この素晴らしい天才物理学者に祝福を!!   作:血の一族

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この素晴らしい縁談に祝福を!!

「こんの馬鹿がぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「私だけが悪いんじゃないもん!カズマだってみんなだって喜んでくれたじゃない!」

 

 

「うっせぇ!!こうなりゃお前のヒラヒラを売っぱらってやるからそれをよこしやがれ!!」

 

 

「いやぁ!これは私が女神であることの唯一のアイデンティティなの!それを奪わないでぇぇぇ!!」

 

 

地下ラボから上がってきた俺の目に写ったのはアクアのヒラヒラを奪い取ろうとするカズマとそれをオロオロとして見ているだけのウィズの姿だった

 

 

「一体何があったんですか?」

 

 

「聞いてくれよめぐみん!コイツが昨日のクエストの報酬を全部飲み代に使いやがったんだ!」

 

 

カズマ曰く、昨日のキールのダンジョンで得た報酬をアクアが全て飲み代の支払いに使ってしまったらしい。まぁ、あんだけ飲んで騒いでたら金なんか無くなるわな

 

 

「カズマ、落ち着いて下さいよ。アクアだけの所為ではないでしょう?周りに奢ると決めたのはカズマですしちゃんと自重しなかった貴方にも非はありますよ?」

 

 

「うぐ…そ、それはその通りだけど」

 

 

カズマも俺の言う通りだと思ったのか、反論はしてこなかった

 

 

「ほら!めぐみんも私だけの所為じゃないって言ってるじゃない!謝って!私が悪いって言ったことに謝ってよ!!」

 

 

「貴女は貴女で調子に乗りすぎです。貴女にも責任の一端が有るのを忘れないで下さい」

 

 

そう言って俺はアクアの頬を引っ張る

 

 

「ご、ごへんなふぁい!お、おねふぁいだから頬を引っ張らないで!!」

 

 

「ふぅ…念の為に手を打って置いて良かったですね」

 

 

アクアの頬を離した俺は溜息を吐いた後そう言った

 

 

「めぐみん?一体何の話をしてるんだ?」

 

 

カズマが不思議そうな顔で俺に尋ねて来たので俺はカズマに念の為に打っといた手の内容について説明をする

 

 

「ルナさんに頼んでカズマ達が得る予定であった報酬の一部を借金返済に充てるように頼んでいたんです。こんなことになるのは予想していましたから」

 

 

「流石に何も言い返せねぇ…一体いつになったらめぐみんの助けなく借金を返せるんだか…」

 

 

カズマは肩を落とした様子でそう言っていると入り口の扉を開けてダクネスが慌てた様子で店内に入って来た

 

 

「カズマ、めぐみん!頼む!私のことを助けてくれ!!」

 

 

そう言っているダクネスの服装は何時もの鎧姿ではなく黒いドレスと令嬢が被るような帽子をかぶっていた

 

 

「えっと…ダクネスで良いんだよな?」

 

 

普段のダクネスからは予想出来ない姿にカズマは混乱をしているようだ

 

 

「カズマ。気持ちは分かりますが彼女はダクネスで間違いないですよ?それで?ダクネスは何から私達を助けて欲しいのですか?詳しく説明をして下さい」

 

 

「そ、そうだな。詳しく説明する前これを見て欲しい」

 

 

そう言ってダクネスが懐から取り出したのは、一枚の写真だった。

 

カズマが代表してそれを受け取ると

 

 

「これって…イケメンの写真か?」

 

 

カズマの言葉を聞いて俺達が覗き混むとそこには爽やかなイケメンの姿が映っていた。

確かに写真に写っている青年の容姿はイケメンの部類に入るし、もし俺に戦兎としての記憶もなく普通の少女だったならば、一目惚れしても可笑しくはない容姿をしていた。しかも一目ですごく良い人だと分かるオーラも纏っているが…

そもそもこいつは何者なんだ?ていうか、この人とダクネスのピンチに一体どんな関係があるんだ?ダクネスが騒いでいる意味が理解出来ずにダクネスに直接聞こうとした時

 

 

「カ、カズマさん?写真をいきなり破ったりしてどうしたんですか?」

 

 

俺がウィズの方向を見るとカズマが受け取った写真を破りかけていた

 

 

「カズマ!お見合いの写真に何をしているんだ!?そんな事をしたら、お見合いを断れなくなってしまうだろうが!!」

 

 

「あ…いや、悪い。無意識に手が動いてしまって…」

 

 

「無意識って何だよ?カズマはイケメンに恨みでもあるわけ?」

 

 

俺はカズマの奇行に冷静に突っ込みを入れていると

 

 

「あの…ダクネスさんは先程この写真をお見合い写真って言いましたよね?もしかしてさんが言っている大変なことって…」

 

 

ウィズの言葉によりズレかけた話題を修正出来たので俺達はダクネスに詳しい事情を聞いた

 

 

「…つまり、話を纏めるとこう言うことですか?危険な冒険者稼業をやめさせたかったダクネスの父さんが以前からお見合いのセッティングをしていたと、でも、ダクネスとしてはまだ結婚したくないから今までは全て断っていた…それで良いんですよね?」

 

 

「その通りだ」

 

 

アクアが破れた写真を修理中なのでアクアを除いたカズマにウィズそして俺の3人でダクネスのお見合い対策をすることになった。

取り敢えず分かったことはダクネスのお見合いが今日の昼からあると言う事と、それを断る事は出来そうにないということだった。

 

 

「どうして今回に限って断ることが出来ないのですか?今まではなんだかんだで断っていたのでしょう?」

 

 

ダクネスの父さんの地位はそれなりに高い筈だ。断れるのは簡単な筈だし、何よりも見合い相手は若い。ダクネスの父さんよりも地位が高いとは思えなかった。

そんな俺の考えを分かったのか、ダクネスがその理由を俺達に説明してくる

 

 

「写真に写っているのはアルダープの息子なのだ。アルダープは先日の一件以降貴族として領主としての立場が苦しくなったようでな、何とか立場を立て直す為に今回の見合いを設定したのだ」

 

 

そこまで言うとダクネスは頭を抱えると困った様子で

 

 

「おまけに息子の方はアルダープとは違い黒い噂が一切ない上に実力も高く、周りの評価も高くてな…父も彼を高く評価しているだ。だから私と息子との結婚については乗り気なんだよ」

 

 

「成る程…事情は分かりましたがアルダープ一体何を企んでいるのでしょうか?この前の裁判の時にはダクネスに対して欲望を隠していませんでしたから」

 

 

どうして奴はダクネスに自分の息子との結婚を申し込んだりしたんだ?息子の幸せを祈るような男には見えない上にどちらかというと奴は自分の欲に率直な人間に見えるだろう。

 

 

「何かが引っかかります…奴に一体どんな魂胆があるんでしょう?」

 

 

奴の狙いが分からない。みんなで奴の狙いに付いて考えていると

 

 

「やったわ!写真が直ったわよ!!」

 

 

そう言って見事に直った写真を持ってアクアが俺達に近づいて来る。アクアが持って来た写真は破れたことが嘘ではないかと思ってしまう程綺麗に直っていた。

…こうも見事に直すなんてアクアは本当に器用だ。いっそのこと、こっちの道で生きた方が良いんじゃないのか?

 

 

「あの…ダクネスさんって一体何者なんですか?貴族からお見合いを受けたりお見合いを断ったり、普通の冒険者だとは思えないんですけど…それにめぐみんさんはダクネスさんの秘密を知っているようですが?」

 

 

ウィズの言葉に俺とダクネスは頷き合うとダクネスは意を決した様子で自分の素性を告白する

 

 

「私の本名は…ダスティネス・フォード・ララティーナと言う。なんていうか…そこそこ大きい貴族の娘だ」

 

 

「ダ、ダスティネス家ですって!?」

 

 

ダクネスの言葉にウィズは驚いたのか大声でそう叫んでいた

 

 

「そこそこどころか、王家の懐刀って呼ばれてる大貴族ではありませんか!!ダクネスさんは本当にあのダスティネス家の娘なんですか!?」

 

 

「ダスティネス家って一体どれだけ凄い家なんだよ?王家の懐刀って言われるだけだから大貴族なのは間違いないだろうけど…」

 

 

首を傾げているアクアとカズマと驚いた様子をしているウィズの姿が対象的だ

 

 

「分かりやすく言いますとダクネスの家はこの国でも有数のお金持ちと言うことと、とんでもない権力を持っているということですね。とはいえダスティネス家自体は倹約家で知られていて無駄な贅沢はしていないと有名ですが」

 

 

俺がダスティネス家についてそう説明すると

 

 

「めぐみんは何時それを知ることが出来たんだよ?そしてどうしてそれを俺達に隠していたんだ?」

 

 

話を聞いていたカズマが当然の疑問を俺にぶつけてくる

 

 

「私は仕事の関係上ダスティネス家と関わることがあったのでダクネスの素性を知ることが出来たんですよ。カズマ達に隠していたのもダクネスの意思だったのでそれを尊重しただけです」

 

 

俺の話を聞いたカズマは納得した表情を見せた後

 

 

「まぁ…ダクネスが例え大貴族の娘だとしても俺達の仲間である事には変わらないからな、これからも仲間としてよろしく頼むぜ?」

 

 

「カズマ…ありがとう。これからもよろしく頼む」

 

 

そう言って安心したように微笑むダクネス。

 

恐らく今までは正体を明かした結果パーティーを解散させられたか距離を置かれるなどの目にあったのだろう。だからこそ、自分の正体を知っても変わらずに受け入られたことが嬉しかったのだろう

 

 

「取り敢えずダクネスさんの素性の話はこれぐらいにしまして今はダクネスがどうやってお見合いを断ることが出来るのかを考えることにしましょう」

 

 

ウィズの言葉を聞いた俺達は頭を切り替えるとダクネスが如何にしてお見合いをせずに済むかを考え出す

 

 

「それなら私にある考えが有るんですが…」

 

 

俺は自分の考えを全員に話す

 

 

「例え断ったとしてもダクネスの父さんはまた勝手にお見合いのセッティングを始めると思います。だったらいっそのことを今回のお見合いを受けたらどうでしょうか?」

 

 

「一体何を言っているのだめぐみん!?私は見合いを受けるつもりはないと言った筈だぞ!?」

 

 

俺の言葉に焦った様子でダクネスはそう言ってくる

 

 

「勿論そのお見合いは成功させるつもりはありません。ダクネスが家の名誉を傷付けない程度に暴れる事で相手から断るように仕向けるんです。そうなればダクネスの父さんも次からは慎重になるかもしれませんよ?多分、ですが」

 

 

俺のアイディアを聞いたダクネスは満面の笑みを浮かべると

 

 

「よし、それで行こう!それが成功すれば、毎度親父の元に行って張り倒す必要がなくなる!!」

 

 

…毎度自分の父さんを張り倒してるのかよ、張り倒されているダクネスの父さんが不憫過ぎるな

 

 

「ですが、やり過ぎてしまいその所為でお見合いする相手が居なくなる事態になるのは避けなければならないですけどね」

 

 

付け加えるようにダクネスに俺はそう言うとお見合いを台無しにする為のサポートとして俺とカズマにアクアが使用人としてダクネスに同行し上手い具合に失敗する方向に先導していくことに決まり、俺達4人はダクネスの屋敷へと向かった。

 

 

************************

 

 

「ララティーナ、本当か!?本当に、今回のお見合いは受けてくれるのか!!」

 

 

そう言ってダクネスの父さんは興奮気味にダクネスの両手を掴む

話に聞いていた通りダクネスの父さんは大貴族の割には自分の娘には甘いタイプのようだ

 

 

「本当です、お父様。このララティーナ、この度のお見合いお引き受けしようと思います」

 

 

あのダクネスが何時もとは違ったお嬢様じみた言葉遣いを使っている。

普段の冒険者としてのダクネスの姿を知っている俺達は笑い声をあげないように堪える。だか、ダクネスにはそんな俺達の様子が見えているのか顔を真っ赤に染めて俯いていた。

 

 

「ララティーナ、此処にいる3人は」

 

 

「わたくしの冒険者仲間です。今回のお見合いにメイドと執事として同伴させようかと」

 

 

「成る程…ん?君はもしかして最近アクセルの街で有名な天才発明家のめぐみん君ではないかね?」

 

 

流石は大貴族。ダクネスの父さんは俺の噂を聞いているらしい。それと、一応修正しておくと俺は発明家ではなく天才物理学者なのだが…

 

 

「めぐみん君がララティーナと冒険者仲間だったとは知らなかったよ。君ならば安心出来るとは思うがそのふたりは…」

 

 

 

ダクネスの父さんはアクアとカズマのふたりを不安にそうに見る。俺と違いこのふたりは一般人だ。その上、執事やメイドとしての訓練を受けていないカズマ達が同伴したことで不備を起こされて、ダクネスや家の名が傷つくことを恐れているのだろう。

ダクネスの父さんには悪いが今回の目的がそれなのでどうしたもんかと考えていると…

 

 

「初めまして、私は日頃からララティーナお嬢様のお世話になっている冒険者のサトウカズマと申します。今回の件ですが、もしお嬢様が結婚となれば、一介の冒険者に過ぎない私達は、二度と顔を合わせることは出来なくなってしまうでしょう。ですから、お嬢様の仲間としてどのような方と結婚なされるのかこの目で拝見したいのです。無理な望みとは承知しておりますが、どうかお願い存じ上げます」

 

 

……誰だ。コイツ?今のカズマの姿を見てそう思ったのは俺だけじゃない筈だ。

 

 

************************

 

 

「こちらがメイド服と執事服です。カズマ様はお隣の部屋で、アクア様とめぐみん様はこちらの部屋でお着換えください」

 

 

メイドから執事服を受け取ったカズマは隣の部屋に入り、そして俺達はメイドからメイド服を受け取るとメイド服に着替え始めた。

…まさかメイド服を着ることになるとはな、これをバンジョウに知られたら間違いなく腹を抱えて笑われたことだろう。…旧世界の雑誌で見たことのあるメイド服とは違いメイドから渡されたメイド服は露出が少ないのは俺が見たのはメイドカフェやコスプレなどに使うものだったのだろう。

美空が着ていたメイド服なんてスカートが異様な短さで目線を逸らすのに苦労した。そんな事を考えてる内に着替えを終えたのかカズマが部屋に戻ってくる。

 

 

「二人とも、似合ってるじゃないか」

 

 

俺達の姿を見たカズマはそう言って褒め称えくる、中身は桐生戦兎のままなのだから褒められても全く嬉しくない上にまるで俺だけ罰ゲームを受けている気分になるのは何故だろう?

それにカズマはカズマで俺の正体を知っているので特に意識した様子はなく寧ろアクアの姿を見て何かを考え込んでいるようだった。…恐らく、これで中身も伴っていればなぁ…と考えているのだろうな。

まあ…否定のしようがないし面倒くさいから突っ込まないことにしよう。

一方で執事服を着ているカズマもお世辞にも似合っているのかと言われたら似合ってはいないと言ってしまうようなものであり。もし、本人に似合っているかと言われたら感想に困るだろう

 

 

「これで準備は出来たので行く事にしましょうか、確か…お見合いはこの家でやるのですよね?」

 

 

「ああ、そうなっている。3人とも手はずは分かっているな?変な事はしでかさないようにしてくれ。流石に庇いきれないないからな」

 

 

相手はこの土地の領主の息子、変な印象を与えることは避けるようにするつもりだ。そして屋敷の玄関には使用人達と俺達が並びその中央にはダクネスとダクネスの父さんが立っている。

…自分がまさかこういった光景に立ち会うことになるとは思わなかった。こういう光景は映画か漫画の中くらいでしか見たことがない。

商売上、何度か貴族の家にも行ったことはあるがこんな形で出迎えられたことなどはなかった。俺がそんなことを考えながらお見合い相手が来るのを待っていると

 

 

「しかし……お前がお見合いを受け入れてくれるなんて嬉しいよ。アルダープの奴からお見合いの話を持ちかけられた時は何事かと思ったが、あいつはともかく、息子のバルターは本当に良い男だ。きっとお前を幸せにしてくれるはずだ」

 

 

そんな事を言いながらダクネスの父さんはにこやかにダクネスに微笑みかける。

それに対して、顔を俯かせているダクネスはプルプルと肩を震わせていた。

…まさかダクネスは今此処で見合いの場を滅茶苦茶にするつもりか?

 

 

「いやですわね、お父様。わたくしはお見合いを受けると言いましたが、結婚するなんて一言も申しておりませんわ。今更止めようとしても遅い。ふっふっふっ、ぶっ壊してやる!二度と私にお見合い相手が出来ないように、滅茶苦茶に引っ掻き回してやる!!」

 

 

ダクネスの奴…完全に暴走仕掛けてやがる。見ろよ、ダクネスの父さんをこの世の終わりのような表情をしているぞ?ダクネスの気持ちは分からないでもないが、少しは父さんの気持ちを考えやれよ。

そしてお見合い相手がやって来たのか、玄関の扉がゆっくりと開かれるのに対してダクネスは何を待ち構えているのか腕を構えて仁王立ちをしていた。

 

 

「バルターよ、よく来たな!私の名はダスティネス・フォード・ララティーナ。これからはダスティネス様と呼ぶが……」

 

 

流石にこれは駄目だろ。

そう感じた俺がララティーナの後ろ首に手刀を落とすことで会話を強制的に中断させた。

 

 

************************

 

 

「めぐみん!どうして邪魔をするんだ!あともう一歩でお見合いをご破算にできたのだぞ!!お前は私に協力してくれるのではなかったのか!?」

 

 

ダクネスが涙目で俺達にそう訴えてくる。因みに見合い相手であるバルターにはダクネスは少し緊張しているということで、落ち着かせるという名目で隣の部屋に強制的に連れて来た

 

 

「確かにそう言ったが、家の名前に傷をつけない程度にという条件を忘れているだろ」

 

 

「ダクネス。気持ちはわかりますが少しは父さんのことを大切にしてあげてはどうでしょうか?あれでは余りにも不憫ですよ?貴女も父さんのことは嫌いではないのでしょう?」

 

 

「うっ……確かに父のことは嫌いでない。男手ひとつで私を育ててくれたのだからな。しかし、私は自分が決めた相手と結婚をしたいのだ、それにあの男は私のタイプではない。毎回、父がお見合いを持ってくる男にはロクでもない奴しかいなくてな」

 

 

確かに人の好みというのは十人十色で様々な形があるだろう。だが、見合い相手のバルターは元男の俺から見ても中々にイケメンだと思う(桐生戦兎だった時の自分には及ばないが)

 

 

「まず写真から分かる通り、顔がイマイチだな」

 

 

「そうか?こいつがいまいちだとミツルギなんてブサイクな奴になると思うが?」

 

 

カズマの最もなコメントに俺もアクアも頷き合う

 

 

「それに、評判も全く駄目だ。聞く話ではとても人当たりが良く、平民だからと言って差別はせず、こちらに非があれば素直に頭を下げ、家臣が失敗しても怒らずに、一緒に失敗の原因を考える変わり者らしい。また、剣術にも優れ、頭も良く。まるで絵に描いた理想のような貴族だと言ってもいい」

 

 

「ねぇ、ダクネス。聞く限りだとすごく良い男に見えるんだけど、どこが不満なの?」

 

 

アクアの言う通りにその噂が本当ならば優良物件じゃないか、何をそんなに不満に思う必要があるのか不思議だ

 

 

「どこが?だと!!全てが不満に決まっているだろ!!平民に頭を下げるとはなんだ!?それに私の好みタイプはあのように、出来る男とは違うのだ!!私が求めているのは私の身体をじろじろと舐めるような視線を向けるスケベ心と他の女にホイホイと飛んでいく意志の弱さが絶対条件なのだ!!後は日頃から仕事をしたくないと言いのたまっている、人生を舐めきった心と、何か悪い事があれば世間が悪いという、自分の責任を絶対に認めようとしているところがあれば尚良い!そして私はそんな男の元に嫁いで酷い目に遭わせれ、最終的にこう言われるのだ!『ダクネス。お前のその身体でカネを稼いでこい』っと…くぅ!んぁぁ………ッ!!」

 

 

ダクネスの余りにもアレな本音にその場にいた全員が節句する

 

 

「なぁ、めぐみんにアクア。こいつの頭を治せる発明品と治癒魔法はないのか?」

 

 

「残念だけど無いわね。私が治せるのは病気と怪我だけで元から可笑しいのは治さないもの」

 

 

「私の発明品も頭を治せるものはありませんね」

 

 

そんな俺達の話を聞いていたダクネスは何故か顔を赤くして息をはぁはぁとさせていたので俺はもう手遅れなのだなぁと考えていると

 

 

「兎に角、お前達が私の邪魔をするなら、私自身の力でお見合いをぶち壊してやるから覚悟しておけよ」

 

 

ダクネスは発情していた表情を引き締めると部屋から出て行こうとしたのを俺は引き止める

 

 

「ダクネス。お前の性癖については諦めたから何も言うつもりはないが、冒険者を続けたいならばもう少しちゃんとした理由をつけたらどうだ?今のお前じゃ、父さんを納得させることなんて出来ないぞ?もう少し父さんを大切にしないと、もしもという時に必ずお前は後悔することになる」

 

 

俺は父親であった葛城忍について思い出す。地球を守る為エボルトを倒す為に人類を裏切ったふりをし、命をかけて俺達を守ろうとしてくれた。俺がそんな父さんの真意に気づくことが出来たのは最後の時だった。その後、間も無く父さんはエボルトの手により殺されてしまった。あの時は死ぬ程後悔をした。もう少し父さんを信じられていれば…と

だからこそ、今のダクネスに忠告をする

 

 

「めぐみん…そうだな、その通りだ。私は…バルターに全て告白をしようと思う。その上で見合い話を断ることにするよ」

 

 

俺の言葉に感じるものがあったのかダクネスはそう言うと部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

「バルター様、私はまだ結婚を考えては居ません。仲間達と共に冒険者稼業を続けて行きたいのです、なので、これから私と貴殿で一対一の決闘をし、もし私が勝てたら貴殿とのお見合いはなかったことにしていただきたい」

 

 

大広間に移動したダクネスはバルターと向かい合うと自分はまだ冒険者を続けたい意思を伝え、そしてその上でバルターに決闘を申し込む。わざわざ決闘を申し込んだのは自分の覚悟がお嬢様のお遊びでなく、本気であると伝えたいのだろう

 

 

「…ララティーナ様、僕は騎士です。いくら事情があるとはいえ女性相手に手なんて上げられません」

 

 

そんなバルターの紳士とも言える言葉を聞いたダクネスは表情を厳しいものに変えると

 

 

「バルター様、私は自分の全てをかけてこの勝負にかけることにしました。それを貴方は私が女性だから自分は騎士だからといって受けないつもりですか!?…それは私の覚悟を愚弄する発言ではないか!?」

 

 

ダクネスの言葉を聞いたバルターもダクネスの覚悟に対して答えることを決めたのか、木刀を構えるとダクネスの振り下ろした木刀を華麗にかわした後、手に持った木刀を腹の辺りに叩きつける、普通ならばこれで勝負あったとなるところだが…

 

 

「どうした、これでお終いか?私はまだまだ大丈夫だぞ?」

 

 

そこにはピンピンした様子のダクネスがいた。そりゃそうだ、ダクネスは守備力だけは馬鹿高いからな、…普通ならば良いシーンに見える筈なのにそんなシーンには全く見えないのは何故だろうか?

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

「どうした、これでお終いか?私はまだまだ大丈夫だぞ?」

 

 

数分後、息を荒くして膝を先に地面につけたのはバルターだ。

正直、異常な硬さと高すぎる体力を持ったダクネス相手に木刀で勝てる道理はないし必然的にバルターの方が不利になる。

しかもダクネスはダクネスで木刀で何度も叩かれたことに興奮して喜んでいるのでかなり不思議ないや、かなり奇妙な光景が其処にはあった

ダクネスはそんなバルターに対して心底つまらないという表情になると

 

 

「カズマ、次はお前の外道さをこの男に見せてやれ」

 

 

そう言ってダクネスはカズマの方に木刀を放り投げた

 

 

「ダクネス、お前は一体何を言ってんだ!?そもそも誰が外道だ!!」

 

 

「ララティーナ様が認める男の力、僕も見て見たいな……」

 

 

カズマの突っ込みも虚しくバルターのその言葉によって決闘を受けなければいけない雰囲気になり、カズマは面倒くさげな顔をしながらも仕方なく木刀を拾う

 

 

「本当に良いのかダクネス?悪いが俺はお前に一切の手加減なしで行くぞ?」

 

 

「それで構わない!むしろそうしてくれ!!さぁ、お前の全力を私にぶつけてくれ!!」

 

 

…シリアスな雰囲気がいつの間にかシリアルに、こいつは本当にどうしようもないな。何故こいつがお嬢様なんだ?

このまま結婚させるか勘当させた方が家の為になるんじゃ?いや、駄目だな、こいつの性格を考えたら逆に喜びそうだ。

そしてダクネスとの対決を始めたカズマはいきなり片手を突き出すと

 

 

「『クリエイト・ウォーター』ッ!!『フリーズ』ッ!!」

 

 

カズマの奴、剣での勝負で魔法を使ってやがる。しかも水と冷気のコンボ技だ、酷過ぎる。

しかもダクネスはドレス一枚の状態の為、水を受けたことでドレスが透けて下着が丸見えになっていた、それには流石のカズマも予想外だったのか、バルターと共に顔を真っ赤にしている

 

 

「…くっ!!やるではないか、カズマ!!こんな真冬に水浸しにした挙句に、こんな辱めを与えるなんて…だ、だが私の心はこんな事で屈しないぞ!!」

 

 

「こんな真冬の中に女性を水浸しにするなんて……」

 

 

「流石が鬼畜のカズマさんね…そんなこと普通誰もやらないわよ?」

 

 

カズマをゴミを見るような視線を向けるアクアとバルター

 

 

「う、うるせぇ!!別に魔法を使っちゃいけないってルールはないだろ!!」

 

 

「いや、それでも普通は使わないのでは?」

 

 

バルターの突っ込みにカズマは顔を背ける

 

 

「流石はカズマだ…だか、其れが良いぃぃぃ!!」

 

 

ダクネスは顔を真っ赤にし発情しながらカズマに掴み掛かるがカズマが両手でダクネスの腕を掴むと

 

 

「『ドレインタッチ』!!」

 

 

カズマがドレインタッチによりダクネスから魔力と体力を奪い取っていく

 

 

「ド、ドレインタッチか、残念たが、この私の体力の高さは尋常ではないぞ?体力を全て吸われる前にこのままケリをつけてやる!!」

 

 

確かに素のステータスはダクネスの方が上だ、このまま行けばカズマがダクネスの体力を全て吸い取るよりも早くねじ伏せることが出来るだろう。

だが、それはカズマもわかっているのか

 

 

「お、おい、ここはひとつ賭けをしないか?勝った方が好きなことを命令出来るというなぁ?勿論どんなこともアリだ。もし、俺が勝ったらお前にしゅごいことを願ってやるよ…お前が後悔して死にたくなるぐらいになぁ〜」

 

 

カズマが物凄い悪どい笑みでそんなことを言っている。そんなカズマの言葉を聞いたダクネスはどんなしゅごいことを命令されるのかと考えたのか顔をみるみる赤くさせると理性の臨界点を突破したのか

 

 

「しゅ…しゅごいことぉぉぉぉ!!」

 

 

そう叫ぶとダクネスは仰向けで倒れて気を失った

 

 

「や、やったぁ…俺の勝ち」

 

 

流石に罪悪感を感じているのか顔を引きつらせながらカズマがそう言っているとダクネスの父さんが使用人達と一緒に大広間に入ってくる

 

 

「やぁ、ふたりとも調子はどうかな?少し一休みを…」

 

 

そこまで言うとダクネスの父さんがカシャン!!という音と共に手に持っていたワインボトルを落とす。

…今のダクネスの姿はびしょ濡れの状態で顔を赤らめた様子で気を失ってる、これはどう見てもアレな光景にしか見えないだろう。

アクアも其れが分かっているのかカズマとバルターを指さすと

 

 

「あのふたりがやりました」

 

 

「よし、処刑しろ」

 

 

「「違います!誤解です!!」」

 

 

いや、カズマの方は誤解とは言い切れないよな?内心俺はそう突っ込むと必死に弁明しているふたりに助け船を出した。

その後誤解が解けた為に俺達は気を失ったダクネスを連れて居間の方に移動した

 

 

「ここは……応接間か?私は……」

 

 

「ようやく気がつきましたか?どうして自分が気を失うことになったのかは覚えていますよね?」

 

 

「ああ、私はカズマとの勝負に負けて…まさか、私が気を失った後、口では言えない卑猥な事を私に!!」

 

 

「してねぇよ!何もしてねぇから!!誤解を招くようなことを言ってんじゃねぇよ!!」

 

 

「そ、そうなのか……」

 

 

こいつ…残念がってやがる。もう本当に手遅れになっているな…そんな俺の気持ちなんかつゆ知らずに冷静さを取り戻したダクネスは父さんの事を真っ直ぐと見据えると…

 

 

「お父様。バルター様。どうか今回のお見合いはなかった事にして下さい。実はこのカズマと言う男とわたしは既に…そしてこのお腹には彼の子供が……」

 

 

カズマがダクネスの言葉に呑んでいた紅茶を吹き出す

 

 

「お、お前ふざけんな!!本当にマジで何言ってんの!?」

 

 

「そうか、お腹の中にカズマ君の子がいるのなら仕方ないですね。では私は帰ることにしましょう。お見合いは私から断ったいう事にしておきましょう。その方が都合が良いでしょうしね」

 

「お前もお前で変な誤解をしてんじゃねぇよ!!」

 

 

そんなカズマの言葉を無視するとバルターは爽やかな笑みを浮かべながら立ち上がる。

ダクネスはこの人と結婚した方が良いと思う。普通の人ならばこんな人に結婚と言われたら大喜びするだろう。

 

 

「兎に角、これで見合い話を破断に出来たしそろそろ帰ることにするか」

 

 

俺がそう言って椅子から立ち上がると

 

 

「ま、孫。わ、私の娘に初孫が…」

 

 

ダクネスの父さんが涙を流しながらそう言っていた。

…どうすんだよ。この状況、物凄くややこしいことになってるじゃないか。

その後、俺とカズマの必死な説明により何とか誤解が解け一息をつく為に使用人達に改めて入れて貰った紅茶を飲んでいると…

 

 

「めぐみんさんは!めぐみんとそのパーティーの皆さんはここに居ますか!!」

 

 

俺達のお茶の時間を打ち破るかのようにセナさんが居間に扉を開けて入って来た




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