冬将軍戦で一度死に生き返ってから一週間たった。あれからはクエストには行っておらずに戦兎さんの手伝いをして過ごしていたが今日は特に手伝いも無いという事で散歩にしていたのだ
「ん?あれは…」
辺りをキョロキョロと見渡しながら路地裏へと入ろうとしているダストとキースがそこにいた
「ダストにキールお前達こんな何処で何やってんだよ?」
「「うひゃあ!!!」」
そんな俺の言葉に驚いたのかダスト達は変な叫び声を上げる
「なんだカズマかよ!驚かせるな!!」
「それはこっちの台詞だ!!…で?お前達はこんなところで何やってんだ?」
俺の言葉を聞いた後ダストは周りキョロキョロ見渡たすと俺の襟首を掴んで路地裏へと引っ張り込んだ
「良いかカズマ、これからお前をある店へと連れて行く。其処はこの街に住む女性冒険者達には一切知らされてはいない、いわば男性冒険者達にとってのオアシスなんだ」
「もし、お前がこの事を街の女性冒険者に知らせた場合は…このアクセルに住む全ての男性冒険者達がお前の敵となりお前の命を狙う事になるだろうな」
ダストとキースがそんな物騒な事を俺に言って来る。それにしても男性冒険者達とってのオアシスか…丁度今日はやる事が無くて退屈してたところだし行ってみるか
「わかった、誰にも言わないから俺も連れて行ってくれよ」
俺の言葉を聞いたダスト達は安心した表情を見せると人目を気にしながら路地裏の奥へと進んで行き俺はふたりの後を追って奥へと歩いて行く
「カズマ、このアクセルの街は他の街に比べてかなり治安が良い事を知ってるか?」
路地裏を歩いているとダストがふとそんな事を口にする
「冒険者ってのは基本的には死となり合わせの世界だ。特に王都や魔王軍の侵略が激しい場所では特にな、だから男性冒険者により性犯罪が後を絶たねぇんだよ」
「だからこそそれを防ぐ意味合いも兼ねて所謂そういうサービスをメインとした宿や店が何処の街にもあるんだか、このアクセルの街にだけはそういった物は一切存在してないんだよ。それなのにこの街ではそういった犯罪は全くと言ってもいい程起こっていないんだ」
ダストの言葉にキースが補足するようにそう説明してくる。…転生してくる前にたまにやっていたエロゲーやネットで読んでもいたエロ本でそういうのを見た事がある。どうやらこの世界ではそういう事が実際に起きているらしいそれならば何故アクセルの街ではそういった犯罪が起きてはいないのだろうか?
「その理由がこの店だ」
ダストが指差した先には一軒の喫茶店が立っていた
「見た感じ只の喫茶店なんだかこの店が本当に男性冒険者にとってのオアシスなのかよ?」
「店の中に入ってみれば分かるさ」
店の中に入ると店内はピンク色の照明に照らされており全体的薄暗い雰囲気をうけたがそれ以上に目を引くのは店内にいる女性店員の服装だった
「「「うぉぉぉぉ!!!」」」
兎に角エロイ!!エロ過ぎる!!店員の殆どが裸に近い姿をしておりその姿に俺は目を奪われているとダストとキースが鼻息を荒くしながらこの店についての説明を始める
「驚いたか!!ここはなサキュバスが店員をしている店なんだよ!!」
「只でさえ男性冒険者は普段は色々と溜まる事が多いのにそれを発散させる事が出来ない!!そんな俺達にとっての救世主といっても良い場所がこの店なんだ!!」
ダスト達が説明を終えたのを見計らって店員のひとりと思われるサキュバスが俺達に近づいてきた
「いらしゃいませ。このお店をご利用するのは今回が初めてでこざいますか?」
「いや、俺とキースは今回で2回目で初めてなのはこいつです」
ダストの言葉を聞いた店員は俺に接客スマイルを向けた後俺達をそれぞれ違う席へと案内するとサキュバスの店員が俺に一枚の用紙を差し出す
「それでは初めてのお客様にこのお店について説明をさせて頂きます」
そういうとサキュバスの店員は身体をクネクネと官能的な動きを見せる。それを見た俺は不覚にも自分の喉がゴクリとなるのを感じた
「ここではお客様のご要望通りの夢を見せる事が出来るお店です。その見返りとして多少の精気を頂きますが日常生活には何の支障はありませんのでご安心下さい」
成る程サキュバスはそうして男性冒険者から精気を得る代わりにその見返りとして要望通りの夢を見せてくれるという訳か上手い具合に共存関係が構築されているんだな
「お客様の好みの女性のタイプと容姿そしてシチュエーションをお書き下さい」
「好みのタイプとかシチュエーションとか制限は無いんですか?」
「ありません。お客様がどんなシチュエーションを望んだとしても全て実現が可能です。過去には幼い少年となって気の強いお姉さんに犯されたい。または女性の立場となって快感を味わいたいというお客様がいらっしゃいました」
サキュバスの言葉を聞いた俺はほんの少しだけこの街の男性冒険者は大丈夫なのか?と感じたがそれ以上にサキュバスの言葉は魅力的であった
「因みに好みの子の容姿というのは憧れのあの人は勿論二次元嫁なんかも可能でしょうか?」
「二次元嫁というのは分かりませんが可能です」
「後になってから訴えられたりとかはしないですよね?」
「しません。何故なら『夢』ですから」
最高過ぎる!!最高過ぎるじゃないか!!サキュバスの淫夢サービス!!この店があれば世の中は平和になる!!
俺が感激に震えていると近くの席に座っていたダストの書いている用紙が目が止まりこっそりと覗き込むと書いている内容が目に入った
『天才科学者の黒髪と赤目の少女がお兄ちゃん大好きと言って迫って来る』
…これって間違いなくめぐみんの事だよな?でもめぐみんは戦兎さんで…うん。この事は戦兎さんとダストには黙っておこう…俺はそう決心した
そして用紙を書き終え意気揚々と店から出ようとした時に戦兎さんに声をかけられた
「おや、珍しい場所で会いましたね。カズマもここのお茶がお気に入りなのですか?」
「いや、俺はお茶を飲みに来たわけじゃ…」
そこまで言うと俺は凍りついたそして思わず思っていた事を口にしてしまう
「めぐみん!?なんでこんな所に!?」
「ここは私の契約先のひとつです。今日はこの店設備を点検する為に来ていたんですよ?」
「じゃあめぐみんはこの店がなんなのか知ってるのか?」
「まぁ、一応は。ここのサキュバス達はこのアクセルで静かに暮らしていたいと願っているだけですし男性冒険者も理解した上で利用しているので何も言いませんが…」
そこまで言うと近くのサキュバスを睨みつけ
「もしこの店とは関係ない人間の精気を吸ったりして被害が出た場合はその時は私が全力で貴女達とこの店を叩き潰しますから」
そう言っている戦兎の圧に屈することなくサキュバスはにっこり笑い返すと
「我々も貴女を敵に回す事はしませんよ…私達はあくまでもこの街で平穏にひっそりと暮らしていきたいだけなので」
「ならその言葉を信じる事にしましょう」
その会話を最後に戦兎さんは喫茶店から出て行く俺も用紙に記入し終えていたので一緒に店を出るとそのまま魔道具店へと向かって歩いて行く
戦兎さんがそういった事に理解がある人で本当に良かった。ていうか戦兎さんも元は男だったのだから色々と思ったんだろうなぁと俺は思った
もし戦兎さんが自分もそのサービスに出ている事を知ったらどうするだろうか?…辞めておこう。余りにも痛々し過ぎる俺の立場だったらトラウマになるぐらいに
「どうしたんですかカズマ?」
俺の様子がおかしい事に気づいたのか戦兎さんが声をかけて来る。そんな戦兎さんに何でもないと言って安心させると早歩きで先へと進んだ
そして魔道具店に帰って来た俺達をウキウキした様子のウィズが出迎えた
「お帰りなさいめぐみんさんカズマさん、今日は物凄い御馳走ですよ!」
ウィズはそう言うとひとつの箱を差し出してくる
「これは…もしかして霜降り赤蟹ですか?」
霜降り赤蟹?俺がめぐみんに詳しく聞こうとすると
「霜降り赤蟹はすっごく高級品で私達庶民には滅多に口にする事が出来ない一級品なの!!」
俺の疑問に答えるようにハイテンションの状態でそう言うゆんゆん
「それは私の実家から送られて来た物なんだ。だから遠慮なく食べて貰って構わないぞ」
どうやらこれはダクネスの実家から送られた物らしい。それなら遠慮なく頂く事にするか!
俺は内心そう決心すると霜降り赤蟹は一体どんな味なのかワクワクしながら夕食を待つのだった
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その日の夕食は大変素晴らしかった霜降り赤蟹…高級品なだけあって非常に美味だ。只でさえそのままでも充分美味いのにそれを焼き蟹や蟹鍋などにして食べるのだから堪らない、特にウィズなんて涙を流しながら食べておりそのまま昇天してしまいそうな勢いだった。そんな中アクアが蟹の甲羅鍋で酒を飲み始め(この世界では子供でも飲めるが俺は元の世界でもあまり酒を飲む方ではなかった為に飲む気にはならなかった)ているのを見ていたダクネスとウィズもその甲羅酒を堪能していたがカズマは酒には一切手をつけずにそのまま就寝する為に部屋へと戻っていた。
それを珍しそうにアクア達が見つめていたがその理由を知っていた俺は苦笑いを浮かべた
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夕食を終えた俺はラボへと戻ると改めて開発作業に入る
ラビットタンクスパークリングフルボトルの復元に成功したがそれでもこれからの戦いには更なる力が必要だと判断している俺は新たな装備の開発に取り掛かっていた
そしてその装備の開発には前のベルディアとの戦いで入手したパンドラパネルの力が必要な為開発と同時に解析作業も進めていだがそれ以外にも俺の頭を悩ましている事がある
「ナイトローグとブラッドスタークの変身者は一体誰なんだ?スタークは一体誰に乗り移っているんだ?ナイトローグは一体誰が変身しているんだ?」
余りにも謎が多過ぎる。それに出来る事ならば周りの人間を疑いたくはない…周りを疑って疑心暗鬼になるのはごめんだ
俺は自分の中でそう結論付けると一旦自分の中にある疑心を払うすると喉が渇いていた事に気づいたので気分転換も兼ねてラボから出るとカズマ達の騒ぐ声が聞こえて来た
俺が何事かと声の聞こえた方向に辿り着くと其処にはアクアとダクネスにゆんゆん。そしてその3人にタコ殴りにされたカズマが倒れておりそして極めつけに逃げて行くサキュバスを見て俺は全てを察した
「全く!私の神聖な基地に悪魔の匂いが染み付いちゃうじゃない!塩をまいて置くわよ!!」
そう言って塩をばら撒いているアクア
「めぐみん聞いてよ!!この基地にサキュバスが侵入していたみたいなの、その上カズマさんが操られてホント大変だったんだから!!」
「ううう…あんな辱しめに合わされるなんて…あのサキュバス今度会ったらぶっ殺してやる!!」
ひとり怒り狂うダクネスと顔を真っ赤にしながら先程の事を思い出しているゆんゆん
そして俺は比較的に冷静だったアクアから詳しく聴くとなんでもダクネスが風呂に入ろうとした時には先に入浴していたカズマと鉢合わせしたそうだ。
それだけならば普通の話なのだろうがそこから話が可笑しな方向へと向かって行く。カズマがこれは夢だのリクエスト通りだのダクネスは変態な所に目を瞑れば良い肉体をしているだのと訳の分からない事を言い出すとダクネスに所謂いやらしい事を強要させようとしたらしい
その時アクアが潜入していたサキュバスに気づき捕縛しそのまま討伐しようとした時にやって来たカズマがサキュバスを庇い出しその時にやって来たダクネスからカズマがサキュバスに操られている事を知り今に至ったらしいかった
それらを聞いた戦兎は真実を知らないというのは幸せな事だなぁと思ったのだった。
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次の日俺とカズマはふたりで店前の掃除していた
「なぁ、戦兎さんあの事は…」
カズマは不安そうな顔でそう話しかけてくるそして俺はそんなカズマを安心させるように
「誰にも言わないさ、でもあまりのめり込まない様にしろよ?必要以上に通うのは反対だからな?」
「マジでありがとうございます!」
まぁ、カズマの気持ちも分からない事はない。年頃の男子には住んでいる環境がきつ過ぎるもんな俺が内心そう考えていると俺達の耳に街の緊急放送が入った
『デストロイヤー警報!デストロイヤー警報!冒険者の皆さんは大至急ギルドに集まって下さい!!』
……デストロイヤーってなんだ?
俺とカズマは突然の放送に首をかしげる事しか出来なかった