精霊使いとキル姫使いと銃姫使い   作:大城 零

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大城「早速ですがゲスト紹介です。リンさんとパラシュさんです。」

リン「よろしくね。」

パラシュ「よろしく。」

パラシュ「それにしてもまさか僕がここに出るなんてね。」

リン「大城は出てくるキャラ全員を出すつもりでいたみたいだよ。」

パラシュ「そうなのかい大城?」

大城「そのつもりでいたんですけど、キャラの喋り方が曖昧過ぎて諦めてます。」

リン「今更なのにね」

パラシュ「まあ、無理だけはしないでくれよ?」

大城「善処します。」

パラシュ「心配しつつ、注意事項だよ」


※ 誤字・脱字、読み難い所の存在、キャラ崩壊など


リン「これらが大丈夫な皆は楽しんで読んでください。」





第39話 堕ちる者

仲間と別れてから俺はすぐに居た街を離れ、別の近くの街へと向かい3日程経った。

お金の方は異族から救ったお礼として今まで貰っていたので困ることはなかった。

最初は断っていたのだが「それでは私たちのケジメになりません。」などと言って無理矢理受け取ってもらおうとしてくるのでこちらが折れる形となりお金を受け取った。

 

 

暁「この辺りに町があるって話を聞いたんだが………、お?あれか。」

 

 

少し遠いがそれらしきものを目視できた。

 

 

暁「さて、検問を通れればいいんだけど」

 

 

俺は向かいながらふと思ってしまった。

今までカミトやクレア、リンスレット、フィアナにエリスといったこの世界では有名な人たちがいてくれたおかげで信頼されて検問を通ることができていたが、今回は俺一人だ。

見知らぬ冒険者、いや今は放浪者か、そんな奴を入れてくれるところなんてあるとは思えない。

 

 

暁「どの道行くしかないか~。」

 

 

街がだいぶ近くなってから気付いた。

街の前で異族がその街の兵達と戦っていた。どうやら見たところ兵を総動員して異族と戦っているみたいだった。だが異族の予想以上の力とその量には勝てないようで兵が後ろに下がりつつあった。

 

 

暁「あれ以上下がると街の中に入られるな。」

 

 

暁(だがどうする?今の俺は1人だ。1人であの数の異族を相手にできるのか?)

 

 

俺の中で助けに入るべきかどうか葛藤していた。

いつもの俺なら迷わずに助けに入るはずなのに、この頃どうも迷うようになった。

 

 

暁「いや、迷うな。異族は俺の敵、それが目の前にいるんだ、ならやるしかない。」

 

 

風魔法で飛んでいた俺は兵士側に着地した。

 

 

兵士A「何だ君は!?」

 

暁「通りすがりの放浪者です。そんなことより今は戦力が必要ですよね?お手伝いします。」

 

兵士A「何を言っているんだ君!!ここは大人に任せて子供の君は何処か安全な場所へ………」

 

暁「そんな悠長なことを言っていていいのですか?このままだと町の中に入られますよ?」

 

兵士A「そんなこと君には関係がないだろ!!君みたいな子供が戦力になるはずがないだろ。ふざけたことを言うんじゃない。おい誰か、この少年を連れていけ!!」

 

 

どうやら俺が話しかけた兵士は指揮官クラスの人だったみたいで、他の兵士に俺を連行させようとしていた。だがお節介やきの俺はそのまま連れていかれるつもりはない。

 

 

暁「はぁ~。」

 

 

溜め息を出した俺は魔力で武器を創りだす。それを見た兵士たちは驚いた顔をしていた。

 

 

兵士A「君は精霊使いだったのか!?」

 

暁「少し違いますがまぁそんなところです。」

 

兵士A「だが君一人が戦闘に加わったところで何になる?」

 

暁「見たらわかりますよ。それで戦闘に参加させてもらっても?」

 

兵士A「・・・・・・・わかった。」

 

暁「承諾、ありがとうございます。」

 

 

指揮官クラスの方はどうやらまだ疑っているようだ。

まぁ当然だな。急に現れて何とかするので戦闘に参加させてくれって言われてすぐに信じる奴なんてそうそういない。すぐ信じる奴なんて余程の御人好ししかいないだろう。

 

 

暁「さて、行きますか!!」

 

 

戦場に立つと異族の大半がこちらに来た。

俺はそれを正面から異族を斬り捨てて向かい打った。

 

 

暁「今回はそこまで数がいないな。」

 

 

暁が戦闘に参加してからというもの異族はどんどんと数を減らし、兵士たちの負担が少なくなってきていた。この事実を見せつけられた兵士たちは驚くほかなかった。

 

俺が戦闘に参加してから数時間が経った。

 

 

暁「こいつが最後」

 

 

剣を振り下ろし最後の1体が灰となり消えて行った。

 

 

暁「ふ~、終わった終わった。」

 

 

戦闘が終わり俺が一息ついていると兵士Aがやってきた。

 

 

兵士A「驚いた。君がここまで強いなんて、失礼なこと言って悪かった許してくれ。」

 

暁「当然の反応ですから別に気にしてませんよ。」

 

兵士B「隊長!」

 

兵士A「どうした?」

 

兵士B「領主様がお待ちになられております。」

 

兵士A「わかった。すぐに向かおう。ところで君」

 

暁「何でしょうか?」

 

兵士A「少しついてきてくれるか?領主様に話しておきたいのだ。」

 

暁「分かりました。」

 

 

今回の異族襲撃の件だろう、指揮官クラスの兵士から報告をするために付いてきてくれと頼まれた。急ぎの用事はあるがここで断ると後々後悔しそうなので付いて行くことにした。

 

 

暁「ええっと~、ここ・・・ですか・・・。」

 

兵士A「ああそうだ。」

 

暁(いやいやいや、「そうだ」の一言で片づけないでください!!)

 

 

俺の目の前に広がるのは広大な敷地だった。

クレアやリンスレット、エリスの屋敷もすごかったがこれはもう、屋敷ではない。

 

 

暁「城じゃねぇか………」

 

兵士A「こっちだ、付いてきなさい。」

 

 

俺は言われた通り指揮官クラスの兵士ともう一人の兵士に付いて行く。

城もどきは外見だけではなく内装の方もそれとなく近いものを感じさせた。

 

 

屋敷内を案内されながら歩くこと数分、どうやらようやくついたようだ。

 

 

兵士A「君はここで待っていてくれ。」

 

暁「わかりました。」

 

 

兵士Aが目の前の扉を叩く。

 

 

兵士A「私です。報告に来ました。」

 

領主「入ってくれ。」

 

兵士A「失礼します。」

 

領主「それでどうだ?」

 

兵士A「数多くの兵士が傷を負うものの今回は死者が出ることはなく例の化け物どもを殲滅することに成功いたしました。」

 

領主「そうか。これでこの街の民たちに良い報告ができる。本当によくやってくれたな。」

 

 

扉の外にいるが話は聞こえてくる。話の内容からどうやら異族の出現は何度かあったようだ。そのたびに兵士たちは駆り出され死人を出してでもこの街を守っていたみたいだった。

 

 

兵士A「そのことなのですが・・・」

 

領主「? どうしたのだ?」

 

兵士A「今回の戦闘に協力してくれた者がおりまして、その者が例の化け物どもをほぼすべて倒してくれたのです。我々は助けられたにすぎません。」

 

領主「そうだったのか。その者は何処に?」

 

兵士A「扉の向こうで待機させております。」

 

領主「入ってもらってくれ。感謝をしたい。」

 

兵士A「わかりました。」

 

 

どうやら話が終わったらしく扉が開いた。

そして指揮官クラスの兵士に入るように言われた。

 

 

暁「失礼します。」

 

領主「君が化け物どもを倒してくれたみたいだな。この街の領主として感謝する、ありがとう。」

 

 

領主の男性は深々と頭を下げてお礼を言ってきた。

俺はそこまでして感謝されるとは思っていなかったので驚いた。

 

 

暁「ちょっ!?そこまでしてお礼を言わないでください!!只々お節介を焼いただけなんですから。」

 

領主「君のお節介で私たちは本当に助けられたのだよ。」

 

暁「一つ聞きたいことがあるんですがいいでしょうか?」

 

領主「私が答えれることであるのなら聞いてくれて構わない。」

 

 

俺が話を聞こうとしたとき、ふと扉が叩かれた。

 

 

???「あなた、私です。中に入ってもよろしいかしら?」

 

領主「今取り込み中なのだが……」

 

 

領主の男性はこちらにどうする?という目を向けてきた。

 

 

暁「俺は大丈夫ですよ。」

 

領主「入っても大丈夫だ。」

 

 

領主の男性が許可を出すと後ろで待機していた指揮官クラスの兵士が扉を開けた。

声で分かっていたがそこには女性が立っていた。そして女性の後ろから顔をひょっこりと出してこちらを見てくる子供が2人、男の子と女の子のようだ。よく見ると少し震えて怯えている感じだ。

 

 

女性(仮)「あら?お客様と取り込み中だったのね。」

 

暁「こんにちわ。」

 

女性(仮)「こんにちわ。」

 

領主「お互いを紹介しておくよ。先ずは彼女、私の妻だ。それと妻の後ろで隠れているのが私たちの子供たちだよ。」

 

奥様「初めまして、夫の妻です。よろしくね。ほらあなた達も」

 

男の子「おにいちゃんはじめまして。」

 

女の子「おにいちゃんはじめまして。」

 

暁「初めまして。」

 

領主「それで君は………なんていうんだ?」

 

暁「名乗っていませんでしたね。暁って言います。」

 

奥様「暁君ね。よろしく。」

 

暁「よろしくお願いします。」

 

領主「そういえばお前、何しに来たんだ?」

 

奥様「すっかり忘れていたわ、化け物はどうなったの!?」

 

 

どうやら領主の男性の奥様がここに来た理由は異族に関することだったようだ。

 

 

領主「そのことなら解決したよ。暁君が奴らをすべて倒してくれたからね。」

 

奥様「それは本当なの!?」

 

兵士A「間違いありません。我々、戦闘に駆り出されていた兵士全員が見ていましたから。」

 

奥様「暁君!!」

 

暁「うぇ!!」

 

 

急に迫られてびっくりした俺は変な声を出してしまった。

 

 

奥様「本当にありがとう!!化け物が現れてから兵士が次々に亡くなっていく、もうどうしようもないかと思っていたところだったのよ。」

 

暁「え、あ、いえ、力になれたのならよかったです。」

 

領主「暁君が困っているだろうが。そこまでにして落ち着け。」

 

奥様「そうね、取り乱しすぎたわ。ごめんなさいね暁君。」

 

暁「い、いえ、お気になさらず……」(びっくりした~。)

 

 

そんなことを思っていると服の袖を揺すられた。

そちらを見ると女の子が俺を見上げていた。

 

 

暁「どうしたの?」

 

女の子「こわいのやっつけてくれたの?」

 

領主「そうだぞ。暁お兄さんが怖いのやっつけてくれたんだ。」

 

男の子「ほんとに?」

 

領主「ああ。」

 

 

領主の男性が子供たちにそう言うと2人の怯えている感じが和らいだ。

 

 

暁(2人が震えていたのは異族のせいだったのか。)

 

女の子「あかつきおにいさんありがとう。」

 

男の子「ありがとう。」

 

暁「どういたしまして」

 

領主「2人とも、お父さんとお母さんは今からお兄さんと大事な話をするから自分たちのお部屋に戻っててくれるかい?」

 

女の子「はい。お父様。」

 

男の子「うん。」

 

 

子供2人は指揮官クラスの人と一緒に部屋を出た。

 

 

領主「ようやく本題に入れるな。暁君の聞きたいことってのは何なんだ?」

 

暁「化け物についてです。正確には化け物がいつ頃から現れたのか、ですね。」

 

領主「奴らがここに現れ始めたのはごく最近だ。」

 

奥様「夜唐突に兵士たちが化け物が門の外に現れたって」

 

 

そこから数十分話を聞いた。

話の中には兵士が次々に犠牲になっていく話も入っていた。

 

 

暁「そうでしたか。辛い話をさせたみたいですね、すみません。」

 

領主「別に暁君が謝ることじゃない。」

 

奥様「そうよ。あれはどうしようもないことだったのだから。」

 

暁「ですが……」

 

奥様「それより暁君はこれからどうするの?」

 

 

話が終わった時、外はすでに夕方になっていた。

 

 

暁「宿を探して明日の朝にでもここを発つつもりでいます。」

 

奥様「そう。ねぇ暁君」

 

暁「何でしょうか?」

 

奥様「もし暁君がよかったらでいいのだけれど今晩は家で夕飯を食べないかしら?そのまま泊まってくれてもいいのだけれど、どうかしら?」

 

暁「何故いきなり?」

 

奥様「正直、化け物からこの街を助けていただいたのにお礼を言うだけでは物足りない感じがしていたの。だからせめてご飯と床に就いてもらおうと考えたのだけど、無理にとは言いません。」

 

暁「そういうことなら、ご厚意に甘えさせてもらいます。」

 

 

それから俺はご飯を頂き、部屋まで貸してもらえた。

部屋に入るやそのままベッドに倒れこんだ。

仲間たちと別行動をし始めてからというものまともに休憩を取っていなかった。

 

 

暁「流石に疲れたな。」

 

 

俺はそのまま深い眠りへと入っていった。

 

少ししてから目が覚めた。

辺りを見回すと真っ暗で何も見えない。

 

 

暁「この感じ、前と同じだ。」

 

 

そう黒いティルフィングと出会った場所、俺はその時のことを思い出した。

 

 

暁「いるのか?」

 

 

俺が問うと、

 

 

???「やはり再び会うことになりましたね。」

 

 

後ろからそう返答してきた。

 

 

ティルフィング(黒)「やっと、自分の気持ちに気付いたんですね。」

 

暁「別のそういうわけじゃ……」

 

ティルフィング(黒)「それではなぜ、仲間たちから離れたのですか?」

 

暁「それは………」

 

 

俺は黒いティルフィングの問いに答えられなかった。

 

雷とカミトとの戦闘で負けたときいつもは感じないはずの力の差というものを感じた。

俺はずっとその事を考えつつ、どうやって埋めていくのかも考えた。

だが考えれば考えるほど苦しくなっていった。

誰にも相談せず、ただ自分の力だけで解決しようとする。そのせいもあるだろう。

ドラグノフに図星を突かれたとき、心に余裕がなく、いっぱいいっぱいの状態の俺は仲間に怒鳴り距離を取ることを選んだ。

 

 

ティルフィング(黒)「やはり答えられないのですね。」

 

 

黒いティルフィングは俺の隣に立つと一言告げる。

 

 

ティルフィング(黒)「でもこれであなたは力を得られます。」

 

暁「何を言って………」

 

 

すると足元が沈みだした。

 

 

暁「なっ!?」

 

ティルフィング(黒)「さあ、堕ちちゃってください。」

 

 

どんどんと沈んでいく

 

もがいても出れる様子はなく逆に沈むのが速くなっている

 

ものの数分で俺は水中(?)のようなところに完全に沈んでしまった

 

辺りが真っ暗なのは変わらない

 

意識がだんだんと朦朧(もうろう)としてくる

 

止まることなく沈む

 

俺は朦朧とする意識の中手を伸ばすが誰もその手を取ってはくれなかった

 

そして意識は考えるのを止めると同時に途切れた

 

 

ティルフィング(黒)「あなたはもっと強くなれます。ただそれには仲間なんて不確かなものは必要がありません。」

 

 

 

──────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

──────────────────────────────────────────

 

 

朝日が昇り始めたころ──────

 

 

???「おはようございます。マスター」

 

暁「おはよう。グリード」

 

グリード「これからどうなされますか?」

 

暁「決まっている。力を手に入れるために異族を狩りに行く。邪魔するものは力で捻じ伏せる。」

 

グリード「出発の準備はできいています。」

 

暁「ああ。」

 

 

泊めてもらったお礼の手紙を置いて、俺は町を出た。

 

 

 

 

 




暁「最近大城の姿を見ないんだが誰か知らないか?」

マサムネ「大城なら自室にてずっとPCと睨めっこしているみたいだぞ」

暁「アイツ大丈夫なのか?」

ティルフィング「昨日無理はしないように注意はしたんですけど」

ドラグノフ「相変わらずのようなのだ」

雷「そういえばこの前リンとミレイと一緒に見に行ったんだけど・・・」

暁「どうしたんだ?」

雷「結構カオスな状況だったぞ。」


全員『あっ』(察し)


暁「今度アイツに差し入れでも持って行くか~」

ティルフィング「お供しますね。」

ドラグノフ「体調を崩さなければいいのだがな」

全員『・・・。』(頼むから倒れるなんてことだけはやめてくれよ……)


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