戦姫絶唱シンフォギア 〜紅蓮を纏いし装者〜   作:saint shine

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135話

「お待たせしましたエルフナインさん。僕に何かご用ですか?」

 

「あの装置を使います。湊さんにはそのアシストをお願いしたいんです」

 

「…わかりました。あまり気は乗りませんが協力します」

 

僕はエルフナインさんにはそう言って装置の起動準備を始める

 

「エルフナインさん、何時でも起動出来ます」

 

そう言って中に入るとそこにはマリアさん達も居た

 

「ありがとうございます。付いて来て下さい」

 

マリアさん達はエルフナインに付いて行く

 

「これは」

 

「ウェル博士の置き土産ダイレクトフィールドバックシステムを錬金技術を応用して再現してみました。対象の脳内に電気信号化した他者の意識を割り込ませる事で観測を行います」

 

「つまりこれを使えば対象の頭の中を覗く事が出来ると言う事です。そして理論上それは可能です。ですがそれには大きなリスクが伴います」

 

「大きなリスク?」

 

僕の言葉に響さんはそう聞いて来る

 

「人の脳内は複雑に入り組んだ迷宮です。最悪の場合、観測者ごと被験者の意識は溶け合い廃人となる可能性も出て来ます。なので僕はあまりこの装置を使う事に賛成はしません」

 

「やるわ、ようやくlinkerの完成の目処が立ちそうなのに見逃す理由は無いでしょ?」

 

僕の言葉を聞いてマリアさんはそう言ってエルフナインさんを見る

 

「観測者…つまり貴方にもその危険は及ぶのね?」

 

「それが僕に出来る戦いです。僕と一緒に戦って下さいマリアさん!」

 

「ええ、一緒に戦いましょうエルフナイン」

 

エルフナインさんの言葉にマリアさんはそう返した

 

「すみません、本当であれば設計した張本人である僕が最初に使用しなければいけないのにマリアさんとエルフナインさんにお任せしてしまって」

 

「この装置の使用には被験者と観測者の2人が必要だもの、仕方ないわ。貴方は私とエルフナインが戻って来た時貴方は笑って迎えて頂戴」

 

マリアさんはそう言って僕に優しい笑みを浮かべる

 

「はい、準備は良いですか?」

 

「ええ、エルフナイン貴方が私の此処に入ってくるのね?「少し違います」そうなの?」

 

「ええ、仮想空間に複写したマリアさんの脳構造に接続した後、エルフナインさんとマリアさんの意識を共有すると言った方が正しいです」

 

僕はマリアさんの小さな間違いをそう訂正する

 

「了解」

 

「それでは始めます」

 

僕はマリアさんとエルフナインさんが頷いたのを確認して装置を起動させた

 

「友里さん後の事お願いします」

 

「ええ、任せておいて」

 

僕は友里さんにそう言って別室に向かう

 

「作って置いて良かった」

 

そこにはエルフナインさんの作った物とは違う形の装置を装着する

 

(僕も頑張って来ますマリアさん、エルフナインさん)

 

そう思いながら装置を起動させた

 

「此処は…」

 

そこには真っ暗な空間が広がっていた

 

『やっと来たか』

 

「はい」

 

その声と共に目の前に1人の人物が現れる

 

「やっと会えたな俺」

 

「ええ、ようやく会えましたね僕」

 

そこに現れたのは記憶喪失になる以前の僕だった

 

「それで…俺の所に来たって事は覚悟は決まったって事で良いんだな?」

 

「すみません、まだ少し怖いです」

 

「ま、俺が元に戻ればお前は消えるんだそう割り切れる話じゃ無いよな」

 

そう言って何処からとも無く椅子を取り出して座る

 

「あの…」

 

「はぁ、此処はお前の脳内でもあるんだぞ思えば出て来る」

 

そう言われて椅子を思い浮かべると本当に椅子が出て来た

 

「覚悟が決まってないならどうして此処に来た」

 

「今マリアさん達が頑張っています。なので僕も頑張らないとと思って勢いで来てしまいました」

 

僕がそう言うと真剣な表情でこう言われた

 

「お前とマリアの思いを同じにするな、マリアはお前よりも強い意志がある、対してお前はどうだ?マリアが頑張っているから僕も頑張る?ふざけるのも大概にしろ」

 

「すみません…でも…僕…1人じゃ…何もでぎない…がら…」

 

「泣くな鬱陶しい、今のお前は俺に縋っているだけだ違うか?」

 

僕は図星を突かれて何も言い返せなくなった。確かに僕は彼に縋っているだけだ

 

「悪いがそう言う事なら帰ってくれ、お前と話す事は何も無い「待って下さい!!」何だよ、まだなんかあんのか?」

 

「元に戻る為の記憶はとっくにある筈です!!なのに…どうして元に戻って皆さんを安心させてあげないんですか!!」

 

「それこそお前には関係ないだろ「あります…僕は貴方です!貴方の事は僕の事です!!」…ようやくらしくなったじゃねぇか」

 

彼はそう言って笑みを浮かべる

 

「良いだろう元に戻ってやる。だが、それはお前が彼奴らにちゃんと別れを言ってからだ。それまで俺は此処に居てやる。1つだけ言っておくぞ…悔いは残すなよ」

 

「…わかりました」

 

そこで僕の意識は浮上していった

 

「湊…湊さん!」

 

「ん…エルフナインさん…おはようございます…」

 

僕が目を覚ますとそこにはエルフナインさんが居た

 

「どうしてこんな事を…」

 

「僕の脳の中なら記憶喪失になる前の僕と話せるんじゃ無いかと思って作ったんです」

 

僕はエルフナインさんにこの装置を作った理由を話す

 

「記憶喪失になる前の湊さんと…それで結果は」

 

「成功です…エルフナインさん達の方はどうですか?」

 

「此方も成功です。マリアさん達がアルカノイズの対処に向かっています」

 

「そうですか」

 

エルフナインさんの言葉を聞いて安心する中あの人から言われた言葉が頭から離れない

 

『悔いは残すなよ』

 

「あれはどう言う事なんだろう?」

 

「どうかしましたか?」

 

「何でもないです」

 

そう言って僕はその部屋を出た




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