次の日俺と戦兎さんはギルドの食堂で朝食を取っていた
「それにしても酷いですよ戦兎さん!俺を置いて逃げちゃうなんて」
「悪かったって俺も何だかあの騎士には本能的にヤバイ奴だと感じたしこうしてお詫びとして食事を奢る事にしたんだろ」
あの後俺は変態女騎士から路地裏といった小道を利用して何とか逃げ果せて来たのだ。そして自分を見捨て一足先にウィズの店に帰っていた戦兎さんとゆんゆんに恨み言をたっぷりと言っていると流石の戦兎さんも悪いと感じたのかこうしてギルドで食事を奢って貰う事になったのだ
「しかし戦兎さんの発明品のおかげで異世界でもコーラが飲めるなんて本当にありがたいですよ」
戦兎さんの発明品であるドリンクバーにはコーラといった俺の居た現代ではお馴染みのジュースが入れられておりと同じ様に飲めるのは本当に有り難かった。
現代世界で生きていた時に良く読んでいたライトノベルでは主人公は普通に異世界の食事文化に馴染んでいたが実際に自分が同じ立場に置かれると普段から当たり前にあった馴染みのある物が無くなるというのは精神ストレスが以外と大きく何時も物足りなさを感じていたのだ
「カズマの言う通り此処は俺達が住んでいた現代社会から見れば不便で仕方はないがこの世界に来て良かったと思える事が一つだけある」
戦兎さんはそう言いながら大皿に乗っているサラダから逃げ出そうとしているミニトマトを素早く持っていたフォークではたき落とすと素早くそのフォークで刺し近くに置いてある小皿に入っているドレッシングに浸すとそのまま口に入れた
「この世界の野菜は無茶苦茶美味い。前の世界に居た時は余り野菜を食べなかったがここに来てからは良く食べるようになったな」
戦兎さんの言う通り確かにこの世界の野菜は滅茶苦茶美味い…美味いんだが…
俺はコップに入っていた野菜スティックを取ろうとするが野菜スティックは俺の手をかわす。気を取り直した俺が今度はサラダにドレッシングをかけようとするとサラダは皿ごと空を飛んで逃げようとし…
「何で野菜が生きて動いてんだよ!!何でドレッシングをかけると暴れるんだよ!!舐めてんじゃねぇぇぇ!!!」
俺は持って居たフォークを地面へと思いっきり叩き付けた
「いきなりキレるなよカズマ、それともアレか?最近噂のキレやすい若者かよ?」
「戦兎さんも何普通に受け入れてんだよ!!可笑しいと思ってんのは俺だけか!?」
俺は両手で頭を抱えてテーブルに突っ伏しているとギルド内から緊急放送が流れてきた
「緊急!緊急!冒険者の皆さんは至急アクセルの街入り口に集合して下さい!」
その放送を聞いた冒険者達は急いで街の入り口へと向かって行く
「戦兎さん今の放送は?」
「分からないもしかしたら何が緊急事態かもしれない急ぐぞ!」
俺と戦兎さんは頷き合うと冒険者達から遅れてギルドから出て行く
遅れること数分俺と戦兎さんが街の入り口に到着すると先に到着していた冒険者達でごった返しており俺達が何とか人の波を掻き分けて行くと同じく放送を聴いていたのかゆんゆんとアクアが先に到着しており俺達の到着を待っていた
「来たわねカズマにめぐみん。とうとうこの日が来たわよ!」
「ふふふ、腕がなるわね!!」
どうやらふたりともこの騒動の原因を知っているらしく俺は意を決してふたりにこの騒動の原因を聞いた
「ふたりともこの騒動の原因は一体何なんだ?もしかしてモンスターの襲撃なのか?」
「何言ってるのよカズマ?今日は年に一度の一大イベント…キャベツ狩りよ!!」
「…キャベツ狩り?…キャベツってのはアレだよな?緑色でみずみずしいあのキャベツだよな?」
俺は脳裏に嫌な予感が浮かんだがそれから目をそらすかのようにアクアに問いかけるが…
「カズマこの世界のキャベツは空を飛ぶのよ、毎年この時期になると栄養を蓄えた美味しいキャベツは人に食べられないように新天地へと旅立つのそして見知らぬ何処かの遠い土地に辿り着くと人知れずにひっそりと朽ちていくのよ」
「ていうかキャベツが飛ぶのは常識なのにそれを知らないカズマさんは一体どんな田舎に住んでたの?」
地球では野菜は飛ばないしサンマも畑で採れたりはしないんだよ!!そうツッコミたくなった時めぐみんが俺の肩にふれ
「カズマ、諦めて下さい。私もその気持ちは2年前に味わいました…この世界で生きて行く以上はこの世界の常識に慣れていく事が一番なんですよ」
そんなめぐみんの先輩としての言葉はとても重く彼女が慣れるまでどんな苦労をして来たかよく分かった…さっきのめぐみんに対する暴言は撤回しよう。俺は内心そう決めた
「そう言えばめぐみんも記憶が混乱していた頃キャベツが飛ぶ事を知った後しばらくは寝込んでわね。その時は本当に心配したのよこんな当たり前のことも忘れちゃったんだから」
そんな事を言っているゆんゆんはめぐみんの事を心の底から心配しているのが分かった
「皆さん!!今年のキャベツは大変出来が良く一個一万エリスで買い取らせて頂きます!!なので多くのキャベツの捕獲をお願い致します!!」
ルナがメガホン(めぐみんの発明品のひとつ)で周りにそう説明すると周りの冒険者達の歓声が一際大きくなる。
…正直言って今すぐに帰って寝たいところだがテンションの高いアクアとゆんゆんを放って置く事は出来ずに大人しくキャベツ狩りに参加する事にした。めぐみんも同じなのかため息を吐くとカイゾクハッシャーを取り出して其れを俺に渡して来た
「カズマ、キャベツ狩りにはコイツを使って下さい。カズマが持っているスキルでは心許ないのでこういった遠距離用の武器があれば多少はまともに動ける筈です」
「うぉぉぉ!!これが本物のカイゾクハッシャーか!!遠慮なく使わせて貰うけどホントに良いんだな!!」
「構いませんよ私には新しく開発した武器があるので」
そう言ってめぐみんが取り出したのは仮面ライダービルドではお馴染みのメイン武器であるドリルクラッシャーだった
「漸くドリルクラッシャーの復元に成功したので今回はその試運転です。まぁその相手がキャベツというのは少し切ないですが…」
「来るわよ!!めぐみん、カズマさん!」
ゆんゆんの言葉と共に地平線から緑の大群…キャベツの大群がやって来る
「「「キャベツ狩りだァァァァ!!」」」
という冒険者達の叫び声と
「マヨネーズ持ってこ〜い!!」
そんなアクアの叫びと共にキャベツ狩りが始まった
クエスト開始!!(アクセルの街に飛来するキャベツをゲットしろ!!)
「金だ金だ金だ金だァァァァ!!」
「ヒャャャャハァァァ!!!」
血走った目で冒険者達は我先にとキャベツの群へと向かっていき持っていた武器でキャベツを次々と仕留めて行く
「狙撃!狙撃!狙撃!」
そんな中俺はめぐみんからカイゾクハッシャーを借りた後アーチャーから狙撃スキルを教えて貰い(スキルを教えて貰う条件として後でしゅわしゅわ一杯奢る約束をした)キャベツを淡々と撃ち落としていく
因みに狙撃スキルは幸運値が高い程命中率が上がるので幸運値の高い俺にはうってつけのスキルなのだ。
「続いて…『スティール』!!」
そしてスティールでキャベツの羽を奪うと地面に転がっているキャベツを次々と回収して行く
「『ライトオブセイバー』!!』
ゆんゆんの魔法が飛んでいるキャベツ達を撃ち落とし
『ゴリラ』
「うりゃ!そりゃあ!!」
めぐみんがドリルクラッシャーのブレードモードの状態でソケットにゴリラフルボトルを装填する事で拳型のエネルギーをドリルクラッシャーに纏わせてキャベツ達をまとめて叩き落として行く
「数が多過ぎます!ここはこれで一網打尽にしましょう!」
そう言うとめぐみんはビルドドライバーを腰に取り付けるどうやらまとめてキャベツ達を捕らえるつもりらしい
『ラビット!タンク!ベストマッチ!!』
『Are you ready?』
「変身!!」
『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ! 』
「アクア!!敵を呼び寄せる魔法を使って下さい!!」
「はぁ?何でそんな事をしなきゃいけないのよ!?」
「じゃあ良い事教えてやるよ!!アクアお前が手に入れたキャベツは全部レタスだ!!つまりはキャベツよりは金にならない!!でも此処で俺に協力をすれば損した分は取り戻せるぞ」
「嘘言って私を騙そうたってそうはいかないわよ!嘘をつくならもうちょっとまともな嘘しなさいよ!!」
「そうか、なら後で後悔すると良いさ。鳴いても喚いても助けてあげないからな!」
「わ、分かったわよ!やれば良いんでしょ!やれば!!」
アクアはめぐみんの圧に屈したのか大人しく言う事を聞く
…今後何があった場合はめぐみんにアクアの事は任せようかな?そんな事を内心考えている間にアクアは敵を呼び寄せる魔法を使う
「『ホルスファイヤ』!!」
空に花火らしき物が打ち上がるとキャベツ達はアクアの居た地点に向かって集まって行く
「良くやったアクア!!」
めぐみんはそう言うとアクアを抱えて高くジャンプをしアクアの居た地点にキャベツが充分集まったのを確認するとベルトのボルテックレバーを回してキャベツの群れに『ボルテックフィニッシュ』を決め狙い通りにキャベツ達を一網打尽にする事に成功する
こうして今年のキャベツ狩りは大成功で終了したのだった
クエスト終了!!(キャベツ大豊作!!)
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「何でだよ…何で只のキャベツ炒めがこんなに美味いんだ…納得出来ねぇ」
カズマは心底納得出来ないという表情を浮かべながらキャベツ炒めを食べておりアクセルはキャベツ炒めを肴にしゅわしゅわを飲んでおりゆんゆんはロールキャベツ(こちらにロールキャベツがあったのは驚いた)を美味しそうに食べていた
「めぐみん!貴女が沢山キャベツを取れたのはこの私のサポートがあったおかげなんだからちゃんと取り分を寄越しなさいよね!」
「分かってますよ約束通り損した分はちゃんと渡すので安心して下さい」
アクアは俺の話を聞いて心底嬉しそうな笑みを浮かべると近くに居たウェイトレスに追加注文もして行く
「めぐみんアクアを余り甘やかさない方が良いぜ?アイツは直ぐに調子にのるからな」
カズマは小声でそう俺に話しかけてくる
「一応はこちらの頼み通りに動いてくれましたし働いてくれた分はちゃんと返してあげないと可哀想ですよ。…後で女神の魔力は研究の為頂きますが」
俺の言葉に一応は納得したのかカズマはそれ以上言う事は無くしゅわしゅわを一気飲みした後他の冒険者達の騒ぎにアクアと混ざり一緒に騒ぎ始めた
個人的には酒は嗜む程度にしか飲まない上に余り騒ぐのも好きではない俺は早めに宴会を切り上げるともう少し食べていくというゆんゆんをギルドに残してウィズの店に一足先に帰る事にするとお土産にキャベツ料理をいくつかテイクアウトするとウィズの店へと向かう
そしてギルドからウィズの店に到着すると店番をしていたウィズにお土産であるキャベツ料理を渡した後地下のラボへと向かうとキャベツ狩りの際にキャベツと冒険者達の魔法から回収して置いたエンプティボトルを浄化装置にセットした後パソコンを立ち上げてドリルクラッシャー以外に最近復元を開始したとあるベルトの図面を開いた
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ここはアクセルの街から遠く離れた土地にある古びた城、昔はとある王族か貴族かが使っていた別荘のひとつらしかったが今は誰にも使われずに朽ちていた。しかしとあるアンデットがつい先日この城へと移住してきたらしいそのアンデットの名前はベルディア…魔王軍幹部のひとりだ
そしてそのベルディアが王都ではなくこんな辺境の地にきたのにはある理由があった
「魔王様からの命令でこんな辺境の地に来たのはいいが本当にこんな場所にいるのか?魔王様が警戒を抱くほどの力を持っただ人間が」
そうベルディアがこの地にやって来たのはアクセルの街にて降りて来た巨大な光の調査の為だったのだ。
魔王様曰くとんでもなく強い聖なる力を感じたという事だが俺にはイマイチ信じる事が出来ずに寧ろ最近アクセルの街に現れ上級悪魔を倒したとされる仮面ライダーと呼ばれる戦士の方に興味があった
そんな事を考えながら王の間にひとり座っている俺は壁にかけてある赤いパネルを手に持っている頭で見つめた
「それにしても魔王様から預かったこの赤いパネルは一体なんなのだ?噂によると王都にもこのパネルがあるというし俺以外の幹部にもパネルを受け取ったらしいが…」
このパネルはこちらに任務で来る前に魔王様から直接預かった物だ。魔王様によると他にも何枚かパネルは存在しており全てのパネルが集まった時とてつもない力が生まれるらしいが…
「如何にも胡散臭い話だ。魔王様には悪いが俺はそんな物には興味はない騎士たる者己の力で強さを力を手に入れる物だ」
ベルディアはアンデット…デュラハンとなる前はとある王国に仕えているひとりの騎士だったが彼の功績を妬んだ者達によって覚えのない罪に問われギロチンの刑にされた過去があったのだ。
その時の無念により彼はアンデットとして蘇り自分を嵌めた人間達には復讐を果たしたがそれでも彼は騎士道精神を捨ててはいなくそんな未知の力を使うよりも己の力で強さを手に入れる事を望んでいるのだ
「騎士道精神って奴かねぇ…そんなモン持ってた何処で何の意味もねぇてのによぉ」
「ッ!!誰だ!?」
ベルディアが椅子から立ち上がり声のした方向を見ると先程まではいなかった筈の柱の影にひとりの男が立っていた
「俺の名はブラッドスターク。あんたは魔王軍幹部のベルディアだろ?ちょいと俺の計画に協力をしてくれないか?」
「ふざけた事を言うな!!第一貴様いつの間に侵入した!いつからそこにはいたのだ!?私の部下が沢山居た筈だぞ?」
「あんな雑魚がいくら居ようが俺の相手にはならねぇよ。それで俺に協力をしてくれるのか?」
「貴様の様な得体の知れない奴の力など借りんわ!!」
ベルディアは大剣を抜くと素早く間合いを詰め大剣をブラッドスタークに振り下ろそうとするが…
「酷いねぇ俺は平和的に話し合いをしに来ただけだってのによぉ」
ブラッドスタークはベルディアの攻撃をスチームブレードで受け止めていたのだ
「馬鹿な!俺の剣を受け止めただと!?」
狼狽えているベルディアの胴体にブラッドスタークは素早くトランスチームガンを押し付けるとゼロ距離射撃を食らわせる
流石のベルディアも此れには堪らず地を転がりブラッドスタークはそんなベルディアに歩いて近づくと手にしていたボトルをベルディアの中に植え付けた
ボトルを植え付けられたベルディアはその場にうずくまり苦悶の声を上げているがそれも直ぐに収まると先程とは比べ物にならないオーラを纏った状態で立ち上がった
ブラッドスタークはその様子に満足気に頷いた後何時ものようにトランスチームガンで煙幕を貼り姿を消す
「凄い…凄いぞ!!この力は!!この力があればもう恐る物などないわ!!」
ひとり残ったベルディアは大剣を掲げながらそう叫んだ後生き残っていた配下のアンデット達を集めて当初の予定通りに強い光が降りてきたと報告を受けたアクセルの街へと調査へと向かう
そしてその手に赤いパネルが握られていた…ここから本来カズマ達が辿る筈だった歴史とは少しずつだが確実に隔離が始まって行くのだった。
カズマはめぐみんとふたりきりの時はめぐみんの要望通りに戦兎として接しアクアやゆんゆんがいる場合はめぐみんとして扱っています。
其れを差別する為に意図的に地の分では戦兎とめぐみんを使い分けています分かりづらかったらば申し訳ありません。
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