01 MA、襲来
「なんか静かですね、ギャラルホルンに囲まれてた本部に比べたら、静かすぎて気持ち悪いくらいだ」
「ああ、火星の戦力は軒並み向こうに回してんのかもな」
「ま、もう関係ないですけど、そんなことは!」
「上機嫌だな」
「当たり前でしょ!助かるんだみんな。タカキも元気でやってたし、俺も頑張りますよ、団長!」
「ああ」
コツ、コツと二人分の足音だけが廊下に響く。一人は長身、一人は子供。どちらの顔も希望と夕日に明るく光っている。
長身の方ー先程団長と呼ばれていたーは、感慨に浸っていた。
(これからも、俺たちが立ち止まらない限り)
一つの足音が暗い廊下に響く。足音はやがて、差し込む夕日に溶け込むように、外へ出る。
(道は続く…)
青空を、轟音が支配した。
「!?」
見上げれば飛んでいるのは飛翔体、あれは…
「巡航ミサイル!?」
思わず叫び声をあげた『団長』は、すぐさま近くにあった建物の影に身を寄せた。
「ギャラルホルンか…!?勘付かれたかッ!」
彼は右へ、左へ首を回す。さっきまで隣にいたはずのヤツがいない。
「ライドォ!チャドォ!」
返ってくる返事はなかった。代わりに建物の隙間から首をのぞかせたものがある。
「なんだありゃ…」
黒い逆三角形の胴体に細い手足。大きな白い三角形の肩を持つ。変に生物的に見えるそれは、機械とも思えない。極めて不気味なのはその顔だった。
(なんだあの顔…仮面…?)
「見たことねぇ…ギャラルホルンのMS(モビルスーツ)か!?」
そう呟き見上げたそばから、それは先程からヘリに戦車に集中砲火を受けていた。しかし一向に効く模様はない。
(鉄華団…俺たちはあんな戦闘機なんかもっちゃいねぇ…まさかここに来て第三勢力…?)
おもむろにその巨体が腕を伸ばし、戦闘機を一機、撃墜させた…“ビーム兵器”で。
(ビーム…そうか、あいつは)
墜とされた戦闘機は、破片を撒き散らしながら落下していく。運悪くその一片が、『団長』の方へ回転しながら飛んできた。
一瞬であった。避けられもしない。
「ウ ゙ウ ゙ツ」
直撃を受け、うめく。身体中に激痛が走り、出血も始まる。
(死んだな、俺)
瓦礫の下になっているその状況を、彼はいとも簡単に、そして冷静に受け止めた。
(だが俺はみんなに行き場所を、示さなきゃならねぇ)
左手を伸ばし、人差し指を立てる。最期の力で、仲間を導くためのポーズを取り、呟く。
「だからよぉ、止まるんじゃねぇぞ…」
倒れこむ彼。と、そこにエンジン音。
そこから数秒、『団長』は恐る恐る目を開ける。無事だ。しかしなぜか痛みどころか出血すらない。
「なんだ…俺は今、絶対、死んで…」
エンジン音はどんどん大きくなっていき、やがて彼の前で急ブレーキをかけた。青いスポーツカーである。上でドンパチやっている戦場にはあまりにも似合わない。
そんなことを考えている彼の前で、ガチャリと助手席のドアが開いた。
「ごめん、おまたせ!」
「…は?」
顔をのぞかせたのは若い女性。長く下ろした黒髪、整った顔立ちにはサングラスがかかる。しかし『団長』はそれを誰かは知らない。
「…あんた誰です」
「葛城ミサト。あなたは…オルガ・イツカくんね」
「名前を…?」
「あら?ファリド准将から何も聞いてなかった?」
(ファリド、そうか)
「マクギリスの手のやつか。助かった」
「早く乗りなさい。ごめんね、色々と時間がないの」
「ああ、分かった」
彼はその場でくるりと振り返って、大声で再度叫んだ。
「チャドーォ!ライドォーッ!」
帰ってくる返事はない。
「無事に逃げたか…?」
「友達?」
「仲間。いや、家族だ」
「?、そう…でもこの辺りはそこ以外瓦礫は落ちてないから大丈夫だと思うわ…なんであの瓦礫血がついてるの」
「あ、いや、それはいいんだ」
「おそらくその二人もシェルターに避難したわ…きっと大丈夫よ」
「そうだな…よし」
そう言って『団長』…『オルガ・イツカ』は彼女の車に乗り込んだ。
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「全く、彼が来る前にことが動くとはな」
「ん」
「君はあれをどう見た、三日月・オーガス…」
「綺麗だった」
巨大なパネルがある部屋である。逆にそれ以外を一切取っ払ったパネルだけの部屋とも言える。そのパネルの前に、二人。
三日月と呼ばれた少年は、言葉を続ける。
「すごく綺麗だった…こっちで見た鳥、みたいだ」
「鳥ではないよ、あれは…」
そう言ったのは金髪の青年。口元に微笑を浮かべて、
「あれは、天使だ」
言い放つ。
「さて、そろそろ行こうか三日月・オーガス」
「どこに」
「司令室だ。そろそろ国連軍が諦めている頃だろう。MA(モビルアーマー)には通常兵器は通用しない」
「おれはいいよ。バルバトスのとこに行く」
「フ…そうか。…それと」
「?」
「もうこちらに向かっているらしい、彼が」
「!」
「そう、オルガ・イツカだ」
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車内は、クーラーが効いていて快適に過ごせた。
「ところであんた、葛城ミサト…だっけな」
「どうしたの、オルガくん」
「あれは…MAが、復活したんだろ?」
「…結構知ってんのね」
ミサトのその反応に、オルガはやはりな、と思った。
「ハシュマル以外にいやがるとは…」
「ハシュマル?」
「ん?いや、知らなきゃいいんだ」
そう、と首を傾げたミサトは視線を前に戻す。口だけが動き始めた。
「いかにも、あれは私たちがモビルアーマーと呼ぶ存在よ。あるいは使徒、あるいは天使…」
「使徒?」
「そう。そうも呼ぶの」
「使徒、か」
沈黙。二人は話すのをやめ、車内にはクーラーの音と外の轟音のみが残った。
それが破れたのは三十秒後、オルガが口を開いた。
「鉄華団の連中は」
「鉄華団」
「知らねぇか、あいつらを」
「聞いたことないわね、そんな組織」
「は!?」
オルガの表情に焦燥がうかぶ。鉄華団をしらない?この火星で?
「あんたら…ギャラルホルンじゃねぇのか」
「違うわ」
「私たちはネルフ。使徒からこの地球を守るための組織よ」
(ネルフ…?地球…?)
ほかにもクロスオーバー色々やってます
ジョジョ×オルガ→http://syosetu.org/novel/193064/
リリスパ×オルガ→http://sp.nicovideo.jp/series/36390