マキシタさん、誤字報告ありがとうございます!
おいおい、まじかよ。いないと思っていたラカムがいた件について。しかもどうやらこっちに銃口向けてる件について。どうすんだよこれ。とりあえず敵意はないよってことでハンズアップしておくか。
おそらく俺がどうやって弁解するかを考えているとラカムが声をかけてくる。
「おい、お前らいちいちグランサイファーの中を確認して回って何をしてやがったんだ」
ここは焦って動揺をだすと不味い。親父の教えその一、〝誤魔化すときは堂々と″はつどーう!
「そういうあんたこそなんだよ。俺は偶々このでっかい落とし物を見つけてよ。気になってきちんと使えるか確認しただけだぜ?俺たちの旅にこれ以上なく必要だと思ったからな」
「旅?お前騎空士か、なら残念だったな、こいつは俺の船だ。お前に譲り渡す気もない」
多少警戒が落ちたみたいだがまだ声が固い。それに原作通り、ラカムは落ち込み中かよ。わかる、トラウマって中々治らないもんなー。まぁどの道引きづっててでもラカムにはついてきてもらいますけど。とりあえず話してみますか!
「持ち主ってことはこれの操舵士ってことでいいのか?」
「元、だがな。って何を俺は他人に話してんだ。これで分かっただろ、こいつは難破船じゃない。諦めて他を当たりな」
「それでわかりましたってなったら話は簡単なんだけどなー。言ったろ?必要だって」
「お前状況わかってんのか?引かねぇなら痛い目に会うことになるぜ」
なんかクレイが臨戦態勢に入ろうとするのを首を振って止める。チカチカ抗議するな、まじで戦闘になったらどうすんだ。
「確かにな。わかった、この艇はあんたのだ。そこは譲るよ、奪うなんてことはしない」
腕を上げたまま振り向く。ラカムは依然構えてるけど困惑している。
「じゃああんた、うちに来てくれないか?」
「・・・はぁ?」
さてただいま俺は椅子に座っている。ただし縄で拘束された状態でだけど。ラカムはあの後、まだ警戒するもんだから腰に下げていた二丁の銃とその他もろもろをとって投げ渡してやった。なんだかじれったくなってしまったから最終的にはズボンに手にかけたところでついてくるよう言われたから助かった。危うく俺は男の前でズボンを脱ぐ変態の名声を得るところだった。
それでとりあえず装備は離れたところに置かれている。ラカムは俺とクレイを縛り上げたあと、グランサイファーに異常がないか確認しに行ったみたいだ。椅子に縛られている俺とおなじようにす巻きにされているクレイは反抗しないという意見を採用したのかまったく動く気配がない。というか点滅もしていない。まさかこいつスリープモードに入った?
クレイが寝ていないか確認するために身動きできない身体でどうにかつついてやろうと試行錯誤しているとラカムが戻ってきた。
「お前の言う通り艇には問題ないみたいだな」
「だから言ったじゃんか、俺の言葉を信じとけば縛る必要も確認することもなかったのによー!」
「得体のしれない奴らに気を許すほど俺はお人よしじゃねーんだよ」
「そりゃあ…ごもっともで」
「それでお前は何が目的なんだよ。ガキの遊びなら他所でやるんだな」
「他所にこんな面白そうなものねーだろ!子供馬鹿にすんな!」
「子供であることを暗に認めてんじゃねーよ」
ラカムに訝しげに見つめられる。やだ、俺全く信用されていない?
まぁこちらに興味を持ってもらえただけで及第点とするか。俺はラカムに粗方の事情と俺がここにきた経緯を伝えた。
もちろんあんたに会うためなんて言ったら気がふれてるように思われるからそこら辺はうまく隠したけど。
「なるほどな、なんともまぁ大変なこって。それならお前の行動にも一応説明がつくな」
「本当だって。その上、操舵士がいるっていうんだ。カモがネギしょってきたというわけ」
ラカムの顔が曇る、さてどうくる?
「さっきも言ったが俺はもう操舵士じゃねぇ、元って言っただろ。それに空を飛ぶのも碌にできねぇ成り損ないだよ。生憎だったな、街に行けば何人かは見つかると思うぜ」
「今からでも遅くねーって。もしかしてあんたそう見えて年配のお方?」
「なわけねーだろ。歳で引退に見えるのか俺が」
「歳なんて気にすることねーよ!あんたならまだやれるって!」
「見えるのか俺が!?」
「ちょっとだけやってみよ!先っぽだけ、な?」
「ちょっと待て!質問に答えろ!それに先っぽだけもくそもねーだろ!」
ラカムでふざける、もとい説得していると外が騒がしくなってきた。というかカタリナさんの凛々しい怒声が聞こえてきた。どうも帝国とグランたちがここまで来たようだ。
しまったな、グランサイファーに自分でも興奮しててあまり時間間隔が分からなかったが結構かかっていたみたいだ。ラカムは窓から外を訝しげに覗いてるが俺はそろそろ行かなきゃいけなくなった。
俺が誘うのに成功していたのなら結構楽ができたかもしれないがそうもいかないか。仕方ない、ベストがダメならベターに切り替える、これマジ大事。それに従って俺は自分にできることをやるしかない。
差しあたっては縄をといて合流することから始めるかね。遊び呆けていたなんて思われたらルリアに軽蔑されてしまう。流石にそこで興奮できるほど俺は上級者じゃない。
ラカムと話してる最中に縄の結びはほぼ解けたし、行くとするか。
「よいしょっと。おい、クレイいい加減起きろ。出るぞ」
『了解』
「お前っ!いつの間に縄を!」
「ちょっと縛り方が甘かったよ、割と簡単だった。最近のガキは縄解きなんて親から学んで当たり前だぞ?世界が広がったな」
実際俺とグランができて、遊びとして同世代の奴らもやってたから間違いないはず、たぶん。いややっぱおかしいわあそこ。俺は親父の拘束から逃げ出す為だったのにグランはなんでできたんだろう。ザンクティンゼルでの懐かしい思い出だ。
「冗談も大概にしろ、お前みたいなやつがそこら中にいたらゾッとするぜ。それで、外にいる連中はさっき言ってた仲間か?」
「少しはさっきの話を信じてもらえたみたいでよかった。そういうこった、すまないがピンチみたいなんで通してくれないか。無断で踏み込んだのは謝る。少し浮かれちまってさ、見逃してくんねーか」
いつ解いたのか知らんがクレイも起動して隣で浮いている。俺とクレイに目をやってラカムはため息をはく。
「たくっ、もういいぜそのことは。グランサイファーを壊そうとする奴らでもなかったみたいだしな。まぁ蓋を開けてみたらとんでもねぇ藪蛇だったが。結果的に修理されてたところもあるのはありがたかったよ」
あー時々いるよなそういう奴らも。もしかしたらラカムは何度か追い払ってるのかもしれない。誤解は解けたみたいで見逃してもらえました。ナイス緊急事態!
「それと…あー。あいつら撒くの手伝ってやろうか?」
お前は聖人か?いや、確か原作だったらなんかここら辺で偶然会ってたはずだしちょうどいいのか?それに申し訳ないがそっちの方が断然俺の安全も上がる。
「いいのか?」
「面倒ごとには首は突っ込みたくないがな。ただな、目の前で人が死ぬかもしれないのを見過ごすのは夢見が悪いんだよ」
そう思えて実際に行動に移すのは簡単にできることじゃない。こういうのを類は友を呼ぶって言うやつなのかね。もちろん俺じゃなくてグランだけどな。
「確かに安眠はすっげぇ大事だよな。理由としては百点満点だ。よろしく頼む、ラ…名前は?」
「?…ラカムだ。短い付き合いだろうがな」
「フルトだよ。俺は長くなることを望んでるけどなラカム」
じゃあ全く気が進まないが殺し合いの時間だ。
グランたちの周りは帝国兵に囲まれていた。あれ?一回逃げているはずなのに今は最初から包囲されている?見過ごせない違和感だが、とりあえず助けなければいけないことは変わらない。
囲んでいる奴らの後ろになんかちっこい偉そうなやつが下品な笑みを浮かべてやがる。帝国は身分が上に行くほどきもいやつになる決まりでもあるのか?
今、俺とラカムは反対側から降りて状況を伺っているがあまり芳しくないな。
「ラカム、あんたには退路の維持と先導を頼む」
「維持って言ったってお前…あの状況のどこに逃げ道があるんだよ」
「そのきっかけを今から俺が作るんだよ。クレイ、今持っている武器は?」
『対人用スタンガンのみ搭載』
「それならお前はラカムと一緒だな」
『不服』
どうやってサポートすんだよそれで、我慢しろ。お前は攻撃手段がなさすぎる。
さて俺が持っているのは催涙ガス爆弾、煙幕、短剣、それに腰に下げている二丁の拳銃だ。これだけあっても俺だけで突破するのは不可能だが、上手くいけばって感じだな。頼んだぞ、グラン。
首に下げていたゴーグルをつける。右手には銃を構えておく。
撃たれる距離で気づかれないように早く地面を駆ける。
「うおおおおおおお!」
帝国兵はいきなり後ろから向かってくる俺に驚いていたが、すぐさま前の数人がこちらに構えてきた。本来ならここで真っ先に煙幕を使うが退路確保のために今はできない。弓を構えられる前に全力で疾走する。
おかげで兵士二人が俺に向かってくる。走る速度を緩めるが俺も近づいていく。二人のうち一人が剣を突き出してきた。なめてんなこいつ、よけづらい身体の中心を狙っているが所詮は点の動きだ。
体を翻してよけて、肩と足の鎧の縫い目を打ち抜く。もう一人が間髪入れずに斬りかかるが、あえて間合いを詰めて威力を殺す。気絶とかできる余裕がない俺は手加減はできないので腹に二発、足に一発ぶち込んでおく。腹のところは1番厚い場所狙っといてやったから骨折くらいで済むはずだ。
集団に意識を移せば奴らは既に俺に対して戦闘態勢をとっていた。ざっとみて10人程度か、無理ぽよ。しかもクロスボウ構えてんじゃねーか!すぐさま兵士たちに煙幕を投げて標準をずらす。
矢が俺の首をかすめていく。ちょっと狙い良すぎんよ~。続けての矢も体をかがめて移動することで避けれた。煙の範囲外からも回り込んでこっちに斬りかかってきやがる。短剣でなんとか剣の軌道をずらす。と思ったら次は煙の中から槍が飛び出てきた。
「ッヅ!!」
咄嗟に無理やり身体を捻ったが避けきれなかった。脇腹に熱が溜まる。
まだ煙幕は晴れないお陰で向こうも視界は良くない、拳銃で牽制したいが目の前にはもう一人いる。銃弾を撃つが狙いがずれる。
勢いは止まらない。何とかして足を止めなきゃいけない。正直成功したことはあんまりないがやってみるか。
短剣を投げつける。剣ではじかれるが俺としては真っすぐ飛んだだけでも儲けものだ。空いた手でホルダーに手をかける。
くそ、もう踏み込んできてやがる。間に合え!
どうにも剣の方が早いようだ。もう迫ってきている。ああ――無理だなこれ。
後ろで銃声が響いた。俺の命を捉えるはずだった剣は力なく落ちていく。どうやらラカムが見かねて助太刀してくれたのか。
「何やってんだ、お前は!」
「いや本当に助かった。あんがと」
きもが冷えたが安心ばかりはしていられない。そろそろ煙が晴れるがまだいるようだったらもう一ラウンドやらなきゃいけない。
だがそれは杞憂だったみたいだ。見慣れた四人組がそこからは出てきていた。
「フルト!やっぱりいると思ったよ。囲まれる前にきてくれると嬉しかったんだけどね!」
「最高のタイミングだろ?加えて助っ人まで用意している俺を讃えてほしいね」
グランと軽口をたたきあっているとカタリナさんが注意してくる。
「二人とも私たちはまだ追われているのだぞ!気を抜くな」
それもそうだった。グランの察知の良さについ浮かれてしまったぜ。
「悪かったカタリナさん!すまないけど少しだけ周りの兵士の足止め頼む」
「任された」
そう答えるとカタリナさんは近くにいた敵二人を即座に斬り捨ててみせた。か、かっこよすぎる。ラカムも退路の維持を律義にこなしてくれている。
グランはルリアとビィの警戒をしている。クレイがこっちにいないということは大人しく言うこと聞いてくれているわけだ。状況理解よーし。あとはやることやるだけだな。
この追手は指揮官みたいなやつが命令すればすぐさま追ってくるだろう。なら集団の足を止めるあるいは鈍らせるにはどうすればいいか?簡単だ、今後方でがなり立てている頭を負傷させれば自ずと鈍る。
先ほどとは違って落ち着いて銃を構える。この銃はシングルアクションだがその代わり、大口径弾も装填できるうえに高精度だ。少し離れているが動く気配はない。ハーヴィンなのか的は狭いがこれなら俺でも当てられる。
引き金をひいた。銃声と共に出ていった弾は狙いを誤らずに命中する。
「うし、撤退します!カタリナさん」
「心得た!」
「つっても、身を隠すとこがねーぞぉグラン、フルト」
「ごめんなさい、私はやく走れなくて」
「気にすんな、ルリア。俺だって長くは走れないからよ。ラカムあんたここら辺にないのか?」
「そこは俺頼みなのかよ…はぁ。もう少し進んだところに隠れ家の入り口がある。そこまでいければ安全だろう」
呆れた声でラカムが応えていると、みんなが一瞬驚いたような顔をしたがグランがすぐに立ち直った。
「ラカムさん、よろしくお願いします!」
「しかたねぇ、ついてこいよ」
撤退する際に催涙ガス爆弾を置き土産に投げておく。かわいがってもらったからお返ししておかないとな。後ろから撃ってくるんじゃねーぞ。
ラカムの住処で一休みしないとこっちの体力がもたないってーの。俺は合流したみんなとまた走る羽目になった。
あー傷が痛い。
こんなの原作にないよ、とかは大きな気持ちで許してください。あと編区切りってどうやるんですかね。