくちゃんと人間の質感そのものだった。

 ジニー嬢は私よりも先に此処へ連れ去られていたのだろうか。杖先の灯りだけでも分かる程に顔色が悪いし、体温も異様に低い。ただ幸いな事にやや徐脈ではあるものの息はあるし、目立った外傷も無さそうだ。昏倒している人間を不用意に動かすのは愚の骨頂だけども、まさかこんな所へ一人置き去りにする訳にはいかない。とにかく彼女を背負って出口を探そうと考えた瞬間だった。

 

「おや。今回は随分と『普通』の反応だね?」

 

 ──今まで一切気配が無かった場所から、声を掛けられた。

 咄嗟に声の方に杖を向けると、年上の少年が立っていた。ローブから判断するにスリザリンの六年生辺りの上級生だと思われるが、生憎どちら様なのか全く分からない。まぁ……レイブンクロー以外の同学年ですら未だに大半の顔と名前が一致していない人間が他寮の上級生なんて知っている訳もないが。ただ、レイとは違うベクトルの物凄く整った顔立ちの美青年だから、ここが日常の廊下や大広間であれば彼を見た女子生徒達が色めき立ち、さぞかし大騒ぎになっていた事だろう。

 

「……誰ですか」

 

 ただし、その美青年が今の状況下で現れた第三者とあらば、話は別だ。どう見ても救助に駆け付けた人には見えない。

 それにパッと見た感じは確かに私達と同じ学生のそれだが、よく見るとデザインが違う。旧式の──マートル先輩の制服と同じデザインだ。外部の人間か、はたまた人ならざる者の類いなのか。

 彼は私の質問には答えず親切な優等生の様な、それでいて底無しに冷たい笑顔を浮かべただけだった。問答無用で攻撃や拘束をしてこないのは、私程度ならわざわざ杖を取り上げたりせずとも楽勝と考えているのだろう。事実、悔しいが二年生の私に出来る事なんてタカが知れている。

 

「それはもう一人、此処に来るであろう客人が来たら教えてあげよう。君だけに話した所で二度手間になってしまうからね」

 

「………………」

 

「そんな恐ろしい顔をしなくとも、今はまだ何もしないよ。強いて言うなら、退屈しのぎの会話にでもお付き合い願おうか」

 

「目的が見えません」

 

「君にとっても悪い提案では無い筈だ。友人が石にされても冷静に観察するぐらいなんだから、この僕の情報を直接得られるのは願ったりだろう?ふふ、まさか賢くてお利口なレイブンクローがヒントを手に出来るチャンスを考え無しに溝へ捨てたりはしないね?」

 

 

 三階の女子トイレ──嘆きのマートルの居る場所に、彼らはやって来ていた。

 ハリー、ロン、そして何故か二人に杖を突き付けられたロックハートという珍妙な組み合わせだ。今まで武勇伝を語り倒していた人間とは到底思えない様子のロックハートは隙あらば逃げ出したいと言わんばかりだ。

 

 ロックハートの逃走を阻止しつつ、ハリーがマートルに死んだ時の話を聞き出す。ハリー達が考えていた答えの通り、彼女は前回の「秘密の部屋」騒動の時に怪物──バジリスクで犠牲になった女子生徒だった。そこから更にマートルから情報を聞き出し、彼女が指し示した手洗い台を検分すると蛇の彫刻がある蛇口を見つけた。

 ハリーが蛇口に向かって蛇語で「開け」と言うと、手洗い台が回り始め、沈み込んでいく。太いパイプが剥し出しになると大人一人が滑り込める程の滑り台が現れた。此処こそが、部屋の入口だ。

 

 この期に及んでも何とか言い募って逃げようとするロックハートに業を煮やした二人が容赦なく蹴り落とし、自分達も中に乗り込もうとした時だった。

 

「僕も同行させて欲しい」

 

 気配も無く現れた同寮生にハリー達は驚いた。同時に困惑する。無理もない。二人にとって彼──レイモンド・バラードは同じグリフィンドールの二年生でありながらも遠い存在なのだ。ネビルと仲が良いという事以外ほとんど知らないレイモンドが、このタイミングで彼から声を掛けて来たのだから。

 

「どうしてバラードがここに?」

 

「君達がロックハートを引き摺っていくのを見たので、勝手に尾行したんですよ。流石に僕にとっても、この『秘密の部屋』の騒動は我関せず静観していられない事態になりましたから」

 

 そう言われてハリーはレイモンドがレイブンクローのマーガレット・ノリスと幼馴染だという事を思い出す。そして、件のマーガレットもジニーと共に「秘密の部屋」へと連れ去られている事も。

 

「そうか、ノリスを助けに……でもこの先にいるのは」

 

「バジリスクと継承者、でしょう?」

 

 ハリーの言葉を遮る様に事も無げに言ってのけたレイモンドに、ハリーは思わず目を剥き、ロンは唖然とする。

 

「!?……まさか気付いてたの?」

 

「不本意ながら確信したのはつい先程ですが。蛇に纏わる怪物で候補は絞っていたものの、即死ではなく石化する点がどうしても結び付かなかったものでして。……そうやっている間にメグが拐われたのは不覚以外の何者でもない」

 

 無表情で呟いたレイモンドだが、彼の灰色の瞳には確かに激情の片鱗が燃え上がっていた。

 

「おったまげ……君って見た目に似合わず意外とアツいんだね」

 

「ウィーズリー、乗り込む理由は君と大して変わりませんよ。僕にとってあの子は幼馴染であると同時に、妹みたいな存在なんです。家族を害される事は死と同義……それだけの話です」

 

 それだけ言い切ると、彼はハリー達の方を改めて見据えた。

 

「……無駄話をし過ぎました。中に入りましょう」

 

「僕から行く。最初にロックハートを入れたからクッション代わりにはなると思う。ロンとバラードはその後から来てくれ」

 

 決意と覚悟に満ちたハリーの言葉に、ロンとレイモンドは黙って頷いて「秘密の部屋」の中へと乗り込んでいった。

 

 

 この青年は間違いなく大詐欺師になれる。カルト教団の教祖でも良いかもしれない。とにかく絶対に信用してはならぬ。私は目の前の優等生顔で会話に興じる青年に対し、脳内でそう結論付けた。

 最初は彼の言う「退屈しのぎの会話」とやらで時間稼ぎと情報の引き出しを試みようと思っていたけれど、すぐに無理だと悟った。余りにも話術が巧み過ぎる。多分、ちょっとでも気を抜いたらすぐに誘導されて致命的な言質を取られかねない。……表面だけなら、他人に興味無い私ですら虜になりそうなのが心底怖いったらない。

 

 極力ジニー嬢の介抱に徹して、余計な事を言わない事に全神経を集中させる。それにしても──

 

(幾らなんでも衰弱が激しすぎる。もしかして、呪いとかそういう類いのものだったりするのでしょうか)

 

 だとしたら今の私では完全に専門外だ。どうしたものか。こんな風に人が真剣に考えているのに、あの青年ときたらそれこそお構い無しだ。流石は元凶、真犯人だと私の中では断定している人物だ。さぞや高みの見物は楽しいだろう。良い御身分である。

 

「ところでずっと気になっていたんだけど、ジニーのおチビが言うには君ってかの有名なハリー・ポッターの親戚なんだって?真偽はどうなんだい、ミス・ノリス?」

 

 情報を引き出せない以上、諦めの境地とささやかな意地でホグワーツのあるべき姿やら血脈がどうとかの話をひたすら聞き流していたが、この質問は一瞬反応してしまった。

 

「……仮にそうだったとして、あなたに何の関係が?」

 

「ふふ、純粋な興味だと言ったら?」

 

 互いに質問を質問で返す。会話のキャッチボールとしては崩壊の一言に尽きる。しかしここでポッター少年の名前が出てくるとは。もしや狙いは彼なのだろうか?超過激な純血主義、ポッター少年への執着……何かが繋がりそうだったが、その前に青年に話し掛けられて思考が霧散する。

 

「それじゃあ質問を変えよう。『あの子の瞳、ハリーとそっくりだった。もしかしたら、意中の人じゃなくて遠い親戚なのかしら?』──こんな下らない話で勝手に名指しされた感想は?」

 

「興味無いのでどうでも良いです」

 

「……そう、興味が無い。見ていてすぐに分かったよ。君は他人なんてどうでも良いと思っている。普通の女の子の様に立ち振舞っているけれど、本当はどこまでも狂っていて、自分本位だ。無価値な人間ほど煩いだけで、物事の真意を理解しようともしない。君だってそれを自覚しているのだろう?違うかい?」

 

「………………」

 

「純血に関する考えには相違があれども、君のそのスタンスは嫌いじゃない。僕なら君のその狂気を理解してあげられる」

 

 とにかく徹底して聞き流すつもりだったけど、今度こそ私は動きを止めた。ついでにこの人に関してもう一つ評価が加わる。人の地雷を踏み抜いてタップダンスする天才だ。

 家族でも友達でもない、初対面の赤の他人に私の事を我が物顔で語られるとか……冗談じゃない。虫酸が走る。

 

「……っふ、ふふふ」

 

「何が可笑しい?」

 

「理解してあげる、だなんて随分と恩着せがましい。何処のどなたとも知らない方に理解される筋合いなんてありませんね。狂っている?ご丁寧にどうも。そうかもしれません。でもそれが何だと言うのでしょう?なにゆえ、()()()()()()理解されねばならないのでしょうか。そもそも私は()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ……!」

 

「私はいつだって自分の興味、関心、知識欲に忠実なんです。好きな事をただ知りたいだけ。もっと識りたいだけ。自分の世界や見聞を広げる為に人と気持ちを共有したい気持ちはありますけど、別に同調されたい訳じゃない。余計なお世話だ。……あなたはあなたで独自の思想で勝手に閉鎖世界を築けばよろしいかと。でも、私には関係ない。どうでも良い。()()()()()()なんて興味無い」

 

「この小娘が……!僕を愚弄して、そんなに死に急ぎたいのか?」

 

「っ……!ぐ、ぎぃ……!」

 

 ……あぁ、私も勢い余って彼の地雷を踏み抜いたらしい。よほど自分に自信があったのか、私の興味無い連呼が気に障ったのか。

 端正な顔を歪ませて一気に距離を詰めると同時に、力任せに首を絞めてきた。体格差で足が地面から浮いているせいで余計に気道が圧迫されて苦しい。

 というかこの人、勝手に亡霊か何かと思っていたけど実体ある人間なのか、だなんて酸素不足に喘ぎながらも呑気な事をぼんやりと思っていた時だった。

 

 

「──ステューピーファイ!!」

 

 赤い閃光が走り抜けた瞬間、地面に投げ落とされる。激しく咳き込んでいたら、誰かが走り寄って来た。一人は倒れたまま動かないジニー嬢へ、もう一人が私の方へ。

 

「ジニー!死んじゃ駄目だ!お願いだから生きていて!」

 

「杖から手を放すなポッター!メグ、遅くなって申し訳ありません。怪我はありませんか!?」

 

 息を整えて自分は大丈夫だと答えようとして、サッと血の気が引いた。杖が無い。慌ててあの青年の方へ視線を向けると、いつの間にか手に持った杖をくるくると弄んでいる。乳白色のシンプルなデザインの杖──私のブナの杖だ。さっき首を絞められた時に落としてしまった……!

 私の杖が奪われたのを察したらしいレイが即座に庇う様に私とジニー嬢の前に立つ。自分が不甲斐ないやら申し訳ないやらで唇を噛み締めた。

 

「その子は目を覚ましはしない」

 

「……トム・リドル?」

 

 呆然としたポッター少年の言葉に、リドルと呼ばれた青年は先程の激昂っぷりは何処へやら、再び余裕綽々な笑顔を浮かべて待ってましたとばかりに語り出した。

 自分こそが継承者であり、「秘密の部屋」を前回開けた張本人である事、そして平然と他人に罪を被せた事。そして今回はジニー嬢を実行犯に仕立てて事件を引き起こした、と。

 偶然ジニー嬢が手に入れた日記を通して彼女を魅了し、操ったという。ジニー嬢が様々な悩みや心配事を書き綴り、それに対してリドルが同情し、親身になって返事を書く。そうやって「交流」していくうちに彼女の深層心理──とりわけ仄暗い秘密を餌食にして力を付けたリドルは、今度は自分の魂を彼女に注ぎ込み始めた。そうして彼女を手駒の如く意のままに操って今までの事件を引き起こさせた、と。実体のある亡霊よりも遥かにタチが悪い。

 ちなみに私までターゲットにされた理由は、何気なくジニー嬢が書き込んだ「マーガレット・ノリスとハリー・ポッターは瞳が似ている」という情報から、ポッター少年を誘き寄せる人質、ついでにジニー嬢が力尽きた時のスペアにでもしようと思っていたらしい。

 

(……そんなに目が似てますかね?確かに青や茶色よりは少ないとはいえ、ヨーロッパで緑の目なんて珍しくもないと思いますけど)

 

 恋は盲目と言うが、それに関しては甚だ疑問だ。

 緊張感で頭が疲弊してきたせいか、若干の現実逃避に走る様に時折思考を脱線させる傍ら、ポッター少年とリドルの話は続く。

 

 そんな中、遠くから旋律が聞こえてきた。この世の物とは思えない旋律が近付いている。そして、炎を纏った深紅の鳥が姿を現した。長く美しい金色の尾羽を輝かせたその鳥は、何やら随分と古ぼけた布みたいな物を掴んでいる。よく見たら組分け帽子だった。

 火の鳥はポッター少年に持っていた帽子を落とすと、そのまま彼の肩に止まった。警戒していた様子のリドルは、現れたのが鳥だと分かると心底馬鹿にした様に嘲笑した。

 

「ダンブルドアが味方に送ってきたのはそんなものか!歌い鳥に古帽子じゃないか!さぞかし心強いだろう?もう安心だと思うか?」

 

 それにしても「継承者」として事件を起こしていた彼が、途中から狙いをポッター少年へと移っていたは。私はそれを聞いて酷く嫌な予感がした。

 

「これといって特別な魔力も持たない赤ん坊がどうやって彼を破った?ヴォルデモート卿の力が打ち砕かれたのに、たった一つの傷痕だけで逃れたのは何故か?」

 

「僕が何故逃れたのか、どうして君が気にするんだ?ヴォルデモートは君より後の人だろう」

 

「ヴォルデモートは僕の過去であり、現在であり、未来なのだ……ハリー・ポッター」

 

 そう言うと、リドルは私の杖で空中に文字を書いた。

 

 “TOM MARVOLO RIDDLE(トム・マールヴォロ・リドル)”

 

 もう一度杖を一振りすると、単なる名前だった文字が並び方を変えた。思わず目眩がした。

 

 “I AM LORD VOLDEMORT(私はヴォルデモート卿だ)”

 

 そういう事か。となると、私はとんでもない相手の地雷を踏み抜いた訳だが……あの場で首をへし折られて胴体と離れなかったのは幸運なのかもしれない。冷や汗とともにそんな事を思った。

 

「ハリー、聞かせてもらおうか。二度も君は僕と出会った。そして二回とも僕は君を殺し損なった。君はどうやって生き残った?全て聞かせてもらうぞ……長く話せば君と友人達はそれだけ長く生き延びる事になる」

 

「……どうして君が力を失ったのかは僕が知りたいくらいだ。でも何故殺せなかったかは分かる。母が僕を庇って死んだからだ!母は普通のマグル生まれの母だ!」

 

 ポッター少年は怒りを抑えている様に、ワナワナと震えていた。そして痛烈に言い放った。

 

「君が僕を殺すのを、母が食い止めたんだ!僕は本当の君を見たぞ。去年の事だ。落ちぶれた残骸だ!かろうじて生きているだけの、醜い成れの果てだ!」

 

 途端にリドルは表情を歪める。杖を持っている余裕か、さっきの私の言葉の方が逆鱗に触れたのか、先程みたいに衝動的に攻撃はしてこない。ただゾッとする様なおぞましい笑顔を張り付けていた。

 

「そうか。母親が君を救うために死んだ。なるほど、それは確かに呪いに対する強力な反対呪文だ。結局、君自身には特別なものは何もないわけだ」

 

 一人で勝手に結論付けると、リドルは不敵にクツクツと笑う。

 

「さて──サラザール・スリザリンの継承者、ヴォルデモート卿の力と、有名なハリー・ポッターと、ダンブルドアが下さった精一杯の武器とを、お手合わせ願おうか」




トム・リドル、描写が滅茶苦茶難しい問題。
特にどこまで物理干渉出来るのかが分からず頭を抱えました。とりあえずジニーの魂吸いまくっていて実体化していますので、普通に物理干渉してます。でもほら、現在でもハリーの杖を普通に持っていたのだから、接触ぐらいは余裕じゃないかと思ったり……

とりあえず、無自覚ながら姉弟共々リドルの逆鱗に触れる事を言い放つ所を書けて満足。
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