タイトルからして直球です。
うふふ・・・・新婚さんていいよね、とうふうふしながら書きました。
ああ、すっぽん・・・・(実際、肌にもいいんですけどね)
運とツキに見放された末に、散々迷惑をかけた相手と結ばれる。
「そんなのってさあ。ふつーは・・・・」
ねーよなあ。絶対。うん。
通いなれた商店街の八百屋で、トマトやキュウリやらを見比べつつ、さて「今夜の夕食はどうすっかな~~」などと考えつつも、ロビーは今の自分の生活の激変ぶりに、ついしみじみと感慨深くなってしまう。
そもそも、十代の頃に成金の親との価値観の相違で家出してから幾星霜。
ずっと、定職につくこともなく、その日暮らしで生きてきて。
挙句に、投資しては失敗しての繰り返しの上に、悪徳弁護士に借金をまとめられた先がヤンズ・ファイナンスの闇金部門。
返済しなければ、即、腎臓取られて・・・というような「恐怖の闇金さん」だったはずなのだが、そこで「いい投資先があるんです! これに投資さえすれば、全額返せますから!」と、頑張って主張したら、どういうわけだかあっさり追加融資してくれた。
「まあ・・・あれが出会いだったわけなんだが・・・」
しかし、海老の養殖場への投資は、投資契約の翌日にタンカーが養殖場に突っ込んだとかで、一瞬でパー。
残ったのは山ほどの借金のみ。
「だから、あいつは俺を追って来てたんだと思ってたんだけどな・・・」
借金を踏み倒すつもりはなかったが、腎臓を取られるとか、マグロ漁船に売られるとかいう闇金さんの返済ルートに乗るのはもっと怖かったので、思わず逃げ出したついでに「厄払い」にと目指したイセカンダル。
その旅に同行した家出少年のハッチが「月の王国ルナランドの王子」だったことも仰天だったが、自分の負債の支払いまでしてくれたのはもっと驚きで。
だが、それよりも、もっともっとロビーが驚愕することになったのは、「借金取り」で追って来ているとばかり思っていたヤンズ・ファイナンスの社長が、あろうことか自分を「愛している」という事実についてであった。
「物好きだよなあ・・・あいつ」
そうとしか思えない。文無し、借金の踏み倒し、どう考えても「裏金」さんに好かれる要素があったとはとても思えない。
「でも・・・想って・・・くれてたんだよな・・・うん・・・ずっと・・・」
イセカンダルから地球へ戻った時に、偶然にも「地球を襲っていたアウター・スペース」を撃退してしまったロビーとハッチは、一躍『地球の救世主にして、銀河の英雄』に祀り上げられた。
ただ、そのお陰で祖父のヒザクリガーの関係の版権収入が一時的に随分と入り、しばらくキャバクラを豪遊しつつ、ホテルを転々と渡り歩いていたものの、自分のツキのなさも大したもので、ハッチへの返済は出来たものの、その後、またしてもあっさりとあっけなくも見事な無一文にと戻ったのに。
なのにそんな自分に、ヤンは「愛している」と告げたのである。
それも、ハッチと自分が結婚すると大誤解した挙句に、惑星イズモンダルまで追って来て。
もう借金関係も何もなくて、自分にそんなことを言っても、得になることなど何もないのに。
それでも、男からの求愛に答えられるとは思えず「友達からなら」と答えたのだが・・・。
『どうしてなんだろなあ???』
友達としてのヤンは、一緒に何をしていても楽しくて。
なのに、一緒に過ごす時間が増える程に、いつの間にか
『このまま・・・俺、いい友達・・・で終わる・・・のかなあ?』
それは・・・嫌だな・・・
―――もっと・・・近づきたい―――
そんな風に思ってしまっていた自分の気持ちこそが、未だに自分でも良く分からない。
「愛してる・・・ってのは・・・・」
ヤンに囁かれる度に嬉しくなる。でも、自分からはまだ言えない。
好きなのは確か。大好きなのも確かで、ついでに言うなら抱いて貰えるのが物凄く嬉しいし、キスはいつだって溺れてしまう。
ただ、愛、とやらだけは良く分からないのだ。
それは十代の頃に家出した頃から、ずっとロビーにとっては鬼門で、まったく考えないようにしていたから。
成金で、セレブ入りを目指していた両親の教育方針で、色んな貴族やら金持ちやら地位のある連中に媚びるようにと、気に入られるようにと『媚薬入りのアルコール』さえも、幼い頃から飲まされて。
吐き気がするような思いに耐えながら、散々、気色悪いおっさんやらババアやらに、あちこと舐められたり触られたりしている時、彼らがいつもロビーに囁いた『可愛いねえ、おじさんは好きだよ~~』とか『いい子、いい子。あらあ、食べちゃいたいわ~~』だとか、そんな言葉は、飽きる程聞いていて。
挙句の果ては、家出した後でさえ、仕事先に潜り込んだ居酒屋で皿洗いをしていたら、そこの先輩社員が、唐突に『愛しているんだ! 俺のモノになれ! ロビー!』とか叫んで押し倒されかけたことさえあった。
そんなこんなで、愛している、とか、好きだよとかは・・・十代の頃には、もはやトラウマに近いものすらあった。
だから、自分は結婚や恋愛は一生出来ないだろうなと、漠然と思って過ごしてきた十数年。
三十路になって、やっと覚えた、綺麗なおねーちゃん達が、明るく笑って楽しく接待してくれる『気楽に過ごせる』キャバクラ通い。それこそが、ロビーにとっては文字通りの「心のオアシス」だった。
少年期を過ぎて「おじさん」の仲間入りをして、やっと・・・平穏を得た。
そう思ったものである。
だが、反面、「男」に襲われる恐怖はずっと潜在意識には残っていた。
女なら安全と思っていたわけではないが、「地位や権力がある人間」についての嫌悪感そのものはあった。
だからこそ、そうしたものと無縁で楽しめる庶民の娯楽の「キャバクラ」がお気に入りだったのである。
酒と気楽な会話。そして、絶対に自分にセクハラしてこない綺麗な若いおねーちゃん達。
それらに囲まれて一生過ごせたらいいな~~~~なんて思っていたのに。
そう。本当に、そう思っていたのに! である。
「今のこれって・・・なあ?」
右手に取ったトマトを見詰めながら、ほうっと・・・つい昨日の夜を思い出して吐息が零れる。
―――ロビー・・・―――
低くて甘くて・・・でもテノール歌手のように良く響く声は、耳朶にしっかり残っている。
―――愛している・・・・お前を・・・お前だけを・・・・―――
思い出すだけで自然と顔は熱くなるし、背筋にぞくぞくしたものが走る。
「ああもう・・・どうしたんだか・・・」
俺はもうっ! 男とだぞ! ヤンとだぞ!
大体なんだって! 今更だが、裏金のオーナー様と、どうしたらこんな運もツキも金もない三十男が結婚できちゃったりしたんだよっ!
「・・・でも・・・俺も好きなんだよなあ・・・」
トマトに思わずそっと頬を寄せていると、唐突に、バンっと背中を叩かれた。
「こらこら、ロビーちゃん? うちの商品相手に、何さっきから赤くなってるのさ」
顔が、真っ赤だよ?
「そんなにトマト・・・好きだったかい?」
豪快に尋ねてくるのは、この商店街に買い物に来るようになってからすっかり顔なじみになった八百屋のおかみさんである。
「ごめん。おばちゃん・・・いや、トマトもそりゃ好きだし、ここの店のは鮮度がいいし、甘味も抜群でサラダには最適なのは分かってるんだけど・・・」
「て、いうか。ロビーちゃん。トマト相手に人生相談するぐらいなら、このあたしにでも話なよ?」
少なくともあんたよりは年取ってる分、話し相手ぐらいにはなれると思うよ?
どん、っと胸を叩く中年のおかみに、思わずロビーはほろっとする。
「おばちゃん・・・」
「ほらほら! もうっ! 銀河の英雄様が! なんて顔してんだか!」
「いや、その『銀河の英雄』っての・・・」
慌てて言葉を制そうとするのを、からからと八百屋のおかみは笑い飛ばす。
「大丈夫。ここの商店街では、ロビーちゃんは昔っから『小銭大好き、現金決済なロビーちゃん』だから、今更、マスコミみたく、地球の救世主だの銀河の英雄だのって、急に、あれこれ詮索したりしないって」
「うん・・・ありがとな」
ヤンの邸宅からは少し・・・というか、あの豪邸の広さと高級住宅街の区域から考えると、この庶民的な商店街は、かなり離れているのだが、そこは幸い現代のテクノロジー。徒歩で出歩いても、あちこちに、公共交通手段の無料巡回バスやら、動く歩道やらがあるので、かつてなら自動車でないと少し遠いかもしれない場所でも、こうして簡単に出歩ける。
そして、ロビーはもともと徒歩であちこち出歩くのが好きでもあったので、ヤンと結婚してあの豪邸住まいとなった後も、頼めば配達でも何でもしてくれるのは分かっているがそうした大手の業者のものではなく、自分で出かけてはこうして夕食の材料を買ってくる生活を送っていた。
「うん、実はさあ・・・」
頭をかき上げる左手の薬指には、きらりと光る金色の指輪。
それが何を意味しているのかは、結婚後にこの商店街に久しぶりに顔を出して早々に、目の早いおかみには「おや、結婚したのかい? ロビーちゃん」とばれたのも、今更である。
「実は・・・ちょっと相談・・・ほんと・・乗ってくれるかなあ・・・」
「はいはい! 人生の先輩にどーんと聞きなっ!」
気のいい八百屋のおかみとのたわいもない昼下がりの会話。
それが、とんでもない結果を招くことになろうとは・・・。
それは、全てが終わってから、初めてロビーが知る話。
その時は、当然気づくはずもなかったのであった。
★★★
さて、ロビーがそんな風に買い物に出ている折、現在の「伴侶」であるヤンはと言えば、ヤンズ・ファイナンスのオフィスビルにて、次々と回ってくる決裁案件に目を通している最中であった。
「ふむ・・・我が社の社員たちは、実に有能だな」
売上データに、新規の企画。どれもこれも、斬新かつ目の付け所も的確かつ、確実に収益が望めるものばかりである。
更には、裏部門の闇金関係の者やら、隠しているがあちこちに潜ませている軍事部門からの報告も、実にどれも好ましいものばかりである。
「数字は明確な上、無駄がない。報告書も良くまとめられている。損失があろうとも最小限に抑え、収益については当初予想を遥かに上回っている」
データファイルに次々と了承や、決済の署名をつけて処理していると、にこにこと、側近のアロとグラが、タブレットを手に報告する。
「みんな、ヤンさんが『ご結婚』されたのが嬉しくて仕方ないんですよ」
「そうっス!」
「そうかね?」
そんなものかな? と、言いつつも満更でもなさそうな金色の瞳の色香に、ああ新婚生活が充実しているんだなあなどと思いつつ、アロもグラも思いっきり唱和する。
「そうっスよ!」
「全社員、ヤンさんの幸せが嬉しくって堪らないですからっ!」
「やれやれ・・・これは・・・」
特別ボーナスでも支給せねばならないかな? とのヤンの言に「さっすが、ヤンさん!」と2人が叫んだのは言うまでもない。
「なんせ、うちの会社・・・表の連中は福利厚生がそりゃあ充実してるからってのもありやすけど、裏の闇部門については、俺やグラみたく、ヤンさんに『拾って貰った』恩義がある連中ばっかですし・・・」
「それに! ヤンズ・ファイナンスは、ヤンさんの方針で『社員は家族』ってスローガンで、すっごく色々な手当が充実してるじゃないっすか! 特に、最近の・・ほら、イズモンダルと冥王星の『ハッピー・ブライダルプラン』への低利息融資とCMソング! あれが大当たりだったのが大きいっスよ!」
「ああ・・・あれか・・・」
イズモンダル・・・結婚の聖地の惑星。
そこで、自分がほぼ自爆も同じの「ハッチと結婚するなら私を選べ!」などと叫んだ体たらく。
だが、結果的には、イズモンダルと冥王星との「恋をするなら冥王星、結婚するならイズモンダル」の提携プランへのヤンズ・ファイナンスの低利融資だのなんだのをロビーが持ちかけてきたものだから、「友人になる」条件ついでに引き受けただけだったのだが・・・。
「儲けは度外視のつもりだったのが、こうも高成長するとはな」
「つか、ヤンさんがロビーと『友達』というか『交際』するようになってから、ヤンズ・ファイナンスの業績はひたすら天井知らずっスよ?」
「そうそう。ロビーは、福の神かもなあ~~って俺ら言ったぐらいで」
「はは・・・あいつ自身は、未だに『自分のツキの悪さ』で、私まで文無しならないかとか心配しているがな」
「はあ?」
「なんでっ!?」
あいつが作ったヤンズ・ファイナンスのCMソング、今年のCMソング部門でグランプリ確実ですよ! っていうか、あいつのプロデュースした『冥王星での恋の物語シリーズ』なんて、映画でもないのに「映像部門賞」取りそうな勢いなんスけど??
「まあ、な・・・」
闇金の強面の時には見せない柔らかな金色の瞳を和ませ、ヤンは、決済の手続きはそのままに、アロとグラに対して苦笑する。
「いろいろ・・・十代の頃から・・・いや、その前からの苦労のせいかな・・・」
自分は「ツキがない。運がない」と思っている節があってな。
「ほとんどは、あいつの人の好さに付け込んだ連中の詐欺に引っかかっているだけで、むしろ、ロビーと関わった人間は、ほぼ全員運命が『好転』しているぞ?」
現に、ロボットが人間を支配していたマルベリー8では、ロビーの『革命でも起こしたらどうだ?』の一言で、政権転覆となり、現在は、革命の盟主「ホシロー」が大統領として民主制へと惑星の政変まで起こした。
火星や冥王星は、ロビーのアドバイスで、観光収入が右肩上がり。
魚人族が暮らすオダワーラでは、「もう一度海に!運動」が盛んとなり、ロビーが関わったギョギョが中心となって、今一度、魚人族として海でのエラ呼吸ができるようになる特訓が流行っているらしい。
「そもそも、本当に運もツキもない奴が、地球の救世主や銀河の英雄になるわけもないんだがな」
「そうっスよねえ・・・」
でも、そういう意味じゃ、これ以上目立ちたくないとか言って、結婚式が出来ないのだけは残念ですよね、ヤンさん。
心底がっかりしている部下二人に、まあな、とヤンもまた肩を竦める。
「面倒なルナランドの連中が、『先王陛下のご遺志』とやらの、ロビーとハッチの英雄同士の婚姻についての野望をまだ捨てていないのならば、ロビーと私が結婚式などやろうものなら、あの政府やらロビーの親らが、妙な事をしでかさないとも限らない。それでは、せっかくの『記念の式』も、あまりにもったいないだろう?」
「まあ・・・それはそうなんスけど・・・」
でも、ヤンがどれほどロビーに恋い焦がれ、そして、2人の結婚式について夢見るようにアロとグラにあれこれと語り、そして、実は密かに、結納品やら衣装やらの準備までしていた・・・それも、まだ告白すら出来ていなかったイセカンダルへの追跡の旅の頃からというのを知っている2人からすれば、やはり少々無念な思いは拭えない。
だが、一番がっかりしているのは、そうした華麗な結婚式を一番夢見ていたであろうヤンなのだろうから、と、それ以上はアロもグラも口を噤む。
その変わり、話題をちょっと明るい方へと変えてみる。
「そう言えば、ヤンさん。最近、定時でお帰りですけど・・・夕食とかはどうされてるんスか?」
「ふふ・・・」
問えばそれはそれは嬉しそうな笑みが返される。
「ロビーがな・・・毎日、私のために作ってくれている」
「ケータリング・・・とかじゃなくて・・・ですか?」
「出来合いの味だと飽きる・・・とかでな。いや、あいつの料理の腕はプロ並みだぞ?」
そういうヤン自身も料理の腕には自信があったのだが、ロビーはロビーで十代の頃から、あちこちの飲食業を転々と渡り歩いていたとかで、舌も正確なら腕も一流シェフ直伝の技を軽々披露する。
「互いに料理の好みも・・・合うというのは幸せなものだ」
「朝食はヤンさんが?」
分かっていて話題を向ければ、ああ、との短い答えが返される。
「朝は・・・ロビーは、ベッドから起きられないからな」
その言葉だけで、甘い甘い「みるくいちご」よりも甘い香りが社長室に充満したような気がしたのは・・・多分錯覚ではない。
ヤンは蕩けそうな瞳で語り続ける。
「朝は、まだ寝ぼけているロビーのために私が支度する。夜は、外食もいいのだが、今はロビーが作ってくれるというので、それに甘えているところだ。ふふ・・・帰宅する度に・・・玄関まで駆けてくるのだぞ?」
『うわ・・・新婚だ・・・』
『うん・・・新婚スね・・・』
アロとグラの2人の頭に「お帰りなさいあなた、お風呂にする? お食事にする? それとも・・・」
の定番のフレーズが浮かんだのは、当然の流れと言えようか。
そして、そうこうしている間に、あっという間に時間は過ぎていく。
「おや、もう定刻か・・・」
「お疲れ様っス!」
「このところ、仕事が終わるのが早くなっているな。これも、効率化と皆の頑張りのお陰か・・」
経営者としてデータチェックをしているヤンに対し、それもありますけど、とアロとグラの2人は声をかける。
「ヤンさんには、今大事な新妻がいるんですから」
「そうっス! 早く帰っていただきたいと」
社員全員、そう思って頑張ってる結果ッス!!
その言葉に「やはり、臨時ボーナス確定だな」と、さっさとヤンが手続きをしたのは、ほんの数秒の作業。
「では、私は帰る。お前たちもあまり遅くなるなよ?」
気遣う上司に涙で前が見えませんなアロとグラは、「大丈夫っス!」と同時に叫ぶ。
「俺らは、まだ待ってる人いませんし!」
「それに楽しんでますからっ!」
「はは・・・頼もしい」
では、任せた。
そう言って、颯爽と去っていく後ろ姿が『ああ・・男は背中で語るって言うよなあ・・・』と、またしても2人を感動させたのは、実は、これまた日課であった。
心酔しているヤンが、更にこのところ生き生きしていて、仕事も冴えていれば、オーラの輝きに至ってはもう新婚効果絶大でどうしよう! な状態である。
「男なら・・・ああなりたいもんだな・・・」
「そうッスね・・・」
だが、何もかも全てはヤンさんの幸せのために!
「グラ! もう一息やってくぞ!」
「はいっス!」
ヤンが決済を出した後の残務処理を、これまた猛スピードでやっていた2人は・・・
だが、この後の上司の通信に「はい?」となる。
退社して、そろそろ自宅では? とのタイミングで、唐突に2人あてに通信が入ったのである。
「・・・すまん・・・私だ・・・」
「どうしました? ヤンさん」
「それが・・・明日のスケジュールなのだが・・・」
そのようなものどうとでもなるのだが、と思いながら、首を傾げた2人の耳に飛び込んだ次の言葉に、アロとグラの2人は思わず『そりゃ・・また・・・』と顔を見合わせる。
そう、ヤンからの通信は、なんと「今夜、ロビーが用意した夕食メニュー」だった。
「・・・それが・・・・『すっぽん鍋』なのだ・・・」
もういいです、ヤンさん。好きなだけ休んでくださいっ!
それだけ伝えて、通信を切ったアロとグラの2人の配慮が正しかったのは、無論、後日のヤンの出社から考えて実に当然の配慮だった。
新妻が用意した「すっぽん鍋」・・・・・・その効力や如何に?
いやいや、考えるより仕事仕事!
そして、秘書課の連中他に
「ヤンさんは、しばらく予定が未定になりますっ! 各自、ヤンさんに頼らずできる限り奮闘せよ!」
の指示が、この2人から出されたのだった。
全てはヤンさんの幸せのために!
そのために、アロとグラは、いや、ヤンズ・ファイナンスはごく自然に動く企業だった。
幸せを運ぶ総帥と奥方のために! は、既に「当然」の金科玉条でもあったのである。
★★★
家に帰ったら、エプロンにお玉を持ったロビーが満面の笑みで
「今日は、すっぽん鍋だぜ!」
と言われた時のヤンの衝撃は・・・・
『分かって・・・いるのか???』
一瞬、頭が真っ白になるほどの威力があった。
「あれ? 嫌いだったとか???」
おっかしーな、八百屋のおばちゃん曰く・・・・
「結婚したら、すっぽん鍋だろって・・・わざわざ『すっぽん専門店』まで紹介してくれて・・・・」
で、材料とか、作り方とかちゃんと聞いて準備したから、そんな変なもんじゃねえと思うんだけどな・・・。
「いや、その・・・」
思わず、社へ連絡を取ったのは反射行動。
そして、アロとグラの2人に『いいから! 好きなだけ会社は休んでくださいっ!』と通信を切られたのもたった今。
「すっぽんてさ~~、味も良くて、美容と健康に最高! って・・・」
だから、おばちゃんお勧めで言われたんだけどな。
無邪気なこの妻は・・・・・・・ロビーよ、本当にお前・・・分かって言っている・・のか?
の疑念の方がどうしても働く。
「いや、今夜のメニューどうしよっかな? って悩んでたらよ? 馴染みの八百屋のおばちゃんが相談に乗ってくれて・・・・」
それで、『ああ、新婚さんなら、すっぽん鍋だね!』となったと言う。
「俺が・・・家出して、自炊するようになってからずっと、まあ・・・色々世話になってた商店街でさ~~~」
俺のこの指輪も綺麗だって褒めてくれたんだぜ?
「それに、結婚相手が男だって言っても『ロビーちゃんなら、まあ、それもあるだろうね』って普通に受け止めてくれてさ」
お祝いにって、酒までくれて! すっぽんだって、名店紹介してくれて! 特別に捌いてくれて!
「嬉しかったな~~~・・・。おばちゃん達・・・俺が結婚できて良かったって、ほんっと喜んでくれてさ」
変な女に引っかからなくて良かったとか、ロビーちゃんも見る目が出来たんだろうね、とか・・・
「あと、きっと俺のコト好きになる年上の旦那だったら、いい男に決まってるって・・・」
あんたのコト知らねえのに褒めてくれたのが、一番嬉しかったかな?
「で・・・どうする? 仕事の残りがあるなら、メシ・・・後にすっか??」
お玉を持って、はち切れんばかりの笑顔で・・・・
『ああああああああああ・・・・っ!』
私の理性をどこまで試す気なのだ、ロビーっ!
だが、そこは務めて冷静を・・・平静さの仮面をかき集めてヤンは答える。
「そうだな。仕事は・・・問題ない。連絡事項を伝えたからもう完了だ」
「ん、じゃ、俺、配膳してるから!」
あんたは、楽な部屋着に着替えて来いよ!
「あ・・・でも、先に風呂も済ませとくか???」
その問いにまたしても想像が先に立って、焦るヤンに対し、ごく自然にロビーは言う。
「おばちゃんが、『すっぽん鍋するなら、風呂は先がいいよ?』っていうから・・」
だから、俺はもう風呂は済んでるんだぜっ! 準備万端だろ?
『なんの準備か分かっているのか、ロビーっ!!!!!!!』
もう心の中では、理性と野性が入り混じってのカオス状態である。
だが、とにかく『で、では風呂を・・・』と、平静を装って言えただけでも・・・自分で称賛ものだと思う。
普通冷静でいられるか? 愛しい新妻が! すっぽん鍋を用意して! その上、風呂まで済ませて!!
「ふう・・・・・」
出社用のスーツをクローゼットへとかけながら、ヤンは、バスローブを手に浴室へと向かう。
「今夜は・・・」
長い夜になりそうだ・・・との感慨を噛み締めて。
★★★
専門店に教わったというだけあって、ロビーの用意したすっぽん鍋は、臭みもなく実に美味だった。
「ネギがさ~~、ちょっと炭火で焦げ目つけてんのがいいらしんだ」
あくまでも主役は「すっぽん」。
だから、香りとしての役割を担うネギやら彩り用の三つ葉やらは、そんなに多くなく・・・
つまりは、濃縮したすっぽん鍋に仕上がっていた。
しかも、ご丁寧にすっぽんの生き血を割った酒まで用意してあるという!!
「白飯もさ、せっかくだから・・・」
そのすっぽん料理店で使っている特上米を分けてもらった上、土鍋で炊いたとか。
ああ、この至れり尽くせりよ! だが・・・その先は・・・!!!
「んっ! 美味いっ! 我ながら初めて作ったけど、いけるなすっぽん!」
無邪気にぱくついているロビーの様子からすると・・・これは・・・・
『分かってない』
確実に分かってない。
ハママⅡで、ウナギボーンを散々食べて獣性解放状態になった自分を思い出す。
ウナギですら『精力増進』効果がある。
それが「すっぽん」である。古来から、すっぽんは・・・すっぽんは・・・!
『特に男の性欲を向上の効果が絶大なのだが! 精をつける、元気になる! それがどういう意味か!』
・・・しかし、ハママⅡでも、そうした効能について、分かっていなかったらしいロビーである。
これは・・絶対に分かっていないだろう。しかし、妻が用意してくれたすっぽん鍋・・・。
「美味い・・・な」
思わず口に出てしまう。
「そうだろっ!」
ぱっと嬉しそうに目の前で笑うロビーを見てしまえば、もう、そのまま襲いたいと思うが、ダメだ!
と、必死に自分を叱咤する。
『ロビーは、分かってない! 絶対に分かってないっ!!!』
単に、社長業で忙しい自分の身体を労わって・・・ぐらいのつもりなのだろう。
だが、八百屋のおかみとやらっ!!!
『ロビーに効能つきで、出来れば教えた上で勧めて欲しかった!!!!!』
そんな心の叫びが、妻に届くわけもなく。
生き血割りの酒も、『ん~~癖はあるけど、悪くはねえなあ』とか、飲んでいる。
・・・・知らんぞロビー・・・後でどうなるか・・・。
だが、もうここまでくれば、毒を・・・いや、すっぽんを食らわば・・・!
「ロビー・・・」
「ん?」
はくはくと、美味しそうに食べている妻に、ヤンはタイミングを計って言う。
「今夜は・・・この後、すぐ・・・でも、大丈夫か?」
言われて、ぱっと頬を染めるのが可愛い。いや、可愛いのだが、え? 了解?
こくん、と赤くなりながら、小さく頷く様をどう言えばいいのか。
「うん。そういうものだって・・・おばちゃん言ってたし・・・」
すっぽん鍋は、食べた後・・・夫婦のことすると、もっと良くなるんだよって・・・
「だから、あんたが疲れてなければ・・・」
『疲れも吹っ飛ぶわっ!!!!』
との内心を抑え、ひたすら、静かに相槌を打つ。
「そうだな・・・そういう『作法』だからな」
「うん。不思議なマナーだよな? すっぽん鍋」
・・・ああ、やっぱり分かっていない・・・・・
だが、流石はバイアグラよりもある意味効果のある、古来からの『精力増進効果抜群』のすっぽんである。
食べ終わる頃には、既にロビーの方が赤くなり始めていた。
「ごめん・・・・ヤン・・・その・・・・」
本当は、この後締めに雑炊とか・・・のつもりだったんだけど・・・。
「俺・・・なんか・・変だ・・・・」
見れば目は潤み、着衣の上からでも乳首が立っているのが・・・分かる。
「ああ・・そうだな」
もともと獣性を理性で必死に抑えていたのだ。もうこうなったら、お互いに抑えるも何もないだろう。
「ロビー・・・」
そっとテーブルから立ち上がると、すいっとパジャマにエプロンの妻を腕に抱きあげる。
「もう、行くぞ?」
「ん・・・ごめ・・・なんか・・・急かして・・・」
はあはあ、と零れる吐息が甘い。甘くて・・・目が眩みそうだ。
寝室まで辛抱できたのが奇跡だと思うぐらい、時間がかかったが、どさりとベッドへと横たえれば、ロビーの方からヤンにと縋り付いてくる。
「ごめ・・・ほんっと・・・急かして・・・でも・・・」
「いや、当然だ・・・」
エプロンの下のパジャマをまさぐり、素早くまずは下着を脱がせれば、若い男性器は既にはちきれそうになっている。これでは、つらいのも当然だろう。
「ロビー・・・」
「ヤ・・・ン・・・・はや・・・く・・・」
性急に腰をくねらせ、自ら擦り付けてくる。こんなにも積極的だったロビーがかつてあったろうか?
「ああ、分かった・・・」
もう自分も限界なのだ。普段なら、色々とゆっくりする余裕もあるのだが、もう無理だ。
「私も限界だ・・・」
「あ、っ・・・!」
バスローブしか着ていないのだから、己の屹立したそれを、ロビーのそこへ突き入れるのはごく容易だった。
「あ、ぁ、あっ!」
馴染ませるローションもなしでは痛いはずだろうに、むしろ自分からヤンのそれを求めるように腰をくねらせるその様は・・・どれほど扇情的か、分かっているのかロビー!
エプロンもそのままで・・・パジャマの上もそのままで・・・
「ああ、駄目だ私が耐えられんっ!」
びりいいいっ!
思いっきり、エプロンもシルクのパジャマのボタンも引きちぎってしまったのは、いい加減、肌と肌とを合わせなければ、こちらが持たなかったから。
「ロビー・・・ああ、・・・私の・・」
「ヤンっ! もっと・・・あ、もっと・・・もっとぉ!!!!」
ぐっと、互いの着衣の乱れのまま、押し込めば遂にはあっさり2人して互いの情欲のそれを吐き出してしまう。
だが・・すっぽん恐るべし。あっという間に、また、すぐに下半身に血が溜まる。
「ヤン・・・ヤン・・・っ! もっと・・だめ・・・俺・・・もっ・・・と・・・」
色香と共に、甘い吐息でねだられて。これで発情しない男がいるわけがない。
「ああ・・・もっと・・私も・・」
お前が欲しい。
言いながら、更に先ほどよりもっと奥へと抱きしめたままに、突き入れる。
すると、やはり、それに合わせるようにロビーの腰がくねりだす。
「・・・やっ! ・・・ぁ・・・んっ! も・・・っとぉ・・っ!!!!」
「ああ、・・・いくらでも・・・ロビーっ!」
専門店での高級すっぽんの威力は・・・かくして、その本領発揮とばかりに、思いっきり発現したのだった。
「ヤン・・好き・・・大好き・・・だからぁ・・・・」
幾度果てても、やめないでくれと泣きつかれ・・・
日が昇り・・・そして、その日が沈む頃になっても・・・すっぽん効果は切れてくれず、結局、2人して一昼夜ぶっ通しという・・・
新記録を打ち立ててしまったのであった。
★★★
そんなあられもない痴態を散々に繰り広げたものだから、正気に戻ったロビーが赤くなったり青くなったりしたのは、もう当然だが、それについて『俺のこと・・・嫌いになったか?』と泣きそうになるから、余計に煽られて、更に『そんなことあるわけないだろう』と、続きが始まってしまったのは・・・
それは、すっぽん様とて自分のせいじゃないと言うであろう。
だが、アロとグラが事前に手配した通り、ヤンがようやく出社してきたのが、「すっぽん鍋」の数日後。
そして、放置していたはずの皿やら、雑炊用の残りのスープがしっかり片付いていたのは・・・
『イック??? ってことは???』
自分とヤンとか、思いっきり寝室にもつれ込んだあと、ナガヤボイジャーから察して、ちゃんと『片づけ』をしていてくれた・・・優秀すぎるサポート・ロボットの『思いやり』にもなんだか泣けてきたロビーだった。
だが、八百屋のおかみはと言えば、
「え? ロビーちゃん、すっぽんの効果知らなかったのかいっ!?」
と、素直に驚きつつも、にんまりと笑ってロビーへと尋ねる。
「でも・・・良かっただろ? 新婚さん向きで・・・」
「つか・・・思いっきり仕事休ませちまったし・・・サポート・ロボットには、なんかバレてるっぽかったしで・・・」
俺、もう、恥ずかしいよ、おばちゃんっ!
ひしっと抱き着いてくるロビーの背をぽんぽんとあやしながら、年季の入ったおかみは言う。
「でも、嬉しかっただろ? 思いっきり求められて・・・」
「うん・・・」
「年上の旦那で・・・社長やってるってロビーちゃん言ってただろ?」
そういう人は、ロビーちゃんみたいに『初心な新妻』には、つい配慮しすぎる癖ってのがあってね。
「本当は、むしゃぶりつきたい衝動を抑えてるんじゃないかねえって思ったりもしててさ。それに、ロビーちゃんのが、いっつも先に体力足りなくて、寝落ちしちまうって気にしてただろ?」
「おばちゃん・・・そんなこと俺言ってたっけ???」
「言ってたよ? ほら、相談に乗ってやった時。でも、ロビーちゃん・・それも記憶から吹っ飛ぶぐらい・・・旦那との夜・・・良かったんだねえ・・・」
すっぽん鍋勧めて良かった、良かった。
ほくほく顔のおかみと対照的に、まだロビーの方は、少しばかり涙目である。
「でもよお・・・あいつ・・・俺の相手とかになると・・仕事休ませたりとか・・・俺、迷惑ばっかりかけてる気がする・・・・」
そんなんじゃ、いつか嫌われねーかな・・・
本気で心配しているらしい、とてもこれが三十路とは思えない相手に、おかみは豪快に笑って答える。
「大丈夫っ! きっと今頃、旦那は嬉々として、いつもの十倍は仕事の効率上がってるよ!」
「そうかな?」
「そ! だから・・・」
サポート・ロボットがちゃんと気を回して、雑炊用にスープを保存しといてくれたってんなら・・・
「今夜は、前ほど激しくはないだろうけど、すっぽんの雑炊と・・・あと、ちょっとした酒で・・・」
可愛くおねだりしてみなよ?
「絶対に喜ぶから」
「うん・・ありがとな、おばちゃん・・・・」
結婚してからの「イロハ」も実は分かっていなかった時、結局、ロビーに色々あれこれ教えてくれたのは、昔からのロビーを知っている、この商店街のおばちゃん達だった。
だが、
「おめでとっ! じゃ、新婚さんにはエプロンだね!」
と、貰ったエプロンは、この間のすっぽん効果の煽りで、ボタンどころか縫い目ごと引きちぎれていて、というか、とんでもない汚れがついていたりで・・・。
あれをもう一度使う気力はなく、この商店街で新しく買おうと思っていたら、何故か、八百屋の近くにある服飾店のおばちゃんが「結婚祝いに」と持ってきたのは・・・
「なに? このぴらっぴらは???」
女物???
と首を傾げるロビーに「何言ってんだよ!」
これは「裸エプロン用っ!」と言われ、絶句したものの、やっぱり貰って帰ったというのは・・・おまけ話。
そして、実行に移せたのは、更に後のことだが、それがまたとんでもない破壊力で、ロビー曰く
『・・・玄関は・・・・そういうとこじゃねえと俺は思う・・・』
と嘆かせたのは、もはや商店街では語り草。
商店街のおばちゃん達にとっては「銀河の英雄」も「可愛いロビーちゃん」なのだ。
変な女に引っかかるのがずっと心配だったのだが、結局、結婚相手は年上の社長とか言う。
相手が男だろうが、女だろうが、とにかく「ロビーちゃん」を大事にしてくれているらしいのだから、おばちゃん達は、今度はひたすらこの可愛いロビーちゃんの新婚生活応援隊と化していた。
そのお陰で、時々ヤンが「・・・どこで、妙な知識を??」ということが、この先もあったりするのだが。
結果としては、おばちゃん達のお陰で、更に、幸せな時間が増えたのだから、ありがたい限りだろう。
それでも、「すっぽん鍋」の後
少し眠そうに出社したヤンに対して、アロとグラの2人は、はて? と首を傾げてはいたのだ。
「ヤンさんが眠そうって・・・」
「何があったんでしょうねえ????」
すっぽん鍋でロビーの方が効果が出すぎて、思いっきり相手をして、しかも、その後、自分のあられもない姿に「俺のこと・・・軽蔑したか?」とかで真っ青になった新妻を宥めたりしていたからの「睡眠不足」だったのだが、それはある意味『男の勲章』
ふふふ・・・と嬉しそうに黄金の瞳は、日差しに輝く。
「さあ、今日もやるぞ!」
「はいっ!」
「どうぞ、ヤンさんっ!」
凄まじい速さと正確性が、更に加速していくヤンの仕事の処理速度に、部下連中からの報告類の方が間に合わなくなっていく。
「ヤンさん・・・もう、今日はヤンさんの仕事がないっス・・・」
「アポイントについて・・・増やせば、まあ・・・増やせますけど・・・」
だが、別に特に絶対に合わなければならない顧客など限られている。別に、最初のスケジュールから外した者にまで会う時間を作ってまで、仕事をする必要はあるまい。
「では、私は帰ろう」
嬉しそうに立ち上がる姿が、もはや神々しい・・・。
「新妻効果ってすごいなあ・・・」
「それとも、すっぽん???」
どっちもだろうと思いつつ、「お疲れ様でしたっ!」と頭を下げるアロとグラであった。
そして、いつもよりも早く帰宅したヤンを待っていたのは、サポート・ロボットのイックであった。
「おいこら! ロビーは、果ててまだ寝てるからなっ!」
「ああ・・そうだな。なら、私も一緒に眠ろう」
「おいっ! 本当にあいつ疲れてるからっ!」
心配性のサポート・ロボットに、にっと笑ってヤンは返した。
「私もだよ。夫婦で添い寝もいいだろう?」
そして、その日、夜半に目が覚めたロビーが隣で幸せそうな伴侶の寝顔を見ることになり・・・。
『これもすっぽん効果???』
と、ちょっと思いながら。
でも、きゅうっと身を摺り寄せて幸せな時間を堪能することになったのだった。
互いの温もりに包まれて。
激情とはまた異なる幸せを、存分に味わったのだった。
(第6話おわり)
ちなみに、この後日談としては、書くまでもありませんが、ロビーの美肌は更につやつやになり、新婚効果はもっとすごいことになったのでした。すっぽん様、ありがとう(笑)
次は、「記念撮影だけでも結婚の記念を・・・」なスマート結婚(スマ婚)話の予定です。さて・・・ヤンさん、エンゲージリングとかも、出番がございましてよ!!!(ロビーにいくらでも着せ替えOKよ?)