いやぁ時の流れは早いですね、01、セイバー、リバイス、ギーツ、ガッチャードとまぁ、令和ライダーはもう5番目です。
これから、投稿を頑張っていきたいと思っている所存でございますのでどうか応援をよろしくお願いします。(6話と7話同時執筆中)
パラドファン
讃州中学の音楽室では一年生の音楽の授業が行われている。歌い終わった生徒は席に戻り、先生は次の生徒を呼ぶ。
「次は犬吠埼さん」
「は、はいっ!」
樹は緊張の面持ちで黒板の前に立つと、楽譜の書かれた教科書を構えた。
すると、教室のあちこちから小さくクスリと笑う声が聞こえてくる。
「何かあったのか」と樹は辺りをキョロキョロと見回るが、おかしな所はない。
「あっ……」
━━と、ようやくここで自らが笑われていた理由に気付く。
教科書が反対向きだったのだ。
慌てて樹は教科書をひっくり返すが、それを合図に教室は微笑ましいものを見るような、そんな笑みに包まれた。
「あうぅ……」
幸い、そんな教室の状態は音楽の先生の軽い咳払いで収まるが、樹の頭は既に軽いパニック状態だ。
━━少しして、先生が樹に目配せをする。伴奏が始まり、いよいよ歌のテストだ。緊張と先程のハプニングによるパニックで、樹は随分と歌の音程を外してしまう。また、教室のどこからかクスリと笑う声が樹の耳に届く。それで更に自信を無くして、練習では歌えていたはずの曲なのに、樹は不合格になってしまった。自分の席に戻ると隣の席のクラスメイトは励ましの声をかけてくれるが、樹は余計に自分が情けなくなる。
(やっぱり私、人前で歌うのは……)
◆◆◆
「う~ん」
今度発行する━━別に印刷ではないからそう呼べるのかは怪しい気もする━━勇者部の活動報告の最後のひと枠。
そこに収める写真を、友奈はうんうんと唸りながら吟味する。
「この写真を……ここで!」
パン、と気持ちのいいくらいの音を立てて、友奈は写真を貼る。最後を彩ったのは、先日引き取られた保護猫の写真だ。
「うんうん、バッチリだ~」
「……そんなにカッコつけながら貼る必要あったかな?」
まるで歌舞伎役者かのような大袈裟な動作を見せた友奈に、友人はチクチクと行っていた針仕事の手を止め、苦言を呈する。
「なんかこう、ビシッて、気合を入れて貼るといい感じになるんだよ!」
「フィーリングだな〜」
そんな姉弟のいつものやり取りに、くすりと微笑みつつ、東郷は『ぱそこん』の『きーぼーど』を叩く。
「今日も閲覧者数すごいね!」
と、背後からひょっこりと友奈が顔を出す。
「流石、東郷さんだね!」
「褒めても何も出ないわよ、友奈ちゃん」
「え~、東郷さんのぼた餅食べたかったなぁ……」
「駄目よ。和菓子の甘さは身体にいい、と言っても食べ過ぎは身体に毒よ? 友奈ちゃん、昨日はぼた餅を4つも食べたじゃない」
「……はーい」
親友同士のいつものやり取り。友人は先日、友奈の夕食の食べる量が少なかった原因はそれかと、先日の劇で使用した人形たちのほつれてしまったところをチクチクと縫い直しながら思う。
「あとは子猫の写真と学校の連絡先を載せて……こんなところかな?」
「完璧!」
慣れた手付きで『えんたーきー』を叩くと、勇者部のホームページに可愛らしい子猫の写真と学校の電話番号が表示される。
これで折り良い縁があれば、子猫は飼い主を見つけられるだろう。
「うーん……もう……ストーリーが思いつかん」
さて、好調な部員達に対し、我らが部長の風はというと……文化祭で行う演劇の台本を考えているのだが、早くも3行目で苦戦しているようだ。
「ストーリー自体はいつもの勇者劇なんですよね?」
いつもの勇者劇ではインパクトが足りないと悩む風に友人が絡む。
「そうなんだけどねぇ。あれは幼稚園とか保育園とか、小さな子たち向けの台本だから、中学でやるにはもう少しパンチが欲しいの」
「パンチですか……」
この人も大概フィーリングだな、という感想を抱く友人だったが、ひとまず頭の隅に追いやる。
「うーん。人形劇の時に省いた道中の出来事を描写していくのはどうです?」
「あーソレだわ。ソレで行くしかないわ、ええソレよ」
「今年は樹ちゃんと夏凜ちゃんも入って人数が増えたのでやりやすいかと」
「私がどうかしたの?」
噂をすればなんとやらで、剣道部の遠征に行っていた夏凜が部室戻ってきた。
「あ、おかえり。剣道部、どうだった?」
「コテンパンにしてやった……って言いたいけど、私の場合は実戦を重視しすぎてて逆に試合形式になると……まぁ、それでも勝ったけど」
「さすが完成形(笑)を名乗るだけはあるわね〜」
「含み笑いを誤魔化す努力をする気は無さそうね」
「ちょっと、待って待って!?」
どこからか木刀を取り出して風に突きつける夏凛、その二人の間に入り慌てて止める友人。
「……ゴホン。ところで、アンタさっきからずっと何食べてるの?」
咳払いで誤魔化しつつ、風が夏凜の左手に持つ袋に突っ込む。
「にぼし」
「にぼしを丸ごと食らう女子中学生は、四国広しと言えど夏凜くらいのものね」
「煮干しは健康にいいのよ。カルシウムも豊富だし、血液をサラサラにするDHAやEPAを多く含んだ完全食なんだから!」
煮干しって食べ過ぎると塩分過多になってしまうのでは? そう思って袋を見てみるとそこには『塩分無添加』の文字が━━流石は完成型勇者である。
「熱弁ねぇ……あ、そうだ。今度から夏凜の事はにぼっしーって呼ぶ!」
「ゆるキャラに居そうなあだ名をつけるな!」
何から妙に甲高い声を上げていそうなあだ名に抗議を入れる夏凜。
「そういえば、にぼっしーちゃん」
「待って! その名前、定着させる気?」
「姉さん、そろそろやめてあげようよ……」
どうもツッコまずにいられないらしい夏凜。打てば響くと言うけど、そろそろかわいそうな気がしてきて友奈を止める友人。
「そう言えば、飼い主探しのポスターは?」
話の流れも切れたところで思い出したように夏凜へ尋ねる風。
「ん? そんなのもう作ってあるわ」
自信満々に友人達の前に猫を書いたポスターが置かれるが━━
「……えっと、妖怪?」
夏凜の描いた猫の絵は原形は留めておらず、東郷の言うとうり、まるで妖怪のようで小さい子たちが見たら泣き出しそうだ。
「猫よ!」
「画伯だ……」
「友人くん……代わり頼めるかしら?」
「うん、任せて」
流石に夏凜の絵ではそのまま採用というわけにはいかないので、ここはある程度絵も描ける友人が代わりに任されることになった。
━━勇者部は今日もいつも通り時間が過ぎている。
「はぁ……」
そんな部室に樹の深いため息が響き渡る。
「ん、樹?」
「な、何?」
落ち込んでいる様子の樹へ風が声をかける。
「どうしたの? ため息なんかついて」
「うん……あのね? もうすぐ音楽の歌のテストで、上手く歌えるか占ってたんだけど……」
悩みの種は歌のテストらしい。確かに何かにつけてテストというものは気が進むものではないけど、それでそのタロット占いの結果は……
「死神の正位置……意味は『破滅』『終局』……」
「うーん、『当たるも八卦当たらぬも八卦』っていうし気にすることないでしょ」
「そうだよ。こういうのって、もう一度占ったら全然別の結果が出るものだよ」
占いの結果に落ち込む樹を占いの結果は絶対ではないと励ます風。もう一度やり直そうと促す友奈。
そして、占いをやり直してみた結果は四回連続で死神の正位置━━樹の表情は更に暗く落ち込んでいる。
「四連続で同じ役……」
「だ、大丈夫! フォーカードだからこれはいい役だよ!」
まさかの結果に絶句する友人と、良いこととして捉えようと励ます友奈だが、まるでフォローになっていない。
「死神のフォーカード……」
「あ! いやあ、悪い意味じゃなくて……」
樹を更に落ち込ませてしまい、慌ててしまう友奈。ちなみに樹のタロット占いの的中率は体感で6割を超えていて、周りからも結構当たると評判だ。
◆◆◆
「私たち勇者部は困ってる人を助ける。もちろんそれは部員だって同じよ」
黒板に『今日の勇者部活動内容 樹を歌のテストで合格させる!』と書き、宣言する風。
「歌が上手くなる方法か~」
「まず歌でα波が出せるようになったら、勝ったも同然ね」
「α波?」
東郷の発言した聞き覚えのない単語に首を傾げる一同。
「良い歌声や歌というものは、大抵α波で説明がつくの」
ユラユラと手先がゆれる動きを交えながら説明する東郷。
「そうなんですか!?」
「んなわけないでしょ!」
東郷のα波理論を信じ込みそうになる樹を夏凜が大声を上げて引き戻す。
「樹は一人で歌うと上手いんだけどね。人前で歌うのは緊張するってだけじゃないかなあ?」
「そっか! それなら……習うより慣れろ、だね」
◆◆◆
放課後、カラオケに来た勇者部。
本来の目的を忘れているのでは無いかと、思わせる程にノリノリで歌う風に、マラカスとタンバリンでリズムに乗る友奈と東郷。
そしてテーブルの上では牛鬼がお菓子を頬張っている。
『強気でこのまま 真っ直ぐ進もう』
『そしたら絶対見えてくる』
『ホンキの時ほど 無限のパワーが』
『溢れてくるんだよ』
「イェーイ! 聞いてくれてありがとう!」
トップバッターの風は抜群の歌唱力で歌声を披露して、場を盛り上げた。
「お姉ちゃん上手!」
「ありがと」
風の歌唱力の高さを讃える樹に、「なんのなんの」と軽く返す風。
「ちょっとごめんね」
友奈は樹の持つ端末を取り、夏凜に見せる。
「ねぇねぇ、夏凜ちゃん。この歌知ってる?」
「一応知ってるけど」
「じゃあ一緒に歌おう」
「ふぇ⁉︎、何で私が! 馴れ合うためにここにいるわけじゃないわ!」
友奈の提案に焦り、恥ずかしいのか少し頬が紅くなる夏凜。
「そうだよねぇ〜アタシの後じゃぁ、ご・め・ん・ね」
画面に出た風の点数は92点と中々に高得点で、自慢気な表情で夏凜を煽る。
「友奈、マイクを寄越しなさい」
「えッ?」
「早くっ!」
「は、はいっ⁉︎」
歌うのを拒否していた夏凜だが、風の挑発にあっさりと乗りマイクを要求する。
その夏凜の迫力に気圧されてマイクを渡す友奈。
『ちゃちゃちゃちゃ let’s go !』
『ちゃっちゃっちゃ ほら!』
『ハートのカタチ』
『◯△□(マルサンカクシカク)
「夏凜ちゃん上手じゃん」
「ふん、これくらい当然よ」
見事に歌い切った友奈と夏凜の得点は先程の風と同じ92点とかなり高得点だ。
「次は樹ちゃんだね」
「……うん」
マイクを受け取り、歌唱テストの課題曲を歌うもやはり上手く歌う事が出来なかった。
「はぁ……」
樹が歌い終わったところで、友人は飲み物を取りに行こうと廊下に出ると、壁に背を預けて立つウォズの姿があった。
「やぁ、魔王よ」
「ウォズ、なんでここに……?」
突然現れたウォズに呆れたように尋ねる友人。
「君に伝えておきたいことがあってね」
手に持つ逢魔降臨暦を悠々と開き、語り出すウォズ。
「この本によれば、もうすぐ君たちの前に大きな災禍が迫ると記されいる」
「それって……バーテックスの襲来なの?」
災禍と聞き少し考え込む友人。今までの事を考えるとバーテックスのことであるのは間違いないのだが、一体程度なら夏凛という戦力の増えた今の勇者部に問題無い。となると複数体のバーテックスによる攻撃ではないかと思い付きウォズを見る。
「恐らくね。だが、災禍と言うからには今まで以上の困難がやってくるのは想像に難くない。用心する事を勧めるよ」
言って、逢魔降臨暦を大様に閉じるウォズ。
「では、私は失礼するよ」
肩にかけたストールをばさりと翻して、ウォズはその場から消えてしまった。
「僕が……姉さんを、皆を守るんだ」
これから起こる災禍。友奈を守るためにジオウになったあの日を思い出し、拳を握り締め決意を固める友人。
ウォズとのやり取りを終え、飲み物片手に部屋へ戻ると、聞き慣れてしまったイントロが流れ出しており、条件反射のように体が動いてしまう。
友奈たちも同様のようで、敬礼したまま微動だにしていない。
夏凜はというと、この状況についていけずにアワアワとしている。
『我ら古今無双 御國を護るため』
『いざや立ち上がりし覺悟轟のごとし』
東郷が歌い終わると、勇者部一同に対して敬礼を返す。上官から返礼を受けた一同は一糸乱れぬ動きで着席する。
「……なんなのよ、これ」
そんな夏凜のぼやきがしんと静まり返った室内に響いた。
◆◆◆
放課後カラオケ練習の翌日、勇者部部室に全員集合していた。
「マグネシウムやリンゴ酢は肺にいいから声が出やすくなる。ビタミンは血行を良くして喉の荒れを防ぐ。コエンザイムは喉の筋肉の活動を助け、オリーブオイルとはちみつも喉にいい」
サプリと健康食品の数々を所狭しと机の上に置き効果について早口で語る夏凜。
「詳しい」
「流石です」
「夏凜ちゃんは健康食品の女王だね!」
「どれだけ常備してるんだろう……」
「夏凜は健康のためなら死んでもいいって言いそうなタイプね」
「言わないわよ。そんな事」
関心する東郷、樹、友奈の三人と、あまりの数に若干引いてしまう友人。風もそれは同じ様で呆れた様子だ。
「さ、樹。これを全種類飲んでみて、グイっと」
「えっ、全種類⁉︎」
夏凜の発言に驚く樹。
「多すぎでしょ……それは、流石に夏凜で無理じゃない」
呆れるような、からかうようでもある風。
「無理ですって、いいわよお手本を見せてあげるわ!」
しっかり風の挑発に乗ってしまう夏凜。
「夏凜ちゃん、落ち着いて!」
これはまずいと感じた友人が、止めようとするが既に手遅れだった。
ビタミン剤やらサプリやらを大量にかき込み、仕上げにオリーブオイルやらをひと瓶飲み切る。
「ど、どう……うっ……」
オリーブオイルひと瓶はいかに完成型勇者でも無茶だったようで、夏凛は耐えているようだったが、すぐに限界を迎えたようで、次第に顔色が青く染まり始めた。そんな様子の夏凛は口を両手で押さえて廊下へ駆け出していった。
「夏凜ちゃん⁉︎」
「僕が見てくるよ」
夏凜の様子に心配の表情を浮かべる友奈と夏凜を追う友人。戻ってくる途中で拾われた夏凛は数分後友人の肩を借りて、ぐったりした様子で部室に戻ってきた。
「樹はまだ、ビギナーだしまだ一つか二つで充分よ」
「いや、ビギナーも何も関係ないでしょ……」
さすがに懲りた様子の夏凜の発言に、呆れながらツッコむ友人。苦笑しながらもサプリを受けとる樹を横目に、カバンに手を伸ばす友人。
「樹ちゃんのために、一応僕も持参してきたよ」
友人は水筒を取り出し、中身をカップに注ぐと清涼感のある香りが部室内に広がる。
「……良い香り、ハーブティーですか!」
「皆の分もあるから、飲んでみて」
カップを用意してもらい、皆にハーブティーを配る友人。
「おいしい! どこのお店のですか?」
一口飲み、気に入ったらしい樹が友人に尋ねる。
「僕が作った」
「「「自家製!?」」」
友人の発言に風、樹、夏凜が驚き声をあげる。
「うん、料理用にハーブを栽培してたら、ハーブティーも自作したくなって始めたんだ」
「友くんのお茶はおいしいんだよ〜」
「なんで姉さんが、自慢気なの……」
自分のことのように自慢気に語る友奈に、ツッコミを入れる友人。
「「……」」
「恐るべし友人の女子力……」
友人の女子力の高さに固まる夏凜と樹に、自称女子力王を語る風は危機感に駆られたのだった。
◆◆◆
樹が小学生の頃、仮面を被った知らない大人たちが家にやってきことがあった。
その時の樹は風の背中に隠れているだけで、後から両親が死んだことを伝えられた。
その日から風は、樹のお姉ちゃんでありお母さんとなった。
それから風の背中が一番安心できる場所になり、風が一緒に居てくれたら樹は何だってできると思っていた。でも樹一人では……
風は勇者部の事を一人で抱え込んでいた、もし樹が風の後ろに隠れているだけじゃなくて、隣を一緒歩くことができていたら━━
「……つき」
「樹、起きなさい」
声を掛けらて、目を覚ますとクローゼットから制服を取り出す風の姿があった。
「樹、着替えて顔洗ってきなさいよ」
「んぅ〜……」
起き上がろうと寝起きの重い体を起こして、鏡の前に立って着替え始める。
「ちょっと動かないで」
着替えを終えてリビングで風の作った朝ご飯を食べていると、髪を整えてきれてなかった場所があったようで、当たり前の様に用意した櫛で樹の髪を整える風。
「あのね……お姉ちゃんありがとう」
「何、急に?」
いつも風は樹のことを気にかけてくれている。その事に対する感謝がこぼれ落ちた。
◆◆◆
まだ日が昇り始める前、友人は一人砂浜に居た。
ウォズから伝えられたこれから起きるという大きな戦い。その事が頭から離れず、友人はライドウォッチの特性を調べようとしていた。
「まずは、フォーゼウォッチを使ってみるか」
ホルダーに装填されている、オレンジと白のライドウォッチを起動する。
『フォーゼ』
音声が起動し、虚空から白とオレンジを基調としたロケットのようなアーマーが現れる。
『アーマータイム! 3・2・1 フォーゼ!』
ウオッチを装填、アーマータイムへと強化変身を果たしたジオウ。
両腕にロケットを模した装甲と両肩へロケットの先端部分を分けた装甲が装備した『仮面ライダージオウフォーゼアーマー』へと姿を変える。
「これは……ロケット?」
両腕の装甲『ブースタモジュール』を見て呟く友人
「うん、やっぱり変身すると使い方が思い浮かぶ……」
新しいウォッチを初めて使う時、自然と使い方が頭に浮かび上がる。過去に蟹座、蠍座、射手座の三体との戦闘の際、クウガの力を使った時もそうだった。
なぜ使い方が思い浮かぶのかはわからないが、それを気にしてはそもそもライドウォッチの存在自体が謎なのだから仕方がない、と疑念を振り払う友人。
「フォーゼの力、試してみるか!」
まず両腕を突き出し、ブースターモジュールを分離させ射出する。
腕から離れた二つのブースターモジュールは、友人の意のままに操作が可能だが、短時間で両腕へ戻って装着させる。
「これは遠距離攻撃に使えそうだな」
次にブースターの勢いを利用した攻撃を試し始める友人。ブースターの勢いの乗った攻撃は威力が期待できるが、小回りがきかないと言った感じだ。
「周りに誰かいる時は、使わない方がいいかな……」
続いて両肩のアーマーを連結させ、腕と脚のブースターを折り畳みロケットモードへと変形する。
「よし、行くぞ!」
空へと向けて飛び上がる。ブースターの推進力は凄まじく、あっという間に雲を突き抜けてしまった。
「こんな簡単に、高く飛べるなんて凄いなぁ……」
段々と高度下げつつ減速し、ロケットモードの変形を解除し砂浜へと着地する。
「次は龍騎だな、日が出る前に全部試さないと」
次に使う龍騎ウォッチを取り出して、変身しようとすると友人。
──数十分後、残り三つのライドウォッチを試し終えた友人。
変身を解除し、一息吐いた友人。
「それぞれのウォッチの特性は、理解できたかな」
まずは、龍騎ウォッチを見る。
龍騎の力は炎を拳や足に纏ったり、ジカンギレードに装填すれば、剣モードだと炎を纏った斬撃を、銃モードでは強力な火炎弾を放つ事ができた。
続いて
カブトウォッチは高速移動が可能になり、それを利用して格闘戦を軸にした戦法をとることができる。
「ウォッチは全部試したし、帰るか」
周囲を見ると、日が昇り始めており、既に空が白み始めている。
「姉さんが目覚める前に戻らないと……」
ウォッチの事を調べるのは誰に伝えていないため、友奈が目覚めて友人が居ない事が気づかれると心配させてしまう。
そうならないように友人はドライバーとウォッチをしまい、砂浜を後にするべく走り出す。
◆◆◆
──放課後。
本日の勇者部の活動は、里親募集の貰い手が決まった二匹の仔猫の引き取りだ。
友奈、東郷、夏凜と友人、樹、風の二手に別れて仔猫の里親募集を掛けたお宅へ向かった。
「すいませーん、讃州中勇者部です。仔猫を引き取りに来ました」
風がインターホンを押して、扉を開くと――必死で子猫の引き渡しに反対する女の子の声と、宥めようとする母親の声が聞こえてきた。
「もしかして、仔猫を連れて行くの嫌だったのかな?」
「あちゃー、もっと確認しておけばよかったぁ……」
「無理に引き取って行く訳にいきませんよね」
想定外の出来事に、あたふたする樹とどうしたものかと考え込む友人。
「大丈夫、アタシがなんとかする」
「わかりました。ならこっちは任せてください」
「えっ、なんとかって? 友人さんも……」
風の意図を察して、どこかへ電話を掛ける友人。以心伝心の様子に樹は戸惑う。
その後、風が仔猫を飼う事の説得を行っている間に、友人が受け取り先に事情を話し、了承を得た事を伝えて、仔猫は女の子がちゃんと面倒を見るという条件付きで飼われることになったのだ。
◆◆◆
「ただいまー」
「おかえり、友くん!」
日が昇る前から起きていて、そろそろ体力の限界を迎えてきてる友人とは対照的に、元気いっぱいの友奈が玄関へと駆けて来た。
「そんな慌てて、どうしたの姉さん?」
友奈がわざわざ出迎えてきたということは、唐突に何かを思いついた時だとわかっている友人は何かを問う。
「えっとね、これなんだけど……」
「──なるほど、そういう事か」
友奈が取り出したものを見て、「確かにこれなら」よ唸る友人。
あと一歩踏ん切りがつかない樹には最高の起爆剤になるであろうそれに、友人はカバンの中からペンケースを取り出して応じることにした。
◆◆◆
歌唱テスト当日、樹は緊張で力み過ぎて表情が固くなり、教科書を強く握りながら自分の番を待っていた。
「次は、犬吠埼さん」
「は、はいっ!」
樹の番が回って来た。緊張しすぎて少し声が上がってしまっており、壇上まで向かう動きもぎこちなくなっている。
がちがちに緊張してしまっている樹にクラスメイト達の視線が集まる。
(やっぱり……無理)
固まってしまっている樹だが、先生は壇上に上がったのを見るとすぐにピアノの演奏が始めてしまう。
慌てて教科書を開こうとすると、中に紙が挟まっていたようでヒラヒラと落ちていってしまった。
「す、すみません」
演奏を中断してくれた先生に一言謝って、教科書か落ちた紙を拾うと──
『テストが終わったら打ち上げでケーキ食べに行こう 友奈』
『樹ちゃんなら、上手く歌えるって信じてるよ 友人』
『周りの人みんなカボチャ 東郷』
『気合よ』
『周りの目なて気にしない! お姉ちゃんは樹の歌が上手だって知ってるから 風』
紙には、勇者部の皆の応援メッセージが書かれていた。それを見た樹は、皆が信じて応援していてくれる事に応えてたいと、そんな気持ちが心の奥底から湧き上がってきた。
クラスメイトの視線ももう気にならなくなり、樹は緊張から解放されて歌い始める。
その後の樹の歌唱テストの合格発表で勇者部部室で歓声が響き上がった事は言うまでもない。
◆◆◆
一人本屋に寄り、目的の本を見つけ店を出る友人。
「さてと、そろそろ帰るか」
帰路につき、橋に差し掛かったところで端末からけたたましい樹海化警報が鳴り響いた。
大地はまるで、鮮やかな巨大な植物が覆った様に変わっていく。
壁の向こうからやって来るのは、七体のバーテックスを確認する友人。
「来たか……」
ドライバーを装着し、ライドウォッチを起動させる。
『ジオウ』
ウォッチをドライバーに装填させ目を閉じて静かに息を吐く友人。
ウォズの言っていた事、これから先何が起きるかは、まだわからないがこのバーテックスの襲来が関係してる事は確かだ。
(絶対に姉さんを……皆を守るんだ!)
「変身!」
はいどうも、アホの片割れです。
自分の方も三年開けて投稿したと思ったら半年失踪してる愚か者ですが、なぜかパラドくんの作品を手伝っています。
さて、前話ではスーパーでバイトしてたとかぶっちゃけてましたが、四年を経て普通に就職したので時間無いはずなんですがね……
※あとがきのあとがき(投稿から二日後に書いた)
すいません。僕が四年前に書いてた修正案(一部のみ)が発掘されました。そちらの方が既存なものより圧倒的に良い文章(自画自賛)なので、上書きする形で修正しました。
──というわけでパラド君、あとで体育館裏な?