きくうしって…マジ?   作:わら味噌

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俺の身上話、聞きたい人ー、はーい!

 なんで俺がグランの誘いを断るのか、これには理由がある。前世の記憶があるなら乗るべきだと思うだろう。グランサイファーで美女たちとのウハウハ騎空士生活、想像しただけで心躍ってタップダンスしちゃうレベルなのはわかる。本当にそれだけなら誰だって乗るさ、俺だってそうする。だが落とし穴はどこにだって存在するって話だ。

 

 前にも言ったが俺は転生者だ。前世の記憶を引き継いでる。でも生まれてからすぐに意識があったわけでなく、ちっちゃいころはふつーのそこら辺のガキと一緒だったと思う。

 

 ここで確定的じゃないのが難しいんだが、俺はだんだんと前世の知識から思いだしていった。それも断片的に。

 例えば教わってもいないのに食器の持ち方がわかっていたり、無意識のうちにこちらの言語を日本語の文法と照らし合わせながら習っていた。おかげで言語の習得は早くできちまったけど、でももちろん弊害があった。

 それは自分の存在としての違和感だ。生半可に知識が先に思い出されたせいで、周りよりも一番自分自身が知らないことを知っている自分に恐怖してた。

 

 そんで5歳の時に、一気に前世の記憶を取り戻した。すごい熱出して家族には心配させたけど、そのあとは大半の記憶を取り戻してすくすくと成長したってわけだ。

 そこでだ、問題となってくるのは俺が現時点で思い出している記憶にある。そう、俺はグラブルを途中までしか知らない。当たり前だ、前世のゲームではまだルリアもビィの正体もわかっていない旅の途中である。

 

 しかも俺は帝国編途中までしか進んでなくてうろ覚え。しょうがないよね、こっちで生活してたら忘れちゃうもん(白目

 そんな状態でグランと一緒にお空に出てみろ、これから加わるメンバーは大丈夫かもしれんが俺は間違いなく無理だ。記憶を取り戻した時に思ったよ?俺には転生特典があるに違いないって。俺なんかしちゃいました?みたいな感じを無双ならぬ夢想してましたよ。

 

 そんなものは夢物語でした。剣もだめ、弓もだめ、斧は逆に振り回される始末。元騎空士の親父からも武器の扱いが絶望的に下手だと太鼓判をいただいてしまった。まさか特典ならぬペナルティを課してくるとは・・・俺なんかしました?

まぁ銃の扱いだけは人並みだと言われたけど。幼馴染のグランと比較してみろ、泣きたくなったわ。

 

 そんなわけで俺は決めたんだ、ザンクティンゼルで平和にいきていくことを。さらば、まだ見ぬ美女たち、星晶獣よ、アデゅー。

 

 「というわけで、お断りだグラン」

 

 「何がというわけなのかさっぱりなんだけど。フルト」

 

 こいつ聞いてなかったのか?俺の独白を。いや率直に聞かれてたら聞かれてたで怖いけど。

 

 「俺には空で生き抜いていく実力が足りねぇって言いたいんだよ。知ってるだろ?武器全般扱いがへたくそなのをよ」

 

 「確かにフルトは剣も槍も使えないけど、銃だけは人並みに使えるしなにより操舵技術と機械修理ができるじゃないか。僕とビィだけじゃ船は飛ばせないからフルトがいてくれたらかなり助かるんだ」

 

 「安心しろよ、そんなもんお前なら旅立ったら操舵士なんてすぐ見つかるしなんなら船だって手に入っちゃうぞ」

 

 「何言ってんだよフルト。そんなに簡単に騎空挺が手に入るわけないだろ」

 

 手に入っちゃうんだよなぁ、これが。まぁ原作を変えたくないんで言わねーけど。

 

 「フルトはグランとおんなじくらい楽観的だよなー、あと修理つかオイラは改造しているように思うんだけどよ」

 

 「口を慎みたまえ、トカゲ君」

 

 「なんだとう!オイラはトカゲじゃねぇ!」

 

 「ドラゴンとか寝言をほざいてはいけないよ?ビィ君」

 

 「空も飛べるし翼もあるじゃねぇか!」

 

 「その程度の類似点でお前がドラゴンなら、トマトがリンゴと一緒と言われても信じるね!俺は」

 

 「さっきのこと地味に根に持ってんじゃねぇか!今度という今度はゆるさねぇぞフルト!」

 

 「まぁまぁ二人とも落ち着いて。というかフルト、野菜多すぎじゃないか手伝ってくれよ」

 

 三人で話しながら歩いてたらもう着いちまったか。だいぶゆっくり歩いてたからもうちょいかかると思ったんだが、別にこの後の農作業がめんどくさいわけじゃないぞ断じて。

 

 「んあ?んー、いやさっきも言ったがほんとに親父たちの手伝いの前に来ただけなんだ」

 

 こら、やめろビィ。頬を引っ張るな頬を。

 

 「だからここでとりあえず今日はお別れだわな。またなー」

 

 「ああ!おじさんたちによろしく!また!」

 

 「次来たときはオイラをドラゴンだって認めさせてやるからなっ」

 

  はいはいと返事をしながら帰りをなるべくのんびり歩いていくことを決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  グランはフルトを見送った後、ビィと共に家に帰ることにした。ふと隣にいる相棒が声をかけてきた。

 「なぁ、グランよぉなんでお前はフルトをあんなに誘うんだ?」

 

 「どうしたんだよ、藪から棒にいきなり聞いてくるじゃないか」

 

 「まーな、フルトの奴はむかつくけど悪いやつじゃないからわからなくもねーけどな。それでもお前が嫌だと言うやつに何度も誘うのは珍しいことだと思ってよ」

 

 ビィも素直じゃないなと苦笑いしながらグランは先ほど別れた幼馴染を思う。

 

 「ビィはさ、俺がイスタルシアに行くって言ったとき率直にどう思った?」

 

 「まぁ眉唾ものだと思ったぜ、それでもオイラはついていくけどなっ」

 

 「そうだよ、大抵笑い飛ばされるのが当たり前だ。実際父さんからの手紙がなきゃ僕だってそうだと思う。それがさ、この話を初めてフルトにしたらあいつなんて言ったと思う?」

 

 うーんと首をかしげならビィは考えたが、肩をさげわからないと首を振った。

 

 「『お前ならいけんだろ』って言われたのさ。こともなげにさ、その時フルトは僕よりもイスタルシアがあると信じていたんだよ。そしてそれ以上にそこに僕が辿り着けると信じてくれたのが僕にとってはたまらなくうれしかったんだ」

 

 「ほんとグランは恥ずかしいことを恥ずかしげもなく言うよなぁ。それにしてもいかにもあいつが言いそうな言葉だとオイラも思っちまうけどよ、でもよこのままじゃあいつはいかなそうだぜ?」

 

 「そうなんだ、どうにかしてフルトの空にでない理由を聞かないと意味がないよ」

 ビィはまたしても首を傾げる。

 

 「ん?空に出ない理由は実力がないって言ってたじゃねぇか、他になんかあんのか」

 

 「フルトは本当にそんな理由で断るもんか。あんなにあこがれてる空よりも優先される理由があるんだよ」

 

 「そういわれるとそうかもなぁ」

 

 二人はそのまま不思議な幼馴染のことを話しながら歩いていくのだった。

 

 




フルトの容姿をを書くことができていない自分に絶望しました。のであとがきで軽くだけ設定いいますね。

フルト
種族:人間
髪:暗い緑のボサボサ頭
顔つき:目つきすこしきつい
背丈:172㎝
好きなもの:トマト、機械

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