インフィニットストラトスで勇者ロボ(仮)   作:事務員

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 こんにちは。事務員です。今回、息抜きも兼ねてこんな作品を作ってみました。
 勇者シリーズは自分の中でバイブル的存在です。これをうまく表現したいと思いました。
 ちなみにオリジナル展開多数。はっきり言って原作要素はかなり薄いです。それでも良い人はどうぞご覧ください。なおほかの作品もあるのであまり更新されないかもしれません。


第一話

 長距離探索用宇宙艦『アルカディア』 宇宙を探索しデータを集めることを目的としたこの艦のブリッジ。そこでは我々人間とは違い、機械の体を持った生命体が艦の運航を行っていた。全長5~6メートルほどの彼らはどれも我々と同じように口や鼻があり、同じ二足歩行を行う彼らは機械と生身の差はあれ、まるで同じ種族のように感じられる。

 現在中央の艦長席には一機のロボットが座っていた。彼の名はバイガー。士官学校を優秀な成績で卒業、その後同じ仲間と共にアルカディア号に配属となった。青く輝く角ばったボディに、額にはV字型のアンテナが取り付けられている。その顔つきは冷静でまさにリーダーと言うべきしっかりとした印象を与えていた。

 

 「ジェントル、状況はどうだ?」

 

 若い男の声でそう話した彼に対し、隣に座っている白ひげを生やした黒いロボットがタッチパネルを操作しながら答えた。彼もまた年齢を重ねた顔つきで、落ち着いた雰囲気を出していた。

 

 「現在は特に異常なし、このまま予定通りに運行できますな」

 

 老人のようにややしわがれた声で話すそのロボットに対しバイガーはそうか、と言ってまた中央に置かれたパネルを眺めた。自身が住む惑星を離れてからはや1か月。すでに何千光年も離れたここまで何もないとつまらないと思ってしまうバイガーが居た。

 

 「それにしても何もないな。やはりあらかた探索しつくされてしまったか」

 

 「そうですな。まあ、次の地点はまだ探索しつくされておりません。そこに期待しましょう」

 

 バイガーの言葉にジェントルが励ましの声をかけたその時だった。

 突如、強い衝撃が艦を襲った。突然起きた衝撃に艦は一気に傾き、おいていた道具が横滑りで落ちてしまう。何とか元の態勢に戻った艦であるが、今も小刻みで揺れている状況であった。

 

 「何事だ!!」

 

 あわててバイガーは席を立つと操舵席へと向かう。そこには一機のロボットが懸命に操縦桿を握っていた。

 

 「フェン!! いったい何があった!!」

 

 バイガーの言葉にフェンと呼ばれたロボットは少女のような声で答えた。

 

 「わ、わからないよー!! センサーも何も反応しないで急に揺れたんだよ! 今も小刻みに揺れるから抑えるので精一杯!!」

 

 「なんだと!! くっ、ジェンヌ、ダークネス!! 外の様子はどうなっている!! そっちで確認できるか!!」

 

 バイガーは内蔵された通信機材で観測室にいた仲間を呼び出す。すぐに通信はつながり、フェンとは違いややハスキーな声をした女性、セクシーな大人の声が聞こえてきた。

 

 『こちら観測室。外では特に異常は……、いや、次元観測機に異常! 観測地点は……全部!!』

 

 『こっちも同じ! え、何か来る!』

 

 その言葉と同時だった。急にバイガー達は不可思議な現象に巻き込まれる。それは頭に直接響いてくる声だった。突然の異常事態にバイガー達は一瞬立ちすくんでしまう。

 

 『やぁやぁ、聞こえているかな』

 

 それは女性のような、男性のような、少年のような、老人のような、様々な声がミックスされたような声だった。

 

 「な、なんだ。お前は……」

 

 『私はナイアルラトホテプ。精神生命体さ。突然だけどこの次元、壊しちゃったから!』

 

 それはどういうことだ、そう聞く前にバイガーの頭にあるビジョンが浮かんだ。それは自分たちの居た惑星が粉々に砕かれていく光景だった。そしてそれは連鎖反応的にほかの惑星へと続いていく。まるで風船が割れていくかのように惑星は次々と粉々になっていく。そしてそれはまるで一瞬の内に闇に飲み込まれ跡形もなく消えていく。後に残るのは星の光もない暗黒の闇、ただそれだけであった。それをバイガー達は呆然しながら見てしまっていた。

 

 「なんだ!! これは!!」

 

 ふと我に返ったバイガーが大声で呼びかけた。

 

 『それはさっきまで起きていた本当の出来事。ちょっと次元をいじくったらこうなっちゃった。ごめんね。で、今君たちがこの次元唯一の生存者だから。すごいね』

 

 まるで子供が軽くミスしたことに謝るように彼女は言った。その言葉にバイガー達は呆然とする。

 

 「故郷が無くなった……」

 

 「そんなばかな……」

 

 「どういうことなの……」

 

 『ふざけるな……」

 

 『どうして……」

 

 バイガー、ジェントル、フェン、ジェンヌがそう言っていく中、またしても大きな揺れが艦を襲った。すぐにモニターを確認すると、そこには暗黒の闇が刻一刻と迫っていく光景が見えてきた。

 

 『あれま。予想より壊れるのが速いかな。それじゃ、私はここで退散するから。頑張ってね。まぁ、もうすぐ消える君たちに言っても無駄か。それじゃーねー』

 

 そう言うと幻聴のような声は聞こえなくなった。それと同時に今までより強い衝撃が艦を襲う。見ると外壁がまるでえぐられたように削られていく。

 

 「報告! エンジンの出力が低下! また外壁に損傷多数! これ以上は長く持ちません!」

 

 フェンの報告にバイガーは頭を抱える。どうすればいいんだ。次元が崩壊する。それはバイガー達が今まで経験したこともないことであり、誰しもが経験したことがなかった。しかしこの次元が崩壊するのは事実であり、今も次元が崩壊し続けている。

 誰もがあきらめかけた、その時だった。

 

 『こちら管制室! 前方にエネルギー反応! これは……ワープゲートが出現します!!』

 

 ジェンヌの報告にバイガーはすぐに前方を見た。そこには普段星々との移動に使われているワープゲートが現れていた。しかしワープゲートは本来巨大な装置がなければ発生させることが出来ず、自然にできるのは天文学的にわずかというものであった。

 なぜそんなものが。そうバイガーが思っていると、軽い衝撃ののちに急激に引っ張られる感じが艦に伝わってきた。

 

 「え、引っ張られてる! 艦長! アルカディアがワープホールに引き寄せられています! このままでは!!」

 

 フェンの言葉にバイガーは冷静に考えた。今も続く衝撃。いずれこの艦は終わってしまう。その前に脱出しなければ!! バイガーは決めた。

 

 「フェン!! このままワープホールに進路変更!! 賭けだ、俺たちが生き残るにはそれしかない!!」

 

 それは一種の賭けだった。ワープホールがどこに通じているかはわからない。しかしここで命を散らすつもりは全くなかった。バイガーはすぐに指示を出す。

 

 「わ、分かった! 突っ込むね!!」

 

 「ああ、それが終わったら全員脱出ポッドへ急げ! 緊急時には脱出できるようにしろ!!」

 

 『了解した!』

 

 『ええ。わかったわ!』

 

 

 そして数分後、全員が脱出ポッドへと入ったのを確認した艦のAIはワープホールへと突入していった。そして10秒後、まるで星が全部無くなったここは永遠と黒に染まる景色、そしてその次元ごと無へと変貌するのであった。

 

 

 

 ワープホールへと消えたアルカディア号。その内部は様々な色がまじりあう普通の空間とは違うっており、空間のねじれなどから意識を保つのも困難だった。それを表すかのように脱出ポッドへと入った仲間たちの意識が無くなっていく中で、バイガーは不思議な光景を目にした。真っ白な世界。そこには一人の生身の少女が居たのだ。彼女はまるで誰かに聞かせるかのように空を見上げながらこう言った。

 

 『救い手達よ。ナイアルラトホテプの野望を打ち砕け。救い手達よ、われらの願いをかなえてくれ』

 

 そう何度も言う彼女。バイガーは空間のねじれに頭が破裂しそうな痛みを抑えて話しかけた。

 

 「き、君は……いったい……」

 

 その言葉に彼女は答えた。

 

 「私は……伝達者……」

 

 聞けたのはそこまでだった。彼もまたとうとう意識を失ってしまうのだった。

 

 

 

 その後彼らはワープホールを抜けることとなった。しかし次元を渡ったアルカディア号のダメージはもはや限界だった。艦のAIは脱出ポッドを射出。近くにあった惑星へと降下することになった。そして艦は役目を終えたように自壊していった。

 それぞれバラバラの地点へと降下した彼ら。次元を超える際に体が破損した彼らが自己修復するため、降下した先で傷つき眠りについた彼らを守るため、脱出ポッドは変化をする。どんどん小さくなったそれはまるで宝石のように美しい姿へとなったのだ。しかし自己修復で治るのは微々たるもの。完全に修復されるまでにはかなりの年月が必要だった。彼らは自分たちの体が治るまで、この宝石の中で復活の時を待つのだった。

 そして彼らが降り立った惑星。それは1500年前の地球だった。

 そして1500年後のこの日、物語は始まるのであった。

 

 

 西暦20xx年。舞台は熱さが最高潮の8月、関東沿岸の小さな町から始まった。のちにここがとある機体のおかげで一大都市へと発展することはまだこの時点ではわからないことであった。

 さて、大小の差があれ化学が発達したこの地球でも、子供たちの遊びは変わることはほとんどなかった。夏の暑さから逃げるため室内に逃げ込むか、また暑さの中で元気いっぱい走り回るか。

 この日も小学3年生の織斑一夏と篠ノ之箒は剣道の練習が終わるとすぐに近くの裏山へ探検を始めていた。ここは篠ノ之家が所有する山でこの辺りで大きな自然があるということで、人通りがそれなりにある山である。しかしそれは歩道などがあるところ。彼らはそこから離れた森の中にいた。

 

 「さーて、箒。今日はここを探検だ!」

 

 周囲が森へと囲まれたその場所で唯一ある大きな石の上に乗り、そうらんらんとした目で言う一夏。真夏の子供らしく野球帽にタンクトップ、半ズボン姿はその年の少年らしい服装であった。そしてその彼に付き添うのは半そでに長ズボンと女の子にしてはボーイッシュな服をしている箒だった。彼女はため息をつきながら一夏に言った。

 

 「まったく。今日こそ戦うって約束だったのに……。私よりも探検が大切か」

 

 そういう彼女に一夏は満面の笑みで答えた。

 

 「そう言うなって。探検は面白いぞ! それにそう言う箒だってまんざらでもないだろ。こうやって一緒についてきてくれたしな」

 

 そう言われた箒は顔を真っ赤にして言う。

 

 「なっ! そんなことないぞ! 私は……」

 

 そう言った時だった。ふと箒が顔をそらした先、そこが何やら変な感じに映っていたのだ。たとえるならばそこだけに靄がかかっていると言ったように。箒はすぐに指をさして一夏に言った。

 

 「一夏。あそこが何か変じゃないか? もやもやしている」

 

 「なんだって。……たしかに。確かめてみよう」

 

 一夏もそれを確認して、確かめようとした。それを箒は引き留めた。

 

 「それはダメだ! わからないものにはむやみに近づくなって父さんも言っていたぞ!」

 

 「大丈夫さ。もやもやなんてあぶないものじゃないよ。それにいざとなったら守ってやるさ!」

 

 その言葉に箒は一瞬ドキッとなってしまう。その間に一夏は靄のかかった場所へと移動した。そして彼は靄に手を触れてみた。

 

 「ほら、大丈夫だろ」

 

 「……ああ。けれどこれってなんだ?」

 

 箒も一夏のやったことをやりながら聞いてみる。

 

 「俺がわかるわけないだろ。それよりも、この先ってどうなってるんだろう。行ってみるか!」

 

 そう言って一夏は靄の先へと足を踏み入れていく。

 

 「お、おい! 待て、一夏!」

 

 そして箒もあわててついていく。そして彼らは靄の先へと消えていった。

 

 

 そこは先ほどまでの風景とは一変していた。まるで人の侵入を拒むように張り巡らされた木々は一夏たちの移動を遅らせていた。

 

 「くそ、ここまで歩きにくいのは初めてだ! 大丈夫か、箒!」

 

 「大丈夫だ。だがどこまで続いていくんだ、これは……」

 

 その時だった。急に木々が無くなり、目の前に洞窟が現れた。

 

 「スゲー! 洞窟だ! さっそく入ってみようぜ!」

 

 「待て、一夏! 用意なしに入るのは危険だ! これを使え!」

 

 そう言って箒は背負っていたリュックからLEDライトを取り出すと一夏に手渡した。

 

 「さすが箒! 準備が良いな! それじゃ行くか」

 

 そう言って一夏は箒の手を取って洞窟へと入っていく。

 

 「おい! 急に手を掴まないでくれ!」

 

 

 洞窟は意外にもしけった空気はせず、快適な空調が保たれていた。そして洞窟内に蝙蝠などの動物などは存在していなかった。そう、そこはまるで誰かに管理されているようであった。

 だが、そんなことはまだ知らない彼らは特に何も感じずに進んでいた。

 

 「まだ奥までつかないか。一直線だが意外と長いんだな」

 

 「そうだな。それと……別に手を離しても大丈夫なんだぞ」

 

 そう照れながら言う箒に一夏は、

 

 「こんな暗い中で手を放したら危ないだろ。ちゃんと守ってやるから安心しろって」

 

 「……ああ。ありがと……」

 

 そうして歩いていること数分。ようやく突き当りと思われるところにたどり着いた。一夏はライトで周囲を確認してみた。

 

 「ここで終わりみたいだな。……ん?」

 

 ふと一夏は何かキラリと光りを反射したのを確認した。すぐにライトをそちらへと向けてみる。するとそこには大きて赤いダイヤモンドのようなものが無造作に落ちていたのだ。彼はすぐにそれを手に取ってライトで確認してみる。

 

 「なんだ、これ?」

 

 宝石など見たこともない一夏は珍しい石だと思ってみていたが、箒は信じられないような表情でそれを見ていた。そして箒がおそるおそる言う。

 

 「い、一夏。それって宝石ではないか!?」

 

 「宝石? これが?」

 

 「ああ。しかもそれだけ大きいとかなり高いものになるみたいだ……」

 

 その箒の言葉に考える一夏。そして……。

 

 「やったー! お宝ゲットだ!! さっそく鑑定団に出してみようぜ!」

 

 「待て!!」

 

 そう言って外へと駈け出そうとする一夏を箒は止めた。

 

 「なんでだよ、箒。これは俺たちが拾ったんだから俺たちのなんだぜ?」

 

 「前にならっただろ。拾い物はまず交番に届けるって。もしかしたらここで落とした人がいるかもしれないじゃないか」

 

 そう強く箒が言うと、一夏は少し考え、

 

 「そうだな。もしこれを探している人が居たら返してやらないといけないしな。それじゃ、今日の探索は終わり。さっそく交番に行って聞いてみようぜ」

 

 そうして一夏たちはもと来た道を戻ることになる。しかし彼らは知らない。今、この星が大変なことになっていることに。

 

 

 

 

 一夏たちが探索を始めた同じころ、アメリカ・ホワイトハウス。ここでとんでもない報告が大統領に告げられた。

 

 「なんだと!! 核ミサイル全弾が発射されただと!!」

 

 「ええ。発射体制にあった核ミサイル100基、準備段階にあった250基などが今発射されました。おそらくコンピューターからにハッキングされたせいかと」

 

 「そんなバカな!! ミサイルへ発射を伝えるシステムは外部に通じていない、独立したシステムで構成しているはずだ!! それがなぜ!!」

 

 「おそらくはすでに外部からアクセスできるようミサイル発射システムを書き換えられたかと。しかしそんな力を持っている組織なんて…」

 

 担当官からの報告に一瞬ふらつく大統領だが、持ち前の精神力で踏みとどまる。すぐに対策を指示した。

 

 「すぐに遠隔操作で起爆しろ!! 反応前なら問題ないはずだ!! 別回路も使用して反応しないようにするんだ!!」

 

 だがそれも次の報告で不可能となった。

 

 「残念ですが大統領。ミサイルは全基遠隔起爆が不可能。別回路もなぜか機能しません」

 

 「どういうことだ! こういう時のためにミサイルには最新のからローテクのまで様々な安全装置を組み込んでいるはずだ。それがなぜ使えん!!]

 

 大統領の言うとおりだ。通常、核ミサイルなどには最先端技術だけでなく手動で起動させるなどのローカル技術を組み込み二重、三重もの安全装置を組み込み誤作動を防いでいるのだ。その言葉に担当官はまた信じられないようなことを発した。

 

 「わかりません。ですが装置自体は正常に稼働していることから、別の特殊な装置があり、それで動いているそうです。破壊もできず、対処もできそうにありません」

 

 その言葉に大統領は愕然とする。そして信じられないような報告がまたしても起きてしまった。

 

 「大統領!! 緊急事態です!! 核ミサイル保有国から核ミサイルが放たれました!! 目標は、日本です!!」

 

 それはまさにこの世の終わりが近づいた瞬間だった。

 

 

 

 「ねぇ、ちいちゃん。作戦はわかってるよね?」

 

 どこかわからない薄暗い部屋。ここで一人の少女が作業を行いながら、上にいたもう一人の少女に話しかける。

 

 「ああ。現在日本に向かってくるミサイルをすべて落とせばいいのだな。わかっている」

 

 「うん。そうだよ! 日本に突如襲いかかる核ミサイルの間の手、それを防ぐのは私が開発したインフィニット・ストラトス!! これでISの評価はうなぎのぼりだよ!! と、準備は終わったみたいだね」

 

 そう言うと彼女は持っていた道具のスイッチを入れる。すると天井だったところが徐々に開き外の光が降り注いできた。そして彼女が作業していたものの正体が現れた。それは一言でいえばパワードスーツだった。巨大な手足が体に取り付けられており、そこからまるで浮いているように巨大な羽のようなものが取り付けられていた。

 

 「正式生産型、機体名『白騎士』 さぁ、発進だ!!」

 

 「ああ、白騎士、出る!!」

 

 そう言うと同時、機体を固定していたパーツが外され、背中のバーニアが点火する。そしてすさまじい勢いのまま宇宙へと飛び出していくのだった。そしてそれをもう一人の少女は何かを期待するような笑みを浮かべたまま見続けていた。

 

 

 

 

 その頃、そんな大変な事態などつゆ知らず、一夏たちは裏山から篠ノ之家に続く裏道を歩いていた。一夏の手にはあの時手に入れた宝石が握られており、それを彼は興味深く観察していた。

 

 「わくわくするな。一体誰が落としたんだろう? もしかしたら宇宙人かな?」

 

 そう言う彼に箒はあきれながら答えた。

 

 「そんなわけないだろ。多分事情があってあそこに忘れたんだ。さぁ、もうすぐで交番に……」

 

 そう言った時、ふとふもとのほうから町内放送で使われるスピーカーからサイレンが聞こえてきた。そしてそこかしこでパトカーのサイレンも聞こえてくる。その様子にただならぬ気配を彼らは感じた。

 

 「何かあったのかな。事件?」

 

 「どうだろうな。それより誰かに聞いたほうがいい。ここからなら私の家が近い、行ってみよう」

 

 「そうだな」

 

 そうして二人は目標地点を変えて移動することになる。そしてその間にも事態は進行していた。

 

 

 

 大気圏外、日本上空。ここであのパワードスーツが日本に襲い掛かる弾道ミサイルに対し、迎撃を行っていた。時には腕から発射されるビームで。時には刀らしき近接装備で。それはまるで演武を行っているかのように鮮やかだった。

 

 「よし! 目標300撃破! 束、あと何基残っている!!」

 

 そう言いながら今も刀で弾頭部を切り離した彼女に対し、束と呼ばれた少女は先ほどと変わらない笑みを浮かべながら通信越しに話した。

 

 『うんとね。あと1000基ぐらいかな。ちーちゃんもエネルギーには気を付けて戦ってね」

 

 「ああ、了解だ」

 

 順調に破壊を続ける彼女とIS。傍目からすればすさまじい光景も、彼らにとってそれはまるで機械でものを作るがごとく単調な作業であった。

 そして最後の一機。彼女は叫びながら最後のミサイルの弾頭部を破壊した。周囲にはミサイルの残骸が散らばっていた。

 

 「はぁ!! ……はぁ、はぁ。終わったか……」

 

 『うん、お疲れ様。これで全部のミサイルは破壊完了だよ。おめでとー! これでこの星を救ったヒーローだよ!』

 

 束の言葉に彼女もうなづき答えた。

 

 「ああ、そうだな……これで終わりか……」

 

 その時だった。突如警告音が鳴り響き、地上の地図に何か赤い光点が映し出されたのだ。少女は何が起きたのかと地図を確認する。そこには信じられない光景が広がっていたのだ。

 

 「なんだ! 町を巨大ロボットに襲われている!!」

 

 そこには見たこともない全長10mほどのロボットが町を破壊している光景だったのだ。とても信じられない様子に彼女は束に詰め寄った。

 

 「いったいなんだ! 何でこんなのが私たちの町を襲っているんだ!!」

 

 そんな彼女に束は、

 

 『わからないよ~!! 天才の束様にも知らないことはあるのだ~!! とにかく早く戻ってきて~!!』

 

 そんな危機感があるんだかないんだかわからない声で答える。そんな束に彼女はカチンときたが、冷静に事態に対処しようとする。

 

 「……とにかくすぐそっちに行く。待っていろ」

 

 そう言って彼女はブースターを吹かし地上へと戻る。それはまるで流星の様だった。

 

 

 「な、なんだ。こいつ……」

 

 一夏は呆然とそれを見つめていた。そして箒も、

 

 「巨大ロボット……」

 

 そう呆然としながらつぶやいてしまう。そうそれは10mもある巨大な人型ロボットだったのだ。

 まるで工業用のロボット見たく細く背面には巨大なランドセルが搭載されている。そしてそれらには人間用のライフルを巨大化させたような武器を持っていたのだ。なぜこのようなことになったのか。

 それは篠ノ之家に向かう途中の事だった。彼らはまるで幽霊のように何もない所から忽然と姿を現し、そして持っていた武器でいきなり町を破壊し始めたのだ。ライフルから一発放たれるごとに建物は倒壊、車は一発で木端微塵となってしまう。幸いにも避難を完了していたために周囲に人影はなかったが、意図も簡単に建物を破壊してしまう。その光景に一夏たちは恐怖を覚え立ちすくんでしまった。

 

 「一夏……」

 

 そう箒は一夏の手を握り、震えながらつぶやく。

 

 「大丈夫だ……俺がお前を守る……」

 

 そう言って手を握り返し、もう片方の手に持っていた宝石を握りしめたその時だった。ロボットがついに彼らに気が付いたのだ。ロボットたちは建物の破壊を止めると一夏たちのほうを向く。そして一歩一歩彼らへと歩みを進める。まるで獲物を追い詰めたライオンのように。

 一夏たちは逃げようとした。しかし体は心とは違い全く動かない。いや、恐怖心で動けないのだ。それは箒も同じ、いや一夏よりも恐怖しており握っていた手の震えが余計に激しくなる。

 

 「くそ! 動けよ! なんで動かないんだよ!!」

 

 「一夏……私たち、殺されるの……」

 

 そうしてとうとうロボットは一夏たちの1m先までやってきた。そしてロボットはライフルを彼らへと構えた。まさに絶体絶命。あれが放たれた瞬間に一夏たちは跡形もなく消え失せるだろう。

 

 「助けて……助けて……一夏……」

 

 箒はとうとう泣きながら一夏に助けを求めた。しかし体は動かない。

 

 「なんで動かないんだよ!! 動けよ!!」

 

 そしてとうとうロボットがライフルのトリガーに指がかけた。

 

 「くそ!! 誰か! 誰か力を貸してくれ!! 箒を守りたいんだーーーーーー!!」

 

 その時だった。突如手に持っていた宝石が白く輝き始めたのだ。それは瞬く間に周囲へと広がる。あまりのまぶしさに一夏たち、そして何故かロボットたちもたじろいてしまう。

 急激に輝きを増していく宝石。そしてそれが最高潮に達した時だった。

 

 「あっ! 宝石が!!」

 

 突然強い力と共に一夏の手から宝石が離れる。そしてそれが上空へと待ったのだ。その直後、まばゆい光がまるで太陽のように周囲に輝いた。その直後、光の中心から声が発せられた。

 

 「封印解放!! たぁ!!」

 

 突然青年の声が聞こえたかと思うと、今度は巨大な物体が光を浴びながら落下する。勢いよく落下したそれは周囲にアスファルトの破片を散らかす。そして落下の衝撃で煙や破片が舞う中、それはゆっくりと立ち上がる。それを見た一夏は呆然としながらそれを見てつぶやいた。

 

 「なんだ……ロボット……?」

 

 2足で立つ巨大な人型。青く輝く角ばったボディの各部は金属で覆われており、瞳などはガラスのようなもので作られていた。顔はまるで人間のように鼻と口も付けられている。額にはV字型のアンテナが取り付けられ装甲の各所には和風甲冑のような意匠をしている。

 ロボットは立ち上がると襲ってきた相手を見る。

 

 「……封印が解放されたはいいが、お前たちは何者だ」

 

 そうロボットが言った瞬間、先ほどまで一夏たちを狙っていたロボットが目標を変えそのロボットに攻撃を開始した。放たれるマシンガンの弾丸。

 

 「くっ、攻撃か。しかたない」

 

 そう言ってそのロボットは行動を開始した。どこからともなく刀らしきものがそのロボットの手に握られる。そして、

 

 「はぁ!!」

 

 そう言った瞬間、すさまじい勢いと共に一夏を襲ったロボットたちに突貫する。そしてすれ違いざまに刀が横へと振られていく。そして振り終わった直後、一夏を襲ったロボットたちが持っていた銃ごと腕ごと持って行かれた。対処もできずにいたロボットたちに向かってそのロボットは振り返るとこう言った。

 

 「さぁ、どうする! このまま破壊されるか、否か!!」

 

 そう言った数秒後、ロボットたちはブースターを吹かしてその場から離れる。そして急に靄がかかったようになりそして現れた時とは逆のように消えていった。

 それを見届けるとロボットは刀を出した時と同じように消すと周囲を見ながら、

 

 「ふう。復活したのはいいがいったいここは……。ん?」

 

 ふとロボットの周囲に何かが映った。それはそれは一夏と箒であった。その姿はロボットにとって見慣れないものだった。すぐにロボットは彼らを見つめる。それが数秒続いた時、何とか意識を取り戻した一夏がまず大声で呼びかけた。

 

 「おい! お前は何なんだ!! 答えろ!!」

 

 突然の呼びかけにロボットは一瞬驚いてしまった。そしてその言語が自分たちと同じ言語だとわかり、どうやら話が通じると考えたそのロボットは自分の名を言うのだった。

 

 「私の名はバイガー。第24惑星連合軍所属、長距離探索用宇宙艦『アルカディア』艦長だ。君たちは何者だ」

 

 その問いに一夏は大声で答える。

 

 「俺は織斑一夏! 藍越学園付属小学校3年A組所属だ!」

 

 「私は篠ノ之箒、一夏と同じ所属だ」

 

 その問いで彼らには話が通じると分かったロボット、バイガーは彼らにいろいろ聞いてみることにした。

 

 「どうやら話は通じるようだな。すまないが現状を確認したい。少しいいか?」

 

 その問いに二人は少し考えるとうん、と頷き答えるのだった。そしてこれが彼らとバイガーの初めての出会いとなるのだった。

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