ギルドから連れ出された俺はそのまま警察署らしき場所へと連行されると牢屋の中へと放り込まれた
「取り調べは明日行う。今日はここでゆっくり過ごすがいい」
「分かりました」
俺はセナに促されるままに牢屋の中に入っていく。 その気になれば逃げ出す事など簡単なのだがそんな事をしたら自分から罪を認めるようなものだ、そんな真似は出来ればやりたくはない。
……最後の手段として一応考えてはおくが…それに俺の予想が正しければもしかしたらアルターブには『あの力』が後ろ盾にあるのかもしれない。
それにしてもこの世界の裁判は一体どんな形で行われるんだ?俺やカズマ達が居た世界にように弁護士や検事などはいるのだろうか?…あまり考えたくはないが裁判ってのは形だけであの領主に冤罪をかけられたら最後そのまま死刑判決が下ったりするんだろうか?
俺はそう考えながら牢屋にある布団(床にボロいシートを敷いただけのもの)に座っていると先に牢屋に放り込まれていた人物が居たのか、誰かの声が聞こえた。
「やっぱりお前も捕まったのかよ、めぐみん。この国のお偉いさん方はマジて腐ってやがるな」
目の前には俺よりも先に捕まっていたらしいダストがやはりという表情を見せながらこちらを覗いていた。
「ダストさん、何故貴方が捕まっているんですか?」
…ダストの奴、一体何やったんだ?ていうか幾ら容疑者とはいえ男女同じ牢屋に入れるか?
「実はなお前達がギルドにやってくる前に色々とやらかしてな…お前の方は国家転覆を測った容疑だろ?」
「知ってるならば話は早いです。何でもコロナタイトの転送先が領主の屋敷らしくてその所為でこのざまですよ」
そこまで言うとダストは俺を慰める様に
「気にすんなよめぐみん。お前がそんな事やる奴だと誰も思ってねぇよ、それは俺が保証する、悪いのはお前を犯罪者扱いするお偉いさん達さ」
「そう言ってくれると気が楽になりますよ…まぁ、領主が怪我をひとつもしてないのはいささかムカつきますがね」
俺の言葉を聞いたダストは大きな声で笑いだした
「ああ、本当に残念だ!どうせならば怪我のひとつぐらいしてくれた方が良かったのにな!俺だけじゃなくアクセルの街に住んでいる連中は殆どそう思ってるだろうよ、そこで人の話を盗み聞きしている兵士達もな」
そんなダストの話を聞いた兵士はビクッと肩を震わせていた。そして俺はダストの言葉を聞いている内に少しだけ気が晴れている事に気付くとダストの方を静かに見る
ずっと前から思っていたことだがダストは何かを隠している。普段はダメ人間ぷりを周りに見せつけている為に誰も気づいてはないが…それが一体何なのか、何故其れを隠しているのがは分からないがいつかは教えてくれる時はくるだろうか?
俺はほんの少しだけダストと一緒の牢になった事に感謝するとダストと下らない世間話をしながら1日を過ごした。
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そして翌日、俺は朝一番に牢から出されると取調室へと連行された。部屋の中には俺とセナ、それと護衛らしき騎士ふたりだけであった。
俺が部屋の中を見渡していると騎士に急かされたので部屋の中央にある机の前に座るとセナが俺の正面の席に腰掛けた。
「今から取り調べを行う。貴様の言い分次裁判における貴様の立場が不利になる可能性もある。よく考えて発言するように」
セナはそう言うと小さなベルを取り出して俺の目の前に置く
「コイツは嘘を見抜く魔道具だ。このベルの前では嘘は通用しないと思うが良い」
…成る程、嘘発見器みたいなものか。結構面倒なものを用意してるな。そう思った俺は一応は性能を確かめる為に簡単な嘘を口にする
「……私は男です」
チリーン。
俺の言葉にベルが鳴る。……成る程
「流石は天才科学者と呼ばれるだけはあるな、理解が早くて助かる」
セナが感心したようにそれ告げてくる。確かにこの魔道具の前ではない下手な嘘は通用はしないだろう。しかし其れを利用すれば逆に俺は嘘をついていないと証明する事が出来る。
俺が上手くセナを味方につけようと考えているとセナが俺に対する尋問を始めた。
「名前はめぐみん…紅魔族の出身で…年齢は14歳、アクセルの街では色々と有益な発明品を開発し其れを利用した商売も行っていると…そして職業は仮面ライダー…では、貴様が持っている技術とそして仮面ライダーとは一体なんなのか言ってもらおうか」
「出身地は紅魔の里です。技術に関してはは学生の時に魔力を有益に利用しようとした時に見たヒーローの姿を見て思いつきました」
俺の言葉にベルは鳴らない。
………やはりな。
「紅魔の里か…成る程、では次に貴様が何処でその仮面ライダーをみたのかを述べろ」
「はい。仮面ライダーを見たのは夢の中です。私は2年前に事故で頭を打って意識不明になった時にそんな夢を見たんです…例え周囲の人から称賛されなかったとしても見返りがなかったとしても戦い続ける彼らの姿に感動したんです。…今、思えばアレは夢ではなくこことは違う異世界の記憶だったのかも知れません」
…またしてもベルは鳴らなかった。
当たり前だ。俺は嘘をひとつもついてはいない。セナに話した内容も俺が旧世界で体験した事なのだから…その為ベルが鳴る事もない。
そしてこの魔道具は『嘘』をついた人間に反応する。それはつまりついた本人が『嘘』だと思わなければ反応しないのだ。
それが分かれば幾らでも手の打ちようがある、嘘ってのは真実にほんの1%含ませるだけで信憑性が増すのだ。
後はセナの質問に対する機転と素早い判断力。それさえ気を付ければこの取り調べを切り抜ける事が出来るだろう
「それでは領主殿に怨みなどはなかったか?調査によると貴女が所属しているパーティーは領主殿に怨みを抱いていたそうじゃないか」
「そりゃ恨みを抱くのに決まっていますよ。ベルディアを倒した時は報酬金どころか借金を背負わされたのですよ?しかも今回は命をかけて街を助けたのに国家反逆罪の容疑をかけられて逮捕。怨みを抱かれて当然だとおもいませんか?」
俺の話を聞いたセナはオレに対して同情の視線を送り始める。そりゃあ、年端もいかない幼い少女がこんな不当な目に遭っているのだ。同情を覚えるのは当然だろう。
「私の方も聞きたいのですが貴女達は本当に領主の言い分をそのまま信じたのですか?幾らなんでも横暴というか領主としての品性を疑いますよ?セナさん達はなぜあの領主に従っているんです?誰も彼の領主としての適正に疑問の声を上げなかったのですか?」
俺の言葉にセナが図星をつかれた様な表情になる。どうやらあの領主、人望はゼロらしい、そんな奴がどうして領主を務められているのが益々不思議だ。
「……めぐみんさん。あまり過ぎた口を聞けない方が良いですよ?確かに私も領主殿には良い印象は持ってはいませんが取り調べでその様な反抗的な態度を取っていると貴女の裁判での立場が苦しくなります」
俺の言葉にセナはそう苦言を呈する。ま、セナの立場上そう言うしかないよな。しかしだからといって此処で引くつもりもない。
「手っ取り早く終わらせたければいっその事『お前は意図して領主の屋敷に向かってコロナタイトを吹き飛ばしたか』って聞いてくれませんか?そうすれば私が本当に意図して屋敷に向かってコロナタイトをテレポートさせたかどうかは分かる筈です」
セナは俺の言葉を聞くと直ぐにコロナタイトを領主の屋敷にテレポートさせたのは意図した物なのかを聞いてくる、勿論聞いたところでベルが鳴る筈がない。
あれはコロナタイトのテレポート先が偶々領主の屋敷だっただけのいわば事故のような物だ。寧ろ何故有事の時に領主は屋敷にいなかったのか、どうして地下室にいたのか其方の方を追求すべきだろう。
それを聞いたセナは俺の話に納得は出来たのか
「……分かりました貴女の言葉には嘘は無いようですね。今まで申し訳ありませんでした」
先程とは正反対である丁寧な口調になったセナが俺に謝罪してくる。この人はあくまで職務を遂行しただけだろう、容疑が晴れたとはいえ責め立てたりする気は起きない。
調子に乗って好き勝手やった挙句に墓穴を掘ったらどうしようもない。…何故だろうか、そのビジョンがありありと脳裏に浮かんだぞ?
「セナさんも色々と大変ですよね?仕事上仕方がないとはいえ、やりたくもない尋問しなくてはいけないのですから…折角ですから何でも聞いて下ってかまいませんよ?どの道裁判は行われるのですから少しでも私の行動には何の問題はなかったと証明して置かないといけませんからね」
「そうなると、このまま取調室で取り調べを続けることになってしまいが良いのですか?」
「別に構わないです。このまま牢に戻っても暇なだけですから」
「調査へのご協力、感謝します」
ここで不利になりそうな情報や証拠は修正しておいた方が良い。なんせ、公平に裁判が行われるがどうかさえも怪しい。
裁判で聞かれそうな疑惑や情報を事前に提供してくれるならば何の問題もない
「それではなく後ひとつだけめぐみんさんに質問したい事があるのですが、宜しいですか?」
「何でも聞いて下さいと言ったのはこちらなので構いませんよ?」
しかし一体何を聞かれるんだ?自分で言うのはアレだが疚しい事はしたつもりはないが
「実は領主殿の方から貴女は魔王軍幹部と繋がりがありアクセルにはスパイの役目を持ってやって来たと聞いていたので…」
……そうか、そういう手で来るんだな。アレクセイ・ バーネス・アルダープ。
「知らず知らずのうちに魔王軍に与する人と仲良くなっていたってことはあるかもしれませんけど、少なくとも、魔王軍だと知っていながらその人と知り合ったってことは一度もありませんし、人間を裏切ろうと思ったこともないですよ」
当然この質問にもベルは反応しない。ウィズと初めて会った時はまだウィズが魔王軍幹部である事は知らなかったのだからならないのは当たり前である。
「セナさんも本当に大変ですね。どんなムカつく相手でもの裁判をやる以上はそんな奴の側に立たないといけないのですから」
「これも私の仕事ですから慣れてはいますよ、こちらこそ数多くの実績を立てている貴女に容疑に掛けた上に裁判を受ける事になるなんて本当に申し訳ありません」
俺はセナの言葉に同情を感じていると外に続く扉から騒ぐ声が聞こえてくると扉が外側から開かれた
「お久しぶりですね…めぐみんさん」
其処にはふたりの側近を連れたベルゼルグ王国の第一王女…アイリス王女がそこに居た
「ア、ア、ア、アイリス様!?何故こんなところに!?」
「めぐみんさん、貴女と取引しに参りました」
「取引?…妙にタイミングが良すぎじゃないか?まるで…最初からあんたに仕組まれていたようだ」
「あ、貴女!アイリス様になんて口を!!」
セナが顔を真っ青にして騒ぎ立てるが俺もアイリスも其れをスルーする
「貴女はこのまま行けば死刑は間違いでしょう…しかし、貴女がライダーシステムとその技術を全て王家に提供してくれるのならば私の一存で刑を取り消す事ができます。これは貴女にとっても悪い話ではない筈です」
「成る程、全ては貴女の思惑通りって訳か。死刑を見逃す代わりに技術の提供を求める…上手いやり方だな」
「何の事でしょうか?」
そんな白々しいアイリスの言葉に俺は
「もし、断ったら?」
そう言うとアイリスは小馬鹿にするような笑みを見せると
「私がその気になれば貴女のお仲間を共犯者として捕らえる事もアクセルの街にあるギルドも潰すのは簡単なのですよ?」
「それは脅しと取って構わないんだな、アイリス様?」
「お好きにどうぞ、それでは良い答えをご期待してますよ?めぐみんさん」
そう言うとアイリスは側近を連れて取調室から出て行くと緊張感から開放されたのかセナが力が抜けたように椅子に座り込んだ
「まさか、こんな場所にアイリス様がいらっしゃるとは…めぐみんさん貴女は一体…」
「私は何処にでもいる只の天才物理学者ですよ?」
「いや、天才物理学者というのは何処にでも居ないと思うのですが?」
そんなセナの突っ込みを無視すると俺は牢屋へと戻り明日の裁判に備えて眠りについた。
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