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とうとう来ちゃったよ、帝国が。まったくこっちの準備も無視にくんなっちゅうの。親父はすばやく荷物を片付けて戻る準備をとっている。俺も畑仕事をやらずにすんだことを感謝して・・・やっぱり無理だわ、帝国と農作業ならさすがの俺でも農作業です。
そんなわけで親父と一緒に超ダッーシュ!荷物なんてあってないようなもんよぉ!おやおやどうした、親父ぃ疲れちゃたんでちゅか~、いっっつもサボってる俺よりも疲れるのが早いなんて老いってこわっ痛っ!ちょっ今走ってるから!荷物持ってるから!わりと本気目に体勢崩そうとしないでぇ!
隣の元気そうな親父はほっといてとりあえずはうちの家族の心配だ、幸いにも帝国が来たってことは原作通りに進んでるってことだ。グランがなんかの事故で死ぬってことはまだないはず。なら今取るべき手段はもう決まっているようなもんだ。
ようやく家についたところで母さんがこちらに気づいたようで小走りでやってきた。
「フルトっ!あなたっ!無事だったのね」
「ああ!問題ない、それよりお前たちは大丈夫か?村にまだ帝国は来ていないな?」
「ええ、村の人たちも警備を固めるみたい、一緒に村の集会所まで行きましょう」
母さんと奥で最低限の荷つくりを済ませたうちの妹は俺たちの帰りを待ってたってとこか。よかった、これで村にいって安否確認する手間が省けた。
「俺はちょっくら自衛用の武器、倉庫から取ってくるわ。親父の分も必要か?」
「いらねぇよ、俺には自前がある」
「親父、猟銃じゃあ旧式すぎる。俺の銃の方がマシなやつが多いだろ。遠慮しなくていいぜ」
「あほ、こういう時に手に馴染まん銃なんて使うもんじゃない。それにお前はどんな時でも新作渡そうとしてくるだろ」
「ありゃばれた?」
当たり前だと言って親父は家から見慣れない銃を持ってきた。見たことない銃だなあれ、見たところメンテナンスもしっかりしてあるみたい。そんなのどこに隠してたんだ?すげぇ気になる、いじりたい(ウズウズ。
「俺は母さんとミイナを先に村に連れていく。お前もすぐに来るんだぞ」
「わかってら、とるもんとったら追いつく。ついでに遅れてる村人の誘導もしておくよ。まぁさっきの調子じゃあそれでも間違って追い越しちゃうかもだけど」
「減らず口をたたくんじゃねぇ、バカ息子が。――――待ってるからな」
軽く手をあげて応じながら俺は急いで倉庫に向かうことにした。悪いな親父、すぐってのは約束できない。
さて俺の発明品だらけの遊び場もとい倉庫についた。武器を持っていくといってもフル装備は無理だな。速度が落ちるし、なにより体力がもたない。原作じゃあ何があったかはわかるが、どこにいるかは定かじゃない。つまり迅速に正確に動く必要性がある。しかも俺が持っていくと決めてるやつはかなり重めだ。ってことは携帯できる軽武器1つくらいになるな。今更だけど親父が銃を持っててくれて助かった。
準備をしながら心を落ち着ける。これから向かうのは間違いなく俺にとって死地だ。まったくもって正気じゃねぇな。それに本当に原作通りなら俺が向かう必要性もない。なら原作通りいくと信じて待っているのか?原作通りでもグランは1度死ぬのに。
「ありえないな」
間に合うかはわからない。だけど準備も万事終了、助ける手段も決まってる。ならいっちょあのお人よしの二人を助けに行くとしますか。
さてあいつらを探して森に入ったはいいが本格的にどう探すかね。通信機になんて持ってないしな。ぼやぼやしてると帝国兵に見つかっちまう。
ん?待てよ、帝国兵・・・帝国兵があったか!かなり危険だが手っ取り早く正確だし今はこれしかない。
そう思っていると丁度足音が聞こえてきた。音から察するにどちらも鎧を着ている。間違いなく帝国兵だ、しかもルリアの捜索のためか2人組ときた。俺はあいつらに気取られないように銃を下ろし、物陰に潜む。
「まったく手を煩わせやがる。どのみち捕まるんだから大人しくしとけってんだ」
「仕事中に余計な愚痴をたらすなアホ。それにもう補足はしてある。後は逃げられないように包囲するだけだ。こんなにてこずっているのは予想外みたいだけどな。なんでもカタリナ中尉と腕の立つ青年がいるらしい」
相手は剣と槍の組み合わせか、まぁ飛び道具持ちとかじゃなくて安心だけどな。俺謹製の煙幕とスタンガンを準備する。
「そりゃあいいことを聞いた」
「ツッ!!誰だ貴様!」
答えるわけないだろ、バーカ。それに唐突に声をかけたお陰で転がした煙玉の反応が遅れてる。その隙をグランに(無理やり)鍛えられた俺が逃すと思うなよ。
「アババババっ!き、きしゃまぁ」
「安心しろ!死なない程度の出力に抑えてあっからよ」
「ふん!」
「うおっ!あぶなっ」
なんとか後ろに下がって剣を避ける。ありゃ槍の方がリーチが長いから先に片付けたけどもしかしてもう一方の剣の人の方ができそうな雰囲気あるな。相方がやられたところを予測して俺に攻撃を仕掛けるとか帝国兵は訓練行き届いてますね!
先に狙う相手間違えちったけど、グランの剣速より遅い。これならなんとかなる。
敵は煙幕が晴れるまでは俺の位置はまだわからない。そして俺はさっきの攻撃で大体どこにいるかは分かっている。その条件は向こうも同じ。なら先手を取らせたら明らかに不利なのは俺だ。スタンガン棒のリーチと剣のリーチで劣るのなんて言うまでもない。相手に向かって走る。向こうも俺が来るのは予想していたのか、袈裟斬りで斬り付けてくるがなんとか避けながら懐に入る。あとはスタンガンを当てるだけーーー
「甘いな」
至近距離でそう声がした。なるほど、避けられのを予想して横薙ぎにもう構えてやがる。
空いた脇に剣が振り抜かれた。しかし斬られたら出るはずの血は出ない。
「なっ!貴様、どうなっている!」
「うるせー馬鹿野郎。大人しく気絶してろっ!」
「ガッ!」
なんとかスタンガンを当てて、気絶させることができた。万が一に備えて服の下に飛空艇の部品にも使う鉄材仕込んどいて正解だったぜ。
「痛たた、さすがに衝撃は吸収できねぇな。まぁ大体予想通りの動きで助かったよお前ら」
やり手の方は出力間違えて気絶させちまったし、最初にぶっ倒した方はまだ力が入んないみたいだからそっちに聞かせてもらおうか。
「よぉ、聞きたいことがあんだけどな?さっさと教えてくれれば俺も手間が省けるんで素直に答えてくれよ?」
スタンガンをぽんぽんと当ててると、少し体が強張ってるな。よしきちんと怯えてる。
「じゃれがきしゃまにおしえるか!」
「おろ?少し痺れが抜けてきてるな?ほいっと」
「あばばば!お、おぼえてりょろ」
「うーん、話す気ない?それじゃあ少しあんたが味わってるこのスタンガンの機能について教えてやるよ。大方あんたが口を割らないのはこれじゃあ人は殺せないと思ってるんだろ?大正解だ、これの最高出力じゃあ人は殺せないようになってる。――だけどよ、これは魔力から変換した電気を集中的に射出して焼くこともできるんだ」
「おまぁえ、ま、まさか」
「あんたもさ、自分のムスコが焼きバナナになりたくはないよな?」
「ひっ!」
いやー助かった。最終的に教えてくれたから焼きバナナをこさえる必要はなくなった。気絶はしてもらったけどな。
物陰に置いといた銃を背負い、しばらく走っていると剣戟の音が聞こえてくる。やっと見つけることができた。急ぎながら周りに警戒して近寄っていく。背負っていた銃も脇に持っておく。
そして目的の場所に着いた俺が見たのはヒドラと身体を貫かれているグランの姿だった。
フルトの発明品はスタンガンと言えるのか?と思いながらノリで書いてしまったぁ。まぁグランはいきなり剣で躊躇なく倒してるし多少はね?