結城友人は魔王である   作:パラドファン

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久々の投稿です。遅れて申し訳ございません。現在放送中の仮面ライダーゼロワンはもう中盤になっていますね。時の流れは早いなぁ……


マオウセイタン0425

 王様になる――子どもの頃、そんな夢を抱いていた。

 

 

 

 そんな夢を抱いたのは、何でだったんだろうか?

 

 確か、通っていた保育園で友達がいじめに遭っていて、それをどうにかしたんだと思う。

 そうして思いついたのが、王様になること。

 王様になれば、皆が争わない平和な世界が作れると、本気で思っていた。

 

 ――でも、できるわけがなかった。

 

 王様になりたいなんて荒唐無稽な夢は皆に笑われて、遂には僕までもがいじめられるようになった。

 最終的には友達のいじめの件まで含めて、姉さんが解消してくれたけど……あの頃に抱いた夢は、子どもの頃の夢想と捨て去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 光が晴れると、そこは別世界だった。

 先ほどまでは普通に暮らしていた僕たちの街が、極彩色の根によって埋め尽くされている。

 

 

「……ここは」

 

 

 驚きの中、僕は光に包まれる前に抱きしめた感触がないことに気が付いた。

 周囲を見回しても、姉さんや東郷さんの姿はない。

 

 

「姉さん……東郷さん……!!」

 

 

 僕は走り始める。湧き上がる恐怖を振り切るように、ただひたすらに。

 

 ――でも、

 

 どれだけ、走り回っても。

 どれだけ、名を叫んでも。

 

 姉さんの……東郷さんの姿を見つけることができなかった。

 

 

「――――ハァ、――――ハァ」

 

 

 ついに息が切れ、足も限界を迎える。

 それでも二人の姿を探そうと周囲を見回していると……見つけた。

 

 

「なんだ……あれ」

 

 

 ずっと遠くで、巨大な化け物が周囲に爆発を伴う投射物を放っていた。

 爆音と、爆風が僕の方にまで届く。

 衝撃に耐える中で僕は気づいた。あの化け物は昨日に夢で見た存在なんだと。

 

 

「ま、さか……なんで」

 

 

 固まる僕の背後から、唐突に声が掛かる。

 

 

「あれは《バーテックス》。世界を殺すものだね」

 

 

「うわっ!?」

 

 

 思わず飛び退くと、そこに居たのは……。

 

 

「……あなたは、昨日の?」

 

 

「覚えてくれたようで、光栄だよ」

 

 

 ――昨日、本を拾ったあの男性だった。

 彼は僕が覚えていたことが余程嬉しかったのか、パラパラと上機嫌に本を読み耽っている。

 その様子に若干恐怖を抱きながら、僕は男性の第一声の内容について尋ねる。

 

 

「あの、さっき言ってた。世界を殺すって……?」

 

 

 すると、彼は本のとある一ページで読み進めていた手を止め、その表情に影を落としながら告げる。

 

 

「言葉の通りだよ。あの怪物――バーテックスをそのまま放置すれば、君たちが信仰している神樹が斃され、世界が滅ぶ」

 

 

 ――世界が滅ぶ。

 にわかには信じがたい一言だ。

 でも、ここが現実にはあり得ない異世界だという事実が、彼の言葉に真実味を持たせる。

 

 

「そんな……」

 

 

 どうすればいい、世界を救うにはどうすれば……。

 必死に考えを巡らせても、ただの中学生ではどうすることもできない。

 無力な自分に絶望していると、彼はそんな僕に言葉を掛ける。

 

 

「気を落とすには早いよ、魔王」

 

 

 ――今、なんて?

 

 

「……魔王って、僕が?」

 

 

 魔王。そう呼ばれたことに対して首を傾げると、彼は開いた本のページを薄く撫でながら続ける。

 

 

「そう。君には魔王となり、世界を破滅から救う使命がある」

 

 

「――――使命」

 

 

 彼の言葉に、遠い記憶が掘り起こされる。

 子どもの頃に願った『王様になりたい』という、あまりに荒唐無稽な夢。

 その願いが、今……叶おうとしている?

 

 

「あなたは……?」

 

 

 無意識に零れ落ちた問い。

 彼はそれに満足したように笑みを零すと、仰々しい身振りとともに名乗り始める。

 

 

「私の名は《ウォズ》。魔王である君を正しき未来へと導く、歴史の管理者だ」

 

 

 そして、続くようにウォズはクッションに包まれた一つのベルトを取り出す。

 

 

「これを――」

 

 

 跪き、まるで献上するかのようにベルトを僕に差し出すウォズ。

 

 

「使い方はご存じの筈……」

 

 

 自然とポケットに手が伸びた。

 金属のひんやりとした感触が手に触れ、それを取り出す。

 昨日拾ったあの懐中時計型のアイテム(ライドウォッチ)が光り輝くと、ブランクだったものから仮面の絵柄に変化した。

 

 

「…………」

 

 

 これを使えば、僕は王様に……魔王になる。

 魔王――ウォズの言うその存在がどういうものか、今の僕にはわからない。

 でも、魔王というからには善き存在ではないのだろう。

 そんな少しの躊躇いが、あと一歩で僕の決断を鈍らせる。その時だ――

 

 

「――っ!?」

 

 

 轟音とともに、何かがすぐそばに着弾した。

 

 

「な、にが……」

 

 

 爆風と衝撃に耐え、着弾した場所を見るとひとりの少女がそこに横たわっていた。

 

 

「友くん!?」

 

 

「姉さん……」

 

 

 髪型や姿は違うが知っている姉さんの声だ。でも叫ぶ声はいつもとはまるで違う声音でも、焦るような驚くような様々な感情が垣間見える表情はやっぱり僕の知らないもので困惑してしまう。

 そして驚く僕を余所に、化け物は攻撃の手を緩めない。

 

 

「逃げて!!」

 

 

 尻尾のような場所からミサイルのような何かを発射する。それは目の前の姉さんに迫ると、爆発する。

 

 

「……ねえ、ウォズ」

 

 

「何だい? 魔王よ」

 

 

「この力を使えば、姉さんを助けられるの? 戦えるの?」

 

 

このまま何もせずに大切な姉さんを見殺しなんて出来ない。

拳を強く握りしめてウォズに問う。

 

 

「ジオウの力は史上最強――その力を使えば、過去も未来も望みのままに……」

 

 

「……なら、決めた! 僕は魔王になる。魔王になって、世界を救ってみせる!!」

 

 

 ウォズが持つベルトとウォッチ、これを使い魔王となれば姉さんを助けられる。なら迷う理由なんてない。

 

 

『ジオウ』

 

 

 魔王になる覚悟を決めてウォッチとベルトを取る。

 ベルト……ジクウドライバーを腰にあてると機械音が鳴り装着される。ジオウライドウオッチのボタンを押し起動させる。

 

 

「変身!」

 

 

 ドライバーの右側のスロットにライドウオッチを装填させると後ろに巨大な時計が浮かび上がり叫ぶ。

 

 

『ライダータイム!』

 

 

 ドライバーを回転させると同時に世界が回転し後ろの時計からマゼンタピンクのライダーの文字が飛び出しバンドが僕を取り囲むように回転し最後に飛び出したライダーの文字が顔の目の部分に収まる。

 

 

『仮面ライダージオウ!』

 

 

「祝え! 神世紀の世に生誕せし、新たなる時の王者。その名も仮面ライダージオウ。今まさに、覇道を歩み始めし瞬間である」

 

 

 そう言ってウォズは自身の腕を振り上げて、叙事詩を読み上げるような口調で称えあげる。

 

 

「な、なにそれ……?」

 

 

「新たな魔王の誕生を祝う祝言さ。気にせずに、君は戦いへ向かうといい」

 

 

「……わかった」

 

 

 そのまま足に力を掛け、一思いに飛び出すと30mは飛んだだろうか。

 スーツによる身体能力の増強を肌身で感じつつ、僕は姉さんたちのいる戦場までを最短で駆ける。

 

 

「……見つけた」

 

 

 駆ける勢いのまま、再び跳躍する。

 拳を強く握り、父さんから習った武術の型の一つである正拳突きを化け物の側面からお見舞いする。

 

 

「おりゃあ!」

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「なに、アレ……」

 

 突如と飛び出し、乙女座と戦闘を開始した謎の仮面の戦士の登場に風は構えていた大剣すら降ろし、困惑する。

 その傍に乙女座の攻撃から復帰した友奈が降り立つ。

 が、友奈も仮面の戦士の登場に混乱しているらしく、言葉に詰まりながらもその正体について言及する。

 

 

「……多分、友くんです」

 

 

「アレが!? 友人って……あの子は勇者じゃ」

 

 

 風が大赦から伝えられた話では勇者になれるのは()()()()()()()()()()だけのはずだ。

 ――なのに何故?

 疑問を浮かべる風に答えを示したのは、背後からゆらりと近付いてきた謎の男性だった。

 

 

「――そう、彼は勇者ではない」

 

 

 

「誰……?」

 

 

 背後の声に振り向くと、そこには奇妙な格好の青年が分厚い本を携え、そこに居た。

 

 

「彼は王となることを望み、その力に選ばれた新たなる時の王者だ」

 

 

「王って……それはどういう!?」

 

 

 王と一体どういう事なのか。

 そう追及するよりも早く、男性は自身の首に巻いているマフラーで自身を包むと姿を消した。

 

 

「……なんなのよ」

 

 

 今まで大赦に聞かされていた事とは違う現象がこの樹海内で発生している。

 予測不能な事態を前に、風はただただ困惑の色を強めた。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「攻撃が通らない……ッ」

 

 

 勢いのままに化け物を殴り飛ばした友人――ジオウ――だが、当の化け物は受けた傷などモノともせずに反撃を繰り返してくる。

 

 

「どうすれば……」

 

 

 手を拱いている間にも、化け物は小さな火球を幾重にも放ち友人を狙う。

 幸いなことに、纏ったスーツの敏捷性は並のものではなく、火球自体は簡単に避けることができてはいるが、避けることができるだけで攻撃に転じることができずにたたらを踏む。

 

 

「魔王よ。武器を思い浮かべ、手をかざしたまえ!」 

 

 

 咄嗟に友人はその声に従う。

 剣を思い浮かべ、かざした手に長剣が現れ、それを掴む。

 

 

『ジカンギレード!』

 

 

 目の前の火球を現れた長剣――『ジカンギレード』――で切り裂く。

 火球は真っ二つに裂け、背後で爆炎が起こる。

 

 

「これならいける!!」

 

 

 飛び掛かり、長剣で化け物に斬りかかると確かな手ごたえとともに化け物の表面を裂いた。

 

 

「よし!!」

 

 

 だが、喜ぶのもつかの間。切り裂いたはずの化け物の肉体が容易く元通りになるのを、友人は見た。

 そして回復した化け物は友人を囲うようにして、大型の火球を投射する。

 

 

「うぐっ!?」

 

 

 避けきれず、被弾し、吹き飛ばされる友人の身体がワイヤーで絡みとられる。

 

 

「友人さんっ!」

 

 

 どうやら樹が右腕のわっか状の飾りの花からワイヤーを射出し、受け止めてくれたようだ。

 

 

「友くん! 大丈夫!?」

 

 

 友奈が慌てて吹き飛ばされた友人の元に駆け寄る。

 そんな姉に心配をかけまいと友人は未だに身体に残る痺れを振り切り立ち上がる。

 

 

「大丈夫だよ……姉さん」

 

 

 幸いにもジオウに変身したことにより体が強化されている事と、樹のワイヤーで受け止められたことで肉体へのダメージは少なく済んでいた。

 すぐに回復すると、傍で不安そうに見上げてくる樹に礼を言う。

 

 

「樹ちゃん、助かったよ……ありがとう」

 

 

「いえ……」

 

 

 そう返事する樹には戸惑いの色が強い。

 どうやら友人がジオウに変身し、戦っていることを未だ自分の中で消化しきれていないようだ。

 ……なんと説明したものか。

 悩んでいると、大剣を背負った風が目の前に降り立った。

 

 

「ごめん!もうアタシ一人じゃアイツを抑えきれない。手伝って!」

 

 

 言われて、化け物の方を見ると相変わらず周囲に爆弾をまき散らしながら神樹様の方へ向かっているようだった。

 

 

「「「はい!」」」

 

 

 すぐに飛んで、化け物の方へ向かう。

 その最中、風によって説明されたのが、あの化け物ーーバーテックスの倒し方である。

 

 

「バーテックスを倒すには、まず封印をしなきゃいけないの」

 

 

「封印?」

 

 

「そう。封印でアイツの中の核を引っ張り出して、それを壊すの」

 

 

 この爆弾の雨の中、そんなことをしなければいけないのか……と嘆きたくなる友人だったが、そうしなければ倒せないというのだから仕方がない。

 

 

「風先輩、それで封印をするにはどうすればいいいんですか?」

 

 

「それを今から説明するから、攻撃を避けながら聞いて! さあ、行くわよ!」

 

 

「ハードだよぉ〜!」

 

 

 樹がぼやくのも無理はなく、バーテックスの抵抗は激しさを増している。

 バーテックスが次々と放つ爆弾をなんとか避けつつ、勇者部一同は風の声に耳を傾ける。

 

 

「まず最初の手順は勇者がバーテックスの周囲を囲むこと!」

 

 

「う、うん!」

 

 

「分かりました!」

 

 

 樹と友奈がバーテックスを囲うように散る。そして全員が位置につくと、風は続いての手順の説明に入った。

 

 

「次はアイツを封印するために、全員で祝詞を唱えるの」

 

 

「祝詞って……えっとえっと」

 

 

 慌てる友奈の声を他所に、バーテックスは

包囲から逃れようと暴れ始める。

 させない、と友人は振るわれる触手をジカンギレードで斬り払う。

 

 

「風先輩!!」

 

 

「行くわよ、封印開始!!」

 

 

「「了解!」」

 

 

 そうして、勇者三人による封印の儀が開始される。

 

 

「かくりよのかみ あわへみたまい 」

 

 

「めぐみたまい さきみたま くしみたま」

 

 

 友奈、樹の二人が粛々と祝詞を唱え、そして続くように風もーー

 

 

「大人しくしろォォォーーー!!」

 

 

 叫びながら、その手の大剣を勢いよく叩き付けた。

 

 

「「「ええっ! それでいいのーー!?」」」

 

 

「要は魂込めれば、言葉は問わないのよ」

 

 

 ……無茶苦茶である。

 これではまるで二人が粛々と祝詞を唱えあげようとしていたのがまるで茶番だ。

 とはいえ、風の言葉は本当らしく、三人の前にそれぞれの精霊が顕現すると、金と銀の花びらの渦が巻き起こって、バーテックスを包み込む。するとーー

 

 

「な、何か出たーーー!」

 

 

 バーテックスの頭部のような場所からめくれる様にして、頂点を下にした四角錐が飛び出してきた。

 

 

「風先輩、あれがーー」

 

 

「そう、あれが御霊。いわば心臓みたいなところで、破壊すればこっちの勝ち!」

 

 

 問うと、風はあれがバーテックスの核だと答えた。破壊すれば勝ちとも言った。

 ならばと友人は一息に飛び上がり、御霊へ向けてジカンギレードでの渾身の一閃を放つ。

 

 

「……ぐっ、この!!」

 

 

 が、その一撃は僅かに御霊に傷を付けるのみで終わった。

 入れ違いに風が御霊に飛び乗ると、大剣を幾度も叩き付けて友人が付けた傷を僅かずつだか広げていく。しかし、それでも御霊を砕くまでには中々至らない。

 

 

「どうすれば……」

 

 

 友人は悩む。このまま時間を掛けれて攻撃し続ければ、いずれ御霊を砕くことはできる。

 しかし辺りを見回すと、周囲の植物の根がどんどん枯れていっており、どう見てもそれが良いことには見えない。何かしらの悪影響を及ぼす筈だ。

 故に御霊の破壊を急ぎたいが、全員で攻撃しても早まるのはほんの僅かだろう。

 

 

「必殺技を打ちたまえ、魔王よ」

 

 

 と、背後から声が掛かる。

 振り向くとそこに居たのはウォズで、変わらずに微笑を湛えながら友人のベルトを指さした。

 

 

「ベルト?」

 

 

 促されるままにベルトを操作する。

 ウォッチのボタンを押すと『フィニッシュタイム!』という音声の後に待機音が鳴り始める。

 

 

「友くん!」

 

 

「行こう、姉さん!!」

 

 

 さすが姉弟だ。特に示し合わせも無く、友奈もこのままではまずいと思ったのだろう。

 ーー世界を守る。動く理由はそれで十分だ。

 二人は一斉に飛び上がると、友奈は強く拳を握り込み、友人はジクウドライバーを一回転させた。

 

 

『タイムブレーク!』

 

 

 友人の右足に力が込もる。そのまま空中でキックの体勢を作ると、友奈の拳と共に右足を一気に突き出した。

 

 

「「うおりゃぁぁぁぁぁーーー!!」」

 

 

 互いに渾身の一撃は、風がこじ開けた御霊の傷を更に押し広げる。

 そして全体にヒビが入ると、御霊は砕け、破片は光となって天に立ち昇る。

 だが、その光の一部は友人の腕のホルダーにあるブランクウォッチに宿る。

 

 

『クウガ』

 

 

 宿った光によってウォッチは、赤と金の『クウガ』のものへと変化した。

 

 

「……なんで?」

 

 

 首を傾げる友人だが、今はウォッチに気を取られいる場合でもない。御霊が破壊されたバーテックスがどうなったかを確認しなければならない。

 

 

「砂になってる……」

 

 

 どうやら心臓部である御霊を砕かれたバーテックスの身体は、黄金の砂状になって消失するようだ。

 その様子を見て、ようやく勝ったのだという感慨が友人の胸に溢れた。

 そうしてほっと一息ついていると、友奈と風が友人の元へ駆け寄ってくる。

 

 

「やったね、友くん!」

 

 

「ほんと、よくやったわね。二人とも!」

 

 

 勝利を喜び、半ば友人に抱きつかんばかり勢いで手を取ってくる二人。

 

 

「お姉ちゃん!」

 

 

 少し遅れて、樹も喜びの輪の中に入る。

 そうしてひとしきり喜びを分かち合っている内に、周囲に花びらが舞いだした。

 視界が全て花びらに埋め尽くされ、それが一気に散った時には景色は鮮やかな樹海のものではなく、讃州中学の屋上へと変わっていた。

 

 

「戻ってこれた……?」

 

 

 目の前には、何事も無かったかのように過ぎる普段の日常の姿が映っていた。

 思わず泣きそうになりながら、友人は感慨深げに言葉を漏らす。

 

 

「神樹様が戻してくださったのよ」

 

 

「あっ!! 東郷さん!」

 

 

 と、友奈が近くに東郷を見つけて駆け出した。

 

 

「大丈夫だった? 怪我はない?」

 

 

「……友奈ちゃんこそ、大丈夫?」

 

 

「うん! もう安全ですよね?」

 

 

 友奈は確認のために風に問う。

 

 

「そうね。ほら見て」

 

 

 屋上から町を見下ろすと何事も無かったのかのように普段の日常が過ぎている。

 

 

「皆、何があったのか気付いてないんだね。」

 

 

「そう他の人達にからすれば今日は普通の平日。アタシ達で守ったんだよ、皆の日常を。」

 

 

「よかった……」

 

 

「うん。僕達、守れたんだね……」

 

 

 姉を守りたい。

 皆を守りたい。

 世界を守りたい。

 

 そう願って、力を与えられた。

 力を手にして、必死に戦った。

 戦いの末に、平和な日常を勝ち取った。

 

 

「ちなみに戦ってる最中も世界の時間は止まったままの筈だから、今はモロ授業中だと思う」

 

 

「「えぇっ!?」」

 

 

 感慨深くなっている所をぶち壊す風の衝撃のカミングアウトに、友人たちは同時に驚いてしまい大声で叫んでしまう。

 

 

「ま、後で大赦からフォロー入れて貰うわ。」

 

 

 気にしないでも大丈夫と答えると、一転して真面目な表情になり樹の方を向く風

 

 

「樹、怪我はない?」

 

 

「うん、お姉ちゃんは……?」

 

 

「平気平気。」

 

 

「……怖かったよぉ、お姉ちゃん。わけわからなかったよ……」

 

 

 気丈に振舞い、戦った樹。

 でも戦いが終わって、恐怖や色んな感情が一気に吹き出したんだろう。

 姉に……風に抱きついて、縋り付くように泣いている。

 

 

「…………」

 

 

 友人はさっきの戦いを振り返りもし、隣にいる姉……友奈に何かあったらと思う。

 それが無性に不安になって、友人は友奈の手を強く握る。

 

 

「……友くん?」

 

 

「ごめん……でも、もうちょっとこのままいさせて」

 

 

 唐突な友人の行動に、友奈はきょとんと首を傾げるけど直ぐにいつもの様な笑顔に戻ると、友人の手を強く握り返す。

 

 

 

「大丈夫! 私はいっつも一緒だよ」

 

 

 

 どうやら、友奈には弟である友人の考えなどなんでもお見通しらしい。

 

 

 

「うん、そうだね」

 

 

 

 ひとまず、勇者やらに関する諸々の説明は明日に持ち越されることとなった。

 とりあえず教室に戻りましょうと誰からともなく言い出して、移動を始めた友人の背後から声が掛かる。

 

 

「ーー魔王よ」

 

 

「ウォズ?」

 

 

「おめでとう。クウガの力の継承、私も喜ばしいよ」

 

 

「ねぇ、その『クウガの力』って何なの?」

 

 

 聞いたこのない単語に友人はウォズに問う。

 

 

「クウガとは、平成ライダーの歴史の幕開け……《仮面ライダークウガ》のことだよ」

 

 

「仮面ライダー……」

 

 

「悪しきゲームで人々を襲う存在《グロンギ》から、人々の笑顔を守るために戦った戦士でもある」

 

 

「笑顔を……」

 

 

「そのウォッチを使うことで与えられるのは《身体能力》の強化。格闘技を習っていたという君にはうってつけの力だ」

 

 

「へぇ……」

 

 

「他にも仮面ライダーは沢山いる。残り18人。全員から力を受け継ぐ時を楽しみにしているよ」

 

 

「18人。ねぇ……全部揃えたら、どうなるの?」

 

 

「今は気にしなくていい。それよりもーー」

 

 

「それよりも?」

 

 

「授業中のようだが、いいのかな?」

 

 

 




どうも、クマさんです。
本当にお久しぶりですね、半年ぶりでしょうか? まぁ、これというのも私の方にマジで時間が無くて書く暇がなかったと言うやつなんですが……もうこれ完全に旬を逃しましたね。

という訳でこれからも細々続けていこうと思うのですが、早速最悪のニュースです。

ゆゆゆの感謝祭がコロナのお陰で延期になりました。これに関しては運営の決断を責める気は全くありませんが、ショックはショックなのでね。ここで嘆かせてください0(:3 _ )~




……はい。では次回にまたひと月後位に会いましょう。
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