この素晴らしい天才物理学者に祝福を!!   作:血の一族

9 / 41
『天才物理学者の桐生戦兎はアーネスとの激闘を終え遂にアクセルの街へと到着したのだった』


『ねぇ、戦兎さん。そろそろアクセルの街に来た本当の目的を教えてくれませんか?』


『本当の目的?ゆんゆんは何を言っているんだ?』


『惚けても無駄ですよ!戦兎さんがアクセルの街に来たのは商売以外にも目的があるのをちゃんと気づいているんだから!!』


『分かったよ、ゆんゆん。俺がこの街に来たもう一つの理由を説明してあげよう!!』


『ゴクリ…』


『その答えは…今からやる第9話を見れば分かるよ』


『戦兎さんメタいです!!』


『てな訳で第9話スタート!!』




この素晴らしい冒険者の街に祝福を!!

「ここがアクセルの街ですか…紅魔族の里とアルカンレティアとは違い穏やかな街ですね」

 

 

「アクセルの街は比較的に平和な街で有名なのよ、魔王軍の進行もここまで来る事はないから冒険者達の殆どはここの街から始めているのよ」

 

 

ゆんゆんの言う通りにアクセルの街は穏やかな雰囲気に包まれており平和的なのが伝わって来た。確かに冒険者の旅立ちの場としてはこれ以上に相応しい場所はないなと考えているとどう見て中堅レベルの冒険者が道を歩いているのが見えた

 

 

「ゆんゆん。中堅レベルの冒険者もたまに見かけますが彼らは何故ずっとアクセルの街にいるんですか?普通レベルが一定以上になったら拠点を移す物寝なんですよね冒険者って?」

 

 

「普通はそうなんだけどアクセルの街には王都にも通用するレベルを持ってる男性冒険者が滞在してるっていう話があるのよ。もしかしたらそれだけアクセルの街が素晴らしいところって事かもしれないわね」

 

 

「駆け出しの頃からお世話になった街に恩返しをする為にアクセルの街で活動を続けるなんて…良い話じゃないですか」

 

 

めぐみんとゆんゆんは高レベルになってもアクセルに滞在している冒険者達を義理堅く素晴らしい人々だと考えているが実際のところは中堅レベルになってもアクセルの街に居座り続けている理由は街にあるとある喫茶店が原因なのだがそれはまた別の話である。

 

 

「めぐみん、この謝礼金はどうするの?」

 

 

ゆんゆんが手にしている革袋には大量の金貨が入っている。アーネスを倒した時に一緒にいた乗客の中にいたとある商会の会長から謝礼として謝礼金を貰ったのだ、初めはゆんゆんと一緒に受け取るのを断ったが無理矢理に渡されてしまいしょうがなく受け取ったのだ

 

 

「旅費に関してはウィズさんのところで世話になる予定ですから問題はありませんがあって困る物ではありませんしまだ色々と物入りですから有り難く使わせて頂きましょう」

 

 

そんな事を言いながら歩いているととある武器屋のショーウィンドウの前で俺は足を止めた。ショーウィンドウには綺麗な細工がされた小刀が飾らせており俺はその小刀の美しさに目を奪われていると隣にいるゆんゆんが俺に負けないぐらいに小刀に釘付けになっているのが分かった

 

 

「ゆんゆん。この小刀が欲しいんですか?」

 

 

「えっ!?いや、其れは…うん。欲しいと思ってるよ。だって近距離用の武器を持ってれば魔法だけじゃ対応出来ない敵にも対処出来るでしょ?」

 

 

「ゆんゆんも色々と考えているんですね…分かりました。謝礼金もある事ですしその小刀を買いましょう!!」

 

 

俺はそう言うとゆんゆんから革袋を奪うと店の中に入りショーウィンドウに飾られていた小刀を購入すると外で待っていまゆんゆんに小刀を渡した。

 

 

「ゆんゆん、これは私からのプレゼントです。遠慮なく受け取って下さい」

 

 

「ちょっと待ちなさいよ!こんな高い物を貰う訳にはいかないしめぐみんもこれが欲しかったんじゃないの?」

 

 

「確かに細工が綺麗だと思っていましたが欲しいとは一言も言ってませんよ?其れに私にはライダーシステムがあるんですよ?」

 

 

「でも…やっぱりこんな物を何の理由もなく貰うのは…」

 

 

「じゃあ、ゆんゆんには普段からお世話になっているのでそのお礼って事でどうでしょう?親友の貴女なら受け取ってくれますよね?」

 

 

「も、勿論受け取るのに決まってるじゃない。親友のめぐみんの贈り物を断らないわよ」

 

 

デレデレしながらそう言っているゆんゆんを俺はスルーすると先程のついでに買った地図で道を確かめながらある目的地へと向かって歩いて行く。そして数分後に目的地である魔道具店へと到着すると俺はドアを開いた

 

 

「いらしゃいませ!!…ってめぐみんさんとゆんゆんさんじゃないですか、成る程到着の日って今日だったんですね」

 

 

俺達にそう言っているのは茶髪のロングヘアーで死人の様に白い顔をした女性…ウィズさんが俺達を出迎える

 

 

「ウィズさん。私が作った魔道具の売り上げの方はどうですか?」

 

 

「はい!それはもう凄く売れますよ!めぐみんさんが作ったかとりせんこーとすたんがんが冒険者の人達に後主婦の人達にぴーらーとすらいさーが沢山売れてますよ」

 

 

そう言うウィズは前よりも良い生活を送れるようになっているのか前に会った時よりも顔色とツヤが良くなっているのが分かった。

 

 

「ウィズさん、前にも言った通りにこの店に商品を下ろす代わりに貴方のお店に住まわせて貰うという条件を覚えていますよね?」

 

 

「勿論覚えています!めぐみんさんの頼んだ通りに地下室を作って置きましたよ!後貴女が送ってくれた設備をギルドの冒険者の皆さんに運び込んで貰いましたがよろしかったんですよね?」

 

 

「はい。構いませんよ。それでは早速ですがその地下室へと案内して貰えますか?」

 

 

「分かりました。それでは此方へどうぞ」

 

 

ウィズに案内された俺達は店の裏側にある小さな扉の前へとやって来る。するとウィズは持っていた鍵で扉を開けると地下室へと入って行く。そして階段を降りると其処には前の世界で使っていたラボをそのまま再現した空間があった

 

 

「めぐみんさんの要望に出来る限り答えましたがこの設備は一体何に使うつもりなんです?」

 

 

「新しい商品の発明と魔王討伐の為の装備作りです。私は本気で魔王討伐を考えているので」

 

 

俺の言葉を聞いたゆんゆんとウィズが固まる。そう言えばゆんゆんには俺が本気で魔王討伐を考えている事を伝えていなかったなと考えているとウィズが妙に狼狽大量に冷や汗を流しているがどうかしたんだろか?

 

 

「めぐみん…本当なの?本気で魔王討伐を考えているの?」

 

 

「勿論ですよ、私にはどうしてもやらなければならない理由があるんです。やらなければいけない理由が…」

 

 

俺が魔王討伐をしなければならない理由はひとつ。それはこの身体の本来の持ち主であるめぐみん本人の為だ。エリスが言っていた本来の歴史ならばめぐみんはいずれは魔王討伐を成功させるパーティに加入しそして近い将来魔王討伐に貢献する事になっていた。しかし俺がめぐみんになってしまった所為で彼女の人生を運命を奪ってしまった。だからこそ俺は彼女の代わりに果たさなければならないのだ魔王討伐を

 

 

「ゆんゆん、私が魔王討伐を果たさなければならない理由を今話す事は出来ません。でも貴女には話せる時時が必ず来ます。その時まで私を信じて待っていてくれませんか?」

 

 

俺の真剣な眼差しを受けたゆんゆんは暫く考え込んだ表情見せた後

 

 

「…分かったわ。めぐみんがそう言うなら今は聞かないわ、めぐみんが話してくれるのを待ってるから…」

 

 

「…ありがとうゆんゆん。」

 

 

俺はほんの一瞬だけ桐生戦兎としての表情を出すとゆんゆんに礼を言うと話を聞いていたウィズがパンと手を鳴らすと非常に興味深い事を言い出した

 

 

「めぐみんさん、ゆんゆんさん、魔王討伐をする為には魔王城に乗り込まなくては話になりません。でも城には魔王軍幹部達により強力な結界が張られています。其れを正面から破るのは不可能ですよ?」

 

 

「でも結界を破る方法はあるんですよね?」

 

 

「はい。魔王城を守っている結界を破りには結界を張っている魔王軍幹部を倒す事。魔王軍幹部をひとり倒す事に結界は不安定になります。そうですね…幹部の人数か2.3人ぐらいになれは結界を破る事が出来るようになるとおもいますよ?魔王城の結界を破れるだけの力を持ったアークプリーストが居ればの話ですけど」

 

 

ウィズさんは魔王城の事には随分と詳しいのか俺達にそう説明してくる。しかしウィズさんは魔王の事について詳しい過ぎる…そう、まるで『魔王の関係者』であるかのように…そんな俺の視線に気づいたのかウィズさんは申し訳なそうな表情になると俺達の度肝を抜く事を平然と言った

 

 

「すいません、まだ言ってませんでしたね。私はこう見えても魔王軍幹部のひとりなんですよ…ってちょっと待つ下さい!ゆんゆんさんもめぐみんさんも武器を構えて近づかないで下さ〜い!!」

 

 

ウィズさんの言葉を聞いたゆんゆんは小刀を俺はカイソクハッシャーを構えながらジリジリとウィズさんに近づいて行く。ウィズは涙目になりながら必死で俺達の事を制止する為に声を上げている

 

 

「まさかこんなに優しい人が魔王軍幹部だったなんて…危うく騙されるところだったわ!」

 

 

「ウィズさん。貴女が魔王軍幹部である以上此方は貴女の事を見逃す訳にはいかないんだ。悪く思わないで下さい」

 

 

「お願いですから私の話を聞いて下さい!確かに私は魔王軍幹部ですが人をこれまで傷つけた事は一度もありません!!魔王様から結界の維持だけを頼まれているなんちゃって幹部なんですよ!!だからお願いですから話を聞いて下さい!!」

 

 

余りにも必死な様子でそう言うウィズに俺とゆんゆんは武器をしまいウィズの話を聞く事にした

 

 

「ウィズさん。貴女は魔王軍幹部で間違えないんですよね?其れなのに人を傷つけた事はないとかなんちゃって幹部だとかその辺りをもう少し詳しく説明して下さい」

 

 

「昔魔王様と約束したんです。結界の維持だけをして貰えるなら好きに過ごしても良いとだから私は魔王様との約束で結界の維持だけをしているんです。因みに私以外にも結界の維持だけをしている人が居るんですよ」

 

 

「話は分かりました。でも人間である貴女が良く魔王とそんな約束事を出来ましたよね?」

 

 

「私は普通の人間ではありません…私の正体はアンデット達の王である不死王(リッチー)です」

 

 

リッチー?そう言えば紅魔族の図書館でこの世界の事を調べていた時そんな名前のモンスターがいた事を俺は思い出した。リッチー…またはノーライフキングと呼ばれるアンデットのモンスターは高い魔力を持ったアークウィザードが寿命という概念から逃れる為に禁術により生まれ変わった存在でありこの世界で初めて最も恐れられているモンスターのひとつである。

 

 

リッチーは強力な魔法防御をもつ上に魔法のかかった特殊な武器しか効かずにしかも触れるだけで状態異常を引き起こし相手の魔力や生命力を奪う事が出来る。その為に冒険者達からは伝説級と言われているアンデッドである。…その話が本当ならば俺達は大ピンチじゃないか?そう思った俺はゆんゆんの顔を見るとゆんゆんもリッチーの恐ろしさを知っているのか顔を真っ青にしていた。

 

 

「ウィズさん。貴女はどうしてリッチーになったりしたんですか?寿命から逃れる為にリッチーになった訳ではないんですよね?」

 

 

「はい…私がリッチーになったのは私のパーティメンバーを助ける為です。…かつて私はあるパーティに所属していました。そのパーティは自分で言うアレですがとても優秀な戦績をいくつも収め王家からも表彰された事もありました」

 

 

そう言っているウィズさんの表情はその時の事を思い出しているのか遠い目をしていた。するとウィズの話を聞いていたゆんゆんは何かを思い出したのか声をあげた

 

 

「思い出しました!ウィズさんは昔凄腕のアークウィザードとして活躍をしていて戦う姿から氷の魔女と呼ばれていたんですよね?」

 

 

そう言っているゆんゆんは興奮しているのか目が紅く光り輝いて少し怖かった。ウィズも同じ気持ちなのかほんの少し後ずさるがすぐに気を取り直すと改めて口を開いた

 

 

「確かにそんな名前で呼ばれていた時もありましたが其れは昔の話で今はしがない魔道具店の店主ですよ」

 

 

「ウィズさんの過去は分かりました。そんな貴女がどうしてリッチーになりそして魔王軍幹部をやる事になったんですか?」

 

 

「私がリッチーになったのは私のパーティのメンバーを守る為です。先程もお話した通り私達のパーティは多くの功績を挙げていましてそのおかげで王都から正式に魔王軍幹部の討伐を依頼されたのです。…其れが全ての始まりでした。依頼を受けた私達は魔王軍幹部のひとりと壮絶な戦いを繰り広げました。しかし相手には魔王様の加護を受けており私達が不利になるのは当然の話でした。しかし私や他のメンバーの協力もあり次第に相手を追い詰めていきました。しかしその時に私達は相手から死の宣告を受けてしまったのです」

 

 

「死の宣告…って確か掛けられた人間は必ず死ぬという魔法ですよね?」

 

 

「はい。それにより私達は全員1ヶ月後に死ぬ運命となり私達は呪いを解く為に色々な手を尽くしましたが呪いを解く事は叶わずに時間は淡々と過ぎていきパーティー内に諦めの空気が流れ初め皆さんは思い残す事がないように思い思いの時間を過ごすようになりました」

 

 

「ウィズさんを除いて…ですよね?」

 

 

「はい、私は諦める事が出来ませんでした。私は何としても呪いを解く為にあらゆる分野の本や資料を読み漁り遂に呪いを解く方法をみつけたのです。それが…」

 

 

「リッチーとなる事、だったんですね」

 

 

ゆんゆんの言葉にウィズは頷く

 

 

「そして私は知り合いであるとある悪魔に頼り彼の力でリッチーに生まれ変わるとその力で私達にかけられた呪いを解いた後に私は私達に呪いを掛けた相手に再戦を挑みました。そしてその戦いの最中に魔王様の目に止まり私は魔王様の頼みで魔王軍幹部をする事になったんです。そしてリッチーとなり人の身を外れた私は冒険者を引退してこの街で魔道具店を開き、今に至るという訳です」

 

 

仲間達を救う為に人間である事を捨てる。そんな強さを持っているウィズさんを俺は素直に尊敬した。ゆんゆんもそんなウィズさんの話に感動しているのか涙を流していた。そして俺はウィズさんが何故アクセルの街で魔道具店を開いているのか、今のウィズさんの言葉でその理由にも見当がついた

 

 

「もしかしてウィズさんがこの街で魔道具店をしているのはこの街が仲間達との思い出の場所だっただからですか?」

 

 

「はい。めぐみんさんの言う通り、この街には沢山の思い出があるんです。仲間達との沢山の思い出が…私がこの街で魔道具店を開いたのは其れが理由なんですよ」

 

 

「とても素敵なお話ですね…あの、ウィズさんは冒険者に復帰するつもりはないんですか?」

 

 

ゆんゆんが遠慮がちにウィズさんにそう言うとウィズさんはゆんゆんの言葉に軽く首を横に振り

 

 

「リッチーになった時に決めたんです。魔王様を倒すのは今を生きる冒険者達の役目であり私がやるべき事ではないと。だから私は冒険者の皆さんの利になる事は決してしませんし魔王軍の利となる事もやりません。中立の立場を取らせて貰っているんです」

 

 

つまりそれは俺達がピンチに陥ったとしても手助けをするつもりないという事らしい。其れは魔王軍幹部に対しても同じらしいが…兎に角ウィズさんの背景を理解した俺はウィズさんに対する戦闘態勢を解く。ウィズさんは其れにホッと胸を撫で下ろしていた

 

 

「さて、話はこれくらいにしまして今からめぐみんさんとゆんゆんさんの歓迎会をしましょう!この日の為に美味しいお店を調べておいたんですよ!」

 

 

そう言うとウィズさんはニコニコ笑いながら準備をする為に店に併設させている自宅スペースへと入って行く

 

 

「まさかウィズさんが魔王軍幹部だったなんて…」

 

 

「でも、私達とは敵対するつもりはないみたいなので心配は要らないでしょう。其れに私の発明品素晴らしさが分かるならばそれだけで信用に値します」

 

 

「私もウィズさんの事は信用できると思うけど…でも、めぐみんの其れって思いっきりめぐみんの主観と偏見が入ってるわよね?」

 

 

俺は余計な事を言ったゆんゆんに蹴りを入れる。そして準備が終わったウィズさんがやって来たので俺とゆんゆんはウィズさんのオススメのお店に行きそのまま俺達の歓迎会を初めた。そして冒険者ギルドへは明日行く事にしたのだった。

 

 




第9話終了です。感想と評価をお待ちしています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。