インフィニット・ストラトス 書き換えられる原作、狂い始めるストーリー 作:嘘つき魔神
(い、居心地が悪い‥‥‥!)
織斑一夏(おりむらいちか)。『世界最強(ぶりゅんひるで)』にして、『ビッグ7(びっぐせぶん)』が一人、織斑千冬(おりむらちふゆ)の弟であり、世界初の男性IS(インフィニット・ストラトス)操縦者である。そんな彼は、恐らく貧乏性と倹約家故に、生涯乗ることはなかっただろう高級車に乗っていた。その周りに装甲車まで走っている、これは、彼が行く先を考えても異様なことであった。
女尊男卑。これは、ついさっき言ったISがもたらしたものである。ISは、女性にしか動かせない。故に、ISに乗れる女性は偉い。この考えは、瞬く間に広がっていき、世界に歪みを作った。件の一夏も、これによってひどい目に遭ったことがある。
そして、もうひとつ言うなら、ISは兵器でもある。それも、現行兵器のほとんどがISに劣るほど、強力な。これを証明したのは、『白騎士(しろきし)』と呼ばれるISだった。これについては、後々話そう。
さて、一夏が向かう、というか、向かわされているのは、IS学園である。
IS学園。兵器とされるISを正しく運用するための技術と心構えを学ぶ場所である。しかし、実態は、多国籍のIS乗りを集め、そのデータを収集する施設でもある。そして、IS学園は、IS学園そのものが国であると言える。何故なら、IS学園は、各国の治外法権。ここで起こったことはIS学園のルールで裁く。故に、IS学園は一つの国とも言える。そして、早い話、女子高でもある。女子高でもある。大事なことだから2回言う。そう、一夏はそこにぶちこまれようとしているのだ。アワレ。
「あ、あのー‥‥‥」
「はい、どうしました?」
一夏が声をかけた運転手、彼女は、山田真耶(やまだまや)、元とはいえ、日本代表候補生である。彼女は、実力もあるし、親しみやすい雰囲気なので、今回の護送にぴったりだろうと選出されたのである。
「‥‥‥やっぱり、IS学園に行かなきゃ、モルモットとかになるんですかね‥‥‥?」
「‥‥‥そうなる可能性は高いと思いますよ?」
うへぇと一夏は頭を抱える。そもそも、ISは、女性にしか動かせないというのが常識の中、何故一夏がIS学園に向かうことになっているのか?
早い話が一夏の迷子である。一夏は、藍越学園に進学しようと考えており、一夏が世界初男性操縦者だと発覚した日は、藍越学園の受験日だったのが、慣れない町で迷ったのか、間違ってIS学園の受験会場に来てしまい、そこでうっかりISの部屋に入ってしまい、誰かに怒られた拍子にISに触れてしまい、起動してしまった‥‥‥なるたけ簡潔にまとめるとこうなる。
ISは女性にしか動かせない。この常識を覆した存在は、もちろん注目された。家にマスゴミが押し掛け、男体の神秘研究所とやらから電話が来たり‥‥‥なんてことはない、動かしてしまったその日に身柄は保護されたのだ。一夏は、世界にとって動かしづらい存在になった。ISがどうしたら男性に動かせるようになるか調べたいものからは喉から手が出るほど欲しいだろうし、逆に、今の世界をよく思っているものには、目の上のたんこぶと言える。
「はぁ‥‥‥」
誰かが、ため息をつくと幸せが逃げると言ったが、それでもつかずにはいられない。あの時ISがある部屋に入った自分を殴りたい。お陰で藍越学園入学への道もパァである。
(‥‥‥ISの授業‥‥‥着いていけるかな‥‥‥)
IS学園は入試制でもある、なので、多くの生徒はほとんどがISの基礎知識を持って入学する、ついでに、偏差値もかなり高い。将来のことを考えても、特に不自由はないが、一夏はそれより、ISの授業に着いていけるかが心配であった。しかし、一夏は首を振ってその考えを打ち消す。
(着いていけるかじゃない、着いていかなくちゃな‥‥‥!それに、師匠が言ってた。『やる前から諦めるな、やる前から諦めるのなら生きることをやめろ』ってな!)
決意をし、一つ目標を立てた。IS学園は高い偏差値とISへの理解が必要になる、その鬼門を潜り抜けた生徒たちが、偶然ISを動かしただけの生徒を認めるだろうか?認めるものもいるだろうが、認めないものもいるだろう。だからこそ‥‥‥
(『偶然ISを動かしただけの男』‥‥‥そう思われないよう頑張らなくちゃな!)
こうして、織斑一夏は一人、決意を改めるのであった‥‥‥なお、その時一人でガッツポーズをしていたので、山田先生に変な人なのかなと思われたようである。
織斑語録こと、師匠語録。これから先一夏がめっちゃ言います。
今回の師匠語録
・『やる前から諦めるな、やる前から諦めるのなら生きることをやめろ』