本当に好きすぎると、却って年長者って配慮が回る分大変よね~~っていうのと、ロビーをどう考えても「過保護に溺愛してる」であろうイック。更には、まだ「未成年で子供」なので無自覚なハッチが今後どうなるか?などと、いろいろですが、ともあれ、桜さん!書いたよ! 続き!!(相方に、続きをねだられ、がんばった! 他にも読者の方いるといいなあ・・・)
月の明るい夜だった。
「な~~~~~ハッチよぉ・・・・」
ナガヤボイジャーで留守番中のイックは、夜空を見上げてため息をつく。
「ロビーの奴、どうしちまったんだか・・・」
呟けど、通信回路を開いているわけでない以上、それはただ空しく消えるのみ。
「お前と一緒にいた頃は、あんなにヤンから逃げ回ってたっつーのにな」
月の王国ルナランド。
共にイセカンダルまで旅したロビーの相棒は、今はまた「王子」として月の王宮に戻っている。
「それに、お前がいたら・・・」
ルナランドの次期国王として堅苦しい生活ばかりだったそこから、生まれて初めて飛び出した「家出」の旅。
イセカンダルへの旅は、ハッチの初めての『家出旅行』でもあった。
そして、王宮に閉じ込められていた生活しか知らなかったハッチは、見るもの聞くもの全てに目を輝かせ、喜びはしゃいでいて。
そんな子供相手に、なんだかんだとロビーは付き合いよろしく良く面倒を見ていたものだった。
「やっぱ・・・お前がいないからかな・・・」
旅の相棒がいない。その代わりなのだろうか?イックは自問自答する。
「でなきゃな・・・。なんで、ヤンと遊びにこうも出かけまくるんだか」
かつて逃げていたのは「ヤンに捕まったら、借金の返済のために腎臓とか取られる!」と思っていたからであり、その借金について完済済みの現在において「逃げる必要がない」のは確かである。
だが、「逃げる必要がない」ことと「自ら誘って、共に遊びに出かける仲になる」のとは、あまりに異なる。
「ロビーの奴・・・」
ハッチがいなくて、寂しいのかもなあ・・・。
王子の務めがあるのだから、旅の時のように「毎日一緒に笑って怒って喧嘩しては仲直りして」などという日常を、今のハッチに求めるのは無理である。
だが、あっちの星、こっちの星と、各所の宿場プラネッツに行っては珍しいものを見たり体験したり食してみたりという「あのイセカンダルへの旅」を体験してしまうと、いつの間にかイックもまた「ハッチがいない」ことにふとした寂しさを感じたりするのだ。
「ず~~っと、俺様とロビーだけで暮らしてたナガヤボイジャーだったのにな・・・」
なのに、無意識に少年期特有の良く通る高い声と軽快な足音に、ロボットである自分でさえ、今もそれが聞こえるかのような感覚に捕らわれては、その「勘違い」に唖然としてしまう。
ならば、人間のロビーは、もっと寂しく思っても仕方がないだろう。
「でもな。だからって、ヤンを遊びに誘わなくてもなあ・・・」
寂しいのを紛らわすためなら、大好きな「キャバクラ」通いでいいじゃないか?
「詐欺にさえ引っかからなきゃ・・・」
それなりに遊ぶ金はあるし、少しぐらいなら「封鎖している管理口座」からロビーに遊び金を出してやってもいいとすら、イックは思っているのだ。
なのに、ヤンとの付き合いには恐ろしく「金がかからない」。
そのせいで、イックはロビーの今の行動については、金銭面で止めることができない。つまりは、どうにもコントロールしようがないのである。
そして、ハッチはと言えば、二度目の家出旅行の後は、更に、抜け出すのが厳しくなったのだろうか。
最近では連絡すら、ままならない有様である。
もちろん、「本気で」ハッチと連絡を取ろうと思うのなら、月の初代王かつ自身の最初の所有者だったハッチの祖父から与えられている特殊コードで、実はイックならば何とでも出来る。だが、
「あいつは・・・」
将来、月の国王になる身の上だしな。
国王とは民の僕である。名誉も地位も財産もあろうとも、その反面、不自由さも比類ない。
それがロイヤルというもののノブレス・オブリージュ・・・高貴なる者の義務というものだ。
だから今もきっと、あのやんちゃな子供は、己の才能をある意味で封印しつつ、きっといろいろと自由にならないことに耐えているのだろう。そこに、自分が更に心配をかけるようなことを伝えるべきではない。
「それは、分かっちゃいるんだが・・・」
それでも月に向かっての一人語りは止められない。
そうしていないと、ロビーのことが心配で心配で、どうしても心配で、いたたまれなくなってしまうから。
そうやって、己をなんとか制御している日々だった。
だが、そんなイックの心も知らず。
夜も更けた静かなナガヤボイジャー内。
そのリビングに設置されている固定電話から、突如、けたたましいコール音が鳴り響いた。
り~~ん、り~~~~ん、り~~~ん
「へ???」
ロビーはいねえぞ? なんだよ? こんな時間に・・・
そうは思いつつも、そもそもロビーは未だスマブレの決済機能のみならず、通信機能も停止させられているのだから、何らかの連絡を誰かが取ろうとしたら、このナガヤボイジャーの固定電話にかけてくるしかない。
『それでも、この番号を知ってる奴は、そうはいないはずなんだが・・・』
訝しみつつ、それでもサポートロボットの務めとして、イックは素早く受話器を取る。
「はい」
「あ、イック?」
俺~~~、あのさあ~~~
能天気ないつものロビーの声。
だが、イックの方は、逆に何事かと、却って慌てふためいてしまう。
「はい、え? おいっ!? ロビーっ!?」
お前、何なんだよっ! どうした!?
主からの電話に、何事かとウサギ型サポートロボットは、思わず相手が何か言うよりも先にまくしたてる。
「金がなくなったのか!? 帰りのタクシー代がないとかか!?」
そんなことなら、ちゃんと用意してやるからっ!
「それとも、ナガヤボイジャーで迎えに行くか?」
それなら今すぐ・・・・
言いながら既に、ナガヤボイジャーの発進操作を始めようとしているイックの耳に飛び込んで来た言葉こそ、長年のロビーとの付き合いの中で、機能停止寸前まで追いつめる爆弾レベルのものだった。
「ごめん、イック・・・俺、ちょっと帰れそうにないから・・・」
「はあっ!?」
今、なんつった? 「帰れそうにない」・・・だと?
瞬間、ウサギ型サポートロボットの耳が、ぴんと跳ね上がり毒舌は瞬間的に溢れかえる。
「ばかやろっ! 何言ってやがんだ!」
帰れそうにない? んな、ことあるかよ! この馬鹿がっ!
「俺様が迎えに行ってやるから!」
だが、焦るイックに対して、更に、主の困ったような声は続く。
「いや、つかさ・・・ちょっと・・・試してえことがあって・・・」
時間かかりそうなんだわ。
「はあああああああっ!?!?!?!」
何を試すんだよ! 何考えてんだよ!
「馬鹿か! お前はっ!」
事情は知らねえが、んなもん明日にしろ、明日だ!
「毎日、ちゃんと帰る! それが、お前が家出してから今日までの約束だろうが!」
「だから・・・こうして連絡してんじゃねえか・・・」
でないと「無断外泊」になって、お前との約束を破ることになるだろ?
無断外泊・・・・・・・・・・・・・
瞬間、イックの頭はショート寸前まで真っ白になった。
ショートしなかったのは、ひとえに、ヨッカマルシェの性能の確かさと、それを更に改造したハッチの祖父の天才的な手腕のお陰だろう。
無断外泊、無断外泊、無断・・・外泊・・・・????
「お~~い、イック??」
聞いてるか~~? とのロビーの声がやけに遠くに聞こえる。
音声受信センサーの一部が壊れたか? それとも、俺の耳は、ついに幻聴まで聴くほど変にバージョンアップされちまったのか??
支離滅裂な思考に陥るウサギ型サポートロボットの状態など露知らず、主は、そのまま困ったように言葉を続ける。
「えと、な?」
俺が朝まで帰らなかったら、お前、心配するだろう? でもな?
「俺、ヤンと一緒だから」
心配しなくても、一人じゃねえからな! じゃっ!
がちゃんっ!
つー、つー、つー、つー・・・・・・・・・・
一方的に切られた電話は、通信が途絶したことを示す音だけが響くのみ。
今度こそ、チャームポイントの耳の赤色まで蒼白で消えそうな状態に陥ったイックは、受話器を握りしめたまま、しばし呆然と立ちすくんでいた。
無断外泊? 朝まで帰らない? そして・・・
「ヤンと一緒・・・だと・・・・・?」
それらが一体何を意味するか。
「ダメだロビーっ!!!!」
向こうには聞こえていないと分かっていて、イックは叫び続ける。
「早まるなっ! 俺が、俺が助けてやるからっ!」
ちっくしょおおおおおおおっ! あのスケベ野郎っ! ついに本性出しやがったなっ!
「俺様のロビーに手ぇ出しやがったら・・・・」
嫌だ! そんなこと、考えるのも御免こうむるっ!
「俺が! 俺が助けてやるから! ロビーっ!!!!」
そのままイックは、月への緊急コールを発動した。
「ハッチっ! てめ、まだ寝てねえよな! 寝てても起きろっ! いいから、起きやがれっ!」
コールと同時に展開するナガヤボイジャーのメインパネルの向こうでは、王子姿のハッチが、突然のコールに緊張した面持ちで映っている。
「イック。大丈夫。寝てもないし、寝ぼけてもいない。そんなことより・・・」
何があったの?
「まさか・・・ロビーに何か・・・」
それ以外にイックが、ハッチが現在どんな状況かを考えもせずに、こんな緊急コールコードを使うはずがない。
そんなハッチに対し、イックは、大きな赤い瞳を涙で潤ませ懇願する。
「すまねえっ! 俺様がついていながら・・・」
「だからっ! どうしたんだよ!」
ちょっと、待って・・・今、防音強化するから!
かたかたかた・・・と、軽い音と共に、あちこちのシャッターが閉ざされる音がする。
おそらくハッチが、自室のセキュリティーを最大に設定したのだろう。
しん・・・と静まった月の王宮の王子の部屋のスクリーンには、がっくりと両耳が垂れ下がった愛らしい姿のウサギ型サポートロボットの姿が映る。
「さあ、イック・・・」
どうしたんだよ?
話かけながら、既に王子の装束から、旅支度へと準備しているハッチに対し、イックはロボットには本来ありえない涙で震える声と共に、深く深く頭を下げ・・いや、自分の頭をパネルにがんがんとぶつけながら叫んでいた。
「ロビーを・・・! 助けてくれ!」
あいつが、早まったことをする前にっ!
「でねえと・・・取り返しがつかねえことに・・・・」
だから、その前にっ!!!
「分かった! あ、じいや? ああ、明日からのスケジュールは全部『王子急病』でも何でもいいから、キャンセルにしておいて。 え? 理由? そんなもの、どうでもいいだろう? ロビーのことなんだからっ!」
王子らしく強権発動して、相手を黙らせるとハッチの身支度は極めて早かった。
「イック! 今から、オレの高速船でそっちへ行くから!」
状況については、随時、説明とデータを送って!
「ハッチ・・・」
うるうると目を潤ませるウサギのサポートロボットに対して、ハッチは十代とは思えぬ毅然とした態度でこれに答える。
「ロビーは、オレの・・・オレの大事な・・・・・一番大事な相棒だよ! 半身だよ!」
絶対に助けだそう!
「イック! オレと・・・イックなら、出来るよ! 絶対にっ!」
「・・・・頼む・・・・」
「大丈夫! オレは・・・このロビーから貰ったアカフクリスタルに誓って・・・!」
きらきらと七色に輝く希少石。イセカンダルの旅で、ロビーが見つけてハッチにくれた「幸運をもたらす」というアカフクリスタルの原石を握りしめ、ハッチは、王子専用機に飛び乗り、ルナガードの制止を振り切り、地球へと飛び出した。
「ロビーは、オレの味気ない人生を変えてくれたんだ。今度は、オレが・・・」
ロビーを不幸から守ってみせる!
そのハッチの誓いが効を奏したと言えるのかどうか。
結末からすると、確かに、ロビーは「不幸」にはならなかった。
だが、ハッチとイックにとっては、この時からがまさに「ロビーの不幸」との戦いが始まろうとは・・・
まさか、誰も。当然、ロビー自身もまた、知る由もないことであった。
不運を引くなら、天下一。想定外が通常運行。それこそがロビーの宿命。
厄落としにと行ったイセカンダル行きも、ロビーの人生には、果たしてどうであったのやら。
一つだけ言えるのは、禍福はあざなえる縄の如し。
そしてまた、「幸不幸」は所詮、「本人がどう感じるか」だけの問題だったのだということ。
そして、それらについて後々・・・
イックとハッチが嫌というほど打ちのめされるということだけであった。
★★★
地球が銀河連邦に所属し、テクノロジーが如何に進化しようとも。
ネオ・トーキョーでの公共インフラの一つである「公衆電話」は、緊急時の連絡用などのため、個人用の携帯通信手段が発達した銀河歴であっても、どこにでも一つぐらいはある。
その一つ、昔ながらの「電話ボックス」からロビーは出てきた。
「待たせたか?」
「いや」
上背のある金髪に金色の瞳の男に対して、赤毛に近い明るい茶色の髪の頭をかきむしりつつ、少しばかり照れたようにロビーは言う。
「昔からの約束なんだ」
曰く、幼少期に「倉庫代わり」となっていたナガヤボイジャーの探検をしていて、偶然見つけたウサギ型のロボットを見つけて電源を入れたその時から、イックには色々と頭が上がらないのだと。
「特に・・・俺、十代の時に、親と合わないってんで家出してさ・・・」
以後、イックのお陰で生きてきたようなものなので、どこかに出かける時は、必ず行先は伝えること。そして、無断外泊は絶対にしないこと。この二つは絶対厳守事項なのだと。
「でも、これでイックにはちゃんと言ったし!」
にっと笑う顔が、月明かりにヤンの目には眩しい。
『ああ・・・これから・・・』
我々は・・・遠い宇宙の奇跡的な出会いを経てついに・・・
と、感慨に耽りそうなヤンのロマンちっくな乙女思考を、だが、一気にぶち壊したのもまた、この無邪気な想い人であった。
「でさ、『試す』んなら、安いトコがいいだろ?」
は・・・・・・・・・・・・・・・・?
『何を・・・だ?』
己の聴覚を疑うよりも先に、ロビーがあっけらかんと公園を出た先を指差したのは、明るく輝くネオン街。
「あっちにさ、すっげー安いトコあるんだよ。ラブホ!」
ご休憩なら二時間で・・・えっと・・・
「ええと! 悪いっ! とにかく、俺の手持ちの現金で払えるぐらいの金額だったから!」
そこで試さねえか?
がらがらがら・・・・・・
この広い大宇宙で出会えた奇跡から噛み締めていたヤンにとって、それがどれほどの破壊力だったかは、想像するだに気の毒としか言いようがない。
なので、この件についてだけは、ヤンは終生他人には言わなかった。
『そもそもだ!』
やっと、やっとだぞ!
イセカンダルへの旅では、追って追って追いかけて、ついに捕まらずに逃げられた挙句に、想い人は地球の救世主、銀河の英雄となってしまい、一度は諦めかけた恋路だった。
それが、勘違いもあったとは言え、ロビーとハッチの二度目の旅を追いかけて、イズモンダルで決死の告白をした甲斐があって、やっと「友達」にして貰い・・・・その「友達」以上の関係にとなったばかりだというのにだ!
あんなに甘いキスを交わして! あんな風にしどけなく私に身体を預けて!
なのに、その「先」は? と、問いかけた挙句に、何故、ラブホテルのような安宿を指名するのだ、ロビー!
「え? 悪い・・・流石に、公園で試す度胸は俺なくて・・・」
くらくらくら・・・・
もっと悪いわ。私に、そんな露出狂の趣味はないっ! 断じてないぞ! ロビーっ!
「馬鹿者っ!」
思わず一喝したヤンを誰が責めることができようか。
「へ?」
でも、一番安いとこ探せば、上手くすれば「ご休憩」価格で終わるし・・・
「お得じゃねえ?」
『これだから・・・・! これだから、ロビー! お前は天使か、それとも小悪魔かっ!』
だが、頭を抱えるヤンにの態度に、困ったような風情のロビーは至極真面目そうな面持ちである。
『ということは・・・』
本当に・・・分かって・・・いない・・・のか?
なんとなく、まっとうなキス自体が初めてだったということから、ひょっとして・・・との思いはあった。
だが、これは・・・・
「ロビーお前・・・今まで、風俗の経験は?」
「あるわけねえだろ?」
あっけらかんとした答え。
「イックが『性病にかかるようなトコは行くな』って昔から言ってたし」
それに、ラブ子ちゃんがいたからな。
「ラブ子ちゃん????」
またも意味不明な単語に、ああ、とロビーはこれまたあっさりと説明する。
「俺の青春のラブ・ドール。性の目覚めって奴で困ってた頃に、イックがくれた奴でさ」
散々お世話になってたんだけどなあ。
遠い目をするロビーは、愛おしそうに・・・だが、ちょっと切なそうに思い出を語る。
「前のナガヤボイジャーが、アウタースペースの侵略者の兵器に突っ込んじまった時、一緒に木端微塵になっちまった」
ま、俺も、ここんとこ十年はお世話になってなくて、どこにしまったのかも忘れてたんだけどな。
「ハッチがたまたまイセカンダルの旅の途中で見つけてくれて・・・。懐かしかったなあ・・・」
ラブ子ちゃん・・・成仏してくれよ? 来世もまた、どっかで会おうな!
本気で言っているらしいロビーの様子からは、ヤンをからかっているとはとても思えない。
思えないが・・・思えないのだがっ!
『これで本当に三十路なのか!? 今まで、一人で生きてきたというのか!?』
どうやって・・・どうすれば、ここまで『箱入り娘』のようなことになるのだ!
だが、そこは気を取り直し・・・いや、精一杯年長者としての正気を保ちつつ、ヤンは言葉を選びつつ『この見た目に反して、実は???』な疑惑の箱入り(?)ロビーに提案した。
「私としては、お前が私と『友人』なのかどうかを試したいということについて、誠実に対応したいのだ。だから、粗末な安宿は御免こうむる」
「・・・あ、そっか・・・あんた金持ちだもんなあ」
勘違いされてる気はするが、もう、それはどうでもいい。
「安い方がお前が気楽でいいという問題というなら、私のホテルがある。そこなら、私にとっては自宅も同じだ。金銭は一切かからない」
それではどうだ? とのヤンからの提示に、あっそ? そうなのか? と、これまた気楽な答えが返る。
「ああ。あんたに『お願い』するのは俺だからさ。金は俺が出すべきかな、と思ったんだけど」
あんたに経済的負担がかからねえなら、それでもいいや。
「でも、それ・・・客に貸した方が、儲かるんじゃねえのか?」
機会損失大丈夫か?
『どうでもいいわ! そんなことっ!!!』
叫びだしそうになる自分を抑え、必死に冷静さを保ちながらヤンはロビーへの説得を続けた。
「・・・自宅も同じと言っただろうが・・・」
普段から、何かのために常に、客を入れずにしてある部屋があるのだという説明に、ようやくロビーも納得してくれたようだった。
「そうか。あ、確かに、宿屋って「満室」とか言っても実は、VIP用の部屋が残してあったりするもんな」
でねえと、いざって時に、ダブルブッキングとかでトラブルが起きて信用ガタ落ちになるのを防げないからとかなんとか。
「そんな感じか?」
「そういうようなものだと思ってくれていい」
「じゃ、任せる!」
言うなりロビーは、ひらりと軽く身をひるがえし、ヤンが目をやった時には既に、公園脇の通りに差し掛かった「空車」マークのタクシーに手を振っている。
『慣れているのか? いや、しかし・・・?』
またしても混乱しそうになるが、「こっちこっち」と呼ぶロビーに手招きされれば応じるのみである。
「無人タクシーだから、場所の入力とかは任せていいか?」
「当たり前だろうが・・・」
一定時間巡回しているエアタクシーは、音もなく静かに、かつ、安全に乗客を運ぶのでネオ・トーキョーでは観光客も含め大層皆、便利に使っている。
だが、入力時に、僅かに自分の手が震えることまで止めることは、流石のヤンもできなかった。
「オキャクサマ?」
合成音の無機質な声に、はっとして、慌ててミスに気づいて入力しなおすなど、何と言う体たらくだ! この私が! このヤンがだ!
そんな自分に狼狽しながら、それでも、ロビーは当たり前のようにタクシーに乗り込み、ヤンにと身体を預ける。
「・・・手間かけてごめんな・・・」
そんな一言で、またしてもヤンの脳髄に一撃を食らわしていることに、気づくことさえないままに。
そうこうする間もなく、ヤンズ・ファイナンス・ホールディングスの傘下の持ち株会社の一つであるホテルチェーンの中でも最高級の名も高い有名なトップブランドのホテルにつくと、流石に、ロビーも驚いたようだった。
まあ、驚いたポイントが「これが、タダなのか? マジかよ~~~~」と言う点が、らしすぎて少々涙が出そうになったが、とにもかくにも、フロントにはいつもの「最上階のロイヤルスイート」を使う旨だけ告げて、そのまま直通エレベーターで目的の部屋までロビーを誘う。
きらきらとした夜景が売りのこのホテルの景観は、やはり、それだけでロビーもまた驚いたようで、目を見張って、窓へと駆け寄り、眼下を見下ろす。
「すっげ~~~・・・・」
懐かしの東京タワーまで見えるじゃん! 海も!
はしゃぐ様に、『これから』のことは、ちゃんと分かっているのか一抹の不安を覚えたヤンであったが、それは次の瞬間に、別の意味で霧散する。
「で・・・風呂は、どうする?」
どうやら、一応、これから何をするのか理解してくれてはいるらしい。・・・良かった・・・。
だが、そうだな、と一呼吸置いて、ヤンはそっとまずロビーの身体を抱きしめた。
「・・・いいのだな?」
「良いも何も・・・」
困惑したような様子が愛しくて。だが、何かの勘違いでの暴行に及ぶことがないよう、思わず慎重になってしまうのは経験豊富な年配者故の性とも言えた。
「こうした時はな・・・まず・・・」
そっと、頬に手を触れ、公園での時と同じように唇を重ねる。
「・・・ん・・・・・」
これで三度目。ほんの少しだけ、要領を得たのか、さっきより更に深くロビーの方から舌を懸命に絡めてくる。
「へへ・・・」
これ気持ちイイな・・・。
潤んだ瞳で、上目使いでそんなことを言われて、そのまま押し倒さなかった己の理性を褒め称えたい。
必死に自分の中の野獣を抑え込み、ヤンは務めて優しくロビーに言う。
「無理はしなくていいからな」
「なんだ・・・気を使ってたのかよ」
俺、女じゃねえんだから別に、んな気を回さなくても。
ぷうっとむくれる様すら可愛いのだが、それでも、ここで失敗したらどんなことになるか、考えたくもない。
絶対に失敗できないのだ。何があろうともだ!
その信念だけで、ヤンは己の理性を必死にかき集めて、ロビーに囁く。
「この部屋は、複数人が一度に宿泊できるように浴室も複数ある。だから、好きなところを使うといい」
「へえ? そうなのか。うん。分かった。じゃあ、俺が先に選んで好きなとこ使ってる間に、あんたも風呂に浸かれるんだな?」
「そういうことだ。だから、気にするな」
「分かった。じゃあ・・・」
風呂から出たら・・・。
ぐるっと、窓際から顔をめぐらしたロビーが、スイートルームの中でも一際大きな主寝室を目線で示して小首をかしげる。
「あのおっきなベッドの上で、再会・・・? ってか、合流? っての?」
でいいか?
ああ、もうどこまでが本気で、どこまでが無邪気で、どこまでが・・・・っ!
いや、一々考えていては切りがない。とにかく、そうだ、とヤンは頷く。
「私の方が恐らく早く風呂から上がっていると思うが・・・」
嫌でなければ、その後、私の元へ来るといいと言えば、「今更、敵前逃亡はしねえよ」と笑われる。
「俺だって、緊張してねえわけじゃねえけど」
言いつつ、そっと、今度はロビーから唇が重ねられる。
「あんたとするキス・・・すごくイイ。だから・・・その先も、『俺』が知りたいんだ」
頼むな! あんたこそ、俺を置いて逃げるなよっ!
「俺、こんなバカ高そうなホテル代、絶対払えねえからなっ!」
言い置いて、するりとバスルームへと駆けていく後ろ姿。
『もうこれが・・・』
今生の見納めかもしれない。
『だが、それでも・・・』
そっと己の両手を見る。
この腕に抱きしめた感触が、まだ残っている。
温かくて、弾力があるしなやかなロビーの肢体が・・・そして、私は彼を抱きしめ口づけを交わしたのだ。
『それだけでも・・・もう、十分だ・・・』
友達以上、恋人未満だったとか、あるいは、やっぱりやめたと言われたとしても、それでもいい。
今夜の思い出だけで生きていける。
本気でヤンは、そう思っていたのである。
そう、この時までは。
未来予測などできるはずもなく。
ちなみに、その頃、月の王国ルナランドから急行したハッチはイックと合流して、ロビーの居所の探索に目を血走らせている真っ最中であった。
「イック! そもそも、イックのサポートロボット機能で、ロビーの居所が分からないって!」
「そうなんだ、ハッチ!!!」
わっ! と、赤い瞳のウサギは、もう、大泣きである。
「こんなこと、一度だってなかったんだ! 何があったって! ロビーは俺様の「マスター」に登録されてるんだ! スマブレが壊れたって、停止してたって、んなこた関係ねえっ! 本人とサポートロボットとのマスター契約機能で、俺様には常にロビーの位置がわかる筈なんだ! なのにっ!」
「でも・・・イックが探知してるのは、やっぱり、衛星を使って・・・だよね? なら、衛星からの探知が及ばないような場所にいたら?」
「んなとこ! 磁気嵐の惑星ならまだしもっ! こんな地球でんなことあるかよっ! 俺様は、ヨッカマルシェ産なんだぞ! ヨッカマルシェの技術を甘く見るな!」
「違うよ、イック! イックの能力を疑っているんじゃない。ただ、イックのそのマスター探知機能の本質から考えて・・・『分からない場所』っていうのを逆に絞れるんじゃないかと思ったんだよ」
「・・・分からない場所を絞る?」
「そう。過去のデータから全部洗って! そしたら・・・」
「あっ!」
はっとしたように、ウサギの赤い瞳が見開かれる。
「そうか! 直前までのロビーのデータと・・・」
「ロビーの位置が分からなくなった頃のイックのデータと合わせて・・・」
その後は・・・ローラー作戦だよ!
「イックが探知できない可能性のある場所を! 地球外も含めて考える! 生体反応まではイックが把握しているんだから、生きてはいるはず! だから、助けよう! 必ず!」
「ハッチ・・・・」
月の王子にして、天才科学者の孫として自身も極めて優秀な頭脳を持つ少年の言葉に、イックもまた頷く。
「俺様と・・・ハッチの能力を、フルに使えば・・・」
「出来ないことなんかないっ! ロビーは・・・オレたちには、何よりもかけがえのない存在なんだからっ!」
「おうっ!」
だが、この優秀な頭脳と演算能力を持つハッチとイックの2人をしても、想定外だったのは、ヤン自身が「常に暗殺者から狙われる危険」からの回避のために、自身の周囲にジャミング周波を張り巡らせていたこと。
そして、その至近距離にいる者は、そのジャミングに巻き込まれて、あたかも姿が消えたかのようになってしまうこと。
いや、何よりも、そんなヤンの『至近距離にロビーがいる』ということ。
それ自体を、2人は考えていなかったのである。
密着しているなどとは、考えたくなかったからという・・・後から考えれば、あまりに簡単すぎる落とし穴に、2人は落ちていたのだった。
だが、そんなことは気づかず、とにかく膨大なデータのうち、イックが「探知できない」エリアを、ハッチとイックは懸命に絞り込みをかけていいたのである。
ロビーの無事を、ただただ、虹色に輝くアカフクリスタルに祈りながら。
イセカンダルへの旅の証であり・・・かけがえのない大事な想いの象徴でもある奇跡の宝石に願いを込め、不眠不休でナガヤボイジャーとハッチが持ち込んだルナランドの最新型探知機をフル稼働して。
本当に必死に探索していたのである。
ロビーのためにと、固く信じて。
しかしながら、幼い頃から苦楽を共にしてきたサポートロボットと、これまた、イセカンダルまでの長い旅路を共に過ごした相棒と。
彼らが徹夜で必死に頑張っていることなど、神ならぬロビーがどうして知ることができただろう。
知る由もない。
そんな当たり前のことを、地球も月も、何も語らずただ、宇宙の法則に従って回っていた。
遠く、近くに、互いに互いを照らしながら。
★★★
いつしか、月も天空の位置から少し移動し、真夜中近くを示していた折。
海沿いの超高級ホテル「テラ・メリディアン」の最上階のスイートルームの主寝室では、バスローブのみに身を包んだ男が2人。じっとただ、互いを抱きしめあっていた。
「ヤン・・・」
そっと顔を持ち上げ、幾度目かのキスをロビーがねだれば、重ねるごとに深まる愛の触れ合いを、どこまでも優しく包み込むようにヤンはゆっくりと繰り返す。
「・・・へへ・・・やっぱ・・・これ・・・気持ちイイ・・・」
互いの唇の間を伝う唾液を手の甲で拭いながら、潤んだ青い瞳でロビーは囁く。
「こんなの・・・初めてだ・・・・」
嬉しげに、何度も何度もと求められる幸せと、同時に襲い来る『その先』まで進めていいのか?の躊躇い。
その狭間で揺れるヤンは、だが、ついにそっと密着しているバスローブから見えるロビーの首筋へと舌を滑らせる。
「ぁ・・・」
嫌がるか? と思ったが、身体そのものは緊張で固くなったものの、決して離れようとはしない。それを『承諾』の意図と判断し、そうっとヤンはロビーの身体を抱きしめたままベッドの上へと横たわらせる。
「ロビー・・・愛している・・・」
「ばっ・・・」
愛の言葉だけで真っ赤になる愛しい人。
そのまま貪りたい衝動を、それでも、帯を解いたバスローブの下から現れた裸身に、一つ一つ、丹念に口づけることで、己の情欲を抑え込む。
「あ・・・それ・・・」
びくり、と震える身体は、だが、決して嫌がることなく素直にヤンの動きに反応する。
「ん・・・・、もっと・・・」
それどころか、ヤンの頭を自ら抱え込むように、もっともっととねだり始めるではないか。
「ヤン・・・頼む・・・俺・・・これ・・・気持ちイイ・・・から・・・」
しなやかな肢体は月明かりにどこまでも艶めかしい。
一体幾度、こんな夜を夢見たことだろう。
そして、それが己の単なる欲望による妄想だと打ちのめされてきただろう。
だが、今ここにあるのは本物の肉体で、そして、本当にヤンの想いに応えてくれているのだ。
「ヤン・・・もっと・・・なあ、もっと・・・あんたに・・・近づきたい・・・」
うっとりと囁く声は、どんな高級娼婦よりも官能的で、それだけで理性を放棄してしまいそうになる。
それでもかろうじて抑えたのは、無理な暴虐をしたくなかった。ただそれだけである。
夢で見たような・・・嫌がる彼を、歪む泣き顔に恍惚とする自分を・・・
そんな自分が『現実』でも現れることは、自分自身が、最も恐怖していたから。
だからこそ、ゆっくりと・・・ゆっくりとヤンは愛撫のみを続けた。
首筋から、胸元へ、そして、その下へと愛の痕跡を一つ一つ丹念に刻み付け、そうしながら、注意深くロビーの中心で震えているそこへと手を触れていく。
「・・・あぁ・・・・」
幾度かヤンが指で扱き、そして、屹立した己のそれと絡めて、二つの雄の証を一纏めにして絡ませると、柔らかかったロビーのそこから涙のように白濁した体液が染み出してくる。
「ん・・・気持ちイイ・・・あんたの手・・・・あんたの・・・それと・・・俺・・・のと・・一緒・・・」
うっとりと夢見るように、浅い吐息と共に、ヤンの手の中で若い性は弾け飛ぶ。
「へへ・・・」
きゅうと、ロビー自らも腕を伸ばして、困ったようなヤンの唇へと己の唇をそっと合わせる。
「なあ・・・こんなに俺ばっか・・・気持ち良くしてもらって・・・いいのかな?」
「いや、私も・・・」
お前の肌に触れているだけで、十分に・・・と言おうとしたのだが、そんなヤンの屹立したままの固いそこへ、ロビーの太腿が触れてくる。
「あんたも気持ち良くなる方法って・・・あるんだよな? 俺、ちゃんと知ってるからさ・・・」
「ロビー?」
あまりに無防備なので、もしや、男同士の性交の方法を知らないのでは? との己の危惧を見透かされたようで、思わず慌てるヤンに対して、くすくすとロビーは笑う。
「だって・・・あんた、ハママⅡで、俺の『尻』だの『ケツ』だの言って・・・俺の海パン、脱がせる寸前だったじゃん?」
あれって、俺の尻が目的だったってことだろ?
「俺さ、それも最初の頃はさ、意味分かってなくて。借金を俺の代わりにハッチが返済してくれた後まで、あんたが俺のこと追っかけてきたのも、単に、あんたは俺が借金を中々返済しないで逃げちまったから、それで頭に来てるからだと思い込んでてさ」
だから、俺・・・
「あんたは、俺の尻に、鉄の棒とか突っ込むつもりかとか、西洋の昔の拷問方法されるもんだと、思ってたんだ」
「・・・・な!」
あまりの誤解に思わず萎えかけるヤンのそれは、だが、気づけばロビーの手がそっとそこには添えられていた。
「違うぜ、だから『最初』って言っただろ?」
そうっと自らの手で、ヤンのそれをぎこちなく、だが、どこまでも優しく触れながらロビーは横たわったまま、その青い瞳をまっすぐに向けたまま、ゆっくりと語る。
「ハッチの二度目の家出に付き合って・・・イズモンダルまで旅してさ。あんた、俺とハッチが結婚するとか大誤解して・・・。でも、その誤解のお陰で、あんたに『嫌われてない』って分かってさ・・・」
でも、愛してるって、俺・・・良く分からなかったから・・・
「だから、返事できなくて・・・ごめんな」
「そんな・・・何を今更っ!」
ここまで来て、今、何を! まさか、ロビーお前は・・・単に私への贖罪のつもりで、その身を!?
一瞬にして、そんな思考で真っ白になるヤンの想いは・・・。
だが、ロビーは気づいていないのか、淡くどこか誘うように、夢見るような微笑みを浮かべて、言葉を続ける。
「あんたと『友達』になってさ。楽しかった・・・」
楽しかった? なぜ、過去形なのだ!?
「あんたとのキスも・・・嬉しかった・・・」
待て! それも過去形なのか!? ロビー! お前にとっては、もう『終わり』で『過ぎたこと』なのか!?
ここまで・・・ここまで触れ合って・・・
「ロビー・・・私はお前を・・・愛している・・・愛しているのだ!」
分かってくれ! 頼む!
万感の思いの叫びは、あまりの心の痛みに掠れた声にしかならなかった。
しかし、そんなヤンに予想外の返答が返る。
「うん。だから・・教えてくれないか?」
「・・・ロビー?」
訝しむヤンに対して、ごめん、とロビーは苦笑する。
「俺さ・・・鈍いみたいで・・・ここまであんたが気持ち良くしてくれてんのに・・・。なのに・・・まだ、愛してるっての・・・分からねえんだ・・・」
「・・・ならば・・・」
残念だが・・・ここまでにするか? とのヤンの問いは、ロビーからの唇で塞がれた。
しっとりと重ねられた唇は、もう、幾度も幾度も繰り返されたせいだろうか。まるで、一つの身体の一部の器官であるかのように、境界線さえもが曖昧な感覚に目が眩む。
「俺は・・・近づきたいんだよ。本当に」
そっと囁かれた声と共に、ヤンのそれに伸ばされた手。
「もっと・・・近づきたい。あんたのこれで・・・俺・・・あんたと一つになりたい・・・」
「ロビーっ!」
感極まって思わず抱きしめると同時に、己の雄が、猛り狂うのを止めることは最早できなかった。
「いいのか?」
それでも問う声に、うん、と小さく応えが返る。
「焼きゴテとか、鉄の棒とかじゃねえもん」
あんたともっと近くに・・・一つに・・・
「俺だって、なりてえんだよ。だから・・頼む」
そこまで言われて、どうして己を抑えていられようか。
「そうか・・・」
言いながら、ヤンはロビーの精液で既に濡れそぼった指先を、そっと、下へと滑らせ、固く閉ざしたそこに小さく触れる。
「痛かったり・・・嫌だったら・・・」
気を使うヤンに、ロビーは首を横に振って答える。
「あんたは、俺に気持ちいいことしかしない。分かってる」
この信頼。こんな信頼を無防備に! ああ、ロビーお前・・・自分が何を言っているのか分かっているのか!?
「私のような男を・・・信頼するとは・・・」
「なんでだ?」
逆に不思議そうに問いかけられる。
「友達になってから、あんた、俺が嫌がること何一つしやしなかったじゃないか」
いっつも俺は楽しくて、嬉しくて・・・
「だから・・・もっと・・・確かめたいんだ。この俺の感情を・・・ごめん、鈍くて」
「いや・・・」
ゆるゆると指先で少しずつ固い蕾をほぐしながら、そうっと、快楽を感じるそこを刺激するように指をゆっくり入れていく。
「ん・・・、やだ・・・」
びくり、と身をよじらせるので、痛かったか? と指を止めると、違う、と息も荒く返答してくる。
「気持ちいいんだ、けど、なんか・・・変、だったから・・・」
「そうか・・・痛くはないんだな?」
「あんたは、俺が痛がることはしねえって。俺がそう言ってるじゃねえか!」
なんだよ、悪徳金融会社の大ボス様の癖にさ!
くすくすと笑うところを見ると、少しずつだか、指の感触にも馴染んできたようだ。
「ならば・・・もう少し・・・我慢してくれ・・・」
ゆっくり、ゆっくり時間をかけ、指を一本、二本、と増やしていく。
その度に、びくびくとロビーのしなやかな肢体は跳ね上がり吐精したが、幾度萎れてもロビーの中心は、再び生気を取り戻して勃ち上がる。
「若いな・・・やはり・・・」
「そっか?」
もう三十路だけどなあ? でも、あんたが若いってなら、そうなんだろな。
「なあ・・・ヤン・・・」
幾度も射精したせいか、弛緩しつつある腕の力を懸命に振り絞り、ロビーは己の後ろをほぐす男の背へと手を回す。
「も、いいから・・・」
「だが・・・」
それでも躊躇するヤンに対し、ロビーの方が懇願する。
「これ以上、弄られてたら、俺・・・あんたと一つになるの分からなくなっちまう・・・」
もう、意識・・・これ以上・・・無理・・・
呂律が怪しくなってきているロビーに慌てて、思わず、しっかと抱きしめれば無意識にか意識的にか、自らの両足を絡めてくる。
「早く・・・・」
「分かった」
それでも、そっと・・・できるだけ痛むことがないように。快楽だけを感じられるように、そっと己のそれを挿入していくと、流石に、今までとは異なる質感に、苦痛に目の前の顔が歪むのが見て取れた。
「ロビー・・・もう少し・・・あと少しだから・・・」
無自覚に零している愛しい人の涙を舌で舐めれば、うん、と声にならない反応が頷きとなって返される。
「大丈夫。だから・・・もっと・・・な?」
「ああ・・・」
それでも、最後まで挿れるまでには、随分と時間がかかり、入った頃にはロビーはすっかり息が上がっていた。
「ロビー・・・大丈夫か? 少し・・・動くぞ?」
「ん・・・、大丈夫・・・つか、あ、ん、た・・がいる・・・」
ふわっと嬉しそうに微笑まれ、ついに、ヤンの最後の理性は決壊した。
「ロビーっ! 私の・・・・私のロビーっ!」
突如、腰ごと持ち上げられて奥まで突き入れられたのだから、堪らない。
「んっ! ぁっ! あ、あ、ぁ、っ! あ、あ、あ・・・んっ! んっ」
「駄目だ。もっとだ! 私の全部を受け止めてくれ! ロビーっ!」
「ぁ・・・・・、あ・・・・」
あまりの衝撃に焦点の合わなくなった青い瞳。その瞳に口づけを繰り返し、ヤンは囁く。
「私が居る。お前の中に・・・分かるか?」
「・・・・んっ・・・! す、げ・・・・ぁっ・・」
「私が嫌か? これが私だ。そんな私は・・・・お前は・・・!」
自分が何を口走っているのかの自覚もなく、我知らずの言葉に、何故か恋しい人はふわりと笑う。
「俺・・・あんたが好きだ・・」
「ロビー・・・!」
抱きしめ、密着したまま、より腰をもっともっとと奥へと進め、更には、前後左右へと揺さぶれば、官能のままにロビーの口の端からは唾液が零れる。
「へへ・・・。なんか・・・変。俺・・・おかしいの、かな?」
言いながらそれでも、ロビーの身体はヤンを離そうとしない。そして、ロビーの器官もまた、ヤンのそれを飲み込み離そうとしない。
「もっと・・・。もっと。な?」
甘い誘い。これに陥落しない男が、この宇宙にいようか!
「ああ、私の全てを・・・ロビー・・・!」
幾度目かの挿出の果てに、最奥へとヤンの精が濁流のようにほとばしる。
その刺激で、ロビーのそれもまた、もはや今日幾度目か? 数えきれない射精でヤンの腹を白く汚す。
「・・・・ああ・・・やっぱり・・・」
ふんわりとした微笑みを最後に、ロビーは呟く。
「あんた・・・・気持ちイイ・・・」
「ロビー? ロビーっ!?」
そのまま、すうっと気持ち良さげに意識を手離されてしまったヤンが困惑することなど露も知らずに。
★★★
月はすっかり沈み、いつしか、太陽が明るく地球を照らしていた。
「ああ・・・もう・・・朝なのか・・・」
だが、こんな幸せな朝が、あったろうか?
真っ白な新しいシーツの上で、身体を自分に預けて眠る愛しい人。
その身体は、いくら清めた後でも、いや、逆に風呂にて綺麗にした後だからこそ、情交の痕跡がくっきりと見える。
「ロビー・・・」
すやすやと眠っているその頬に、愛しくキスを落とせば、無意識にほんの小さく身じろぎする。
それが愛しくて。可愛くて。
一瞬でも目を離すのが惜しくて、夜の情交が終わった後も、ヤンは一睡もせずに、ずっと大切な宝物を抱くように愛しいロビーの裸身を傍らに見詰めていた。
「ロビー・・・」
だが、愛している・・・との囁きは、無遠慮なインターフォンによって妨げられた。
「どうした?」
音声の主が、ホテルフロントからと分かって、自分の邪魔などしないように教育しているはずの一流のフロントが何故? との問いに、フロントからは恐縮極まりないといった風情がありありの様子の声が響く。
「それが・・・実は・・・」
「ええい! いいから、そこにロビーはいるのかっ!」
「そうだよ! いるかどうかぐらい! 言わないなら警察に通報するよ!」
聞き覚えのあるサポートロボットと、少年王子の声。
はてさて、どうしたものか?
考え込むヤンの耳には、フロントでの騒動がまたも飛び込んでくる。
「いいかっ! もう証拠は挙がってるんだ!」
「そうだよ! ルナ・ガードも配置させてる! 国際問題にしたいわけ!?」
「い、いえ・・・・そういう・・・しかし・・・」
これ以上の対処は、フロントには酷だろう。
大企業の経営者として、これ以上、従業員を困らせるのは本意ではない。
そう結論づけたヤンの行動は早かった。
「構わん」
フロントへの音声通信をオンにして、一言告げる。
「しかし・・・あの・・・」
それでも戸惑うフロントに向け、鷹揚にヤンは言葉を続ける。
「私が構わんと言っているのだ。そこの2人を部屋まで案内してやれ」
「は、はいっ!・・・で、では・・・」
おろおろとしたフロントと、まだ揉めているらしいイックとハッチの声が聞こえたが、これ以上は無用と音声を切る。
と、ほぼ同時に、ドアを蹴り飛ばさんばかりの音が響いた。
「ゴルァアアッ!!! ロビーを返せ! 今すぐ返せ!」
どかっ! ばきっ!
「イック! いいよ、イックの手が壊れるよ!」
「俺様はヨッカマルシェ産だ! こんなドアくれえっ!」
「それよりオレのレーザー銃で溶かした方が早いってば!」
「おっ! そうか! すげえな。ルナ・ガードの連中からパクってきたのか!?」
「まあ、そんなとこ。っていうか、開けないと本当に、ここ壊すよ!」
どかばき、どかばき・・・
「まったく・・・君らは・・・」
呆れたようにローブ一枚羽織ったままで、ヤンが扉を開ければ、目を血走らせた少年とウサギ型サポートロボットは、一気に部屋へとなだれこむ。
「ロビー! ロビーは無事!?」
「ロビー! 助けに来た・・・あ、あ、あ、・・・・・ロビーっ!!!!!」
主寝室へ突っ込んだイックは、上半身に痕跡だらけの主の姿に、へなへなと崩れ落ちる。
「ロビー・・・俺様・・・間に合わなかった・・・のか?」
「君たち・・少しは静かにできないのかね?」
ロビーは疲れて眠っているのだ。邪魔しないで欲しいんだが。
そんなヤンの言葉に、ぎっとイックの殺気が迸る。
「俺様のロビーに・・・何しやがった・・・!」
「そう言われても・・・・少しは落ち着きたまえ・・」
「これが~~~~っ! 落ち着いていられるかっ! つか!」
だが、イックが噛みつくよりも先に、ふにゃ・・・と、ロビーが身じろぎする方が早かった。
「あれ? イック???」
俺、いつナガヤボイジャーに帰ったっけ???
寝ぼけ眼で言われれば、もう、ただ泣けてくる。
「ちげーよ! おめーが心配でっ! ハッチにも協力してもらって! 探したんだ!」
「・・・? 俺、泊まってくって・・・言ったよなあ???」
なんで、探して???
きょとんとしてるロビーに、何言ってやがる! とイックは猛然と吠えまくる。
「俺がいつ認めたよ! それも、ヤンと泊まるなんて! 俺様聞いてねえっ!」
「・・・言い方が悪かったかなあ? つかさ、それより、イック・・・俺、『初体験』てのついに経験したぜ!」
えへへ~~~一生、そういうのと縁がないかと思っちまってたけど、人生捨てたもんじゃねえな。
「・・・は?」
文字通り目が点になるイックに対して、幸せそうに枕に懐きながらロビーは言う。
「ヤン・・・優しくてさ・・・・嬉しかった・・・・」
これで、やっと脱童貞だぜ!
「この馬鹿・・・・」
「なんだよ? 三十路過ぎても、経験ゼロって結構みっともなくて内心、隠してるの恥ずかしかったんだぜ?」
「お前は、そんなもん一生経験なんかしなくって良かったんだよ! しかも、なんで男! なんでヤン!」
「そりゃあ・・・まあ・・・・」
だって、してくれるって言うから・・・・・
その言葉に唖然茫然となったのは、ハッチもだった。
「・・・えと? まさか? 同意で????」
「なんだ~~ハッチも一緒かよ~~~~」
へらへらと笑うところは、いつも通りのロビーだが・・・だが・・・色気が違う・・・全然違う!
『これ・・・何?』
一緒にイセカンダルに行った時、風呂がバッティングするとかで、互いの裸なんで見慣れていたはずなのに。
このむせ返るような・・・色香は・・・どういう・・・
茫然自失のイックとハッチの横を悠然と通り、逆に、ヤンはごく自然にロビーの傍らへと腰を下ろす。
「すまなかったな。もっと休ませてやりたかったのだが・・・」
「いいって。イックのサポート・ロボット権限での『主人面会権』と、ハッチの『ロイヤル特権』振りかざされたら、大抵のフロントは困るだろって。それに、俺、別に悪いことしてねーし」
その言葉に、ふるふると震えたイックは、次の瞬間
「この馬鹿ぁあああああっ! 馬鹿だ馬鹿だと思っちゃいたが! ここまで馬鹿とは思わなかった! お前! ヤンなんかに、純潔捧げてどーすんだよ! こいつが責任取ってくれるのか!? ああっ!」
今まで俺が守ってきたロビーの貞操がああああああっ!!!!!
泣くイックに対し、ロビーの答えは簡潔明瞭だった。
「いや、えっと? お前との約束は守ってるつもりなんだけどな?」
「嘘つけ! 俺様は、お前がガキの時から、ちゃんと言ったよな! 大人になって、性に興味が出ても、そういうコトは大事なことだから、本当に好きな相手とだけって! つまりは『結婚』してからにしろって!」
「いや・・だから・・・さ・・・」
ちょっと気恥ずかしそうにロビーは、ちょんちょんとヤンのローブの袖を引く。それで、ああ、そうだなと阿吽の呼吸で、ヤンが自分のスマブレを操作して映し出したそれは・・・
「え? ヤンの個人ID? って・・・既婚者・・・・」
「浮気かよっ!」
余計に怒り狂いかけるイックに対し、ハッチが『違う!』と、それを遮る。
「違うよ、イック! 配偶者が・・・ロビーになってる!!!」
「は???」
「だからさ~~~~・・・その・・・・」
「私たちは結婚届を提出済で、受理されているということだ」
「なんで~~~~~~~っ!?」
「うそだ・・・・・・・・・・」
ハッチとイックが、目を点にしたまま、しばし意識を失うほど茫然自失となり、そして我を取り戻したイックはというと、
「ロビーの・・・・大馬鹿野郎~~~~~~~~っ!」
泣き叫びながら、飛び出してしまったのであった。
「あ、イック! 待って!」
そんなイックを追いかけてハッチもまた、駆けて行ってしまったものだから、部屋はまた二人きり。
「イックの奴・・・なんで怒ってんだ?」
順序はともかく、ちゃんとこうして入籍してんのに・・・
「なあ? ヤン?」
「さあな」
素知らぬ顔で、目覚めたばかりの新妻に朝のキスを軽く贈る、
「まあ、説明は後からでもいいんじゃないか?」
「そうだな、イックが落ち着いてから・・てかさ・・・」
ひょいと、ロビーはヤンのローブの襟を自分へと引き寄せて、軽く自分からも口づける。
「俺、やっぱ、あんたとこうすんの好きだわ」
「光栄だ」
「でもさ・・・・」
ちょっとだけ考え込んでロビーは済まなさそうにヤンに言う。
「それでも、俺・・・あんたのこと『愛してる』のかどうか・・・良く分かってねえんだよ」
なのに、俺、自分が初体験したいばっかに、あんたを結婚まで巻き込んだようなもんで・・・
「でもさ、一緒にいて楽しくて、メシも一緒だと美味くて。近くにいて平気で。つか、キスが嬉しくて。・・・これってもう『友達』じゃねえ気がしてさ・・・」
「私は、最初からお前を愛していると言っていたつもりだが?」
「それは・・・そのイズモンダルで聞いたけど。俺があんたを『愛してる』のかどうか微妙だったわけでさ」
でも、少なくとも「夫婦」はできるって、こうして、試してみて分かったし!
「だけど、面倒だったろ? 俺、女とも関係したことなかったから・・・」
心の底から済まなさそうなロビーに対し、満面の笑みでヤンは答える。
「何がだ? むしろお前の『初めての相手』に選んで貰えて、私は光栄だぞ?」
「ついでに、俺の『最後の相手』にもなってくれるか?」
俺・・・ぜってー、今後の人生であんたみてぇに結婚してくれそうな相手、ってか・・・
「愛してるとか教えてくれる相手、現れそうもないからさ」
「無論だ」
ヤンはロビーをぎゅうと抱きしめ、心からの願いを言葉にする。
「私がお前を愛しているのだ。だから・・・私こそが『お前のたった一人』になりたいのだよ」
「あんがと・・・・」
きゅっと抱き返すそれもまた、まだぎこちない。
それでもいいとヤンは思った。
『それにしても、危なかった・・・・』
イックとハッチがやってきた時、その少し前までのロビーとのことをあの2人は知らない。
だが、実は、ロビーは当初、ヤンとの初めて・・・のそれが終わった時、なんと、実に済まなさそうに詫びてきたのである。
曰く、自分は未だ「愛してる」の感覚が分からないと。
「あんたのことは好きだ。でも、こういうことって・・・」
結婚するぐらい好きな相手とじゃねえと、本当はダメなんだよな。
「ごめん・・・あんたのこと・・・俺・・・利用したんだ・・・」
一度ぐらい、そういう体験したくって。
「けどよ・・・利用されて・・・」
嬉しくなんかねえよな?
ああ、もう! どこまで、無垢だったのだ! あまりのことに私は発狂寸前になったぞ!
だが、そのお陰か・・・今こうして居られるのは。
己のIDを見ながら、ふふふと嬉しそうにヤンは笑う。
「ヤン?」
不思議そうに見上げてくるロビーに、いや、と笑い返し、もう少し休めとベッドに身体を横たえてやる。
「ん・・・あのさ・・・」
眠そうにしながら、青い瞳は今なお潤んだまま、そっとヤンに囁く。
「結婚したんだから・・・この後、あんた・・・俺ともっとこういうことしれくれるんだよ・・な?」
その一言で、ヤンズ・ファイナンス・ホールディングスの総帥は、この後見事に、三日三晩新妻に溺れた。溺れきった。
お陰で、ヤンと連絡が取れないことを心配した、側近のアロとグラが、その理由を知った時には逆に、涙を流して喜び、更には、「駄目っス、ヤンさん! 最初が肝心なんですからっ!」と。会社から叩きだすようにして、ロビーの傍に戻らせたのは、ほんの後日談。
そしてまた、「こんな結婚認めねえええええっ!!!」と、イックが怒り狂い、ハッチの王室顧問弁護士の力まで総動員して、「結婚無効理由」やら「証拠」やらを突きつけられたり、あれこれと闘争が起きたのも、もう少し、ほんの少しだけ後の話。
今は・・・朝日の中で、まどろむロビーを見詰めているヤンは心の底から、ただただ幸せだった。
ロビーは「愛しているかどうか、分からない」と言っていた。
それは、今までそこまで「愛した」存在が「いなかった」からなのだろう。
それを素直に・・・正直に、ここまで自分に吐露してくれるその「行為」こそが、なんと純粋で美しい愛なのだろうか。
「だが、まだ気づかなくともいい」
結婚して、それで終わりではないのだ。
「いや、むしろ・・・」
ロビー自身は、『俺と結婚までしてくれそうな奴、一生今後現れそうもないから』などと言っていたが、そんなことがあるわけがないのだ。
「無自覚な純潔とは・・・恐ろしいものだな・・・」
だが、結果として私のものになってくれた。
「イックの教育の賜物か?」ならば、感謝せねばな。
そして、私はロビーからの愛を得るための努力は、これからも積み重ねる。
誰にも負けるものか!
「生涯・・・私を愛してくれ・・・」
今でなくともいいから。
心底そう願う金融界の帝王。
後に、ヤンは「竜の帝王」とも呼ばれることにもなるのだが、それには一つの逸話も伴っていた。
「あの帝王は、竜玉を得たから、更に強大になったのだ」と。
だが、その「竜玉」の正体は、ほとんど誰にも知られなかったのである。
色も形も、その存在が何であるかすら。
ヤンが大事に大事に隠したので。
殊に、当の「竜玉」本人は、まったくもって知らなかったのであった。
愛してる、ことさえ知らない「無垢」なロビーだったので。
それだけイックが、大事に大事に、ずっと守ってきたからであったのだが、残念ながら、その心も未だ分からぬロビーであった。
ばあやの如きイックの嘆きがどれほどであったかは、語るには及ばないであろう。
時に無垢とは本当に恐ろしい。
そんな話とも言えようか。
(第3話おわり)
連載をハーメルンで開始して・・・最初から
「なんか・・・ネットで気楽にのはずが、毎度ながらしっかり書いてないか?」
(あんまりしっかり書くと、ネットでの気楽さがなくなって、読んでもらえないんじゃ)
とか考えていたのに・・・どんどん・・・内容が増えていく・・・
第3話・・・一番長くなりました。
まあ内容的に短く書けるものではなかったからですが。
・・・・第4話は、さて、2人の結婚は無事、イックばあやと、ハッチ王子に認められるのか? 近日公開します~~(で、真の三角関係?になるのは、その後。次の第4話までが土台部分ということになります。えらいしっかりした土台だ・・・)